盗品のトレーディングカードを買い取った疑いが持たれている事件について弁護士法人あいち刑事事件
総合法律事務所が解説します。
事案
滋賀県大津北警察署は、盗品等有償譲受け罪の容疑で、滋賀県大津市在住の男子大学生(21)を逮捕した。
逮捕容疑は、滋賀県大津市内のトレーディングカード専門店で盗まれたトレーディングカード数十点(60万円相当)を、50万円で買い取った疑い。
容疑者は盗品とは知らなかったと容疑を否認している。
(2月1日京都新聞「高級時計店強盗、盗品の腕時計を売却 容疑で男女4人逮捕 指示役は「あいと」」を参考にしたフィクションです。)
盗品等有償譲受け罪とは
刑法256条1項
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
同2項
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
盗品等有償譲受け罪とは、刑法256条が規定する盗品等に関する罪の1つで、盗品等を窃盗罪などの犯罪で得られたものだと知りながら有償で譲り受ける犯罪です。
本件では、男子大学生は盗品であるトレーディングカードを50万円で買い取ったとされています。
ですので、盗品であると知りながら買い取ったのであれば、盗品等有償譲受け罪が成立する可能性があります。
ところで、本罪の法定刑は、10年以下の懲役「及び」50万円以下の罰金とされており、本罪の前提となる財産に対する罪(以下、本犯と言います)、例えば窃盗罪の法定刑である10年以下の懲役「又は」50万円以下の罰金(刑法第235条)よりも重くなっています。
なぜでしょうか?
これは、盗品等に関する罪の本犯助長性、すなわち窃盗罪などの本犯を事後的に援助することにより窃盗罪等の財産犯を一般的に助長・誘発する性質が考慮されたためと考えられています。
本件でいうと、トレーディングカードを盗んだ犯人は、盗品を買い取ってくれる人がいることで、「また盗んでこよう」というような気になってしまうおそれがあります。
盗品であることの認識
盗品に関する罪は、故意犯です。
故意犯とは、簡単にいうと自分のする行為が犯罪であるとわかった上で実行する犯罪のことです。
本件になぞらえると、トレーディングカードが盗品等である可能性を男子大学生が認識していることが、盗品等有償譲受け罪の成立に必要ということになります。
男子大学生は、盗品であることを知らなかったとして容疑を否認していますから、取調べや裁判ではこの点が争点になりそうです。
弁護士に早めの相談を
逮捕された男子大学生は、警察官や検察官から取調べを受けることになります。
トレーディングカードの購入時に盗品であることを本当に知らなかったのであれば、盗品等有償譲受け罪は成立しませんので、盗品だと知らなかったことをしっかり説明する必要があります。
盗品だと知らなかったことを、きちんと供述することで、嫌疑不十分として不起訴処分を得られる可能性があります。
取調べでは、警察官や検察官に供述を誘導されることがあります。
例えば、今回の事例では、60万円相当のトレーディングカードを50万円で譲ってもらえることを怪しいと思わなかったのかなどと聞かれることがあるかもしれません。
実際に譲り受けた際に怪しいと思わなかったとしても、取調べでこのような聞き方をされれば、怪しいと思わない方が不自然だと考え、怪しいと思ったと答えてしまう可能性もあるでしょう。
先ほど書いたように、盗品等有償譲受け罪では、盗品等であるという認識が必要です。
ですので、盗品等であるという確定には至らなかったとしても、少しでも犯罪で得られたものかもしれないといった認識があったのであれば、盗品等有償譲受け罪が成立してしまうおそれがあります。
取調べで作成される供述調書は裁判で証拠として扱われます。
ですので、取調べでトレーディングカードが盗品である可能性を認識していたと捉えられかねない不適切な供述をしてしまうと、不利な証拠が作成されてしまうおそれや、後の裁判で窮地に陥ってしまう可能性があります。
取調べで何をどう話せばいいのかを自分で判断することは非常に困難です。
取調べを受ける前に法律のプロである弁護士に一度相談しアドバイスを得ることを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗品等に関する事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
刑事事件に詳しい弁護士に事前に相談して取調べのアドバイスを得ることで、不起訴処分や無罪判決を得られるかもしれません。
できるだけ早い段階で一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881にて受け付けております。