忘年会帰りの飲酒運転で人身事故②
忘年会帰りの飲酒運転で人身事故を起こしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
ケース
滋賀県近江八幡市にある勤務先まで自動車で通勤しているAさんは、会社近くで開かれた忘年会でお酒を飲んだにも関わらず、自ら自動車を運転して帰路に着きました。
その後、Aさんは、滋賀県近江八幡市の自宅近くの交差点でVさんの自動車と接触事故を起こし、Vさんに怪我を負わせてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に道路交通法違反(酒気帯び運転)及び自動車運転過失致傷罪の容疑で現行犯逮捕され、そのまま滋賀県近江八幡警察署へ連行されました。
(事例はフィクションです。)
~飲酒運転による人身事故~
前回の記事で紹介した道路交通法は飲酒運転行為そのものに対しての処罰規定ですが、飲酒運転で事故を起こした結果人を死傷させた場合は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」と言います。)に違反することになります。
自動車運転致死傷行為処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
飲酒運転による人身事故の中でも悪質なケースは以下の危険運転致死傷罪にあたります。
自動車運転致死傷行為処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
「正常な運転が困難な状態」とは、交通状況に応じた道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることをいいます。
例えば、アルコールによる酔いのために、前方をしっかり見て運転することが難しい状態や、適切にハンドルやアクセル・ブレーキなどを操作することが難しい状態が、これに該当します。
自動車運転致死傷行為処罰法第3条第1項
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
通常、道路交通法上の酒気帯び運転(第117条の2の2第3号)に該当する程度のアルコール濃度であれば、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」と判断される可能性が出てきます。
2条違反で処罰をするには「正常な運転が困難な状態」があったことの立証が必要ですが、3条施行前はかかる立証が出来なかった場合、過失運転致死傷罪しか認められない事例が多くありました。
そこで新たに制定・施行された3条は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」があれば良いので、飲酒運転による人身事故においてその危険性や悪質性に応じた処罰が下されるようになりました。
そして、過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪が成立する場合、上述した飲酒運転そのものを処罰する道路交通法違反は吸収されることとなります。
~飲酒運転による人身事故と弁護活動~
Aさんのようなケースで弁護活動を依頼された弁護士としては、まずは逮捕されている被疑者の身柄解放を目指すことになるでしょう。
検察官の勾留請求が認められた場合、最初の逮捕を含めて最大23日間拘束されることとなります。
長期間の拘束が続いてしまうと、会社にも今まで通り勤務することは難しくなってしまいます。
ですから、まずは身体拘束からの解放を目指すことが考えられるのです。
また、飲酒運転の再発防止に向けた取り組みを被疑者本人やその家族と一緒に行いそれを主張していくことや、被害者やその遺族の方への謝罪や賠償を進めることも考えられます。
こうした取り組みを行うにも、一度専門家である弁護士のアドバイスを受けることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転運転事件や人身事故事件の経験豊富な弁護士による初回無料法律相談を行っています。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。
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ですから、忘年会帰りの夜遅い時間に逮捕されてしまった、忘年会の行われる年の瀬で相談できる弁護士がなかなか見つからない、といった場合にも遠慮なくご相談いただけます。
まずはお気軽にお問い合わせください。