加重収賄事件で逮捕・取調べ①収賄罪

加重収賄事件で逮捕・取調べ①収賄罪

加重収賄事件逮捕取調べを受けるケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県米原市在住のAさんは,滋賀県米原市役所で建設部参事をしていました。
ある日,Aさんは,滋賀県米原市役所の庁舎の改修工事を行う際,業者に設計価格を教えた見返りに賄賂を受けたとして,加重収賄罪の容疑で滋賀県米原警察署の警察官に逮捕されました。
しかし,Aさんには身に覚えがなく,取調べにどのように対応すべきか分からず困っています。
こうした現状を知ったAさんの家族は,どうにかAさんのサポートをすることはできないかと,刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~加重収賄罪~

公務員が職務に関し,賄賂を収受し,又はその要求もしくは約束をした場合には,収賄罪(刑法197条1項)が成立します。
さらに,公務員が収賄罪を犯し,よって不正な行為をした場合には加重収賄罪(刑法197条の3第1項)が成立し,1年以上の有期懲役が科せられます。

刑法197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)
1項 公務員が,その職務に関し,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたときは,5年以下の懲役に処する。
この場合において,請託を受けたときは,7年以下の懲役に処する。
2項 公務員になろうとする者が,その担当すべき職務に関し,請託を受けて,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたときは,公務員となった場合において,5年以下の懲役に処する。

刑法197条の3(加重収賄及び事後収賄)
1項 公務員が前二条の罪を犯し,よって不正な行為をし,又は相当の行為をしなかったときは,1年以上の有期懲役に処する。
2項 公務員が,その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し,賄賂を収受し,若しくはその要求若しくは約束をし,又は第三者にこれを供与させ,若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも,前項と同様とする。
3項 公務員であった者が,その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたときは,5年以下の懲役に処する。

収賄罪の類型は,刑事事件の中でも重い部類です。
収賄罪の条文に書かれている「賄賂」とは,公務員の職務行為の対価として収受される不正な利益をいいます。
賄賂は,一定の職務に対する対価であれば足り,個別具体的な職務行為との間の対価関係までは不要と解されています。
賄賂の目的物は,財物に限らず,有形・無形を問わず,人の需要・欲望を満たすに足りる一切の利益を含みます。
つまり,現金を賄賂として受け取ることはもちろん,プレゼントをもらったり食事を奢ってもらったり,ということでも収賄罪のいう賄賂になりえます。
ですから,例えば今回の事例のAさんは,加重収賄罪の容疑に見に覚えがないとしていますが,これが「現金を受け取っていない」程度の認識であり,他の形で賄賂を受け取ってしまっており,実際には加重収賄罪を犯してしまっている可能性もあるということになります。

そして,収賄罪の条文にあるように,「職務に関し」といえるためには,公務員の職務行為と賄賂が対価関係に立つことが必要です。
賄賂と対価関係に立つべき職務とは,公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務いうと解されています。
公務員の職務は法令上認められるものですが,公務員がその任務達成のため公務員の立場で行う行為が含まれ,その範囲は法令全体の趣旨により決せられます。
また,収賄罪が成立するためには,職務と賄賂が対価関係に立つだけではなく,行為者にその認識が必要です。

さらに,加重収賄罪は公務員が収賄罪を犯し,「不正な行為」をしたときに成立しますが,この「不正な行為」とは,職務に反する一切の行為をいうとされています。
例えば,今回のAさんの事例で言えば,Aさんが職務上知り得た情報で,さらには守秘義務等で外部に漏らしてはいけないはずの設計価格という情報を漏らしたとされる行為が本当であれば,Aさんの職務上課される守秘義務等に違反する行為をしているといえます。
収賄行為をしてこの「不正な行為」をしていると考えられたために,今回Aさんは加重収賄罪の容疑をかけられているのでしょう。

こうした加重収賄罪の容疑で逮捕されてしまったら見に覚えのない容疑で逮捕されてしまったら,どのような対応をしていけばよいのでしょうか。
次回の記事で詳しく取り上げていきます。

刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,加重収賄事件などの収賄事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
収賄事件は,世間の関心・注目度の高い刑事事件となることが多く,逮捕されてしまうとご本人だけでなくご家族も大きな不安を抱えることになります。
そんな時こそ,専門家である弁護士にサポートしてもらいましょう。
まずはお気軽に,お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

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