【恐喝罪(249条)】
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
1 恐喝罪とは
強盗罪が成立するほどではない暴行や脅迫を行なって相手を怯えさせ、金品や財産上の利益を渡させる犯罪です。
2 強盗罪が成立する条件
ア 対象物
対象となるのは、窃盗と同じく、「他人が占有する他人の所有物」です。詳しくは「窃盗」のページをご参照ください。
窃盗と異なり、財産上の利益も対象となります。
イ 恐喝行為
恐喝罪に当たる恐喝行為とは、財物交付に向けられた暴行や脅迫ですが、相手方の犯行を抑圧する程度までではない暴行や脅迫です。
ポイントは2点です。1つ目は、恐喝罪が成立するための暴行や脅迫なので、財産を渡させることに向けたものであることが必要です。
2つ目は、暴行や脅迫の程度が、相手の反抗を抑圧する程度までではなく、畏怖、分かりやすく言えば怖がらせる程度のものであることが必要です。仮に暴行や脅迫の程度が相手の反抗を抑圧する程度のものであった場合、恐喝罪は成立しませんが、強盗罪が成立することになります。強盗罪については、「強盗」のページをご参照ください。
また、脅迫の内容は、違法なものである必要はありません。例えば、犯罪を行った人に対して、「告訴されたくなかったら金を払え」と言うことも恐喝に当たる可能性があります。
ウ 被害者等の畏怖
簡単に言えば、被害者などが怖がっていることです。
エ 畏怖に基づく交付行為・処分行為
簡単に言うと、被害者等が怖がった状態で、自分又は処分できる他人の財産を渡したことです。
オ 「財物・財産上の利益の移転」
財産が犯人又は第三者に移ったことです。
カ 行為者の意思
客観的には恐喝罪に当たるような行為であっても、行為者の意思によっては恐喝罪が成立しないことがあります。
恐喝罪が成立するためには、行為者に「故意」と「不法領得の意思」の2つの意思が必要です(もっとも、恐喝の対象が財産上の利益の場合は「不法領得の意思」は不要です。)。
「故意」と「不法領得の意思」の意味については、窃盗罪と共通ですので、詳しくは「窃盗」のページをご参照ください。
なお、恐喝罪は、財物・財産上の利益が移転したことで既遂となります。よって、恐喝行為があったとしても、財物が移転しなければ恐喝未遂罪が成立するにとどまります。
また、自分の権利を実現するために行った行為であっても、内容によっては恐喝罪が成立する可能性があります。
~恐喝事件における弁護活動~
1.早期に示談交渉に着手して、不起訴処分や執行猶予など有利な結果を導けるように活動します。
恐喝罪は、被害者がいる犯罪であるため示談解決がポイントとなります。
示談は契約ですので、被疑者と被害者が合意することにより作ることになりますが、被疑者が捜査機関に被害者の連絡先を聴いても教えてもらえないのが通常です。
また、仮に連絡先を知っていたとしても、相手方の被害感情が強く、直接被疑者が被害者と交渉を行うのは非常に困難であるといえます。
一方、弁護士を通じれば、弁護士限りでという条件付き(被疑者には連絡先を教えないという条件付き)で検察官より被害者の連絡先を教えていただける場合が多々あります。ですので、弁護士に依頼することにより被害者とコンタクトをとりやすくなります。
また、弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。
2.余罪について嘘の自白をしないようにアドバイス
被疑者の方が同時期に複数件の強盗事件を起こしていて正確な記憶を欠いている場合、捜査官から「これもお前がやっただろう」と言われ、言われるがまま自白をしてしまうことも少なくありません。
記憶が曖昧な場合には、嘘の自白調書に署名・押印してはいけない等、取調べに対してアドバイスを行います。
3.早期の身柄開放を目指します。
逮捕・勾留されてしまうのは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるためです。そこで、弁護士は早期釈放・早期保釈のために証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示す客観的証拠を収集し、社会復帰後の環境を整備するなどして釈放や保釈による身柄解放を目指します。
4.否認事件では、冤罪を防止すべく被害者や目撃者の方に記憶違いがないかの検証・弾劾活動及び弁護側独自で有利な証拠を収集・提出できるよう活動します。
大津など滋賀県の恐喝事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。弊所では、大津など滋賀県内の様々な恐喝事件について、刑事事件・少年事件に強い弁護士による無料の法律相談を行っています。関係者が滋賀県で逮捕勾留されている場合でも、最短当日に、弁護士が直接留置場や拘置所へ出張面会してアドバイスする初回接見サービスもご用意しています。