Archive for the ‘少年事件’ Category

少年院と刑務所・鑑別所は何が違う?

2021-09-29

少年院と刑務所・鑑別所は何が違う?

少年院刑務所鑑別所は何が違うのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

滋賀県大津市に住んでいるBさんの息子Aさん(16歳)は、市内の路上で強制わいせつ事件を起こし、滋賀県大津北警察署に逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたBさんは、滋賀県大津北警察署に行ってみましたが、Aさんと会うことはできず、警察官に「今回の事件以外にも近隣で似たような事件が起きている。何件も起こしているのであれば少年院に行くかもしれない」と言われました。
Bはその話を聞いて不安になり、少年事件も多く取り扱っている弁護士に相談し、少年院について詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年院と刑務所は何が違うのか?

少年事件の終局処分の1つに、少年院送致という処分があります。
多くの人がイメージされるように、少年院送致となれば、少年は少年院に収容され、その中で一定期間暮らすことになります。
犯罪をした少年が行く場所というイメージから、少年院と聞くと「成人の刑事事件で言う刑務所だろう」「刑務所に行くのと同じだろう」とイメージされる方もいるかもしれません。
しかし、刑務所少年院は根本的に異なる施設です。

少年事件では、原則的に「少年が更生するためにはどういった処分が適切か」ということが考えられ、最終処分が決められ、少年の更生のための処分が下されます(保護処分)。
刑罰はしてしまった犯罪の罰であるのに対し、保護処分はあくまで少年が更生できるように取られる処分であるため、刑罰と保護処分は性質が異なります。
少年院送致も少年を更生させるための処分(保護処分)であり、少年院は少年の健全な育成を図ることを目的として、矯正教育・社会復帰支援等を行う施設です。
成人の刑務所は刑罰として収容される場所ですが、少年院は少年を更生させるための場所なのです。

ここで、少年の入る少年刑務所という場所があることに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
少年院少年刑務所はどのような違いがあるのでしょうか。
少年刑務所は、いわゆる「逆送」をされ、刑事手続を受けて裁判で有罪判決を受けた少年の入る施設です。
少年刑務所では、社会復帰・再犯防止のための教科指導や改善指導以外に刑務作業(一般作業や職業訓練)も行われます。
少年刑務所はその名前の通り、少年のための「刑務所」であるので、犯罪の責任を問うて刑を執行し、改善更生を図る刑事施設なのです。
そういった点で、少年刑務所は矯正教育を中心とした処遇となる少年院と異なるのです。

・少年院と鑑別所は何が違うのか?

刑務所と同様、少年院と混同されがちな少年事件で登場する施設に、(少年)鑑別所という施設があります。
少年事件を起こして鑑別所に行く、という流れを聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

簡単に言えば、鑑別所少年事件を起こした少年について専門的な調査をするための場所です。
この調査は少年事件の最終処分を出すために行われるものです。
つまり、鑑別所少年事件の手続きの途中で少年が入る可能性のある施設で、少年院少年事件の終局処分として少年が入る可能性のある施設であるということになります。
よく「悪質な少年事件では鑑別所に行く」というようなことも言われますが、鑑別所に行って少年事件が終了するというわけではないのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく、少年事件のご相談・ご依頼も承っています。
少年院送致が考えられるような少年事件も、刑事事件・少年事件専門の弁護士だからこそ、安心してご相談いただけます。
少年院についての不安も、少年事件の手続き・対応についてのお悩みも、まずは弁護士にご相談ください。
逮捕・勾留や観護措置を伴う少年事件にお困りの方は初回接見サービスを、在宅での捜査・調査を受けている方は初回無料法律相談をぜひご利用ください。
お問い合わせは0120-631-881で24時間いつでも受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

少年による器物損壊事件と示談

2021-09-25

少年による器物損壊事件と示談

少年による器物損壊事件示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

〜事例〜

Aさんは、滋賀県高島市に住む16歳の高校生です。
ある日、Aさんはいたずらのつもりで、近所に住むVさんの車にペンキで大きく落書きをしました。
Vさんが滋賀県高島警察署に相談したことから捜査が開始され、Aさんは器物損壊事件の被疑者として取調べをされることになりました。
Aさんやその家族は、被害弁償や示談をすれば全て終わるものだと思っていたのですが、弁護士に相談してみたところ、少年事件の場合は示談をしたからといって全て終了とはいかない可能性があるという話を聞いて驚きました。
(※この事例はフィクションです。)

・器物損壊罪

器物損壊罪は、刑法261条に以下のように定められています。

刑法261条 器物損壊罪
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この条文や器物損壊罪という名前を見ると、例えばお皿を割るといった、物を物理的に壊す行為に器物損壊罪が成立するように思えます。
しかし、この器物損壊罪の「損壊」という言葉の意味には、まさに物を壊すといった意味以外にも、その物の効用を失わせる、という意味も含まれています。
つまり、その物を使えなくしてしまったり、その物の価値をなくしてしまったりという行為をしてしまえば、物を壊していなくとも器物損壊罪が成立する可能性があります。
よく例に挙げられるのは、他人の飲食器に放尿した場合に器物損壊罪が成立するという例です(大判明42.4.16)。
放尿されたとしても食器が壊れたわけではありませんが、誰かが放尿した食器を食器として使いたいという人はいないでしょうから、食器の効用を失わせている=器物損壊罪が成立する、ということになるのです。
今回のAさんの事例のような、ペンキで車に大きく落書きをするという行為と器物損壊罪とは結び付きにくいかもしれませんが、上記のような考え方から、車本来の効用を失わせていると考えられ、器物損壊罪が成立する可能性が高いのです。

・器物損壊罪の示談と少年事件

Aさんやその家族が考えていたように、一般的に器物損壊事件では示談が重要視されます。
なぜなら、器物損壊罪は「親告罪」と言い、被害者の方等による「告訴」がなければ起訴できない犯罪だからです。
犯罪の被害を受けたということを申告するのが「被害届」ですが、そこにさらに加害者に処罰を求める意思表示も行うのが「告訴」です。
ですから、示談を行って、被害者の方に告訴を取り下げてもらったり告訴を出さないようにしてもらうことができれば、器物損壊事件は不起訴となって刑罰等を受けることなく終了する、ということになります。

しかし、Aさんやその家族は、弁護士に相談したところ、示談をしても今回そうなるとは限らないと言われています。
それは、Aさんが20歳未満の少年であるというところが深くかかわってきます。
度々取り上げているように、20歳未満の少年が起こした事件は少年事件として扱われ、捜査ののち、家庭裁判所に送られて保護処分を受けるかどうか、どういった保護処分を受けるのかを判断されます。
保護処分は成人の刑事事件の結果として科せられる刑事罰とは別物で、少年が更生するための処分です。
このように少年事件の手続きが成人の刑事事件と別になっている理由は、少年の柔軟性を重視し、少年が今後更生できるようにすることに重点を置いている点にあります。
そのため、全ての少年事件は原則少年の専門家が在籍している家庭裁判所に送られることになっていますし、理論上、成人の刑事事件なら不起訴になるような事件であっても、少年を取り巻く環境から少年院に入ることが少年の更生に適切であると判断される可能性があるのです。
つまり、原則として少年事件の判断の中に、成人の刑事事件の「不起訴」の考え方はないのです。

今回の器物損壊事件は、先述したように「親告罪」であるため、成人の刑事事件では示談ができれば不起訴となります。
しかし、少年事件となれば、「不起訴」の考え方はありませんから、なぜ少年が器物損壊行為をしたのか、再度そうした器物損壊行為をしないためには、更生のためにはどのようにすべきか、という点が重視されます。
ですから、示談をすれば終了ということではなく、示談を含めてその後の更正に関わる環境を整えていくことが重要となるのです。。

少年事件は、こうした特色から、注意すべき点も独特です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件だけでなく少年事件も専門として取り扱う弁護士事務所です。
滋賀県の少年事件・器物損壊事件にも対応しておりますので、お困りの際はご遠慮なく0120-631-881までお問い合わせください。

集団暴走による少年事件

2021-07-28

集団暴走による少年事件

集団暴走による少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

滋賀県高島市に住んでいる高校3年生のAさんは、友人達とバイクを運転することを楽しみにしていました。
Aさんらは、複数回運転を繰り返すうち、「もっと自由にみんなで走りたい」と思うようになり、そのうち複数人で蛇行して道路を走ったり、横並びになって道路を占拠するようにしてバイクを走らせたりするようになりました。
周辺では集団暴走に困っているという通報が相次ぐようになり、滋賀県高島警察署が見回りを強化。
Aさんらがいつものようにバイクを走らせていたところ、巡回していた滋賀県高島警察署の警察官がAさんらの集団暴走行為を発見し、Aさんらは道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、警察官からの連絡でAさんの逮捕を知ると、滋賀県の少年事件を取り扱っている弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・集団暴走は犯罪になる?

今回の事例のAさんは、複数人の友人達と一緒にバイクを走らせているうちに、集団暴走をしてしまって逮捕されるに至ったようです。
集団暴走行為はいけないことだ」というイメージを持たれている方は多いかもしれませんが、どのような犯罪のどの部分に当たることになるのかまでご存知の方は少ないかもしれません。
ここからは、集団暴走をするとどういった犯罪に問われることになるのか確認してみましょう。

まず、道路交通法では以下のような条文が定められています。

道路交通法第68条
2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

この条文は、一般的に「共同危険行為等の禁止」を定めているとされています。
「共同危険行為」とは、条文の中にある「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」が「道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」をすることを指します。
この共同危険行為と今回問題となっている集団暴走行為を比較してみましょう。

集団暴走行為をした場合、そもそも複数人で集団暴走行為をするわけですから、この「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」が主体になります。
そして、Aさんらは複数人でバイクを並べて道路を走らせていたわけですから、共同危険行為のいう「道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合」にも当てはまりそうです。
さらに、Aさんらはその状態で一緒になって蛇行運転や道路を占拠するように広がった形での運転をしていますが、これらは非常に危ない、もしくは迷惑になる行為と考えられますので、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」と考えられるでしょう。
こうしたことから、態様にもよるものの、集団暴走行為は道路交通法のいう「共同危険行為」に当てはまり、道路交通法違反となる場合が考えられるのです。

・集団暴走と少年事件

Aさんの事例のように、被疑者が未成年の場合は少年事件として処理されることになります。
少年事件では、基本的に終局処分として刑罰が科されることはありません。
しかし、だからといって何も処分されずに事件が終わるというわけではなく、少年には「保護処分」という処分が下されることが一般的です。
「保護処分」とは、簡単に言えば少年を更生させるために行われる処分のことです。
例えば、保護観察処分では、保護司や保護観察所の職員が定期的に連絡を取りながら社会内での少年の生活を見守りアドバイスすることで少年の更正を目指します。
対して、少年院送致の処分が取られれば、少年は少年院という施設の中で、今までの環境と自分を切り離して教育等を受けながら更生を目指していくことになります。
これらの処分は刑罰ではなく、あくまで少年の更正のための処分です。

集団暴走事件では、少年が集団で犯罪をしているという特徴から、少年の更正のためにその集団との距離を置くべきである=今までの環境から切り離して更生を目指すべきであるという観点から、少年院などの施設送致が検討されることも少なくありません。
もちろん、先ほど触れたように少年院に行くことは刑罰ではなく少年の更正のために行くものであるため、全く少年のためにならないことであるわけではありません。
しかし、少年院に行くということは、ある程度の期間を社会から切り離されて過ごさなければならないということでもありますから、少年の進路等によっては少年院に行くことが大きな影響を及ぼすこともあります。

だからこそ、より適切な処分を求めていくことが重要なのですが、そのためには社会内で少年が更生できるような環境を整え、その環境を主張していくことが必要です。
こうした環境調整が少年事件の弁護活動・付添人活動の特徴の1つと言えるでしょう。
少年事件独特の手続もあるため、少年事件に対応している弁護士に早い段階から相談・依頼しておくことが重要と言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく少年事件も取り扱っている法律事務所です。
集団暴走による少年事件についてお困りの際や、少年事件についてお悩みの際には、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。
逮捕されている方向けのサービスだけでなく、在宅捜査を受けている方向けのサービスもございますので、まずはお問い合わせ下さい(0120-631-881)。

少年事件と大麻

2021-07-17

少年事件と大麻

少年事件と大麻について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県米原市在住の中学3年生のAさんは、SNSの書き込みなどから大麻に興味を持つようになりました。
Aさんは、SNSで大麻を売っているという人とコンタクトを取ると、大麻1gを購入しました。
AさんがSNSを通じて大麻を購入してしばらくした頃、Aさんが大麻を買った先の売人が、滋賀県米原警察署の捜査によって摘発されました。
そして、滋賀県米原警察署の捜査により、大麻の売人の購入履歴からAさんが大麻を購入していることが発覚。
Aさんの自宅に滋賀県米原警察署が家宅捜索にやって来て、Aさんの部屋から大麻が発見されました。
その後、Aさんは大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、まさか中学生のAさんが大麻を持っていることで逮捕されるとは思わず、今後どのように対応してい良いのか分からず困ってしまいました。
そこでAさんの家族は、少年事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・大麻所持による大麻取締法違反

大麻は、ただ持っているだけでも犯罪となる違法薬物です。
大麻取締法では原則として大麻の所持を禁止しており、大麻を所持することは大麻取締法違反となります。

大麻取締法第24条の2第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

大麻を所持したことによる大麻取締法違反は、「5年以下の懲役」という重い刑罰が設定されています。
さらに、大麻所持の目的が営利目的であった場合、さらに重い刑罰が下される可能性があります。
なお、今回のAさんのような少年事件の場合は、基本的にはこういった刑罰を受けることはありません。

・少年事件と大麻

今回の事例でAさんの家族は、Aさんの大麻所持による逮捕に驚き、困惑しているようです。
大麻のような違法薬物は、日常とは解離したイメージがあるかもしれません。
そのため、大麻のような違法薬物を未成年が手に入れることは難しいだろう、未成年が大麻を所持することはできないだろうというイメージもあるでしょうが、実際には未成年による大麻所持事件は度々起こっています。

法務省による統計(令和2年版犯罪白書)によると、令和元年に大麻取締法や大麻に関連した麻薬取締法違反で検挙された20歳未満の者は609人とされています。
大麻に関連して検挙される未成年は平成26年から年々増加傾向にあり、令和元年は前年よりも42パーセント増加しているとのことでした。
さらに、大麻取締法違反で検挙された者で事件当時就学していた247人(20歳以上の者も含む)を就学状況別に見ると、大学生132人、高校生109人、中学生6人という内訳であったそうです。
これを見れば、たとえ未成年であっても、大麻に関連した犯罪に関与することは全くないことだとは言えないでしょう。

そして、「大麻などの違法薬物を手に入れるためには素行の悪い人とつるんでいるはずだ」「暴力団や暴走族といった集団に関わっていなければ大丈夫」と考える方もいるでしょう。
しかし、先ほどの法務省の統計によると、令和元年に大麻取締法違反により鑑別所に入った少年441人のうち、57.1パーセントは暴力団や暴走族、地域的不良集団などの不良集団とのかかわりはない少年たちだったそうです。
つまり、普段から素行のよくないグループとつるんでいなくとも、大麻取締法違反事件に関わってしまう可能性もあるのです。
今回の事例のAさんのように、普段の素行に問題がなくとも、SNSなどで大麻に関わりをもってしまう少年もいるのです。
もちろん、少年事件のうち大麻取締法違反事件の件数が非常に多いというわけではありませんが、未成年だから、年齢が低いからといって大麻が全くかかわりのない話でもないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

・大麻取締法違反の少年事件と弁護士

では、実際に自分の子供が大麻取締法違反事件に関わってしまったらどうすべなのでしょうか。
まずは早い段階で弁護士に相談し、迅速に弁護活動・付添人活動に取りかかってもらうことをおすすめします。

先ほどから統計を挙げている令和2年度版犯罪白書では、鑑別所に入った少年451人の終局処分の内訳が、少年院送致が47.5%、保護観察が30.2%、検察官送致(年齢超過含む)が1.8%、不処分・審判不開始が0.7パーセント、未決が20パーセントとなっています。
当然少年が鑑別所に入らずに終局処分まで進む少年事件もあるため、未成年による大麻取締法違反事件全てを含めての処分結果ではありませんが、それでも少年院送致が半数程度を占めていることからも、大麻取締法違反事件が重く考えられていることが分かります。
だからこそ、少年事件・刑事事件に詳しい弁護士のサポートを受けながら、適切な処分を目指していくことが有効と考えられるのです。

さらに、令和2年版犯罪白書によれば、令和元年に大麻取締法違反で検挙された20歳未満の者609人のうち、59人は以前大麻取締法違反で検挙されたことがあり、再度大麻取締法違反で再非行をした少年だとされています。
約10パーセントの少年が同じ犯罪を繰り返してしまっていることからも、再犯防止の対策を具体的に立てた上で実行していく必要があることが分かります。
少年事件では、少年が更生するために適切な環境を用意することが非常に重要です。
少年事件への取り組みとしても、大麻取締法違反事件としての取り組みでも、再犯防止策に取り組むことは重要ということです。
だからこそ、少年事件にも刑事事件にも対応できる弁護士に早期に相談し、早い段階から弁護活動・付添人活動に取り組んでもらったり、環境改善のための準備を始めたりすることがおすすめされるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大麻取締法違反のような薬物事件にも対応しています。
成人の刑事事件だけでなく、少年事件にも数多く対応している弁護士だからこそ、少年事件の始まりから終わりまで丁寧なサポートが可能です。
まずはお気軽にご相談ください。

いじめをきっかけに児童ポルノ製造事件に

2021-06-23

いじめをきっかけに児童ポルノ製造事件に

いじめをきっかけに児童ポルノ製造事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県大津市にある高校に通っている16歳の女子高生Aさんは、同級生であるVさんを友人らといじめていました。
ある日Aさんは、Vさんを下着姿にしてスマートフォンで写真を撮り、それをメッセージアプリなどを通じて仲間内で共有するといったいじめを行いました。
耐え切れなくなったVさんが両親にいじめについて話したことをきっかけに、Vさんらは滋賀県大津警察署に相談をしました。
その結果、Aさんは児童ポルノ製造を行ったとして、滋賀県大津警察署で話を聞かれることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・いじめをきっかけとした少年事件

文部科学省の「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」という統計によると、令和元年度に認知された小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめは、61万2,496件であり、前年度よりも6万8,563件増加したとのことです。
認知されたいじめの内訳としては、小学校でのいじめが48万4,545件、中学校でのいじめが10万6,524件、高等学校でのいじめが1万8,352件、特別支援学校でのいじめが3,075件となっています。
そして、この認知されたいじめの態様のうち、パソコンや携帯電話等を使ったいじめは1万7,924件(前年度1万6,334件)で、いじめの総認知件数に占める割合は2.9%だったようです。
今回のAさんのケースでも、スマートフォンが用いられています。

今回のAさんは、同級生のVさんの下着姿をスマートフォンのカメラで撮影し、それをメッセージアプリなどを通じて仲間内で共有していたようです。
18歳未満の児童の下着姿や裸の姿などの写真は、児童ポルノ禁止法にいう「児童ポルノ」に当たる可能性があります。

児童ポルノ禁止法第2条第3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
第1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
第2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
第3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

こういった児童ポルノは、製造(例えば撮影することで「児童ポルノ」に該当する写真を作り出すことなど)や所持、提供が禁止されています。
例えば、以下の条文では提供目的の児童ポルノの製造(第3項)や、提供以外の目的での児童ポルノの製造(第4項)が禁止されています。

児童ポルノ禁止法第7条
第3項 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
第4項 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

こうした児童ポルノ禁止法違反は、児童ポルノの製造や所持、提供する人が被害者と同様児童であっても同性であっても関係なく成立します。
ですから、いじめや嫌がらせで児童である被害者を下着姿や裸姿にしてその様子を撮影すれば「児童ポルノ」を製造していることになり、児童ポルノ禁止法違反として少年事件化する可能性があるということになるのです。

そして、こうしたいじめの場合、今回のAさんのケースのように、製造した児童ポルノを仲間内で拡散してしまっているというケースも想定されますが、その場合、児童ポルノの提供という、製造とはまた別の犯罪に当たる可能性が出てきます。

いじめという言葉によって、なかなかそれが犯罪であり、少年事件刑事事件に結びつく可能性のある行為であるとイメージできない人もいるかもしれません。
しかし、いじめの態様次第では、犯罪が成立して捜査機関が介入するケースも当然考えられます。
だからこそ、少年事件刑事事件になりそうだ、少年事件刑事事件化してしまったとお悩みの際は、お早めに弁護士に相談・依頼されることをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、いじめをきっかけに児童ポルノ禁止法違反事件などの少年事件刑事事件に発展してしまったというケースについても、ご相談・ご依頼を受け付けています。
まずはお気軽に、弊所弁護士までご相談ください。

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