未成年にかかわる性犯罪~淫行②
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。(②以降省略)
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・淫行事件で疑われたら
前回の記事では、事例①のケースではAさんが滋賀県の青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑をかけられたのだろう、ということについて触れました。
では、事例の①のケースのAさんのように淫行事件で被疑者となってしまったら、家族が淫行の容疑で逮捕されてしまったら、どのようにすべきなのでしょうか。
まず、淫行の容疑について被疑者本人が認めていない場合、例えば、相手について18歳未満であるという認識がなかった場合には、犯罪の認識がない(故意がない)として、無罪を主張することも考えられます。
しかし、滋賀県の青少年健全育成条例には以下のような規定も存在します。
滋賀県青少年の健全育成に関する条例27条5項
(略)または第23条から第25条までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第1項から第3項までの規定による処罰を免れることができない。
ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
淫行についての規定は、前回の記事で触れた通り、青少年健全育成条例の24条にあります。
つまり、滋賀県の青少年育成条例には、過失=不注意があって年齢を知らなかったとしても、淫行の罪によって処罰を受けることになるという決まりがあるのです。
こうした決まりもあることから、単に相手の年齢を知らなかったと無罪の主張をしたいと思っても、ただ年齢を知らなかったと言うだけではそもそも無罪の主張ともならない可能性があります。
まずは被疑者本人の主張と具体的な状況、青少年健全育成条例の決まりを照らし合わせて見通しを考えなければいけません。
そのためにも、まずは弁護士に相談されることをおすすめいたします。
一方、淫行の事実を認めていれば弁護士はいらないかというと、そういうわけではありません。
次回以降の記事で詳しく触れますが、性行為の際相手方に金銭を支払っていたり、対価として何か約束をしていたような場合には、青少年健全育成条例の淫行の罪ではなく、別の法律の児童買春の罪が成立します。
児童買春の罪となれば、淫行の罪よりもより重い刑罰が規定されているため、不当に重い罰を受けることになりかねません。
実際にあったのは淫行の事実だけであるのに、捜査機関からは児童買春についても疑われている、という状況も考えられます。
だからこそ、たとえ淫行の事実を認めている場合でも、自身に不利になる対応を意図せずにしてしまわないよう、弁護士のサポートを受けながら手続きを進めることが望ましいといえるのです。
また、淫行事件では、被害者である青少年への謝罪・弁償をすることが考えられますが、「青少年」は18歳未満の者とされていることが多いです。
そうなると、実際に謝罪や弁償をする相手としては、被害者である青少年自身ではなく、その青少年の保護者となることが多いです。
ここで、淫行事件では、たとえ被害者である青少年自身の同意があったとしても、淫行の罪は成立しますし、処罰されるということに注意が必要です。
「被害者とはいえ、あちらも同意していたのではないか」と不思議に思う方もいるかもしれませんが、淫行処罰規定を定める青少年健全育成条例は、名前の通り青少年の健全な育成を目指すものです。
淫行の罪は、18歳以上である加害者側が未熟である青少年を止めなければならない状況で淫行に応じてしまうという部分が問題となるため、青少年側の同意があったから必ず犯罪が成立しない、ということにはならないのです。
こうしたこともあり、被害者である青少年やその保護者へ謝罪・弁償を行うことが考えられるのです。
ですが、子供が性犯罪の被害に遭ったとなれば、保護者としては処罰感情が強くなることも当然です。
当事者同士の話し合いでは話が余計にこじれてしまったり、お互いの言い分を言い合うだけになってしまったりするおそれも考えられます。
そもそも、子供に悪影響を与えた人に一切かかわりたくない、と連絡さえ許してもらえない、ということも十分考えられます。
だからこそ、第三者的立場でお話しすることができ、法律の専門知識を備えた弁護士を挟むことで、適切な謝罪や示談交渉を行うことのできる可能性を上げることができるのです。
被害者との示談締結ができれば、寛大な処分を求める際の強い事情となることに加え、逮捕・勾留等の身体拘束がされている場合には、釈放に向けた大きな一歩ともなります。
滋賀県の淫行事件にお困りの方は、まずは0120-631-881までお電話ください。
それぞれの事案に合った弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士によるサービスを、専門スタッフが丁寧にご案内いたします。