触らない暴行罪で逮捕?
滋賀県米原市在住のAさんは、以前から嫌いだった女性Vさんを近所にあるファミレスで見かけた。
AさんはVさんに対する恨みを募らせていたため、Vさんに嫌がらせをしてやろうと、ファミレスに置いてあった塩を手に取り、Vさんに向かって塩を数回振りかけた。
その塩はVさんの頭や顔にかかり、Vさんは驚き、店員に警察を呼ぶように頼んだ。
店員が滋賀県米原警察署に通報した結果、Aさんは駆け付けた警察官により、暴行罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんの家族は、Aさんが暴行罪の容疑で逮捕されたと聞き、急いで刑事事件を取り扱っている弁護士に相談し、逮捕されたAさんのもとへ弁護士を派遣した。
Aさんは弁護士との接見の際、直接殴っているわけでもないのに暴行罪になることはあるのか相談することにした。
(福岡高判昭和46.10.11を参考にしたフィクションです。)
~暴行罪の「暴行」~
刑事事件となる犯罪の中でも、暴行罪は比較的耳にしやすい犯罪のうちの1つではないでしょうか。
法律上の暴行罪は、「暴行を加えたものが人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。
刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
では、その暴行罪の「暴行」とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
一般的にイメージされるであろう、殴る・蹴るといった直接的な暴力については、もちろん暴行罪の「暴行」に含まれます。
そして、それだけではなく、加害者の行為が被害者の身体に直接触れていなくとも、暴行罪は成立します。
例えば、今回のようなケースでは、Aの行った行為は、Vに塩を振りかけるというもので、直接殴ったり叩いたりしたわけではありませんが、このような場合でも暴行に含まれる可能性があります。
他にも髪の毛を不法に切断したり、拡声器を使って耳元で大声を叫んだりする行為も暴行罪とみなされた例もあります。
つまり、被害者の身体に触れていなくとも、被害者の身体に向けられた行為がその相手に不法に不快や苦痛を与えていれば、暴行罪は認められうるのです。
しかし、今回取り上げたような塩を振りかける行為が必ず暴行罪の「暴行」として認められるわけではありません。
暴行罪に当たるかの判断は難しく、一概にどの行為が暴行になるかは断定できないのです。
ですから、もし暴行罪に関するトラブルに遭った際は、一度、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
~暴行事件を起こしてしまったら~
暴行事件の場合、今回のVさんのように被害者が存在します。
終局処分で有利な結果を得るためにも、Aさんのように逮捕され身体拘束をされている場合には釈放を求めるためにも、被害者の方への謝罪や弁償を行い、示談を締結することは非常に重要なことです。
ですが、こういった暴行事件などの被害に遭われた場合、いくら謝罪をしたいと言われても、直接会ったり個人情報を教えたりするのは怖いと考える被害者の方も多くいらっしゃいます。
そうした場合であっても、弁護士が間に入ることで、被害者の方の不安を軽減しながら示談交渉を行うことが期待できます。
弁護士が示談交渉を行う場合、被害者の方の個人情報は弁護士限りでとどめられるため、被害者の方は上記のような心配をすることなく謝罪や弁償の話を聞くことができるため、話を聞いていただくハードルを下げることができるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件専門の暴行事件にも強い弁護士です。
滋賀県の刑事事件やその逮捕にも対応していますので、滋賀県の暴行事件やその逮捕にお困りの際は、一度ご相談ください。