【事例紹介】名誉毀損罪と親告罪

滋賀県米原市で起きた名誉毀損事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警米原署は28日、名誉毀損(きそん)の疑いで、(中略)逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は1月9日、県内に住む男性(66)の実名を挙げ、「金は余りあるほどある」「複数の愛人へのお手当になるらしい」などと記載した文書をJR米原駅の男子トイレ内に置き、男性の名誉を傷つけた疑い。
(2月28日 京都新聞 「実名あげ「金は余りあるほどある」 駅トイレ内に文書、名誉毀損の疑いで県立高教諭を逮捕」より引用)

名誉毀損罪

刑法第230条第1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

名誉毀損罪を簡単に説明すると、真実であるかに関係なく、その人の社会的評価が下がるおそれがあることを不特定または多数の人が知れるような状態にすると成立します。

今回の事例では、容疑者がJR米原駅のトイレの中に被害者の実名と共に「複数の愛人へのお手当になるらしい」と記した文書を置いたと報道されています。
被害者に複数の愛人がいると思わせる文章は、被害者の社会的評価が下がるおそれがあると思われます。
また、JR米原駅のトイレは不特定多数の人が利用するでしょうから、そのトイレ内に文書を置けば、おそらく多数の人が文書を目にするおそれがあるといえるでしょう。
ですので、今回の事例では名誉毀損罪が成立すると考えられます。

名誉毀損罪で処罰されない場合

刑法第230条の2第1項
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

名誉毀損罪では、名誉毀損にあたる内容が真実であり、公益性があると認められる場合には、刑事処罰は科されません。

では今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されるのでしょうか。

報道によると今回の事例では、被害者の実名を挙げて、被害者に複数人の愛人がいると思わせる用な文書をJR米原駅のトイレ内に置いたとされています。
実際に被害者に愛人がいるかどうかはわかりませんが、仮に容疑者が記した文書が真実であったとしても、被害者に愛人がいるかどうかという情報に公益性はないと思われます。
ですので、おそらく今回の事例では、刑法第230条の2第1項の規定は適用されず、名誉毀損だと認められれば何らかの刑事処分が科されるでしょう。

名誉毀損罪と示談

名誉毀損罪親告罪ですので、被害者が告訴を取り下げた場合には、名誉毀損罪で有罪になることはありません。
ですので、名誉毀損罪で捜査、逮捕された際には、被害者に謝罪と賠償を行い、告訴を取り下げてもらうことが重要になってきます。

今回の事例で、仮に容疑者の記した文書が名誉毀損にあたると判断されたとしても、容疑者が被害者と示談を締結し、告訴を取り下げてもらうことができれば容疑者は名誉毀損罪で起訴されないことになります。

刑事事件では、加害者本人と連絡を取りたくないと思われる被害者の方が多くいらっしゃいます。
ですので、加害者自らが被害者と示談交渉をする際には、示談の締結はおろか、連絡を取れない可能性もあります。
また、加害者自らが示談交渉をすることでトラブルを生む可能性もありますし、示談を締結できたとしても、示談の際に交わす示談書に不備がある場合もあります。
つつがなく示談を締結するためにも、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
名誉毀損罪告訴を取り下げてもらうことができれば、起訴されることはありません。
ですので、示談を締結するためにも、名誉毀損罪でお困りの方や示談交渉でお悩みの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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