電車内での痴漢事件…条例違反?強制わいせつ罪?

電車内での痴漢事件…条例違反?強制わいせつ罪?

電車内での痴漢事件が条例違反なのか強制わいせつ罪なのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県草津市を通る電車内で、利用客の女性Vさんに対し、服の中に手を入れ、胸や陰部を触る痴漢行為をしました。
Aさんは、Vさんから何も言われなかったことをいいことに、翌日もVさんを電車で見かけると、Vさんに対して先日と同様の痴漢行為をしました。
すると、周囲を警戒していた滋賀県草津警察署の警察官が、Aさんの痴漢行為を現認し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは、「電車内の痴漢は都道府県の迷惑条例違反」と聞いたことがありましたが、自分の逮捕容疑が強制わいせつ罪と聞いて驚いています。
Aさんの家族は、滋賀県草津警察署から、Aさんを逮捕したという連絡を受け、刑事事件に強い弁護士の初回接見サービスを利用することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・電車内痴漢事件と条例違反

痴漢事件は、今回の事例のように、電車内や商業施設、といった場所で起こることも多く、比較的身近な刑事事件であるといえます。
しかし、痴漢行為がどのような犯罪に当てはまるかという点については実際の刑事事件の詳細な事情を検討しなければならず、実は複雑な犯罪です。

よく言われているのは、「電車内や駅といった公共の場所で起こった痴漢事件は都道府県の迷惑防止条例違反となる」ということです。
今回の事例のAさんも、電車内の痴漢事件は迷惑防止条例違反になると聞いたことがあったようです。
これは、各都道府県で制定されているいわゆる迷惑防止条例が禁止している痴漢行為が、いわゆる「公共の場所」での痴漢行為に限定されていることが多いということが1つの要因だと考えられます。
実際に滋賀県の迷惑防止条例を見てみましょう。

滋賀県迷惑行為等防止条例3条
何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。

このように、滋賀県の迷惑防止条例では「公共の場所」「公共の乗物」で起きた痴漢行為の禁止を規定しています。
つまり、これらの場所以外で起きた痴漢行為については、迷惑防止条例の対象外となります。

しかし、今回のAさんは電車内=「公共の乗物」で痴漢行為をしています。
それでも迷惑防止条例違反とならない場合もあるのでしょうか。

・電車内痴漢事件と強制わいせつ罪

痴漢事件でよく問題となる犯罪としては、迷惑防止条例違反のほかに刑法上の強制わいせつ罪があります。
強制わいせつ罪は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」(刑法176条)と規定されている犯罪です。

痴漢事件と一口にいっても、その犯行態様は様々です。
服の上から身体を軽く触る痴漢行為から、服の中に手を入れて直接体を触る痴漢行為まで、すべて「痴漢事件」であるからです。
そうした場合、この犯行態様の違いによって、たとえ「公共の場所」で起こった痴漢事件でも迷惑防止条例違反とはならず、強制わいせつ罪となる場合があります。

強制わいせつ罪の「暴行」と「わいせつな行為」は、同じ行為でもよいとされています。
例えば、抱き着く行為などは、それ自体が「暴行」であり「わいせつな行為」であると考えられます。
こうしたことから、犯行態様が悪質な痴漢行為の場合は、強制わいせつ罪として検挙されることがあるのです。

・痴漢事件と弁護活動

痴漢事件は今回のVさんのような被害者が存在します。
ですから、弁護活動としてはまず被害者の方への謝罪や弁償が思いつかれることでしょう。
しかし、痴漢事件の場合、お互いがお互いの連絡先を知らないことがほとんどですから、被害者の方へ謝罪しようにも簡単に連絡を取ることはできません。
では警察などの捜査機関に聞いてみるとしても、被害者にとっては痴漢の加害者と直接連絡を取るということは抵抗の大きいことです。
こうしたことから、なかなか当事者だけで痴漢事件の示談交渉をすることは難しいといえるでしょう。
だからこそ、まずは弁護士に相談・依頼し、被害者対応を開始することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881で24時間いつでも専門スタッフがサービスをご案内いたします。
電車内での痴漢事件でお困りの際は、まずはお気軽にお電話ください。

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