「自首」と「出頭」

「自首」と「出頭」

自首」と「出頭」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市で会社員として働くAさん(21歳)は、自動車を運転して帰宅している最中、前方不注意によって横断歩道を横断中のVさん(67歳)をはねてしまいました。
人身事故を起こしてしまったことにパニックになったAさんは、そのまま現場から逃げ帰ってしまいました。
しかし、数日後、現場近くで交通事故の目撃情報を求める看板を見たAさんは、とんでもないことをしてしまったのだと後悔する気持ちが強くなり、滋賀県木之本警察署自首したいと考えるようになりました。
両親にも交通事故と自首について打ち明けたAさんは、自首する前に弁護士の話を聞いておこうということになり、両親と一緒に刑事事件の初回無料法律相談を受け付けている法律事務所に問い合わせをしました。
(※この事例はフィクションです。)

・出頭しても自首にならない?

前回の記事では、ひき逃げ事件で成立する犯罪について取り上げました。
今回の記事では、Aさんがこれからしようと考えている自首出頭について詳しく取り上げていきます。

一般のイメージでは、自首とは、刑事事件の犯人が自ら警察署に出頭してくることを指すのではないでしょうか。
しかし、実は刑法に定められている「自首」は全くその通りというわけではないことに注意が必要です。

刑法では、第42条に自首についての規定があります。

刑法第42条第1項
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

刑法の条文を見ると、①「罪を犯した者が」②「捜査機関に発覚する前に」③「自首」することで「自首」が成立するという構成になっています。
まず、①「罪を犯した者が」とは、そのまま何かしらの犯罪をした犯人が、という意味です。

そして、②「捜査機関に発覚する前に」とは、犯罪の事実が捜査機関に発覚していない場合、もしくは、犯罪の事実は捜査機関に発覚しているものの、犯人が誰であるか捜査機関に発覚していない場合を指すと解されています。
つまり、すでに警察などの捜査機関で刑事事件として捜査が開始されており、犯人の目星もついているような状態で出頭したとしても、刑法上の「自首」には当たらず、単なる自発的な出頭ということになるのです。

今回のAさんのケースで自首の②の条件について考えてみましょう。
交通事故後、Aさんが交通事故の目撃証言を求める看板を見ていることから、ひき逃げ事件のあったこと=犯罪の事実は警察(捜査機関)がすでに把握していることは予想できます。
ですから、Aさんが自ら出頭したとして「自首」が成立するケースとしては、捜査機関側がAさんがひき逃げ事件の犯人だということを全く知らない状態であることが必要とされるということになります。

最後に、③「自首」することとは、自発的に自己の犯罪事実を申告して訴追を求めることとされています。
つまり、自首するということはその犯罪をしたということを認めることになります。
容疑をかけられそうだが自分はやっていない、というような主張をする場合は犯罪をしたことを否認していることになりますから、刑法のいう「自首」の成立はしないことになります。

このように、刑事事件では一般のイメージと実際の規定や用語が合致していない場合もあります。
しかし、条文を見てそれがすぐに分かるわけでもありません。
だからこそ、専門家である弁護士への相談を活用しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士による法律相談を初回無料で行っています。
土日祝日でも相談対応は可能ですから、刑事事件に関わってしまったら、まずはご相談ください。
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