教え子と性交したとして、児童福祉法違反の罪で大津地方検察庁が起訴した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大津地検は24日、教え子にホテルでみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪で、(中略)教諭の男(39)を起訴した。
(中略)
起訴状によると、男は授業を担当していた女子生徒が18歳未満と知りながら、教諭としての立場を利用し、(中略)滋賀県内のホテルで性交した、としている。
(4月24日 京都新聞 「公立中教諭が教え子の女子生徒とホテルで性交 児童福祉法違反で起訴 滋賀・大津」より引用)
前回のコラムでは、今回の事例について、児童福祉法違反で有罪になってしまう可能性があると解説しました。
今回のコラムでは、児童福祉法違反における弁護活動についてご紹介します。
起訴と裁判
刑事事件では、全ての事件が裁判になるのではなく、起訴された場合に裁判が行われます。
今回の事例では、被告人が児童福祉法違反の罪で起訴されていますので、後日、裁判が開かれることになります。
裁判で有罪になると、懲役刑などの刑罰が科されることになります。
今回の事例の起訴罪名である児童福祉法違反の場合ですと、児童に淫行をさせた場合の法定刑は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科(児童福祉法第60条1項)ですので、有罪になった場合には懲役刑か罰金刑、又はその両方が科されることになります。
しかし、有罪になったからといって、必ずしも刑が執行されるわけではありません。
有罪判決が下されたとしても、執行猶予付きの判決を得ることができれば、刑の執行が猶予されます。
また、執行猶予付きの判決は如何なる場合でも付けられるというわけではなく、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに情状により付けられる場合があります。(刑法第25条)
淫行をさせた場合における児童福祉法違反の法定刑は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科です。
この量刑は同じ未成年者を被害者とする、滋賀県青少年の健全育成に関する条例違反の法定刑である1年以下の懲役または50万円以下の罰金(滋賀県青少年の健全育成に関する条例第27条1項)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の法定刑である5年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条)と比較しても重く、初犯であっても執行猶予が付かないケースもあります。
児童福祉法違反と弁護活動
示談を締結することで、科される刑を軽くしたり、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
児童福祉法違反のように被害者が未成年者であった場合、被害者の代理人として保護者と示談を締結することになります。
ですので、示談交渉も被害者本人ではなく保護者に対して行うことになります。
示談交渉を行う際には、連絡先を教えてもらうことから始めるのですが、加害者が自ら示談交渉を行う場合には、直接やり取りを行いたくない気持ちから連絡先を教えてもらえない可能性が高いです。
また、今回の事例のような児童福祉法違反の場合は、被害者の保護者が示談交渉の相手になりますので、被害者が成人である場合よりも、一般的に処罰感情が苛烈である場合も少なくなく、示談の締結が困難になってしまう可能性があります。
弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、示談を締結できる場合がありますので、示談交渉を行う際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、取調べで作成される調書は、裁判で証拠として扱われます。
取調べでは、供述の誘導が行われる可能性がありますし、あなたの意に反した供述調書が作成される危険性もあります。
意に反した供述調書あっても、裁判では重要な証拠になってしまいますので、不利にならないようにするためにも、弁護士と打合せを行い、しっかりと取調べ対策を行っておくことが重要になります。
加えて、児童福祉法違反の場合には、前回のコラムでも解説したように、被害者との関係性や影響を与えた程度が重要になり、取調べについてもこの点を重点的に聞かれます。
この点について自身の認識と異なる内容の調書が作成されれば、起訴、不起訴の判断や量刑において不利な判断をされれる可能性があります。
弁護士と事前に取調べ対策を行うことで、あなたの意に反した供述調書の作成を防ぎ、執行猶予付き判決の獲得など、あなたにとって良い結果につながるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
児童福祉法違反でお困りの方、執行猶予付き判決の獲得を目指している方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。