部下に同意を得たうえで性行為し、不同意性交等罪の疑いで逮捕された事例①

部下に同意を得たうえで性行為し、不同意性交等罪の疑いで逮捕された事例①

警察官に取調べを受ける男性

不同意性交等罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県大津市にある会社で部長を務めるAさんは、新入社員のVさんに好意を抱きました。
一緒に仕事をしていくうえで、Aさんは、Vさんも自分と同様に好意を抱いているのではないかと思うようになり、Aさんは休日に一緒に出掛けないかとVさんを誘いました。
Vさんが確実に好意を抱いていると確信したAさんは、Vさんと出掛けた際に、Vさんに性行為をしてもいいか尋ね、同意を得たうえで行為に及びました。
Vさんは帰宅後すぐに滋賀県大津警察署に被害を相談し、Aさんは不同意性交等罪の疑いで逮捕されました。
Aさんは性行為について同意を得ていたとして容疑を否認しているようです。
(事例はフィクションです。)

不同意性交等罪

刑法第177条1項
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

不同意性交等罪は刑法第177条で規定されています。
刑法第177条1項が規定する「前条第一項各号」とは、刑法第176条1項のことを指します。
刑法第176条では、不同意わいせつ罪が規定されており、同条1項では、
「暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。」
「心身の障害を生じさせること又はそれがあること。」
「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」
などの行為又は事由が8つ規定されています。

不同意性交等罪は大まかに説明すると、相手の同意を得ずに性行為を行うと成立する犯罪です。
今回の事例では、AさんはVさんから同意を得ているようですが、Aさんに不同意性交等罪は成立するのでしょうか。

事例と不同意性交等罪

先ほど少し触れましたが、刑法第176条1項で掲げる事由の一つとして、「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」があります。
今回の事例では、Aさんは会社の部長である一方で、Vさんは新入社員ですから、Aさんの方がVさんよりも会社内での地位が高いといえるでしょう。
立場が上であるAさんを拒むことで、今後同じ職場で働いていくうえで多大な不利益を被るのではないかとVさんは心配になって、Aさんを拒むことができずに性行為に同意したのかもしれません。
このような場合では、Vさんは社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮している状態だといえるでしょう。
ですので、Vさんは本心では同意したくなかったが、上司であるAさんを拒んだことで悪影響があるのではないかと心配して性行為に同意したのであれば、Aさんに不同意性交等罪が成立する可能性があります。

また、性行為の相手が13歳以上16歳未満のとき、相手と5歳以上の年の差がある場合には同意の有無にかかわらず不同意性交等罪が成立します。
※13歳未満の場合には、相手との年の差に関係なく不同意性交等罪が成立します。
中学卒業と同時に就職したのであれば、Vさんは15歳でしょうから、Aさんが5歳以上年上の場合には、Vさんから本心で同意を得ていたとしてもAさんに不同意性交等罪が成立することになります。

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同意を得ていたにもかかわらず不同意性交等罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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