【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~建造物侵入罪
ストーカー規制法違反で控訴中に、建造物侵入罪、ストーカー規制法違反で逮捕された事件を基に、建造物侵入罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警米原署は19日、建造物侵入とストーカー規制法違反の疑いで、滋賀県彦根市の男(34)を逮捕した。
(中略)つきまといなどの禁止命令を受けたにもかかわらず、(中略)同県米原市の(中略)女性の集合住宅敷地内に入って押しかけ、禁止命令に違反した疑い。
容疑を否認しているという。
男は2月、この女性にストーカー行為をしたとして、同署に逮捕された。
大津地裁長浜支部で5月、同規制法違反の罪で罰金30万円の判決を受けたが、不服として控訴中。
(10月19日 京都新聞 「ストーカー行為で控訴中の34歳男、40代女性住居の敷地内入った疑いで逮捕」より引用)
建造物侵入罪
建造物侵入罪を簡単に説明すると、管理者などの許可なく建造物(人が現在住んでいる家や空き家などを除いた建物)に侵入すると適用される罪名です。
今回の事例では、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したと報道されています。
集合住宅には人が住んでいるのに、なぜ建造物侵入罪が適用されているのでしょうか。
今回の事例で建造物侵入罪が適用されている理由について解説していきます。
刑法では、現在人が日常生活を送っている建物を住居、住居用に建てられた現在人が日常生活を送っていない建物(空き家など)を邸宅と定義しています。
そして、この住居、邸宅以外の建物を建造物と定義しています。
また、生活に適した建物で “現在“日常生活を送っていれば住居にあたるので、宿泊中のホテルの一室なども住居にあたります。
では、集合住宅について考えていきましょう。
集合住宅には多数の部屋があり、空き部屋でない限りはその一室一室に人が住み、日常生活を送っています。
集合住宅の部屋(居住部分)は人が住むために建設されいるので、当然生活に適した建物だといえるでしょう。
生活に適した建物で現在生活が送られている場所は住居になるので、人が住んでいる集合住宅内の一室は住居に該当します。
次に集合住宅の共有部分について考えていきましょう。
例えば、集合住宅の廊下はどうでしょうか。
廊下は多数の人が使用するので人の出入りが多いはずですし、そもそも廊下は通行のためにあるわけですから、人がその場所で生活することは想定されていないでしょう。
そのような場所で生活をすることは困難でしょうから、人が生活するのに適しているとは言えませんし、そのような場所に住む(日常生活を送る)人もいないと思われます。
以上のことから集合住宅の廊下は住居、邸宅にはあたらないので、建造物だといえます。
廊下以外の共有部分、例えばエントランスなどであっても同様のことがいえるでしょうから、集合住宅の部屋以外は建造物だと考えても差し支えはないはずです。
ですので、集合住宅の敷地内の人が住む場所(居住部分)に侵入すれば住居侵入罪にあたりますし、それ以外の場所(空き部屋を除く)であれば建造物侵入罪が成立します。
また、許可なく住居や建造物に侵入した場合に住居侵入罪や建造物侵入罪は適用されますので、立ち入りが許可されている場合には住居侵入罪、建造物侵入罪は成立しません。
今回の事例の報道には、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したとしか記載されていません。
容疑者が被害者の住む部屋に侵入していれば住居侵入罪になりますし、部屋以外の場所であれば建造物侵入罪が適用されることになります。
今回の報道が事実であれば、容疑者が建造物侵入罪で逮捕されていることから、おそらく集合住宅の廊下など部屋などの居住部分以外の場所に侵入したのでしょう。
建造物侵入罪の量刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。(刑法第130条)
仮に、容疑者の男性が建造物侵入罪で有罪になってしまった場合には、3年以下の懲役か10万円以下の罰金のどちらかが科されることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では逮捕、捜査された方に向けて初回接見サービス、初回無料法律相談を行っています。
建造物侵入罪、ストーカー規制法違反、その他の刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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次回のコラムでは、同じ事例を用いてストーカー規制法違反について解説します。