パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反

パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反

パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反となった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、近所に住んでいる友人のVさん宅に遊びに行った際、VさんのメールやSNSのIDやパスワードが机のメモに残されていることに気がつきました。
Aさんは、Vさんのプライベートが気になり、そのIDやパスワードを盗み見ると、後日、自分のスマートフォンやパソコンからVさんのアカウントにアクセスすると、メールや画像などを見たりダウンロードしたりしていました。
するとある日、Aさんの元に滋賀県東近江警察署の警察官がやってきて、Aさんを不正アクセス禁止法違反の容疑で逮捕してしまいました。
家族の依頼で逮捕されたAさんの元を訪れた弁護士に、Aさんは自分の逮捕容疑である不正アクセス禁止法違反のことを詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・パスワードを盗み見て不正アクセス禁止法違反

前回までの記事では、不正アクセス禁止法が規制している行為について確認しましたが、Aさんの今回の行為は不正アクセス禁止法のどの条文に違反するものだったのでしょうか。
もう一度、不正アクセス行為について定めた条文を確認してみましょう。

不正アクセス禁止法第2条第4項
この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
第1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)

簡単に言えば、この不正アクセス行為は、インターネットを通じ、他人のIDやパスワードを利用することで、本来利用できないアカウント等を勝手に利用できるようにしてしまうという行為を指しています。

不正アクセス行為という言葉からは、他人のIDやパスワードもハッキングしてアカウントやパソコンにアクセスするという行為がイメージされがちです。
しかし、今回のAさんのようにパスワードを盗み見てそれを利用したというケースでも、インターネットを通じ、他人のIDやパスワードを利用することで、本来利用できないアカウント等を勝手に利用できるようにしてしまうという行為に該当するため、不正アクセス禁止法のいう「不正アクセス行為」に該当するのです。
条文を見て分かる通り、不正アクセス行為をするためにIDやパスワードをどのように入手するかという手段についてまでは特に指定されていないからです。
ですから、例えばAさんのように盗み見によってIDやパスワードを知った場合だけでなく、口頭でIDやパスワードを聞いたというような場合でも、勝手にそれを利用してアカウント等にアクセスすれば、不正アクセス行為となり、不正アクセス禁止法違反となる可能性が出てきます。
大掛かりなハッキング行為でないからといって不正アクセス禁止法違反にならないとは限りませんから、十分注意する必要があります。

不正アクセス禁止法違反という犯罪名はなかなか聞き馴染みがない上に、ハッキングという知られた言葉と結びつきやすいこともあり、身近な犯罪とは感じにくいでしょう。
しかし、いわゆるハッキングのようなことをせずとも、今回のAさんの事例のように不正アクセス禁止法違反となる可能性があります。
もしも自分や家族が不正アクセス禁止法違反事件の当事者となってしまったら、早めに弁護士に相談し、刑事事件の各手続へ対応していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不正アクセス禁止法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

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