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【事例紹介】狂犬病予防法違反、不正競争防止法違反で罰金刑

2022-12-14

【事例紹介】狂犬病予防法違反、不正競争防止法違反で罰金刑

狂犬病予防法違反不正競争防止法違反の罪で罰金刑を下された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)無登録で犬199匹を飼い、うち179匹に狂犬病ワクチンを接種させなかったとして、滋賀県東近江区検は24日までに、狂犬病予防法違反の罪で東近江市のブリーダーの男性(63)を略式起訴した。
(中略)ヨークシャーテリア1匹をチャンピオン犬の子と誤認させるような表示をし、19万3千円で販売した不正競争防止法違反の罪でも略式起訴した。ともに9日付。東近江簡裁は15日、罰金100万円の略式命令を出した。
一方、販売予定の犬に動物用医薬品を注射した獣医師法違反容疑については、起訴猶予となった。
(後略)
(11月24日 京都新聞 「179匹のわんちゃん、狂犬病ワクチン打たず ブリーダー男性に罰金100万円」より引用)

狂犬病予防法

狂犬病予防法第4条1項では、犬の所有者は犬を取得した日から30日以内に犬の登録を申請しなければならないと定めています。

また、狂犬病を予防するため、犬の所有者は毎年1回狂犬病の予防接種を受けさせなければなりません。(狂犬病予防法第5条1項)

今回の事例では、ブリーダーの男性が199匹の犬を無登録で飼い、その内の179匹の犬に狂犬病のワクチンを打たせてなかったとの報道がされています。
犬の登録と狂犬病のワクチンを打たせることは法律で義務付けられていますので、その義務に違反したことで、男性は狂犬病予防法違反で略式起訴されたということでしょう。

狂犬病予防法第4条、5条どちらに違反した場合も20万円以下の罰金が科されることになります。(狂犬病予防法第27条)

不正競争防止法

商品などの品質や内容などについて誤認させるような表示をし、譲渡すると、不正競争にあたります。(不正競争防止法第2条1項20号)
このような不正競争を行い有罪になった場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその両方が科されます。(不正競争防止法第21条2項1号)

今回の事例では、男性が商品であるヨークシャーテリアの内容について、チャンピオンの子であると誤認させるような表示を行い、販売(譲渡)したとされており、このような行為は不正競争防止法違反にあたります。

獣医師法

獣医師法第17条では、獣医師でなければ飼育動物(犬など)の診療を業務としてはならないと規定しています。

犬に動物用医薬品を注射する行為は飼育動物の診療にあたりますので、男性が犬に注射していた行為は獣医師法違反になります。
ですので、男性は獣医師法違反の容疑で捜査されていたのでしょう。

今回の事例では起訴猶予(不起訴処分)になっていますが、獣医師法違反で有罪になっていた場合には、2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。(獣医師法第27条1号)

今回の事例のように商品に対して誤認させるような表示を行っていた場合、不正競争防止法違反に問われることがあります。
そのような場合に有罪になってしまうと、懲役刑を下される可能性がありますし、高額な罰金を科される可能性もあります。

しかし、示談交渉などの弁護活動によって、執行猶予不起訴処分などの獲得を目指せるかもしれません。

また、狂犬病予防法違反獣医師法違反についても、弁護士による検察官への働きかけなどによって、あなたにとってより良い結果を得られる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では無料法律相談を行っています。
不正競争防止法違反狂犬病予防法違反獣医師法違反でお困りの方は、ぜひ一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

【事例紹介】ブランドと類似した商標を使い、商標法違反で逮捕

2022-11-30

【事例紹介】ブランドと類似した商標を使い、商標法違反で逮捕

ブランドと類似した商標を使い逮捕された事件を基に、商標法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警木之本署は17日までに、商標法違反の疑いで、滋賀県多賀町の会社員の男(29)と同県彦根市の会社員の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は、共謀し、昨年9月から今年3月、インターネットオークションで、衣料品ブランド(中略)に類似する商標を付けた長袖シャツなど計4点を計2万2千円で販売し、商標権を侵害した疑い。
(後略)
(11月17日 京都新聞 「シャツに「ポロ・ラルフローレン」類似の商標 ネット販売の男ら容疑で逮捕、衣類400点押収」より引用)

商標権侵害

自分の業務で扱う商品について商標登録を行うことができ、その登録されている商標について、第三者が類似した商標などを勝手に使用した場合は商標権侵害にあたります。
商標権は商標法で規定されており、商標権侵害の罰則についても商標法に規定されています。

今回の事例の報道によれば、男性2人が共謀して衣料品ブランドに類似する商標を付けた商品を販売したとされています。
衣料品ブランドはおそらく商標登録を行っているでしょうから、類似した商標を当該ブランドと無関係の者が勝手に使用した場合には商標権侵害にあたります。
報道が事実であり、容疑者が商標法違反で有罪になった場合には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその両方が科されることになります。(商標法第78条)

詐欺罪

今回の報道が事実であり、類似する商標を付けた商品を本物だと偽り販売していた場合には、逮捕容疑として挙げられている商標法違反だけではなく、詐欺罪に問われる可能性もあります。

詐欺罪は、大まかに説明すると、取引の相手方に対して取引などで重要なことについてうそをつき、だまされた相手からお金を受け取った際に成立します。
例えば、偽物のブランド用品を本物だと偽って販売し、そのうそを信じた人からお金を受け取った場合などが詐欺罪にあたります。

今回の事例では、インターネットオークションで衣料品ブランドと類似する商標を付けた長袖シャツなどを販売したと報道されています。
販売していたことが事実であり、もしも、その類似する商標を付けた商品を本物のブランド品であると偽って販売し、お金を得ていたのであれば、うそをついてお金を受け取ったことになりますので、詐欺罪が成立する可能性があります。

また、詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役(刑法第246条1項)ですので、もしも詐欺罪が成立し有罪になってしまった場合には、懲役刑が科されることになります。

逮捕されている事件(身柄事件)の場合には、早期に釈放に向けた弁護活動を開始し、裁判所や検察庁へ働きかける機会を逃さないことが重要になります。
裁判所や検察庁への働きかけを行うためにも、書類などを準備する時間が必要になりますので、逮捕後すぐに釈放に向けた活動を行うことが望ましいといえます。
また、今回の報道からでは認否がわかりませんが、冤罪をかけられた場合など事件について否認している場合はとりわけ厳しい取調べが行われるかもしれません。
取調べは1日かけて行われることがあり、長時間にわたる取調べが多大なストレスになる場合もあるでしょう。
弁護士によるアドバイスで、取調べのストレスを少しでも軽減できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件の豊富な経験をもつ法律事務所です。
現在、取調べでの対応でご不安な方、商標法違反詐欺罪逮捕、捜査されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~ストーカー規制法違反

2022-11-09

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~ストーカー規制法違反

ストーカー規制法違反で控訴中に、建造物侵入罪、ストーカー規制法違反で逮捕された事件を基に、ストーカー規制法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
(建造物侵入罪については前回のコラムをご覧ください。)

事例

滋賀県警米原署は19日、建造物侵入とストーカー規制法違反の疑いで、滋賀県彦根市の男(34)を逮捕した。
(中略)つきまといなどの禁止命令を受けたにもかかわらず、(中略)同県米原市の(中略)女性の集合住宅敷地内に入って押しかけ、禁止命令に違反した疑い。
容疑を否認しているという。
男は2月、この女性にストーカー行為をしたとして、同署に逮捕された。
大津地裁長浜支部で5月、同規制法違反の罪で罰金30万円の判決を受けたが、不服として控訴中。
(10月19日 京都新聞 「ストーカー行為で控訴中の34歳男、40代女性住居の敷地内入った疑いで逮捕」より引用)

ストーカー規制法

ストーカー規制法では、恋愛感情や好意、それに付随した感情などをもって、特定の人やその家族などに以下の行為をすることを禁止しています。

①家への押しかけや、つきまとい、待ち伏せ、家などの周辺をうろつく行為
②監視ていると相手に思い込ませる行為
③会うことや交際を要求する行為
④乱暴な言動
⑤拒否されているにも関わらず電話やメールを繰り返したり無言電話をかける行為
⑥汚物や動物の死体などの送り付けや、それらを相手が目にするような場所に置くなどの行為
⑦相手の名誉を害する内容を告げたり、相手がそのことについて知れるようにする行為
⑧わいせつ物などを送ったり、相手がそのわいせつ物を目にするような状態にする行為

ストーカー規制法では、以上8つの禁止行為をまとめて、「つきまとい等」といいます。
また、ストーカー行為とは、特定の人に繰り返し、上記のつきまとい等を行う行為のことを指します。

ストーカー行為をした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。(ストーカー規制法第18条)
また、禁止命令に違反してストーカー行為やつきまとい等を行った場合には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。(ストーカー規制法第19条1項、同条2項)

報道内容が事実であれば、容疑者は被害者が住む集合住宅敷地内に入って押しかけていることから、容疑者の行為は①家への押しかけや家の周辺をうろつく行為に当てはまると思われます。
容疑者が被害者に対してどういった感情を持っているのかは報道から読み取ることはできませんが、もしもストーカー規制法に該当するような感情を持っていた場合、①の行為はつきまとい等に該当するので、今回の事例の容疑者はストーカー行為法に違反しているといえます。

今回の事例では容疑者は容疑を否認をしていますが、報道の逮捕容疑のように禁止命令に違反して、つきまとい等の行為を行った場合、有罪になれば2年以下の懲役または200万円以下の罰金になり、禁止命令が出される前の法定刑に比べて格段に重くなってしまいます。

また、今回の事例では容疑者は略式命令による罰金30万円の判決を控訴しています。
控訴審では、今回の事例の建造物侵入罪、禁止命令に違反したつきまとい等の行為(ストーカー規制法違反)も加味して判断されることになりますので、報道内容が事実であり、なおかつ有罪になってしまった場合には罰金30万円よりも重い量刑が科されるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
刑事事件に熟知した弁護士を付け、示談の交渉や検察官への処分交渉などを行うことにより、あなたにとってより良い結果を得られる可能性があります。
弊所では、初回接見サービスや無料法律相談を行っています。
建造物侵入罪、ストーカー規制法違反に限らず、刑事事件で捜査・逮捕されている方、ご不安な方は一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~建造物侵入罪

2022-10-26

【事例紹介】ストーカー規制法違反で控訴中の逮捕~建造物侵入罪

ストーカー規制法違反で控訴中に、建造物侵入罪、ストーカー規制法違反で逮捕された事件を基に、建造物侵入罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警米原署は19日、建造物侵入とストーカー規制法違反の疑いで、滋賀県彦根市の男(34)を逮捕した。
(中略)つきまといなどの禁止命令を受けたにもかかわらず、(中略)同県米原市の(中略)女性の集合住宅敷地内に入って押しかけ、禁止命令に違反した疑い。
容疑を否認しているという。
男は2月、この女性にストーカー行為をしたとして、同署に逮捕された。
大津地裁長浜支部で5月、同規制法違反の罪で罰金30万円の判決を受けたが、不服として控訴中。
(10月19日 京都新聞 「ストーカー行為で控訴中の34歳男、40代女性住居の敷地内入った疑いで逮捕」より引用)

建造物侵入罪

建造物侵入罪を簡単に説明すると、管理者などの許可なく建造物(人が現在住んでいる家や空き家などを除いた建物)に侵入すると適用される罪名です。

今回の事例では、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したと報道されています。
集合住宅には人が住んでいるのに、なぜ建造物侵入罪が適用されているのでしょうか。
今回の事例で建造物侵入罪が適用されている理由について解説していきます。

刑法では、現在人が日常生活を送っている建物を住居、住居用に建てられた現在人が日常生活を送っていない建物(空き家など)を邸宅と定義しています。
そして、この住居、邸宅以外の建物を建造物と定義しています。
また、生活に適した建物で “現在“日常生活を送っていれば住居にあたるので、宿泊中のホテルの一室なども住居にあたります。

では、集合住宅について考えていきましょう。

集合住宅には多数の部屋があり、空き部屋でない限りはその一室一室に人が住み、日常生活を送っています。
集合住宅の部屋(居住部分)は人が住むために建設されいるので、当然生活に適した建物だといえるでしょう。
生活に適した建物で現在生活が送られている場所は住居になるので、人が住んでいる集合住宅内の一室は住居に該当します。

次に集合住宅の共有部分について考えていきましょう。

例えば、集合住宅の廊下はどうでしょうか。
廊下は多数の人が使用するので人の出入りが多いはずですし、そもそも廊下は通行のためにあるわけですから、人がその場所で生活することは想定されていないでしょう。
そのような場所で生活をすることは困難でしょうから、人が生活するのに適しているとは言えませんし、そのような場所に住む(日常生活を送る)人もいないと思われます。
以上のことから集合住宅の廊下は住居、邸宅にはあたらないので、建造物だといえます。

廊下以外の共有部分、例えばエントランスなどであっても同様のことがいえるでしょうから、集合住宅の部屋以外は建造物だと考えても差し支えはないはずです。

ですので、集合住宅の敷地内の人が住む場所(居住部分)に侵入すれば住居侵入罪にあたりますし、それ以外の場所(空き部屋を除く)であれば建造物侵入罪が成立します。
また、許可なく住居や建造物に侵入した場合に住居侵入罪や建造物侵入罪は適用されますので、立ち入りが許可されている場合には住居侵入罪、建造物侵入罪は成立しません。

今回の事例の報道には、容疑者が集合住宅の敷地内に侵入したとしか記載されていません。
容疑者が被害者の住む部屋に侵入していれば住居侵入罪になりますし、部屋以外の場所であれば建造物侵入罪が適用されることになります。
今回の報道が事実であれば、容疑者が建造物侵入罪で逮捕されていることから、おそらく集合住宅の廊下など部屋などの居住部分以外の場所に侵入したのでしょう。

建造物侵入罪の量刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。(刑法第130条)
仮に、容疑者の男性が建造物侵入罪で有罪になってしまった場合には、3年以下の懲役か10万円以下の罰金のどちらかが科されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では逮捕、捜査された方に向けて初回接見サービス、初回無料法律相談を行っています。
建造物侵入罪、ストーカー規制法違反、その他の刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120―631―881で24時間受け付けております。

次回のコラムでは、同じ事例を用いてストーカー規制法違反について解説します。

【事例紹介】禁止区域内で性的サービス 風営法違反で逮捕

2022-10-19

【事例紹介】禁止区域内で性的サービス 風営法違反で逮捕

禁止区域内で性的サービスを提供し、風営法違反逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警大津署などは13日、風営法(禁止地域営業)違反の疑いで、(中略)の経営者(43)と従業員の女(30)=いずれも同市=を逮捕した。
逮捕容疑は、経営者は9月28日、風俗店の営業禁止地域にある同店の個室で、男性客に対する性的サービスを従業員の女にさせた疑い。
女はほう助した疑い。
同署によると2人は容疑を認めているという。
(10月13日 京都新聞 「客に性的サービス、個室マッサージ店経営者ら容疑で逮捕」より引用)

店舗型性風俗特殊営業

風営法では、店舗に個室を作り、その個室内で異性の客の性的好奇心に応じて性的なサービスを提供する営業を「店舗型性風俗特殊営業」として規定しています。(風営法第2条6項2号)

今回の事例では、店舗の個室内で性的なサービスを異性に提供していたとされていますが、それが事実であれば、事例の店舗は風営法上の店舗型性風俗特殊営業にあたると考えられます。

店舗型性風俗特殊営業の禁止区域

風営法第28条では、店舗型性風俗営業の禁止区域を定めています。
官公庁施設や学校、児童福祉施設などの周囲200メートルの区域内、各都道府県の条例が定める禁止地域では、店舗型性風俗営業を禁止されています。(店舗型性風俗営業について届出書を提出している場合を除きます。)

風営法に違反し、禁止区域内で店舗型性風俗営業を行って有罪になった場合は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方が科されます。(風営法第49条5号、6号)

今回の事例の報道には、届け出の有無は記載されていないのでわかりませんが、もしも営業の届け出を行っていないのであれば、容疑者2人は禁止区域内で店舗型性風俗営業を行っているので、風営法に違反していることになります。

今回の事例のように逮捕されてしまった場合には、早期に弁護活動を行うことが重要になってきます。
あなたの大切な方が逮捕された際には、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所では逮捕された方に向けて初回接見サービスを行っております。
初回接見サービスのご予約は0120―631―881までご連絡ください。

【事例紹介】滋賀県長浜市 グラウンドに侵入して建造物侵入罪

2022-09-14

【事例紹介】滋賀県長浜市 グラウンドに侵入して建造物侵入罪

滋賀県長浜市にある中学校のグラウンドで車を走行させ、建造物侵入罪で逮捕された事例を弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

8日午前9時5分ごろ、滋賀県長浜市高田町の長浜西中で、「不審な車がグラウンドを走り回り、横転した」と110番があった。生徒らにけが人はなかった。
滋賀県警長浜署は、建造物侵入の疑いで、現場にいた運転者の同市の女(48)を現行犯逮捕した。
(後略)
(9月8日 京都新聞 「中学校のグラウンド「不審な車走り回り、横転」 侵入容疑で48歳の女逮捕」より引用)

建造物侵入罪

建造物侵入罪は、刑法第130条で規定されています。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第130条では建造物以外のものへの侵入に対する犯罪も規定されており、住居、邸宅、建造物、艦船に侵入した場合にも刑法第130条に該当することになります。

刑法第130条で定められる建造物は、日々生活を行う場所(住居)や、人が住むために造られた住居以外の建造物(邸宅)を除いた建造物を指します。
今回事件があった学校のほか、工場や商業施設、会社などがこの建造物にあたります。

では、今回の事例に当てはめて考えていきましょう。

今回の事例ではグラウンドを車が走り回り、運転していた女性が建造物侵入罪で逮捕されています。
グラウンドは日々生活を行う場所ではありませんし、人が住むための建物でもありませんので住宅や邸宅にあたらないことがわかります。

次に、グラウンドが刑法第130条でいう「建造物」にあたるのという問題ですが、そもそもグラウンドは「建造物」といえるのでしょうか。
こうした部分から、今回の事例の女性が建造物侵入罪で逮捕されたことに疑問を持った方も多いと思います。
では、なぜグラウンドへの侵入が建造物侵入罪にあたるのかを1つの判例を用いて解説していきます。

ご紹介するのは、その裁判の被告人らの行為が建造物侵入罪にあたるのかについて争われた事件の判例です。
この事件では、被告人らは、ほか数十名の学生らとともに、正門を閉鎖し通路を金網柵で遮断された部外者以外立ち入り禁止のA構内へ、金網柵を引き倒して乱入しました。
被告人らが侵入した場所は、A建物の通用門からC構内の建物やグラウンドへの通路、並びに駐車場に利用されている土地でした。

この建造物侵入事件の第1審では、被告人両名に懲役3月執行猶予2年に処しましたが、その後の控訴審では建造物侵入罪にあたらないとして無罪を言い渡しました。

その後の上告審で、その土地が、建物に接してその周辺に存在し、管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置し、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることを明示されれば、囲繞地にあたると裁判官は判断しました。
刑法第130条で規定されている「建造物」には囲繞地が含まれており、囲繞地に侵入した場合は建造物侵入罪が成立します。

今回の被告人らが侵入した土地は、A建物の囲繞地であり建造物侵入罪にあたるため、東京高等裁判所への差し戻しが決まりました。
昭和51年3月4日 最高裁判所より)

つまり、この判例によると、土地が門や塀などに囲まれていて建物の附属地として使用されていれば囲繞地=建造物侵入罪の対象である「建造物」として認められます。

では、今回の事例のグラウンドは囲繞地にあたるのでしょうか。
事例に当てはめて考えていきましょう。

通常、中学校のグラウンドは門や塀、柵などで囲まれて、外の道路などとは分けられていることが多いでしょう。
また、グラウンドは校舎に接しているでしょうし、校舎の附属地でもあります。
グラウンドでは体育の授業などを行うでしょうから、校舎の附属地として利用されているといえます。
事例のグラウンドは囲繞地としての条件を満たしていますので、囲繞地にあたるだろうと考えられます。

となると、刑法第130条で規定している「建造物」には囲繞地も含まれますので、今回の事例の女性が建造物侵入罪で逮捕されたことは不思議ではないことがわかります。

このようにして、建造物侵入罪のような一般に名前が知られているような犯罪であっても、イメージ通りではないケースが存在します。
刑事事件の知識・経験のある弁護士に相談しておくことで、こうしたイメージとのギャップをなくして刑事手続へ適切に対応できるようになることが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在宅捜査を受けている方にも逮捕・勾留されて捜査を受けている方にもご利用いただけるサービスをご用意しています。
建造物侵入事件を含む刑事事件でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

【事例紹介】死亡事故、労働安全衛生法違反で書類送検

2022-09-07

【事例紹介】死亡事故、労働安全衛生法違反で書類送検

滋賀県で起きた労働安全衛生法違反事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県東近江労働基準監督署は2日、労働安全衛生法違反の疑いで、京都府八幡市のリサイクル会社と滋賀県湖南市の同社滋賀営業所の男性所長(47)を書類送検した。

書類送検容疑は、(中略)作業員(74)がフォークリフトにひかれ、死亡した事故で、フォークリフトと接触する恐れのある場所に作業員を立ち入らせない措置を講じなかった疑い。
(9月2日 京都新聞 「フォークリフトにひかれ作業員死亡、京都・八幡のリサイクル会社を書類送検」より引用)

労働安全衛生法

労働安全衛生法第21条
1、事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2、事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。

フォークリフトは荷役作業(荷物の運搬作業)に使われます。
また、労働安全衛生法では、荷役に生じる危険を防止するための措置の実施を義務付けています。

今回の事例ではフォークリフトにより事故が起きており、フォークリフトは荷役作業に使用されますので、事例の事故当時は荷役作業中だったと考えられます。
前述したように、荷役作業で生じる危険については防止措置を講じる必要がありました。
今回の事例では、「フォークリフトと接触する恐れのある場所に作業員を立ち入らせない措置を講じなかった」と記載されていることから、荷役作業の危険防止措置が講じられていなかったことが伺えます。
繰り返しになりますが、荷役作業に生じる危険に対して防止措置を講じることは事業者に科される義務です。
ですので、防止措置を講じなかった場合は、労働安全衛生法違反になります。
労働安全衛生法第21条に違反し有罪になった場合は、6月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科されます。(労働安全衛生法第119条)

では、実際に労働安全衛生法第21条で違反した場合はどのような量刑が科されるのでしょうか。
実際の事件を基に解説していきます。
※ご紹介する事件は労働安全衛生法第21条第2項に違反した事件です。今回の事例とご紹介する事件では事件内容が異なります。

この事例では、段ボール製造販売会社の工場で、屋根上の清掃作業をしていた男性が屋根の板部分を踏み抜き地面に墜落し死亡しました。
墜落防止措置を講じていなかったとして、労働安全衛生法違反の容疑で会社と次長が書類送検されました。
その後、会社と次長には、略式手続により罰金20万円が科されました。
(2021年12月2日 京都新聞 「屋根を踏み抜いて墜落死、会社と次長に罰金20万円の略式命令」より)

労働安全衛生法第21条第2項では、墜落するおそれのある場所の危険を防止する措置を講じなければならないと規定されています。
男性が墜落死した事件では、「墜落防止措置を講じていなかった」と記載されていることから労働安全衛生法第21条第2項に違反していると考えられます。

労働安全衛生法第21条第2項に違反した場合は、同条の第1項と同様の量刑が科されます。
ですので、今回の事例とご紹介した事件では事件内容や根拠となる条文が異なりますが、今回の事例でもご紹介した事件と同様に罰金刑が下される可能性があります。
罰金刑は前科になります。
前科が付いてしまうと資格のはく奪や、新しく資格を取得できなくなるおそれがあります。
早期に弁護士に相談し、弁護士が検察官に働きかけを行うことで不起訴処分を得られる可能性や、刑罰を軽減できる可能性があります。
労働安全衛生法違反でお困りの方は、刑事事件を多数取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】労災かくしの労働安全衛生法違反事件

2022-08-24

【事例紹介】労災かくしの労働安全衛生法違反事件

滋賀県で起きた労災かくしによる労働安全衛生法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東近江労働基準監督署は19日、労働安全衛生法違反(労災かくし)の疑いで、滋賀県甲賀市の製造業(中略)と同社の男性課長(45)を書類送検した。
書類送検容疑は、2020年8月25日、(中略)労働災害があったのに、今年4月28日まで同労基署に報告しなかった疑い。
(後略)
(8月19日 京都新聞 「作業員骨折を労基署に報告せず 労災かくし容疑で会社と課長を書類送検」より引用)

労災かくし

労働災害、いわゆる労災の報告を行わなかったことを労災かくしといいます。
労働災害の報告(労働者死傷病報告の提出)は、厚生労働省令である労働安全衛生規則第97条1項で義務づけられています。
労働災害の報告は義務ですので、報告を行わなかった場合には労働安全衛生法違反の罪に問われることになります。

ここで、労働災害の報告を義務付けているのは労働安全衛生規則ですから、労災かくしをした際の容疑が、労働安全衛生規則違反ではなく労働安全衛生法違反になっているのかと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
実は、労働安全衛生規則には罰則の規定はありません。
一方で、労働安全衛生法には報告についての規定があり、違反した場合の罰則もこちらの法律で定められています。

労働安全衛生法第100条
1 厚生労働大臣、都道府県労働局長または労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者またはコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、または出頭を命ずることができる。
3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者または労働者に対し、必要な事項を報告させ、または出頭を命ずることができる。

労働安全衛生法第120条
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
5 第100条第1項または第3項の規定による報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または出頭をしなかった者

労働安全衛生法第100条第1項をおおまかに説明すると、労働基準監督署長は厚生労働省令で定められている事項について事業者に報告させることができるということです。
前述しましたように、労働安全衛生規則は厚生労働省令ですので、労働災害の報告については労働安全衛生法第100条でも規定されていることになります。
労働安全衛生法第120条では、第100条第1項、第3項に定められた報告をしなかった場合は、50万円以下の罰金に処すると規定されていますので、労働災害を報告しなかった(労災かくしを行った)場合は50万円以下の罰金が科されることになります。

労災かくし労働安全衛生法違反はあまり耳なじみがないかもしれませんが、今年の6月に和歌山県でも、労災かくし事件が起こっています。
和歌山県の労災かくし事件でも、ご紹介した事例と同様に、会社と社長が労働安全衛生法違反の疑いで書類送検されています。
(6月10日 和歌山放送ニュース 「海南市の測量会社が「労災かくし」で書類送検」より)

労災かくしによる労働安全衛生法違反は、なじみのない刑事事件だけに、どのように対応すべきなのか分かりづらい部分もあるでしょう。
刑事手続自体も当事者だけで対応することに不安を感じるケースが多いでしょうから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
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【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件と公契約関係競売等入札妨害罪

2022-08-17

【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件と公契約関係競売等入札妨害罪

公契約関係競売入札妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県日野町発注の排水処理施設改修工事の入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの罪に問われた町上下水道課主任の男(43)の判決が28日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決によると、主任の男は2020年9月18日に行われた東桜谷地区農業集落排水処理施設の改修工事の指名競争入札で、大津市の水道設備メンテナンス会社の元営業工事部課長(57)=公契約関係競売入札妨害罪で有罪が確定=に、非公表の最低制限価格が810万円に近い金額だと教え、809万円で同社に落札させた。
(後略)
(7月28日 京都新聞 「滋賀・日野町の官製談合事件、町上下水道課主任の男に有罪判決 大津地裁」より引用)

公契約関係競売入札妨害罪

前回の記事では、談合事件が起こった際に官製談合防止法という特別法に違反する犯罪が成立するケースについて取り上げました。
しかし、談合事件で成立し得る犯罪はその官製談合防止法違反だけではありません。
今回の記事では、談合事件で成立し得る犯罪の1つであり、すでに有罪が確定している業者の男性が問われていた、公契約関係競売入札妨害罪という犯罪を取り上げます。

公契約関係競売入札妨害罪は、刑法第96条の6第1項で規定されています。

偽計または威力を用いて、公の競売または入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。(刑法第96条の6第1項)

「偽計」とは、分かりやすく言えば人を欺くこと、人の判断を誤らせるためにすることを指します。
例えば、特定の金額に最も近い入札価格を出した業者を落札者とする場合において、特定の業者にその金額を教えておき、その情報に基づいて業者に入札させるといった場合に、こうした「偽計」に当てはまる可能性が出てきます。
こうした偽計によって入札等の公正を害すべき行為をした場合に、公契約関係競売等妨害罪が成立することになります。
入札等の公正を害すべき行為という部分に関しては、そもそも特定の業者に入札予定価格などを教えてしまえば、その入札は不平等なものとなってしまいますから、入札の公正を害すべき行為といえるでしょう。

前回の記事で取り上げた官製談合防止法違反が公務員などの「職員」に行為者が限定されている一方、公契約関係競売等妨害罪はその罪を犯す者の限定はされていません。
実際に、今回取り上げた事例では、業者側の男性が公契約関係競売等妨害罪に問われて有罪判決を受けていることが報道されています。
町の職員であった男性については、公契約関係競売等妨害罪に問われているかどうかは報道からは明らかではありませんが、「官製談合防止法違反など」に問われているという表記から、容疑のかかった犯罪に公契約関係競売等妨害罪が含まれている可能性もあります。

官製談合防止法違反、公契約関係競売入札妨害罪の裁判例

ここで、今回の事例に類似した裁判例をご紹介します。

その裁判の被告人は、大阪市建設局企画部工務課の職員として積算等の職務に従事していました。
Aさんは電気工事を請負うB会社の経営に関与し入札業務等を統括していました。
Aさんは大阪市発注の電気工事等3件で、被告人に最低制限価格帯算出の根拠となる各直接工事費を教えてもらえるように頼み、被告人はAさんに工事費を教えました。
被告人とAさんを引き合わせたのは被告人の先輩にあたる職員であり、被告人は先輩職員の言に従って共犯者に求められるまま、工事費を教えていました。
被告人が受動的な面があることや前科前歴がなく反省していること、懲戒免職になり今後妻が被告人を支えていくことを約束したことが考慮され、被告人は官製談合防止法違反、公契約関係競売入札妨害罪で懲役1年6月執行猶予3年が言い渡されました。
(令和元年10月3日 大阪地方裁判所)

談合事件では、成立する犯罪が複数あることが予想されるだけでなく、そもそも事件の内容が複雑であることが多いです。
だからこそ、事件が発覚した段階からすぐに弁護士に相談し、事件の内容を整理し、今後の手続や被疑者・被告人の権利を把握した上で刑事手続きに臨むことが望ましいといえます。

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【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

2022-08-10

【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

官製談合防止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県日野町発注の排水処理施設改修工事の入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの罪に問われた町上下水道課主任の男(43)の判決が28日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決によると、主任の男は2020年9月18日に行われた東桜谷地区農業集落排水処理施設の改修工事の指名競争入札で、大津市の水道設備メンテナンス会社の元営業工事部課長(57)=公契約関係競売入札妨害罪で有罪が確定=に、非公表の最低制限価格が810万円に近い金額だと教え、809万円で同社に落札させた。
(後略)
(7月28日 京都新聞 「滋賀・日野町の官製談合事件、町上下水道課主任の男に有罪判決 大津地裁」より引用)

官製談合防止法

今回取り上げた事例は、町の職員であった男性が、官製談合防止法違反などの罪に問われたという談合事件のようです。
まずは、報道にも出ている「官製談合防止法違反」という犯罪について確認してみましょう。

官製談合防止法は、「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」の略称です。
職員による入札の妨害は、その第8条に規定されています。

職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、賃借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示することまたはその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役または200万円以下の罰金に処する。(官営談合防止法第8条)

条文によると、職員が特定の入札予定者に予定価格などの入札に関わる機密事項を教えた場合に、官製談合防止法違反が成立するということになります。
ここでいう「職員」とは、「国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員」とされています(官製談合防止法第2条第5項)。
つまり、大まかにまとめると、公務員や特定の法人の役員・職員が、特定の入札予定者に対して入札に関連する機密事項を教えることで、官製談合防止法違反となるのです。
こうした官製談合防止法違反で有罪となった場合には、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されることになります。(官製談合防止法第8条)

今回の報道の事例を考えてみましょう。
有罪判決を受けた男性は、町の水道課に勤務していたようですから、公務員、すなわち官製談合防止法のいう「職員」にあたります。
この男性が、町の排水処理施設の改修工事について、特定の業者に入札の最低制限価格を教えたということですから、「所属する国等が入札等により行う…請負その他の契約締結に関し」「事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示」したといえます。
これによって、男性は官製談合防止法違反に問われたということなのでしょう。
入札予定価格を教えたといった談合事件では、こうして官製談合防止法違反が成立することが多いです。

談合事件は世間からの関心度も高く、さらに、社会的責任も重いと考えられ、厳しい判断が下される可能性もある刑事事件です。
早い段階から、法律のプロである弁護士のサポートを受けながら、刑事手続きに対応していくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は数多くの刑事事件を解決に導いてきました。
官製談合防止法違反などの刑事事件でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご相談ください

次回の記事では、公契約関係競売入札妨害罪について解説します。

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