すいか泥棒から強盗致傷事件に…①

すいか泥棒から強盗致傷事件に…①

Aさんは、滋賀県東近江市にあるVさんのすいか畑からすいかを盗み出そうと、Vさんのすいか畑まで軽トラックでやってきました。
そして、すいかをこっそり収穫し、軽トラックに積んでいきました。
しかし、畑の様子を見に来たVさんにその様子を目撃され、VさんはAさんに「勝手に何をしている。やめろ」と言いながら近づいてきました。
焦ったAさんは、Vさんを持っていたはさみで切りつけ、軽トラックで逃走しました。
この際、Vさんは軽傷を負いました。
その後、Vさんの通報により滋賀県東近江警察署が捜査を開始し、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を聞いたAさんの家族は、まさかすいか泥棒から強盗事件となることがあるとは思いもよらず、困って弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・窃盗罪と強盗罪

今回のAさんは、そもそもすいか泥棒をしようとVさんのすいか畑からすいかを盗みだしていたところ、最終的には強盗致傷罪の容疑で逮捕されるに至っています。
窃盗罪強盗罪ではイメージされる犯行は全く違うのではないでしょうか。
イメージの異なる窃盗罪と強盗罪ですが、窃盗をしようと犯行をしたところ強盗事件になってしまうようなことはあるのでしょうか。
まずは窃盗罪について確認してみましょう。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、簡単に言えば他人が支配・管理している物をその人の意思に反して自分の物としてしまう犯罪です。
窃盗罪の代表的なものとしては、万引きや置引きが挙げられます。
ですから、窃盗罪は比較的身近な犯罪であるということができるでしょう。

対して、強盗罪と今回Aさんが容疑をかけられている強盗致傷罪の条文は以下のような条文です。

刑法236条(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

刑法240条(強盗致傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪窃盗罪と同様、他人の支配・管理している物をその人の意思に反して自分の物としてしまう犯罪ですが、そのために「暴行又は脅迫」が使われることが窃盗罪と異なる点です。
この「暴行又は脅迫」は、相手の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
暴行又は脅迫」の程度がそれに満たない場合には強盗罪は成立せず、窃盗罪と暴行罪(もしくは傷害罪)が成立する、というような形になります。

そして、この強盗罪を犯した者が強盗に際して人に怪我を負わせた場合に成立する犯罪が強盗致傷罪となります。
強盗致傷罪は法定刑に無期懲役が含まれているため、裁判員裁判の対象となります。
そのため、強盗致傷罪で起訴され裁判となると、裁判員裁判を受けることとなります。

・事後強盗罪

こうした窃盗罪強盗罪の条文を見ると、他人の物を奪う際に「暴行又は脅迫」を使わなければ強盗罪とはならないのではないかと思えます。
しかし、刑法には以下のような条文があります。

刑法238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

この条文に規定されている犯罪は「事後強盗罪」と呼ばれています。
事後強盗罪のいう「窃盗」とは、「窃盗罪を犯した人が」ということです。
つまり、窃盗犯人が条文に挙げられている目的のために、事後的に「暴行又は脅迫」を行った場合に、事後強盗罪として強盗罪と同様に扱われることがあるということなのです。

このように、刑事事件では当初本人が思っていた犯罪とは異なる犯罪が成立してしまう可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした刑事事件にお困りの方をサポートすべく、24時間いつでもつながるお問合せ用フリーダイヤルを開設しています(0120-631-881)。
刑事事件にお困りの際はまずはお電話ください。

次回の記事では、Aさんの事例について検討していきます。

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