恋人に連絡先を消させるデートDVで強要事件に?
恋人に連絡先を消させるデートDVで強要事件に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
高校生のAくん(17歳)は、Aくんと同じ滋賀県守山市にある高校に通う同級生のVさん(17歳)と交際しています。
Aくんは、恋人であるVさんのことを好意的に思うあまり、Vさんに自分以外の異性と接してほしくないと思うようになりました。
そこで、AくんはVさんのスマートフォンや、入っている無料通話アプリやSNSアプリに登録されているAくん以外の男性の連絡先をAくんの目の前で消すように言いました。
しかし、Vさんは「そんなことする必要はないだろう」とAくんの要求に全く取り合わない様子でした。
VさんがAくんの要求を拒否したことでAくんはかっとなり、近くにあった机を蹴りつけ、再度Vさんに連絡先を目の前で消すよう言いました。
VさんはAくんの様子に怖くなり、Aくんの要求通り連絡先を消しました。
その後、Vさんはもしかしら今後はもっとひどいことをAくんに要求されるのではないか、と不安になって滋賀県守山警察署に相談に行きました。
そしてそのVさんの相談がきっかけで、Aくんは強要罪の容疑で滋賀県守山警察署で取調べを受けることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・恋人に連絡先を消させて強要事件に?
今回のAくんは、Vさんに好意を寄せるあまり、Vさんに自分以外の異性の連絡先を消すよう要求し、実行させています。
単なる恋人同士のすれ違いやトラブルのようにも見える今回の事例ですが、実はこういった行為は「デートDV」とも呼ばれており、軽く考えてはいけない問題なのです。
単純にDV(ドメスティックバイオレンス)といった場合には家庭内暴力のことを指すのに対し、デートDVとは結婚前の恋人同士での間で起こる暴力のこと、つまり、交際中の相手に身体的・精神的・性的に暴力を与える又は受けることを指します。
DVというと、先ほど挙げた家庭内暴力、すなわち夫婦の間や親子の間、兄弟間での暴力というイメージがありますが、デートDVは若い恋人たちなどの中で起こってしまうDVの話なのです。
今回の事例のAくんは、Vさんに無理矢理自分以外の男性の連絡先を消させていますが、これはつまり、Vさんがしたくないことを無理矢理実行させているということです。
こうした行為によって、Aくんが容疑をかけられている強要罪が成立する可能性が出てきます。
刑法223条(強要罪)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
強要罪の条文にある「暴行」は、直接相手に振るわれるものでなくとも「暴行」であると認められます。
例えばAくんの事例では、近くにあった机を蹴りつけることでVさんを畏怖させています。
こうした間接的な暴行でも、「暴行を用いて」いると判断される可能性があるのです。
加えて、VさんがAくんの言う通りに連絡先を消すことは、もちろんVさんにとって義務のあることではありません。
誰の連絡先を登録して誰と連絡を取るかは、基本的には個人の自由であるはずです。
こうしたことから、今回のAくんの行為は強要罪にあたる可能性があるといえるのです。
このように、デートDVは通常のDV同様、相手に直接暴力をふるうことだけではありません。
そして、こちらも通常のDVと同様、法律に「デートDV」という言葉が使われ、行為が禁止されたり犯罪とされているわけではありません。
Aさんの行為が強要罪に当たりうるように、デートDVの態様によって刑法やその他の法律に定められている犯罪がそれぞれ適用されうるということになります。
デートDVの場合、一見DVという言葉とは関わりのないようにも思えるAさんとVさんのような若い恋人たちが少年事件の当事者になってしまうことも考えられます。
デートDVをしないように気を付けたり見守ったりすることはもちろん、もしもデートDVに関わる少年事件を起こしてしまったら、少年事件に強い弁護士に相談し、少年事件自体への対応はもちろん、今後どのようにして同じことを繰り返さないようにしていくかという活動にも取り組んでいくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件専門の弁護士が初回無料の法律相談を行っています。
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