【事例紹介】脅迫により10年以上同居を続けさせた事例

同居を続けるために女性2人を脅迫したとして、脅迫罪逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

同居する女性2人に「蹴り殺すぞ」と脅したとして、滋賀県警大津北署は28日、脅迫の疑いで、大津市の設備業の男(43)を再逮捕した。(中略)
再逮捕容疑は(中略)36歳の女性と37歳の女性に、自宅で「何年、何にもせんと食わしてもらいよるんや」「蹴り殺すぞ」などと怒鳴り、脅迫した疑い。
同署によると、36歳の女性は約11年前から、37歳の女性は十数年前から同居していた。2人は男から「親に危害を加える」と脅されるなどして、同居を強いられていたとみられる。(後略)
(6月28日 京都新聞 「「何年食わしてもらいよるんや」 10年以上同居強い、逃げても連れ戻し 脅迫疑いで男を再逮捕」より引用)

脅迫罪

脅迫罪は刑法第222条1項で、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

簡単に説明すると、脅迫罪は、世間一般の人が恐怖を感じるような、身体などに危害を加える内容を相手に伝えた場合に成立します。

今回の事例では、容疑者が同居している女性2人に対して、「蹴り殺すぞ」などと怒鳴ったとされています。
男性と女性では体格差や力の差がありますし、家の中という周囲に助けを求められないような状態で「蹴り殺すぞ」など身体や命に危害を加えるような発言をされれば、世間一般の女性であれば恐怖を感じるのではないでしょうか。
ですので、今回の事例が事実であれば、容疑者に脅迫罪が成立する可能性が高いと思われます。

逮捕と釈放

逮捕されると、逮捕後72時間以内の間に勾留釈放かの判断がなされることになります。
釈放された場合には、普段通りの生活を送りながら捜査を受けることになりますし、勾留された場合には、身体拘束が続くことになります。

刑事訴訟法第60条では、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、以下の場合には、勾留することができると定めています。
・被告人が定まった住居を有しないとき。
・被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
・被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

今回の事例では、容疑者が被害者女性らと同居状態であったと報道されています。
被害者と同居しているような場合には、そうでない場合に比べて被害者と接触することは容易ですから、証拠隠滅のおそれが高いと判断される可能性が高いです。
証拠隠滅のおそれが高いと判断されてしまうと、勾留が決定してしまう可能性が高く、釈放も難航することが予想されます。

弁護士は勾留が決定する、逮捕後72時間以内であれば、検察官や裁判官へ釈放を求める意見書を提出することができます。
弁護士が意見書を提出し、証拠隠滅のおそれがないことや勾留による不利益を訴えることで、釈放を認めてもらえる可能性があります。
ただ、この意見書は逮捕後72時間以内に提出する必要がありますので、早期釈放を目指す場合には、早い段階で弁護士に相談をすることが望ましいです。

また、勾留が決定してしまった場合でも、弁護士は裁判所に準抗告の申し立てを行うことができます。
準抗告により勾留満期を待たずに釈放される場合がありますので、勾留が決定した場合でも弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
繰り返しになりますが、意見書の提出は勾留が決まるまでに提出する必要があり、逮捕後72時間勾留が決定されるまでの期間に釈放に向けて動かなければ、釈放を求める機会が2回失われてしまいます。
ですので、脅迫罪などの刑事事件でご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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