滋賀県近江八幡市の職員による立ち入り調査を妨害したとして、公務執行妨害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県の近江八幡市職員による自宅での立ち入り調査を妨げたとして、県警近江八幡署は(中略)公務執行妨害の疑いで逮捕した。
発表では、(中略)法に基づいて自宅の立ち入り調査をしていた同市の男性職員(30)に対し、2階に行かないよう肩を押してナイフのようなものを示すなどの暴行を加え、公務の執行を妨害した疑い。男は否認しているという。
(4月5日 読売新聞 「生活保護の男、ナイフ示し自宅の立ち入り調査妨害か…2階に行かないよう暴行加える」より引用)
公務執行妨害罪
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
簡単に説明すると、公務執行妨害罪は、暴行や脅迫を用いて公務の執行を妨害するおそれがある場合に成立します。
公務執行妨害罪が規定している暴行や脅迫は、暴行罪や脅迫罪で対象とされる行為よりも広く規定されています。
例えば、公務員に向けた直接的な暴行でなくとも公務の執行が妨害されるおそれがあれば公務執行妨害罪が成立しますし、脅迫についても公務の執行をためらうような内容であれば公務執行妨害罪は成立します。
今回の事例では、容疑者が、自宅の立ち入り調査を行っている滋賀県近江八幡市の職員の公務の執行を妨害したとされています。
法に基づいた立ち入り調査だと報道されているので、職員の立ち入り調査は公務にあたると考えられます。
また、容疑者は、職員の肩を押したり、ナイフのようなものを示すことで職員の公務の妨害をしたとされています。
暴行とは有形力の行使を指しますので、肩を押す行為は暴行にあたります。
加えて、ナイフのようなものを示されると大抵の人が身の危険を感じるでしょうから、ナイフのようなものを示す行為は、脅迫にあたる可能性があります。
肩を押されたり、ナイフのようなものを示されれば、公務の執行をためらうこともあるでしょうから、公務が妨害されるおそれがあるといえます。
公務執行妨害罪は実際に公務の執行が妨害されている必要はなく、妨害されるおそれがあれば成立します。
ですので、今回の事例の容疑者に公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
公務執行妨害罪と取調べ対応
公務執行妨害罪が成立するためには、公務の執行を妨害するおそれがあるような暴行や脅迫が行われる必要があります。
ですので、暴行や脅迫にはあたらないと判断されたり、公務の執行を妨害するおそれがあるとは言えないと判断されれば、公務執行妨害罪は成立しません。
そういった判断をしてもらうためには、入念な準備を行い取調べに臨むことが重要になります。
取調べでは、警察官や検察官があなたの味方になってくれるわけではありません。
供述を誘導されたり、あなたの意に反した供述調書が作成される可能性があります。
取調べの前に、弁護士と取調べ対策を入念に行うことによって、供述を誘導されることや意に反した供述調書の作成を防げる可能性があります。
また、弁護士と供述すべき内容を整理することによって、あなたの主張をしっかりと反映した供述調書を作成してもらえる可能性が高くなります。
取調べ対策を行うことで、不起訴処分の獲得や少しでも科される刑を軽くすることができるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
弁護士は取調べ対策の他にも検察官への処分交渉などができますし、示談交渉を行う際に弁護士を介することで円滑に示談を締結できる場合があります。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を目指せるかもしれません。
ですので、公務執行妨害罪をはじめとした刑事事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。