盗撮事件で任意出頭・自首④

盗撮事件で任意出頭・自首④

前回に引き続き、盗撮事件任意出頭自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例(前回からの流れ)~
Aさんは、滋賀県草津市にあるXという会社で勤務する会社員です。
Aさんは、女性の下着姿に興味を持ち、会社の女子トイレに忍び込むと、女子トイレの中に盗撮用の小型カメラを設置し、女子トイレの利用者の下着姿を盗撮していました。
しかしある日、女子トイレの利用者の1人がしかけられた小型カメラに気づき、滋賀県草津警察署に通報したことをきっかけに捜査が開始され、会社内で盗撮事件が起こったことが知れ渡りました。
Aさんは、自分が盗撮をしていたことがばれて滋賀県草津警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に強い弁護士に、自ら出頭した方がよいのかどうか、自分の盗撮行為はどういった罪にあたるのかといったことを含めて今後の対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・自首とはならないケース

前回の記事で触れたような捜査機関に既に犯人が発覚した後に出頭するようなケースのほかにも、出頭しても自首とはならないケースがあります。
例えば、被疑者として取調べられている最中に自白したような場合は、自首したことにはなりません。
ただし、捜査機関に発覚していない全く別の余罪についての自白をした場合には自首が成立する可能性が出てきます。

さらに、たとえ犯罪の事実の発覚前や犯人発覚前に自ら出頭したとしても、犯罪の事実を隠すような内容の申告であったり、その犯罪に関する自己の責任を否認するような内容の申告であったりした場合にも、自首は成立しません。
簡単にいえば、自分の罪を認めた内容の申告でなければ、自首にはならないということなのです。
例えば、18歳未満の者に対価を支払って性交したという児童買春事件で、相手の児童から「警察に補導された。今までのことがばれるかも」という連絡を受け、不安になって自ら警察署に行ったものの「自分は相手が18歳未満の者だとは知らなかった」と年齢の認識について争う場合、その犯罪に関する自己の責任を否認する内容の申告であるため、自首とはならず任意出頭の扱いとなるでしょう。

・自首・任意出頭のメリットとデメリット

自首が成立した場合のメリットとしてまず考えられるのは、先ほど挙げた条文にあるように「その刑を減軽することができる」ということです。
ここで注意が必要なのは、あくまで「減軽することができる」という決まりであるため、必ず刑が減刑されると決まっているわけではないということです。
しかし、これは任意出頭の場合でも同じですが、自ら罪を認めて出頭してきたという事情は、本人が反省しているということを裏付ける事情でもあるため、処分を決められる際に有利に働くことが予想されます。
なお、自首が成立せずに任意出頭となった場合であっても、条文にこそ規定はありませんが、本人の反省の度合いなどを示す材料にはなりますから、任意出頭の事実をもとに刑罰の減軽や寛大な処分を求めていくことは可能です。

また、自首任意出頭は、自ら罪を認めて出頭するものですから、被疑者本人に逃亡や罪証隠滅の意思がないことを裏付ける事情の1つにもなります。
こうした事情があることで、逮捕・勾留を回避する可能性を上げることができます。
逮捕・勾留は逃亡や罪証隠滅が疑われれば行われてしまうため、自首任意出頭の事実はその疑いを晴らすための材料の1つになるのです。
突然の逮捕を回避したいという場合には、自首任意出頭を選択肢の1つとして検討することも必要となってくるでしょう。

こういったメリットに対して、自首任意出頭のデメリットとしては、いうなれば「やぶへび」になるかもしれないということが挙げられます。
自首任意出頭は、自身が犯罪をしたという事実をわざわざ捜査機関に明かす行為ですから、もしかすると特に事件化せずに終息するしたかもしれないことについても自分から刑事事件化することになります。

自首・任意出頭をするのかしないのかの判断は非常に難しいもので、もちろんどちらにもメリット・デメリットが存在します。
自首任意出頭に悩まれているのであれば、事件の詳細な状況を弁護士に話したうえで、どういったリスクや利益があるのか相談してみることも1つの手でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした自首任意出頭に関するご相談だけでなく、ご依頼後自首任意出頭される場合に付き添う活動も行っております。
まずは刑事事件専門の弁護士まで、お気軽にご相談ください。

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