美人局から強盗致傷事件に

美人局から強盗致傷事件に

美人局から強盗致傷事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県守山市に住んでいるAさん(19歳)は、自由に使えるお金が少ないことに悩んでいました。
そこでAさんは、友人のBさん・Cさんと一緒に出会い系アプリを利用して美人局をして、相手からお金を巻き上げてしまおうと計画しました。
そして後日、Cさんが出会い系アプリを通じて知り合ったVさんと会うことになりました。
AさんとBさんは、CさんがVさんと会っている現場に行くと、「人の女に手を出しているんじゃねえ」などと言ってVさんに迫ると、2人でVさんを殴る蹴るといった暴行を加えて怪我をさせ、抵抗できなくなったVさんから、Vさんが持っていた7万円や身分証を奪いました。
Vさんが滋賀県守山警察署に通報したことで、Aさんらは強盗致傷罪の容疑で滋賀県守山警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんの両親は、突然の息子の逮捕を聞いて驚き、どうしてよいのかわからずに困っています。
(※令和2年2月19日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・美人局から強盗致傷罪へ

美人局は、女性が被害者となる男性と通ずるように見せかけ、そこへ共犯者である男性が登場し、女性と通じたことなどを言いがかりに金品などを脅し取り巻き上げるという、ゆすりの一種です。
多くの場合美人局は男女が共謀して行っており、今回の事例のAさんらもその美人局の典型例に当てはまる形で美人局を働いたようです。

美人局を行えば、その多くの場合に刑法の恐喝罪が成立します。

刑法249条1項(恐喝罪)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

「恐喝」とは、大まかに言えば、財物を渡させるために暴行や脅迫を用いて相手に恐怖を感じさせることを指します。
この暴行や脅迫に恐怖を感じた相手が、その恐怖のせいで財物を引き渡すことで恐喝罪が成立するのです。
多くの美人局では、女性と通じた(もしくは通じようとした)被害者に因縁をつけ、「これがばれたら社会的評価が下がる」「人の女に手を出した落とし前をどうつける」といった内容の脅迫をしたり、複数人で囲んで脅迫をしたりして金品を脅し取られるようですから、恐喝罪に当てはまると考えられているのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、恐喝罪で用いられる暴行又は脅迫は、被害者の抵抗を抑圧しない程度のものであるとされている点です。
被害者の抵抗を押さえつけるような暴行や脅迫を用いて財物を奪い取ったような場合、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性が出てきます。

刑法236条1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪は恐喝罪と同様暴行や脅迫を手段としていますが、その程度が相手の反抗を抑圧する程度であることが求められ、その暴行や脅迫によって財物を相手から奪うということが恐喝罪とは異なる点です。
今回のAさんらの犯行態様を見ると、Aさんらは複数人でVさんを殴る蹴るなどしたうえで所持金等を奪っているので、Vさんの抵抗を抑圧するほどの暴行を加え金品を奪ったのだと判断され、恐喝罪ではなく強盗罪の容疑がかけられたのでしょう。
さらに、Aさんらはこの強盗の機会にVさんに怪我をさせているため、強盗致傷罪の容疑で逮捕となったのでしょう。

刑法240条(強盗致死傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪は、成人の刑事事件であれば裁判員裁判の対象事件ともなる非常に重い犯罪です。
少年事件では原則として裁判を受けて刑事罰を受けるということにはなりませんが、今回のAさんの年齢は20歳に切迫していることもあり、逆送・起訴されて裁判員裁判となる可能性も視野に入れながら弁護活動を行っていく必要があるでしょう。
ですから、早い段階で少年事件にも刑事事件にも強い弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
美人局から強盗致傷罪という重大な犯罪に至ってしまうこともあります。
突然の逮捕や重大犯罪にお子さんなどのご家族が関わっているとなれば、何をどうしていいのかすら分からなくなってしまうのも仕方のないことです。
そういった時こそ専門家である弁護士に相談しましょう。
0120-631-881ではいつでもご相談のご予約・お申込みが可能ですので、まずはお電話ください。

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