詐欺事件では逮捕されやすい?

詐欺事件では逮捕されやすい?

詐欺事件では逮捕されやすいのかどうかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、詐欺グループの一員として活動していました。
Aさんは、滋賀県彦根市に住む高齢者Vさんの家に電話をかけると、「滋賀県彦根警察署の者です。詐欺事件の犯人を逮捕したところ、犯人グループの持っていたリストにあなたの名前がありました。不正に口座を利用されていないか確認するために捜査員を派遣します」などと話し、Vさん宅を訪れました。
そして、捜査のためと偽って、Vさんからキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き出すと、ATMでVさんの口座から預金を引出しました。
後日、いつまで経っても預けたキャッシュカードについての連絡が来ないことからVさんが滋賀県彦根警察署に連絡したことで、今回の詐欺事件が発覚。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行であることが分かり、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、まさかAさんが詐欺事件に関わって逮捕されるなど寝耳に水であり、慌ててすぐに接見対応してくれる弁護士を探して接見の依頼をしました。
(※令和2年4月21日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・詐欺事件では逮捕されやすい?

今回のAさんのような複数人のグループで詐欺行為をしているようなケースでは、逮捕による身体拘束を受けて捜査される可能性が高いです。
逮捕は被疑者の身体を拘束する手続きであるため、どんな刑事事件でも無制限にできるわけではなく、法律で決められている条件に当てはまる場合にしかできません。
逮捕ができる要件は、以下のように決められています。

刑事訴訟法第199条
第1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
第2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。
但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

この条文から、逮捕に必要なのは「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」こと(刑事訴訟法第199条第1項)と「逮捕の必要」があること(刑事訴訟法第199条第2項)とされています。
逮捕の必要」があるということは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるかどうかで判断されます。
また、一定の軽微犯罪に関しては、被疑者が定まった住居を持たない場合や任意出頭に応じないといった場合に限って逮捕が許されるということになっています。

今回のAさんのような詐欺事件で考えてみましょう。
容疑をかけられている詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」(刑法第246条)であるため、Aさんに詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、逮捕の必要性があれば逮捕が可能ということになります。
防犯カメラの映像などからAさんの犯行が発覚していることから、Aさんが詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由はあると考えられます。

そしてもう1つの逮捕の条件である逮捕の必要性ですが、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるかどうかといったことが考えられます。
ここで、今回のAさんのような複数人で起こした詐欺事件逮捕されやすい理由が出てきます。
複数人で詐欺事件を計画・実行しているということは、当然そのグループは詐欺罪の共犯者ということになるでしょう。
となれば、それぞれを自由な状態においたまま捜査を行えば、共犯者同士で口裏合わせをしてしまえる=証拠隠滅できてしまうというおそれが考えられます。
証拠隠滅というと物的証拠を廃棄したり壊したりするイメージがあるかもしれませんが、証言を実際のものと異なるようにしてしまうことも証拠隠滅行為となるのです。
こうしたことから、複数人での詐欺事件では逮捕の必要性があるとして逮捕を伴った捜査が行われることが多いのです。

では、詐欺事件逮捕されてしまったら、何をしたらよいのでしょうか。
次回の記事で取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、詐欺事件逮捕にも迅速に対応する刑事事件専門の弁護士が所属しています。
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