【事例紹介】店の商品を汚して器物損壊罪で逮捕された事例
店の商品を汚し器物損壊罪で逮捕された事件を基に、器物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
(前略)
器物損壊の疑いで再逮捕されたのは、滋賀県多賀町に住む契約社員の男(34)です。
警察によりますと、男は11月、彦根市内の大型量販店で、清涼飲料水や液体洗剤などの商品のふたを開けて横倒しにし、中身を、別の商品であるかばんや毛布など約110点(時価計約5万2000円)にかけ、汚した疑いが持たれています。
男は警察に対し、容疑を認めています。
(後略)
(12月15日 ABCニュース 「飲料や洗剤などを商品のかばんや毛布などにかけ汚した疑いで34歳契約社員の男逮捕 周辺で十数件の同様被害 滋賀」より引用)
器物損壊罪
器物損壊罪は、文字通り物を壊した際に成立する犯罪でもありますが、現在の通説では、「その物の効用を害する一切の行為」を「損壊」であるとしているため、その物を使えなくする行為が広く器物損壊罪によって罰せられています。
例えば、料理店の食器に放尿して食器を心理的に使えなくした行為を器物損壊罪として処罰した事例が挙げられます。
今回の事例では、容疑者が売り物である清涼飲料水や液体洗剤などを売り物のかばんや毛布など約110点にかけて汚しています。
汚された商品を再度売り出すことはできないでしょうから、汚されたかばんや毛布などは使えなくなった=本来の目的で使うことはできなくなったといえます。
容疑者は商品を汚すことによってお店のものを使えなくしたということで、器物損壊罪の容疑をかけられているのでしょう。
加えて、器物損壊罪は有罪になると、3年以下の懲役か30万円以下の罰金または科料が科されます。(刑法第261条)
ですが、器物損壊罪は申告罪ですので、起訴前に告訴が取下げられた場合には刑罰が科されることはありません。
被害者との間で謝罪や賠償を行うことにより告訴を取り下げてもらえる可能性がありますから、刑罰を避けたいという希望のある場合には、被害者対応が重要となってくるでしょう。
威力業務妨害罪
威力を用いて人の業務を妨害した場合に威力業務妨害罪に問われる場合があります。
今回の事例では、容疑者が約110点にも及ぶ商品を汚したと報道されています。
数ある商品の中から100点以上の汚れている商品を探すのには相当な時間と労力がかかるでしょう。
加えて、場合によっては容疑者の行為によって汚れた店内の清掃や店内の警備など、容疑者の行為がなければ行わずに済んだ作業が発生している可能性があります。
そういった作業により本来であれば行えていた業務を行えなかった場合には、器物損壊罪だけでなく、威力業務妨害罪に問われる可能性もあります。
威力業務妨害罪で有罪になった場合には3年以下の懲役か50万円以下の罰金が科されます。(刑法第234条)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、豊富な刑事弁護経験を持つ法律事務所です。
弁護士が示談交渉の間に立つことにより示談を締結できる可能性もあります。
示談交渉でお悩みの方、器物損壊罪、威力業務妨害罪などで逮捕、捜査されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。