(事例紹介)強制わいせつ致傷事件で逮捕された事例
~事例~
滋賀県警東近江署は7日、強制わいせつ致傷の疑いで、大津市の団体職員の男(30)を逮捕した。
逮捕容疑は、4月19日午後10時15分ごろから20日午前0時40分ごろ、滋賀県東近江市のホテルで20代女性の胸や下半身などを触り、右胸、首や腰に軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「強制ではない」と容疑を一部否認しているという。
(※2022年6月7日京都新聞配信記事より引用)
~強制わいせつ致傷罪と刑事手続~
今回取り上げた事例では、男性が強制わいせつ致傷罪の容疑で逮捕されています。
強制わいせつ致傷罪は、刑法で以下のように定められている犯罪です。
刑法第181条
第1項 第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
第2項 第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。
この刑法第181条第1項のうち、「第176条」に当たるのが強制わいせつ罪です。
つまり、強制わいせつ罪や強制わいせつ未遂罪を犯し、それによって人を死傷してしまった場合に強制わいせつ致死罪や強制わいせつ致傷罪が成立するということになります。
ここで注意しなければいけないのは、強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ未遂罪を犯して相手を怪我させたといった場合、つまり、結果としてわいせつ行為に至らなかったような場合でも成立し得るということです。
例えば、強制わいせつ罪を犯すつもりで相手に暴行・脅迫をしたものの、相手が抵抗したり人が駆け付けたりしたことでわいせつな行為をすることはできなかったという場合には強制わいせつ未遂罪となりますが、このとき相手が怪我をしていれば、強制わいせつ致傷罪となるのです。
今回取り上げた事例では、逮捕された男性の被疑事実は、女性の胸や下半身などを触ったという部分が「わいせつな行為」に当たると考えられたのでしょう。
そして、被害者の女性は軽傷を負っているようです。
男性は容疑を否認しているようですが、この「わいせつな行為」が暴行や脅迫を用いて行われたものであれば、強制わいせつ罪を犯して相手に怪我をさせたということで強制わいせつ致傷罪となります。
~強制わいせつ致傷事件と刑事手続~
強制わいせつ致傷罪は、法定刑に無期懲役が含まれていることから、起訴され裁判となると、裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、普段裁判に関わっていない裁判員の方が判断に加わることになるため、裁判員にも被告人の主張が伝わるよう、主張の仕方を工夫しなければなりません。
さらに、裁判員裁判が開かれるまでにも、入念な準備が求められます。
こうしたことから、強制わいせつ致傷事件では、早い段階から弁護士に相談し、サポートを受けながら刑事手続に対応していくことが望ましいでしょう。
特に、今回の報道の事例のように容疑を否認しているケースでは、操作段階の取調べから慎重な対応が必要ですから、逮捕されたという段階からでも弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制わいせつ致傷事件の逮捕についてのご相談・ご依頼についても承っています。
専門スタッフがご状況に合わせたサービスをご案内していますので、まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。