【事例紹介】無免許で車を運転して同乗者にけがを負わせ、徒歩で逃走した事例

【事例紹介】無免許で車を運転して同乗者にけがを負わせ、徒歩で逃走した事例

歩行者との事故

無免許で車を運転し、同乗者にけがを負わせ徒歩で逃走したとして、無免許過失運転致傷罪道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警甲賀署は2日、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、甲賀市水口町の無職の男(33)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)乗用車を無免許で運転中、対向から右折してきた男性(75)のトラックに衝突、自身の車の助手席に同乗していた知人男性(55)に肝臓破裂など全治約2カ月のけがを負わせ、現場から徒歩で逃げた疑い。
(2月2日 京都新聞 「無免許運転で事故、助手席の知人が肝臓破裂なのに徒歩で逃走 容疑の運転手男逮捕」より引用)

無免許と過失運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

過失運転致傷罪は、簡単に説明すると、車を運転するうえで必要な注意をせずに人にけがを負わせてしまった場合に成立します。

今回の事例では、右折してきたトラックに気づかずに追突し、同乗していた男性に肝臓破裂などのけがを負わせたとされています。
実際に容疑者がトラックに追突する事故を起こしており、その事故が周囲に注意していれば防げるような事故であったのであれば、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

また、自動車運転処罰法では無免許過失運転致傷罪を規定しています。

自動車運転処罰法第6条4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

無免許過失運転致傷罪は、過失運転致傷罪が成立する行為を行った際に無免許運転だった場合に成立します。
無免許過失運転致傷罪の法定刑は10年以下の懲役であり、罰金刑の規定のある通常の過失運転致傷罪に比べて格段に科される罪が重くなっています。
今回の事例では、容疑者は無免許運転だと報道されていますので、無免許過失運転致傷罪が成立してしまうおそれがあります。

ひき逃げ

事故を起こした際の運転手の義務として、救護義務報告義務があります。
救護義務は負傷者を救護する義務、報告義務は事故を起こしたことを最寄りの警察署に報告する義務をいいます。
これらの義務を行わないことをひき逃げといいます。
救護義務報告義務は道路交通法第72条1項に規定されていますので、事故を起こした際に、負傷者の救護や警察への報告を行わなかった場合には、道路交通法違反が成立することになります。
ですので、ひき逃げはひき逃げ罪といった罪があるわけではなく、ひき逃げした際には道路交通法違反が成立します。

自分の運転が原因で事故を起こし、負傷者の救護を行わずに道路交通法違反で有罪になった場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)

また、警察署へ事故の報告をせずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)

今回の事例では、容疑者は事故を起こして同乗者にけがを負わせ、徒歩で逃走したとされています。
実際に、容疑者が同乗者の救護や警察署への事故の報告を行っていないのであれば、容疑者に道路交通法違反が成立する可能性があります。

ひき逃げと逮捕

逮捕されると72時間以内に勾留の判断が行われます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間身体拘束を受けることになります。
弁護士は勾留が決定する前であれば、検察官や裁判官へ勾留請求に対する意見書を提出することができます。
勾留が決定してしまった後ではこの意見書を提出することはできませんから、早期釈放を目指す場合には、逮捕後72時間が勝負となります。

今回の事例のようにひき逃げ事件の場合には、一度事故現場から逃走しているわけですから、逃亡のおそれがあるとして勾留が決定してしまう可能性が高いです。
裁判所は犯罪を犯したと疑うのに足りる相当な理由があり、定まった住所がなかったり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるときには、容疑者を勾留することができます。(刑事訴訟法第60条1項)
ですので、ひき逃げ事件では逃亡のおそれがあると判断される可能性が高く、勾留されてしまう可能性が高いのです。

とはいえ、ひき逃げをしたからといって、必ずしも勾留が決定してしまうわけではありません。
勾留によって多大な不利益を被ってしまうことや、家族の監視監督によって逃亡のおそれがないことを検察官や裁判官に主張することで、勾留されることなく釈放してもらえる可能性があります。
ですので、ご家族が逮捕された場合には、早い段階で弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
弁護士に相談をすることで早期釈放を実現できる可能性があります。
ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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