中学生をキャバクラで雇用①児童福祉法違反

中学生をキャバクラで雇用①児童福祉法違反

Aさんは、滋賀県高島市キャバクラを経営していました。
ある日、Aさんはキャバクラですでに働いていたBさんという女性からCさんという女性を紹介され、いわゆるキャバ嬢として雇いましたが、Cさんはまだ14歳の中学生でした。
さらに、すでにキャバクラでキャバ嬢として雇っていたBさんも、15歳の中学生でした。
Aさんはそのことを知っていましたが、BさんやCさん自身が働きたいと言っているのだし、BさんやCさんがお酒を飲まなければ問題ないだろうと考えてBさんやCさんをキャバ嬢として働かせていました。
するとある日、滋賀県高島警察署の警察官がAさんのキャバクラを訪れ、Aさんは児童福祉法違反や風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月26日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・中学生をキャバクラで雇用したら児童福祉法違反?

今回のAさんは、児童福祉法違反という犯罪と風営法違反という犯罪の容疑で逮捕されているようですが、まずは児童福祉法違反についてみていきましょう。
児童福祉法とは、児童の権利や福祉の保障について定めており、児童福祉に関する機関・団体や施設、事業などについての規定や児童福祉を守るための規定が定められています。

そしてこの児童福祉法には、以下のような規定が存在します。

児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
5号 満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

キャバクラでは、いわゆるキャバ嬢と呼ばれる従業員が、それぞれの客の席につき、飲酒や飲食の接待をします。
ですから、キャバ嬢としての仕事は「酒席に侍する行為」であり、それを反復継続する仕事ですから「業務として」行うことであるといえます。
つまり、満15歳未満の児童をキャバ嬢として働かせた場合、児童福祉法のこの規定に違反することになるのです。
今回の事例では、Cさんが14歳=満15歳未満ですから、Aさんは児童を酒席に侍らす行為をしたとして児童福祉法違反となることが考えられます。
こうした児童を酒席に侍らす行為による児童福祉法違反となった場合、「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」されることになります(児童福祉法60条2項)。

なお、今回のAさんはCさんが満15歳未満であることを知っていたため、児童福祉法違反の行為をしている認識はあったと考えられますが、児童福祉法には、以下のような規定があることにも注意が必要です。

児童福祉法60条4項
児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。
ただし、過失のないときは、この限りでない。

つまり、今回のような児童福祉法違反では、落ち度なく年齢を確認して雇っていたような場合を除き、「年齢を知らなかった」「児童とは知らなかった」という言い訳は基本的には通用しないということです。
きちんとした手続きや確認を経て雇い入れることはもちろん、もしも児童福祉法違反の容疑をかけられてしまったら、どういった確認方法を取っていたのか等の詳細を弁護士に話し、どういった見通しになるのか検討してもらうことが望ましいでしょう。

・中学生をキャバクラに紹介するのも児童福祉法違反?

実は、今回のケースで児童福祉法違反が問題となるのは、Aさんだけではありません。
Bさんは、14歳であるCさんにキャバクラのキャバ嬢の仕事を紹介してAさんに引き渡していることから、以下の児童福祉法の規定に違反する可能性があります。

児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
7号 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
※注:「前各号」には、児童福祉法34条5号の満15歳未満を酒席に侍らす行為も含まれています。

この規定には「何人も」とあるため、自身も18歳未満の「児童」であるBさんも、もちろんこの規定に違反してはいけません。
Bさんの場合は児童福祉法違反事件として検挙されたとしても成人の刑事事件と異なる手続きを踏む少年事件として扱われ、その手続きにのっとって進んていくことになると考えられますが、事件の性質上、捜査段階では逮捕などの身体拘束を伴う捜査が行われることも考えられます。
その後の家庭裁判所での調査や審判に早めに備える意味も込めて、早期に少年事件に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

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