友達を匿って犯人蔵匿罪に?

友達を匿って犯人蔵匿罪に?

友達を匿って犯人蔵匿罪に問われるのかというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

Aさんの住む滋賀県彦根市の閑静な住宅街でお年寄りが狙われる窃盗事件が発生しました。
数日後、Aさんの自宅にAさんの友人であるBさんが慌ててやってくると「この前起きた窃盗事件の容疑をかけられている。やっていないのに警察官が自宅前に張り込んでいるようだ。数時間でいいから匿ってくれ」と言ってきました。
Aさんは、大切な友達を冤罪で困らせるわけにはいかないと思い、Bさんを家に招き入れて自室に隠れているよう言いました。
BさんがAさん宅に来てから数時間後に滋賀県彦根警察署の警察官がAさん宅に訪ねてきましたが、Aさんは居留守を使いその場を切り抜けました。
警察官が帰って行き少し安堵したAさんでしたが、無実と信じていたとはいえ匿うと罪に問われるのではないかと不安に思うようになりました。
そこでAさんは、Bさんを帰宅させた後、弁護士に無料相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・犯人蔵匿罪

今回の事例のAさんは、友達のBさんを匿ったことで何か犯罪になるのではないかと不安に思っているようです。
今回の事例では、AさんがBさんを自宅で隠れさせた行為について、犯人蔵匿罪という犯罪が成立するかどうかということが問題になるでしょう。

刑法第103条(犯人蔵匿罪等)
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

まず犯人蔵匿罪における「罰金以上の刑に当たる罪」とは、法定刑に罰金以上の刑を含む罪をいいます。
また、犯人蔵匿罪における「罪を犯した者」とは、犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者をいいます。
すなわち、実際に罪を犯した人、いわゆる真犯人だけでなく、実際には冤罪である無実の人であっても容疑をかけられて捜査されていれば犯人蔵匿罪のいう「罪を犯した者」となり、犯人蔵匿罪の対象となります。

では、なぜ犯人蔵匿罪はその対象を実際に罪を犯した真犯人だけに限定していないのでしょうか。
犯人蔵匿罪が保護している利益(保護法益)は、「国家の刑事司法作用の適正な運用」であると考えられています。
つまり、犯罪を正しく捜査し正しく裁判手続きを進行することを守るために犯人蔵匿罪があるのです。
正しい捜査・正しい裁判手続きを守るためには犯人だけでなく犯罪の嫌疑を受けている者についても支障なく捜査できることが望ましいということなのです。
また、仮に捜査されている人が真犯人ではない場合でも、早期に嫌疑が晴れることで早期真犯人の捜査に移れるため事件解明に近づきます。
そのためにはまずは捜査されている人の捜査がなされなければならないということになります。
このような理由から、犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者も犯人蔵匿罪の対象にされていると解釈されているのです。

次に、犯人蔵匿罪の「蔵匿」したとは、官憲による発見逮捕を免れるべき隠匿場所を提供することをいいます。
他方、「隠避」とは、蔵匿以外の方法で官憲による発見逮捕を免れしめる一切の行為をいいます。
たとえば、犯人に逃走の為の車を用意することなどは「隠避」に当たると言えます。

今回の事例についてあてはめてみましょう。
窃盗罪で捜査されていることをAさんに伝えており、さらに警察官がBさんを捜索していることからすると、Bさんは窃盗罪の被疑者として嫌疑を受けているということでしょう。
そして、Bさんが嫌疑を受けている窃盗罪は罰金刑以上を含む犯罪です。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

よって、Bさんは犯人蔵匿罪のいう「罰金以上の刑に当たる罪」「を犯した者」といえ、Aさんもそれを認識していたと考えられます。
BさんがBさんの主張通り本当は無実であっても、捜査対象者であれば「罪を犯した者」とされるのは上述の通りです。
そのBさんについて、Aさんは警察官がBさんを捜索している時に、Bさんが警察官から発見されないようにするため、自室を提供しています。
よって、Aさんは「蔵匿」したといえ、Aさんには犯人蔵匿罪が成立すると考えられるのです。

・犯人蔵匿事件と弁護活動

犯人蔵匿事件では、被害者が存在しませんから、示談交渉はできません。
しかし、今回の事例のように、「犯人」が突然押し掛けてきたことや、昔馴染みで断り切れなかったことなど情状事実を主張することで、より有利な処分や判決を得られる可能性があります。
こうした主張のためにも、刑事事件の専門家である弁護士のサポートは重要です。
加えて、取調べの対応を随時相談するためにも、弁護士にサポートを受けることが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯人蔵匿事件などの刑事事件を専門に扱っています
耳慣れない犯罪ではどう対応すべきか分からないことも多いですから、まずは遠慮なく弁護士にご相談ください。

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