【事例紹介】持続化給付金詐欺で逮捕された事例②

前回のコラムに引き続き持続化給付金詐欺を行い逮捕された事例を基に、自首逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、滋賀県警大津署は15日、詐欺の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は、仲間と共謀し、(中略)個人事業主を装い、虚偽申請をして、(中略)中小企業庁から給付金100万円をだまし取った疑い。
大津署によると、容疑の男は給付金が振り込まれた後、同署に自首したがいったん帰された。再度の出頭要請には応じず行方不明となっていた。
(5月15日 京都新聞 「持続化給付金100万円だまし取る 出頭要請応じず行方不明 容疑の男を逮捕」より引用)

自首

自首をすると刑罰が軽くなると聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
実際に、刑法第42条では「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定されており、自首をすることで刑罰が軽くなる可能性があります。

しかし、刑罰が軽くなるのは、捜査機関への発覚前に自首を行った場合に限られます。
捜査機関への発覚前とは、犯罪が行われたことが発覚していない場合や、犯罪が行われたことは発覚しているが犯人が誰であるか判明していない状態を指します。(昭和24年5月14日 最高裁判所 決定)
犯人が誰なのか捜査で明らかになっている状態で、出頭をしたとしても自首は成立せず、罪の減軽は行われません。

今回の事例では、容疑者による自首が認められています。
容疑者は自首後に帰宅したようですが、事件によっては自首の直後に逮捕される場合があります。
弁護士や家族が身元引受人になることで逮捕を免れられる可能性がありますので、自首を行う際には、一度弁護士に相談することが望ましいでしょう。

また自首には、罪が軽くなる可能性があるメリットと、犯罪事実や犯人が発覚してしまうデメリットがあります。
事件によっては、自首した方が良い場合やそうでない場合があります。
ですので、自首を検討している方は、自首をする前に弁護士に相談することをお勧めします。

出頭要請と逮捕

今回の事例では、容疑者は自首後に帰宅したものの、後日、詐欺罪の容疑で逮捕されています。
逮捕とはどういった場合にされるのでしょうか。

刑事訴訟法では、逮捕について以下のように定めています。

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。(刑事訴訟法第199条1項)
裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。(刑事訴訟法第199条2項)

通常逮捕の場合は、罪を犯したと疑うことの正当な理由逮捕しなければならない必要性がなければ逮捕することができません。

また、刑事訴訟規則第143条の3では、「逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。」と規定しています。
つまり、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと裁判官が認めた場合には、逮捕の必要性はなくなります。
逆に言えば、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断される場合には、逮捕の必要性があると判断されることになります。

今回の事例では、容疑者は逮捕前の出頭要請に応じず、行方不明になっていたと報じられています。
出頭要請に応じずに行方不明状態であったことから、逃亡したと判断されたのではないでしょうか。
事例の容疑者は自首していますので、罪を犯したと疑うことの正当な理由があるといえます。
また、逃亡のおそれがある場合には逮捕の必要性が認められますので、出頭要請に応じずに行方をくらましていた容疑者には逮捕の必要性があると判断される可能性がかなり高いです。
今回の事例では、実際に容疑者が詐欺罪の容疑で逮捕されていることから、逮捕の必要性があると判断されたのでしょう。

弁護士が逮捕後に検察官や裁判所に、家族の監督体制が整っていることや釈放の必要性を記した意見書を提出することで、早期釈放を実現できる可能性があります。
この意見書は勾留の判断が行われるまでの間に提出しなければならず、逮捕後72時間以内に書類の準備や提出を行わなければなりません。
時間との勝負になりますので、早期釈放を目指す場合には、できる限り早い段階で弁護士に相談をすることが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、逮捕の回避早期釈放を実現できるかもしれません。
自首を検討している方、早期釈放を目指している方は、土日祝日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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