宅飲みで昏酔強盗事件に
宅飲みで昏酔強盗事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
〜事例〜
Aさんは、滋賀県草津市にある自宅にVさんを含む友人数人を呼んでいわゆる宅飲みをしていました。
宅飲みをしていた中で、Vさんが最近購入したという高級腕時計を自慢してきたことから、Aさんはその腕時計を欲しいと考えるようになりました。
しばらくして、Vさんは酒を勧められるままに飲み、酔いつぶれて眠り込んでしまいました。
それを見たAさんは、Vさんが眠っている隙を狙ってVさんから腕時計を盗みました。
翌日、腕時計がなくなったことに気がついたVさんは、滋賀県草津警察署に相談した上で被害届を提出。
捜査の結果、Aさんは昏酔強盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、自分は腕時計を盗んだだけなのに「強盗」と言われたことに驚き、接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・盗んだだけなのに昏酔強盗罪?
今回のAさんは、いわゆる宅飲みの場でVさんから腕時計を盗むという窃盗行為をしたようです。
これだけ見ると、Aさんに成立する犯罪は窃盗罪となりそうですが、Aさんの逮捕容疑は昏酔強盗罪となっており、「強盗」とされています。
これは一体なぜなのでしょうか。
条文とともに確認していきましょう。
昏酔強盗罪は、刑法第239条に定められている犯罪です。
刑法第239条(昏酔強盗罪)
人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
先ほども触れた通り、上記の事例でAさんは腕時計を盗んでいることから、この条文の「盗取」したという部分に当たることは間違いなさそうです。
では、昏酔強盗罪の「人を昏酔させて」という部分にAさんの行為は当てはまるのでしょうか。
昏酔強盗罪にある「昏酔させる」とは、睡眠薬や麻酔薬、アルコールを飲ませるなどして、物に対する支配をなし得ない状態に陥れる行為を指します。
そして、昏酔強盗罪の成立には、犯人自らが被害者を昏睡させることが必要だとされています。
つまり、今回の事例で、AさんがVさんの腕時計を盗む目的で積極的にVさんに酒を飲ませることに加担していたとすれば、Aさんに昏酔強盗罪が成立する可能性はあるといえます。
対して、Aさんは無関係なところでVさんが酒を飲んで酔い潰れたなど、他人の行為によって生じた昏酔状態を利用しているだけであれば、Aさんに昏酔強盗罪は成立せず、窃盗罪が成立するに止まるはずです。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法第235条)、昏酔強盗罪の法定刑は「5年以上の懲役」ですから、両者には大きな差があります。
昏酔強盗罪にあたる行為をしていないのであれば、その旨を主張し、不当に重い刑罰を受けることを避けなければなりません。
そのためには、まずは取調べ時の供述などから捜査機関に正しい事実を認定してもらうことが大切です。
刑事事件に精通した弁護士にサポートしてもらうことで、取調べ時のポイント等法律的なアドバイスを事前に受けながら取調べに対応することができるなど、不当に重い刑罰を受けることのないよう刑事手続きに臨むことが期待できます。
特に、今回の事例のAさんのように逮捕されているような場合、誰かに相談すること自体も自由にできない環境の中取調べ等に対応しなければいけないことから、嘘の自白をしてしまうリスクも考えられます。
早期に弁護士に相談・依頼することが重要です。
昏酔強盗事件や窃盗事件でお悩みの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談下さい。