野良犬を殴っても動物愛護法違反になる?

野良犬を殴っても動物愛護法違反になる?

野良犬を殴っても動物愛護法違反になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

滋賀県草津市に住むAさんは、自宅に野良犬がよく来るので、自宅に罠を仕掛け罠にかかった野良犬を棒で殴ったうえで解放し、自宅に来ないようにしようと考えました。
Aさんは罠を仕掛けた数日後、野良犬が罠にかかっていたのでこれを多数回棒で殴り、瀕死の怪我を負わせました。
この様子をAさんの隣人Bさんが見ており、Bさんは滋賀県草津警察署に通報しました。
後日Aさんは、動物愛護法違反の容疑で滋賀県草津警察署で話を聞かれることになりましたが、「野良犬を殴って追い払うことも犯罪になるのか」と疑問に思い、刑事事件に強い弁護士に相談をしようと考えています。
(フィクションです)

【野良犬を殺傷した場合】

今回の事例のAさんは、動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)という法律に違反したとして捜査を受けているようです。
まずは、今回のAさんが違反したと疑われているであろう、動物愛護法の該当条文を確認していきましょう。

動物愛護法第44条第1項には、「愛護動物をみだりに殺し、または傷付けた者は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処する」とあります。

動物愛護法の中でいわれる「愛護動物」とは、
1 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
とされています(動物愛護法第44条第4項第1号、第2号)。

ここで、今回の刑事事件例に出てくるような野良犬について確認してみましょう。
動物愛護法の「愛護動物」の定義では単に「犬」とされており、さらにその「犬」が野良犬か飼い犬かということは動物愛護法の中では限定されていません。
ですから、野良犬であろうと飼い犬であろうと、「犬」である以上は動物愛護法の「愛護動物」であり、その「愛護動物」をみだりに傷つけた場合には動物愛護法違反となるのです。
そのため、今回の事例のAさんも、野良犬を傷つけたことで動物愛護法違反となったのです。

【他人のペットを殺傷した場合】

ここで、今回の事件例のAさんは野良犬を怪我させていますが、怪我をさせた対象が野良犬ではなく他人の飼い犬だった場合、刑事法の扱いは違うのでしょうか?
犬が他人の飼い犬(所有)である場合は、器物損壊罪動物愛護法違反の両罪が成立すると考えられます。

器物損壊罪については、刑法第261条が規定しており、その条文は「他人の物を損壊し、または傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」となっています。
この条文内にある「他人の物」には、他人の所有する動物も含まれており、すなわち、他人の飼っている動物を傷つけた場合も含みます。
なお、器物損壊罪の条文内にある「傷害」とは、その動物を殺傷するほか、他人が飼育している魚を養魚池以外に流出させる行為なども含まれます。

では、他人のペットを殺傷したら必ず器物損壊罪が成立するのでしょうか?

器物損壊罪が成立するには、殺傷した動物が他人の所有物であることを認識していることが必要です。
ですので、動物が他人の所有物であることを知らなかった場合は、器物損壊罪が成立しない可能性が有ります。
ただし、犬に首輪が掛かっている、外見が整っている、近所に飼い犬が多いなどの事情がある場合、他人の飼っている犬と認識していたと思われ、器物損壊罪が成立する場合が多いです。

【動物愛護法違反や器物損壊罪に対する弁護活動】

たとえ本人が軽い気持ちで動物を殺傷していたのだとしても、ここまで見てきたとおり、その行為は動物愛護法違反器物損壊罪が成立する犯罪行為です。
場合によっては、逮捕される事態となるかもしれません。
逮捕されてしまえば、会社や学校へ行くこともできませんし、生活に大きな影響が出てしまいます。
逮捕されなかったとしても、刑事事件の知識なしに取調べなどに対応するには、不安・負担が大きいと考えられます。

だからこそ、早めに弁護士に相談し、取調べへの対応の仕方を聞いておく、刑事事件の手続を知っておくという対策を取ることが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた法律事務所です。
ご家族やご自身が動物愛護法違反や器物損壊罪で話を聞かれることになった、逮捕されてしまって困っているといった場合には、お気軽にご相談ください。

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