滋賀県東近江市の強盗未遂事件

滋賀県東近江市の強盗未遂事件

滋賀県東近江市強盗未遂事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

Aさんは滋賀県東近江市内のコンビニエンスストアで,カウンター越しに店員に果物ナイフを突きつけ「金を出せ」と脅しました。
店内にいた別の店員が通報し,駆けつけた滋賀県東近江警察署の警察官によってAさんは強盗未遂罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

【強盗罪】

強盗罪は,暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合に成立します(刑法第236条第1項)。
強盗罪の法定刑は,5年以上の有期懲役です。

強盗罪における暴行・脅迫は,反抗を抑圧するに足りる程度の強さがなければなりません。
これは,暴行罪(刑法第208条)に規定されている暴行が,端的に人に向けられた有形力(物理力)であればよいとされているのに比べて,それが客観的に見て反抗を抑圧する程度のものであると認められる必要があることを意味します(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

強盗罪の暴行・脅迫は,財物を奪うための手段として行われる必要があります。
そのため,暴行・脅迫によって相手の反抗が抑圧された後に財物奪取の意思が生じたような場合には強盗罪とはなりません(大判昭和8年7月17日刑集12巻1314頁)。
ただし,財物奪取の意思を生じた後に新たに反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったことが認められれば強盗罪に問われる可能性があります。

また,強盗罪の暴行・脅迫の相手方は必ずしも財物の所有者に限られません。
例えば,過去の判例の中には,留守番をしていた10歳の子供に対して暴行・脅迫を加えて財物を奪取したときであっても強盗罪が成立するとされた事例があります(最判昭和22年11月26日刑集1巻1号28頁)。

そして,強盗罪の言う強取とは,暴行・脅迫によって相手方の反抗を抑圧し,財物の占有を移転することを意味します。
ここでの占有とは,財物に対する事実上の支配状況のことで,他者の管理の及んでいる状態(例えば,鍵付きの金庫に保管してある状態やすぐ手の届く場所に置いてある状態にあるなど)があれば占有があると認められる場合が多いです。

なお,相手方の反抗が抑圧されなかった場合について,財物を取得することができなかった場合は強盗未遂罪に問われる可能性があります。
暴行・脅迫を行ったものの被害者の反抗は抑圧されてはおらず任意に財物を差し出した場合について,学説上の争いはありますが,判例によれば強盗罪の既遂が認められるようです(最判昭和24年2月8日刑集3巻2号75頁)。

今回の場合,Aさんは店員に果物ナイフを突きつけて「金を出せ」と脅迫しています。
一般的にナイフなどの刃物を突き付けられた状態で「金を出せ」と脅迫された場合,お金を差し出さなければ刃物によって危害を加えられると考え,犯人に反抗することはできないでしょう。
よって,Aさんによる脅迫は店員の反抗を抑圧するに足りる程度のものであったと認定される可能性が高いです。

Aさんは現金などの財物を領得するに至っていませんので,今回のケースではAさんは強盗未遂罪に当たる可能性が高いです。

【銃刀法違反】

今回のAさんは果物ナイフを強盗目的で携行していたと考えられます。

銃刀法(正式名称:銃砲刀剣類所持等取締法)は第22条で「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては,内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない」と規定しています。
違反した場合は同法第31条の18第3号の定めにより2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。

ただし例外があって,刃体の長さが8センチメートル以下の刃物で携帯が認められるものとして,施行令第37条に以下のものが挙げられています。

・刃体の先端部が著しく鋭く,かつ,刃が鋭利なはさみ以外のはさみ
・折りたたみ式のナイフであって,刃体の幅が1.5センチメートルを,刃体の厚みが0.25センチメートルをそれぞれ超えず,かつ,開刃した刃体をさやに固定させる装置を有しないもの
・法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが8センチメートル以下のくだものナイフであって,刃体の厚みが0.15センチメートルを超えず,かつ,刃体の先端部が丸みを帯びているもの
・法第22条の内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが7センチメートル以下の切出しであって,刃体の幅が2センチメートルを,刃体の厚みが0.2センチメートルをそれぞれ超えないもの

事件の概要からは明らかでありませんが,Aさんの果物ナイフが施行令第37条の規定に該当するものでない限り,銃刀法違反の適用も考えられます。

【弁護活動】

Aさんのように逮捕・勾留されている場合,逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを示し早期の身体拘束状態からの解放を目指すことになるでしょう。

また,強盗事件の場合,被害者と示談を行うことによって,示談内容にもよりますが,不起訴や執行猶予を獲得できる可能性を高めることもできます。

犯行内容の悪質性が低いことを示したり,動機が本人の責任に完全には問えない事情であったということを示すことも有効な場合があります。

これらの活動は可能な限り早期から行わなければ十分な効果を発揮できません。

強盗罪あるいは強盗未遂罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が滋賀県東近江警察署に逮捕されてしまってお困りの方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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