盗撮事件を再び起こしてしまったら
盗撮事件を再び起こしてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、滋賀県大津市内の駅構内で、自分の目の前に立っていた女性客Vさんのことが気になり、Vさんのスカートの中を盗撮しようとカメラを起動させた自身のスマホをVさんのスカート内に差し入れました。
周囲の利用客がAさんの行動に気づき、Aさんを取り押さえ、通報。
これによってAさんは滋賀県大津北警察署の警察官から警察署で話を聞かれることになりました。
家族が身元引受人となったことで逮捕されずに帰宅を許されたAさんでしたが、実は半年前にも盗撮事件を起こし、示談の結果不起訴となったことがありました。
Aさん自身は「前回も不起訴だったのだからまた示談をすれば大丈夫」と考えていましたが、家族の勧めから弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・滋賀県迷惑防止条例と盗撮
滋賀県で盗撮行為をしてしまった多くの場合、成立する犯罪は滋賀県迷惑防止条例違反(正式名称:滋賀県迷惑行為等防止条例違反)となるでしょう。
多くの都道府県がそうであるように、滋賀県でも迷惑防止条例が定められ、痴漢や盗撮といった迷惑行為が規制されているのです。
滋賀県迷惑防止条例のうち、盗撮行為に関連する条文は以下の条文です。
滋賀県迷惑防止条例3条
1項 何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。
2号 人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
3号 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2項 何人も、公共の場所、公共の乗物または集会所、事務所、学校その他の特定多数の者が集まり、もしくは利用する場所にいる人の下着等を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を人に向け、または設置してはならない。
3項 何人も、公衆または特定多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、当該状態にある人の姿態を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機等を人に向け、または設置してはならない。
今回のAさんは、滋賀県大津市内の駅構内で盗撮行為をしようとカメラを起動したスマホをVさんのスカート内に差し入れています。
もしも盗撮できていたとすれば滋賀県迷惑防止条例3条1項2号に、盗撮できていなかったとしても滋賀県迷惑防止条例3条2項に違反することになると考えられます。
・盗撮事件を再び起こしてしまったら
今回の事例のAさんは、半年前にも盗撮事件を起こしてしまい、今回再び盗撮事件を起こしてしまったということのようです。
Aさんは前回盗撮事件を起こしてしまった際に不起訴となったことから、今回も不起訴となると考えているようです。
盗撮事件では、初犯であり、被害者の方への謝罪や弁償ができて被害者の方からお許しをいただいているような状況であれば、たしかに不起訴となる可能性が高まります。
前回のAさんの盗撮事件でも、そういった状況であったのでしょう。
不起訴となれば、法廷で裁判を受ける必要もなく、罰金や懲役刑といった刑罰を受けることもないため、前科がつくこともありません。
しかし、不起訴となり前科がつかないからといって、犯罪をしたという事実が全くなくなるというわけではありません。
捜査機関には「前歴」という形で犯罪の容疑をかけられ捜査をされたというデータが残ることになります。
ですから、Aさんの場合、前科はないものの、盗撮事件を起こした前歴はある、ということになるのです。
この前歴があるからといって何かの資格に影響するといったことはありません。
ですが、同種の犯罪の前歴があれば、刑事事件の処分に考慮されることは十分考えられます。
特に、前歴との期間が短い間に再度同種の犯罪を犯しているような場合には、厳しい処分が下されることもあります。
Aさんが考えているように、「今回も示談できれば不起訴」とはいかない可能性もあると考えられるでしょう。
刑事事件では、「前回は大したことにならなかったから今回も大丈夫」とはいきません。
犯罪を繰り返すごとに、処分はどんどん重くなっていってしまいます。
だからこそ、今起こしてしまった刑事事件だけでなく、その後の再犯防止のためにも、刑事事件に強い弁護士と協力しながら対応にあたることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料法律相談のご予約をいつでも受け付けています(0120-631-881)。
盗撮事件などの刑事事件を起こしてしまった方、刑事事件を繰り返し起こしてしまってお悩みの方やそのご家族は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。