(事例紹介)SNSへの虚偽投稿で名誉毀損罪・偽計業務妨害罪

(事例紹介)SNSへの虚偽投稿で名誉毀損罪・偽計業務妨害罪

~事例~

コンビニの店長が新型コロナウイルスに感染したとする虚偽の情報をSNSに投稿したとして、名誉毀損(きそん)と偽計業務妨害の罪に問われた滋賀県草津市の無職女(54)の判決が18日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役8月、執行猶予3年(求刑懲役1年)を言い渡した。
判決によると、女は2020年5月3日、甲賀市のコンビニ店長の写真とともに「私コロナ感染者と近寄って来た」「この店には絶対行かないで」などとSNSに投稿し、店長の名誉を毀損し、店長らに問い合わせ電話への対応を余儀なくさせて業務を妨害した。
(後略)
(※2022年10月18日18:12YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~SNSへの虚偽投稿~

昨今では、SNSが普及しており、この記事を読んでいる方の中にもSNSを利用して投稿を閲覧したり投稿したりしている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうしたSNSは、アプリを利用している人であれば誰でも投稿を見ることができたり、投稿をすることができるため、投稿は多くの人に広まることが予想されます。
このようなことから、SNSへの投稿をめぐって、今回の事例のような名誉毀損罪偽計業務妨害罪の問題に発展することもあります。

名誉毀損罪偽計業務妨害罪は、どちらも刑法に定められている犯罪です。

刑法第230条第1項(名誉毀損罪)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第233条(偽計業務妨害罪)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

名誉毀損罪の「公然と事実を摘示」するとは、事実を示すことで不特定または多数の人にその事実が認識できる状態にすることを指します。
今回の事例でいえば、被告はSNSにコンビニ店長について書かれた投稿を行ったとされています。
先ほど触れた通り、SNSは誰でも利用することができ、不特定多数の人にその投稿を見られる可能性のあるものですから、SNSに投稿をするということは「公然と事実を摘示」することになります。
なお、この「公然と」「摘示」される「事実」が真実なのかどうかということは名誉毀損罪の成立の有無に関係ありません(ただし、公共の利害に関して公益を図る目的でした行為の場合は、事実が真実である場合に、名誉毀損罪によって罰せられないという特例があります。)。
そのため、誰かの名誉を毀損する=誰かの地位や評価を下げる可能性のある事実をSNSに投稿する行為は、多くの場合名誉毀損罪に当たり得るということになります。

加えて、今回の事例で名誉毀損罪と同じく被告に容疑がかけられていた偽計業務妨害罪は、「偽計を用いて」業務妨害をした際に成立する罪です。
業務妨害罪は、今回取り上げている偽計業務妨害罪と、威力業務妨害罪に大きく分けられますが、この2つの刑罰の重さに違いはなく、業務妨害行為をする手段として「偽計」を用いたか「威力」を用いたかという部分が違う犯罪となります。
今回の事例で問題となっていた偽計業務妨害罪は、「偽計」を用いて業務妨害行為をした場合に成立する罪ですが、「偽計」を用いるとは、嘘をついて相手を騙したり、相手が勘違いをしていたりそのことを知らなかったりすることを利用したりすること以外にも、「威力」を用いること以外の手段を用いることを指します。
今回の事例の報道を見ると、コンビニ店の店長についての情報をSNS虚偽投稿し拡散させたという手段が、この「偽計」であると判断されたのでしょう。

そして、業務妨害行為となるかどうかは、実際に業務が妨害された際はもちろん、業務に支障が出る危険性があったというだけでも認められるとされています。
今回の事例の場合、報道によると、SNSへの虚偽投稿によって、店に問い合わせの電話が多くなり、それによって日常の業務に差しさわりが出た=業務が妨害されたということのようです。
そのため、名誉毀損罪だけでなく偽計業務妨害罪にも問われたということだと考えられます。

SNSに関連する犯罪は、SNSの存在が身近だからこそ、誰でも関わり得るものです。
犯罪に触れないように注意しながらSNSを使うことはもちろんですが、それでも刑事事件の当事者となってしまったら、早い段階で適切な対応ができるよう、専門家である弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回無料法律相談は、0120-631-881でご予約可能です。
名誉棄損事件偽計業務妨害事件への対応にお困りの方、SNSに関連した刑事事件にお悩みの方は、一度お問い合わせください。
逮捕・勾留されている方は、有料の初回接見サービスのご用意もございますので、まずはお電話ください。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー