大津市の偽計業務妨害事件で逮捕
大津市の偽計業務妨害事件での逮捕について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
~事例~
Aさんは,滋賀県大津市にある恋人の家に行くたびに,滋賀県大津市にある無人のコインパーキングを利用していました。
Aさんは,駐車料金を支払うのが煩わしくなり,ロック板を踏み越えないように駐車し,恋人の家から帰る際,駐車料金を支払わずにそのまま発車して帰宅しました。
Aさんはこのような行為を繰り返していたところ,コインパーキングの所有者のVさんが防犯カメラの映像などからこの行為に気づき,滋賀県大津市を管轄する滋賀県大津警察署に被害届を提出しました。
捜査の結果,Aさんは,偽計業務妨害罪の容疑で滋賀県大津警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)
~偽計業務妨害罪~
無人のコインパーキングでは,駐車してからしばらくすると,駐車スペースの真ん中に設置されたロック板が上がり,自動精算機にお金を入れないと自動車が動かせない仕組みになっています。
ですから,こういった仕組みのコインパーキングでは,Aさんが行っていたようにロック板の手前に駐車すれば,駐車料金を支払わずに発車することができます。
このような行為には,犯罪が成立しないのでしょうか。
以下で検討してみましょう。
まず,窃盗罪は成立しません。
窃盗罪はあくまで財物を盗む犯罪であり,今回の場合は形ある物を盗んでいるわけではないからです(ただし,電気など例外として定められているものも存在することに注意が必要です。)。
次に,詐欺罪も成立しません。
詐欺罪は人を騙した場合に成立するところ,無人のコインパーキングでは人を騙したとはいえないからです。
ではどういった犯罪が成立する可能性があるかというと,Aさんの行為は,偽計業務妨害罪に当たる可能性があります。
偽計を用いて,人の業務を妨害した場合,威力業務妨害罪が成立し,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が処せられます(刑法233条)。
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「偽計」は,人をだますことや,計略や策略を講じることなどを指し,今回のAさんは料金を。
Aさんの行為により,本来支払われるはずだった駐車料金が支払われず,Vさんの業務が妨害されているとみることができます。
~偽計業務妨害事件の弁護活動~
偽計業務妨害事件では,弁護士に依頼し,被害者との間で示談を成立させたり,被害弁償を行ったりすることで,事件を早期に解決することができる可能性が高まります。
偽計業務妨害罪では,それに該当する行為が非常に広範に捉えられています。
被害が軽微であれば,不起訴処分や略式罰金で処理されることが多いですが,悪質な場合は懲役刑が科されることもあります。
それでも,示談の成立や,真摯な反省を十分に訴えれば,執行猶予判決を得る見込みがある犯罪類型であるともいえます。
刑事事件に強い弁護士に依頼をし,被疑者・被告人にとって有利となる事情を的確に主張していくことが,不当に重い刑罰を避けることに繋がります。
偽計業務妨害罪に問われてお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部の弁護士にご相談下さい。