侵入盗事件は何罪が成立する?

侵入盗事件は何罪が成立する?

侵入盗事件で何罪が成立するのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県大津市にあるVさんの経営するアクセサリー店の店先に、「しばらく不在にするためお休みいたします」という貼り紙を見つけました。
Aさんは、「しばらく休むということであれば店に人はいないだろう。この隙に売上金や商品を盗んでもばれないのではないか」と考え、Vさんの店にガラスを割ったり鍵を壊したりなどして侵入したうえで、店内に残っていた売上金の一部や商品を盗み出しました。
翌日、店の様子を見にきたVさんが店の状況から侵入盗にあったことに気づき、滋賀県大津北警察署に通報。
防犯カメラなどの映像からAさんの犯行が発覚し、Aさんは滋賀県大津北警察署窃盗罪などの容疑で逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・侵入盗事件で成立する犯罪

侵入盗とは窃盗犯の種類の1つで、今回のAさんのように他人の家や店といった場所に侵入した上で物を盗む態様の窃盗犯を指します。
侵入盗の典型的な例としては、空き巣や事務所荒らしといったものが挙げられます。
反対に、万引きやスリ、置引きといった、建物などに侵入せずに行われる窃盗は非侵入盗に分類されます。

侵入盗事件で成立する犯罪としては、窃盗罪建造物侵入罪(住居侵入罪)、態様によっては器物損壊罪などが挙げられます。
Aさんの侵入盗事件を例に、1つずつ簡単に確認していきましょう。
まず、AさんはVさんの店に窃盗行為をするために侵入しています。
この行為については、刑法の建造物侵入罪が成立すると考えられます。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪のいう「侵入」とは、その建造物の管理者の意思に反する立ち入りであると解されています。
侵入盗事件では窃盗目的のために窃盗犯が無断で住居や店に立ち入っていますが、当然これらの立ち入りは通常許可されないものです。
そのため、侵入盗事件では建造物侵入罪住居侵入罪が成立するのです。

そして、当然ながら住居や店に侵入した犯人は物を盗む行為をしていることから、窃盗罪も成立することになります。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

加えて、今回のAさんの場合、店に侵入するためにガラスを割ったり鍵を壊したりしていることから、器物損壊罪の成立も考えられます。

刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

このように、侵入盗事件では、たとえ1件の侵入盗事件であっても複数の犯罪が成立することになります。
当然、何件も侵入盗事件を起こしていてそれが刑事事件化しているような場合には、その分さらに窃盗罪建造物侵入罪などが成立することになります。

では、このように1つの刑事事件で複数個犯罪が成立する場合、刑事事件の流れや刑罰の重さはどのようになっていくのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げます。

侵入盗事件では、Aさんのように逮捕・勾留されて捜査されることも珍しくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスもご用意しています。
0120ー881ー631では、初回接見サービスについてのお問い合わせやお申し込みをいつでも受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

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