Archive for the ‘未分類’ Category

[事例紹介]滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件

2022-07-13

[事例紹介]滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件

滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

滋賀県警彦根署などは21日、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利)の疑いで、滋賀県長浜市、無職の男(63)を逮捕した。
逮捕容疑は、貸金業の登録を受けずに、2020年1月~昨年6月ごろ、長浜市内などで、彦根市の会社員男性(59)ら3人に7回にわたり現金計約71万円を貸し付け、この3人から法定年利を超える計約9万円の利息を受け取った疑い。 
同署によると、調べに対し、「商売ではなく、個人間の貸し借りだった」などと容疑を否認しているという。
(6月21日 京都新聞  「無登録で71万円貸し付け、法定年利超える利息受け取る 容疑で無職男逮捕」より引用)

賃金業法

貸金業を営むには内閣総理大臣や都道府県知事の登録を受ける必要があります。(貸金業法第3条)
ですので、無登録での貸金業の営業は禁止されています。(貸金業法第11条)
無登録の状態で貸金業を営んだ場合には、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金に処されます。(貸金業法第47条)

出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)

高金利による貸付けをした場合は、出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第5条で処罰されます。

出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第5条
1、金銭の貸付けを行う者が、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。
2、前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年20%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。
3、前2項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。

今回の事例の男性が出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反で有罪となった場合には、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処されることになります。

貸金法違反・出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反の裁判例

貸金法違反と出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反の裁判例を紹介します。

被告人は暴力団に属し、無登録で貸金業を行い、高金利を受領する契約を行なっていました。
被告人は貸金業違反・貸金法違反と出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反・組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)で起訴されました。
裁判の結果、被告人は懲役3年および罰金100万円執行猶予5年に処されました。(平成29年1月11日 広島高等裁判所岡山支部)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では少年事件・刑事事件を中心に取り扱っております
貸金業法違反・出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反で逮捕・捜査された場合は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

(事例紹介)営業禁止地域での性的サービスにより風営法違反に

2022-07-06

(事例紹介)営業禁止地域での性的サービスにより風営法違反に

~事例~

滋賀県警生活環境課と大津署は7日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、大津市の個室マッサージ店経営の中国籍の女(46)=大津市=を逮捕した。
逮捕容疑は5月19日、風俗店の営業禁止地域にある同店で不特定の男性客に性的サービスを行い、性風俗店を営んだ疑い。
(※2022年6月7日18:20京都新聞配信記事より引用)

~風営法と営業禁止地域~

ご存知の方も多いと思いますが、性的サービスを提供する場合には、風営法(正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)の「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」、「店舗型性風俗特殊営業」や「無店舗型性風俗特殊営業」、「映像送信型性風俗特殊営業」などとされ、風営法の規制を受けます。

今回取り上げた事例では、逮捕された女性は経営していた個室マッサージ店で性的サービスを行っていたということですが、個室で性的サービスを提供する営業は、上記で挙げたうちの「店舗型性風俗特殊営業」に当たると考えられます。

風営法第2条第6項
この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)

そして、この「店舗型性風俗特殊営業」は、風営法で営業が禁止されている地域が存在しますが、今回取り上げた事例では、その営業禁止地域内で「店舗型性風俗特殊営業」をしてしまったことによって風営法違反の容疑がかけられているようです。
風営法では、以下のように性風俗に関連した営業を行う地域を一定程度規制しています。

風営法第28条
第1項 店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。
第2項 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。

簡単に言えば、風営法では、官公庁施設や学校、図書館や児童福祉施設などの周囲200メートル以内で「店舗型性風俗特殊営業」を営むことを禁止しています。
ですから、今回の事例では、逮捕された女性はこの禁止区域内で「店舗型性風俗特殊営業」を営んでしまったということでしょう。

こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反は、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」するとされています(風営法第49条第5号・6号)。

また、こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反事件の場合、そもそも風営法に定められている「店舗型府性風俗特殊営業」の届け出をせずに無届営業をしていたというケースも考えられます。
届出をしていた場合、届出の段階で営業禁止地域内であることが分かるはずですから、それが発覚していないということはそもそも届出をしていないということが考えられるためです。
そうした場合には、無届営業による風営法違反も成立してしまうため、事件が複雑になってしまうことも予想されます。
早い段階から弁護士に相談し、見通しや手続、適切な対応について把握しておくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、営業禁止地域での営業による風営法違反事件のご相談・ご依頼も承っています。
逮捕された方向けの初回接見サービスなど、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

野良犬を殴っても動物愛護法違反になる?

2022-04-06

野良犬を殴っても動物愛護法違反になる?

野良犬を殴っても動物愛護法違反になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

【刑事事件例】

滋賀県草津市に住むAさんは、自宅に野良犬がよく来るので、自宅に罠を仕掛け罠にかかった野良犬を棒で殴ったうえで解放し、自宅に来ないようにしようと考えました。
Aさんは罠を仕掛けた数日後、野良犬が罠にかかっていたのでこれを多数回棒で殴り、瀕死の怪我を負わせました。
この様子をAさんの隣人Bさんが見ており、Bさんは滋賀県草津警察署に通報しました。
後日Aさんは、動物愛護法違反の容疑で滋賀県草津警察署で話を聞かれることになりましたが、「野良犬を殴って追い払うことも犯罪になるのか」と疑問に思い、刑事事件に強い弁護士に相談をしようと考えています。
(フィクションです)

【野良犬を殺傷した場合】

今回の事例のAさんは、動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)という法律に違反したとして捜査を受けているようです。
まずは、今回のAさんが違反したと疑われているであろう、動物愛護法の該当条文を確認していきましょう。

動物愛護法第44条第1項には、「愛護動物をみだりに殺し、または傷付けた者は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処する」とあります。

動物愛護法の中でいわれる「愛護動物」とは、
1 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
2 その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
とされています(動物愛護法第44条第4項第1号、第2号)。

ここで、今回の刑事事件例に出てくるような野良犬について確認してみましょう。
動物愛護法の「愛護動物」の定義では単に「犬」とされており、さらにその「犬」が野良犬か飼い犬かということは動物愛護法の中では限定されていません。
ですから、野良犬であろうと飼い犬であろうと、「犬」である以上は動物愛護法の「愛護動物」であり、その「愛護動物」をみだりに傷つけた場合には動物愛護法違反となるのです。
そのため、今回の事例のAさんも、野良犬を傷つけたことで動物愛護法違反となったのです。

【他人のペットを殺傷した場合】

ここで、今回の事件例のAさんは野良犬を怪我させていますが、怪我をさせた対象が野良犬ではなく他人の飼い犬だった場合、刑事法の扱いは違うのでしょうか?
犬が他人の飼い犬(所有)である場合は、器物損壊罪動物愛護法違反の両罪が成立すると考えられます。

器物損壊罪については、刑法第261条が規定しており、その条文は「他人の物を損壊し、または傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」となっています。
この条文内にある「他人の物」には、他人の所有する動物も含まれており、すなわち、他人の飼っている動物を傷つけた場合も含みます。
なお、器物損壊罪の条文内にある「傷害」とは、その動物を殺傷するほか、他人が飼育している魚を養魚池以外に流出させる行為なども含まれます。

では、他人のペットを殺傷したら必ず器物損壊罪が成立するのでしょうか?

器物損壊罪が成立するには、殺傷した動物が他人の所有物であることを認識していることが必要です。
ですので、動物が他人の所有物であることを知らなかった場合は、器物損壊罪が成立しない可能性が有ります。
ただし、犬に首輪が掛かっている、外見が整っている、近所に飼い犬が多いなどの事情がある場合、他人の飼っている犬と認識していたと思われ、器物損壊罪が成立する場合が多いです。

【動物愛護法違反や器物損壊罪に対する弁護活動】

たとえ本人が軽い気持ちで動物を殺傷していたのだとしても、ここまで見てきたとおり、その行為は動物愛護法違反器物損壊罪が成立する犯罪行為です。
場合によっては、逮捕される事態となるかもしれません。
逮捕されてしまえば、会社や学校へ行くこともできませんし、生活に大きな影響が出てしまいます。
逮捕されなかったとしても、刑事事件の知識なしに取調べなどに対応するには、不安・負担が大きいと考えられます。

だからこそ、早めに弁護士に相談し、取調べへの対応の仕方を聞いておく、刑事事件の手続を知っておくという対策を取ることが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた法律事務所です。
ご家族やご自身が動物愛護法違反や器物損壊罪で話を聞かれることになった、逮捕されてしまって困っているといった場合には、お気軽にご相談ください。

ネット上の誹謗中傷 刑事事件に発展しまったら・・・

2022-02-26

ネット上の誹謗中傷 刑事事件に発展しまったら・・・

ネット上の誹謗中傷で刑事事件に発展する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ネット上の誹謗中傷が刑事事件となった事件

滋賀県守山市に住んでいるAさんは、半年ほど前まで同じ守山市にある衣料品販売メーカーで働いていましたが、会社での人間関係がうまくいかず、会社を辞めていました。
会社に対する鬱憤がたまっていたAさんは、会社を辞めてからネットの掲示板や、会社のホームページ等に「反社会的勢力と裏取引をしている」、「この会社はブラック企業」、「社員を奴隷扱いしている」などと、あることないことネットに書き込んでいました。
そうしたところ、会社が滋賀県守山警察署に被害届を出していたらしく、Aさんのもとに、滋賀県守山警察署の警察官が訪ねてきました。
警察官に自宅のパソコンや、スマートホンを押収されたAさんは、大変なことをしてしまったと反省しており、今後どのような処分を受けることになるのか不安でたまりません。
(フィクションです)

ネット上の誹謗中傷

インターネットの普及に伴い、ネット上でのトラブルも増加しています。
特に、SNSや掲示板での誹謗中傷の書き込みは後を絶ちません。
残念ながら、ネット上では相手方に自分の顔や名前を知られることがないということをいいことに、相手の気持ちを無視した無責任な書き込みをする者は少なくありません。
しかしながら、ネット上の誹謗中傷は刑法上の名誉棄損罪や侮辱罪にあたる可能性があります。

ネット上の誹謗中傷はこんな罪になります

(1)名誉毀損罪

刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

◇客体◇

名誉毀損罪の客体は、「人の名誉」です。
ここでいう「人」には、自然人のほかに、法人、法人格のない団体も含まれますが、特定の人や団体であることが求められます。
「関西人」といった漠然とした集団は「人」には含まれません。
「名誉」とは、人に対する社会一般の評価を意味します。
ざっくり言えば、「自分が社会からどのように評価されているのか」に関わるものです。
名誉毀損罪における「名誉」には、人の経済的な支払能力や支払意思に対する社会的評価は含まれません。
また、「名誉」は、その内容としての人の価値は積極的(ポジティブ)なものに限られ、消極的な(ネガティブ)価値は含まれません。

◇行為◇

名誉毀損罪の行為は、「公然と事実を適示し」て「人の名誉を毀損」することです。
「公然」とは、不特定または多数人が認識し得る状態のことをいいます。
SNSやネット掲示板における書き込みは、通常誰でも閲覧可能である状態であることから、公然性は認められるでしょう。
適示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りる事実でなければなりません。
人の社会的評価を害するか否かは、相手方のもつ名誉如何によって決まります。
例えば、医者でもない者に「医者のくせに風邪も治せないやぶ医者」といっても、相手方はそもそも医者ではないので、適示された事実によって社会的評価を害することはありません。
適示される事実については、それが真実が否か、公知か否か、過去のものか否か、といったことは問いません。
「適示」とは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることをいい、その方法・手段は特に制限されません。
そして、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させれば「人の名誉を毀損」したことになり、通常、公然と事実を適示することにより、通常人の名誉は毀損されたものといえ、既遂に達することになります。

◇故意◇

名誉毀損罪の成立には、行為者において、他人の社会的評価を害し得る事実を不特定または多数人が認識し得る形で適示していることについての認識がなければなりません。

(2)侮辱罪

刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

◇客体◇

侮辱罪の客体は、「人の名誉」です。

◇行為◇

侮辱罪の行為は、「公然と人を侮辱」することです。
「公然」および「人」については、名誉毀損罪におけるそれらの意義を同じです。
「侮辱」とは、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。


名誉毀損罪と侮辱罪との違い

名誉毀損罪と侮辱罪は、公然と人の社会的評価を低下させ得ることを示す点で共通していますが、これらの罪は、具体的な事実を示す場合が名誉毀損罪、具体的な事実ではない抽象的な評価などを示す場合が侮辱罪に該当すると言えます。
上記事例においては、「反社会的勢力と裏取引をしている」、「V社はブラック企業」、「V社は社員を奴隷扱いしている」と書き込んでおり、それらを具体的な事実とまでは言えず、抽象的な評価の適示にとどまるため、侮辱罪が成立するものと考えられます。

刑事事件に発展した場合

名誉毀損罪も侮辱罪も、告訴がなければ公訴を提起することができない「親告罪」と呼ばれる罪です。
「告訴」というのは、犯罪の被害者やその他の告訴権者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示のことです。
親告罪は、被害者らが「犯人を厳しく処罰してください。」と捜査機関に申し出ることで、検察官は起訴することができる罪です。
つまり、被害者らからの申し出がなければ、検察官は起訴することができません。
そのため、刑事事件となった場合でも、被害者との間で示談を成立させ、行為者の処罰を求めない旨の合意を成立させることができれば、起訴されることはありませんので、名誉棄損・侮辱事件においては、何よりも被害者との示談が重要になります。
しかしながら、示談交渉を当事者間で行うことはあまりお勧めできません。
当事者同士の交渉は、感情的になり易く、交渉が難航する場合が多いからです。
また、示談が成立した場合であっても、法律に詳しくない者同士では、合意内容を適切に示談書にすることは難しく、後々言った言わないの争いに発展することもあるからです。
被害者との示談交渉は、法律の専門家である弁護士を介して行うのがよいでしょう。

刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ネット上の誹謗中傷で刑事事件に発展し対応にお困りであれば、弊所の弁護士に一度ご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に

2021-12-15

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市にある会社Xに勤務しているAさんは、同僚のVさんに対して好意を抱いており、Vさんにアタックするようになりました。
しかし、VさんはAさんに対して断りを入れ、Aさんは振られた形となりました。
Aさんは、Vさんが自分の好意に対して応えてくれなかったことを恨み、Vさんに対してメッセージアプリでメッセージを連続して送ったり、Vさんが帰宅する後をつけたりするようになりました。
Vさんは、Aさんにつきまといをやめるよう伝えたのですが、Aさんは意に介さず、さらにしつこくメッセージの送信やつきまといをするようになりました。
Aさんの行為に恐怖を感じるようになったVさんは、滋賀県長浜警察署に相談。
その結果、Aさんは滋賀県長浜警察署ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・怨恨をきっかけにしたストーカー事件

ストーカーというと、被害者に好意を持った人が被害者につきまとうといった内容が思い浮かびやすいのではないでしょうか。
たしかに、ストーカー行為を規制しているストーカー規制法(正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)でも、ストーカー行為を定義する際、恋愛感情や好意による「つきまとい等」を繰り返すことであるとしています。

ストーカー規制法第2条第4項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。

ストーカー規制法第2条第1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
第2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第4号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
第6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法第2条第1項にもある通り、ストーカー行為につながる「つきまとい等」は、恋愛感情や好意に基づいたものである必要があることが定められています。
それに加えて、そういった恋愛感情や好意が「満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われる「つきまとい等」も、反復して行うことでストーカー行為となることが定められています。
つまり、単に被害者のことを好きだということでストーカー行為をすることだけでなく、例えば「振られた」ということによって逆恨みしてストーカー行為をするといった場合にも、ストーカー規制法違反となることになります。

・ストーカー規制法違反と逮捕

今回のAさんはストーカー規制法違反の容疑で逮捕されています。
ストーカー事件の場合、加害者側が被害者の連絡先や自宅を知っている場合が多く、加害者と被害者の接触を避けるなどのために逮捕や勾留によって身体拘束をした上で捜査されるというケースも少なくありません。

逮捕されてしまった場合、誰に相談することもできず取調べなどに対応することになりますから、不安や精神的負担が大きくなってしまうと予想されます。
逮捕直後から弁護士に相談し、逮捕された被疑者と面会しアドバイスをしてもらうことで、刑事手続きを知らないということによる不安を払拭することが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスなどを通じ、逮捕されてしまった被疑者へのサポートも迅速に行っています。
怨恨から発展したストーカー規制法違反事件にお困りの方、逮捕にお悩みの方は、お早めにご相談下さい。

パートタイマーでもインサイダー取引になる?

2021-12-11

パートタイマーでもインサイダー取引になる?

パートタイマーでもインサイダー取引になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県米原市に本社を構えるV社で、清掃員のパートタイマーとして働いていました。
ある日、AさんがV社の社内を清掃していた最中に目についた資料から、V社が翌月に独自の技術を使った新製品を発表することを知りました。
Aさんは、新製品が発表されればV社の株価が値上がりするだろうと考え、新製品の発表前にV社の株式の買い付けを行いました。
そして、Aさんは、V社が新製品を発表した後に値上がりしたV社の株式を売却し、多額の利益を得ることになりました。
しかしその後、Aさんがインサイダー取引を行ったことが発覚。
Aさんは滋賀県米原警察署金商法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「ただのパートタイマーだったのにインサイダー取引になるのか」と疑問に思い、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・インサイダー取引とは?

インサイダー取引とは、会社関係者が上場会社等の業務等に関わる「重要事実」を、その職務に関して知りながら、その「重要事実」の公表前にその会社の株等の売買等を行うことを指します。
大まかには、会社関係者が株価に重大な影響を与えるような事実を公表前に知りながら株式の売買を行うことがインサイダー取引になるというイメージです。
インサイダー取引は、日本語で内部者取引とも呼ばれます。

・パートタイマーでもインサイダー取引に?

このインサイダー取引については、金商法(正式名称「金融商品取引法」)という法律で禁止されています。

金商法第166条第1項
次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第5号から第8号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け、合併若しくは分割による承継(合併又は分割により承継させ、又は承継することをいう。)又はデリバティブ取引(以下この条、第167条の2第1項、第175条の2第1項及び第197条の2第14号において「売買等」という。)をしてはならない。
当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後1年以内のものについても、同様とする。
第1号 当該上場会社等(当該上場会社等の親会社及び子会社並びに当該上場会社等が上場投資法人等である場合における当該上場会社等の資産運用会社及びその特定関係法人を含む。以下この項において同じ。)の役員(会計参与が法人であるときは、その社員)、代理人、使用人その他の従業者(以下この条及び次条において「役員等」という。) その者の職務に関し知つたとき。

金商法第166条第1項では、「会社関係者」が「上場会社等に係る業務等に関する重要事実」を知った場合、その「重要事実」が公表された後でなければ、該当する会社等の株式の売買等をしてはいけないとされています。
つまり、「会社関係者」が「重要事実」公表前に該当する会社等の株式を売買することがインサイダー取引となり、この金商法第166条第1項に違反する犯罪となるということです。

では、その対象となる「会社関係者」とはどういった人を指しているのか、「重要事実」を知るとはどういった状況を指しているのかというと、続く第1号~第5号に記載があります。
第1号では、「会社関係者」について、「当該上場会社等(中略)の役員(中略)、代理人、使用人その他の従業者」としています。
会社の「使用人その他従業者」となっていることから、この「会社関係者」の中には、会社のいわゆる正社員だけでなく、Aさんのようなパートタイマーやアルバイトの従業員も含まれていることが分かります。
さらに、その「使用人その他従業員」について、どのような業務についているのかといった制限もされていませんから、Aさんのような清掃員であっても「会社関係者」となり得ることが分かります。
インサイダー取引というと、会社の役員や上役など、会社の中心にいる人が関わる犯罪というイメージが強いかもしれませんが、Aさんのようなパートタイマーであってもインサイダー取引の対象となる可能性があるのです。

そして、金商法第166条第1項第1号では、こうした「使用人その他従業者」などの人が「その者の職務に関し」重要事実を「知ったとき」に、その「重要事実」公表前に当該会社等の株式の売買等をしてはいけないということを定めています。
例えば今回の事例のAさんは、自身の職務である、V社内の清掃中に、V社の新製品についての情報を知っています。
その後、AさんはV社の新製品についての情報が公表される前にV社の株式の売買をしていることから、Aさんには金商法第166条第1項第1号に違反するインサイダー取引の疑いがあるということになるのです。

金商法第166条第1項第1号に違反するインサイダー取引をしてしまった場合の刑罰は、以下のとおりです。

金商法第197条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第13号 第157条、(中略)又は第166条第1項若しくは第3項若しくは第167条第1項若しくは第3項の規定に違反した者

さらに、インサイダー取引で得た財産については没収されます。

金商法第198条の2第1項
次に掲げる財産は、没収する。
ただし、その取得の状況、損害賠償の履行の状況その他の事情に照らし、当該財産の全部又は一部を没収することが相当でないときは、これを没収しないことができる。
第1号 第197条第1項第5号若しくは第6号若しくは第2項又は第197条の2第13号の罪の犯罪行為により得た財産

インサイダー取引というと、日常生活とは関わりの薄い犯罪のように思えますが、実は誰でも関わり得る犯罪です。
そして、インサイダー取引による金商法違反は、上述の通り、とても重い刑罰が設定されています。
だからこそ、インサイダー取引事件の当事者となってしまった場合には、早期に弁護士に相談・依頼することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、事件の始まりから終わりまでフルサポートします。
インサイダー取引を含む刑事事件にお困りの際は、お早めに弊所弁護士までご相談下さい。

職場で建造物侵入事件を起こしてしまったら

2021-10-16

職場で建造物侵入事件を起こしてしまったら

職場で建造物侵入事件を起こしてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県近江八幡市にある会社Xで警備員として働いています。
Aさんの仕事内容には、夜間に会社Xの中を見回って異常がないかどうか検査する業務も含まれており、Aさんにはその巡回をするために会社Xの各部屋に入ることのできる鍵も与えられていました。
ある日、Aさんは巡回のために立ち入るとある部屋に、自分の好みの女性である従業員Vさんの持ち物が置いてあることに気が付きました。
Aさんは欲を抑えられなくなり、たびたび従業員Vさんの持ち物を盗むためにその部屋に入るようになりました。
持ち物がなくなることが増えた従業員Vさんが会社Xに相談したことから被害が発覚し、会社XとVさんが滋賀県近江八幡警察署に相談。
その結果、Aさんは窃盗罪と建造物侵入罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「物を盗んだから窃盗罪が成立するのはわかるが、どうして建造物侵入罪にまで問われるのか」と不思議に思い、接見に訪れた弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・職場であっても建造物侵入事件に

Aさんも自覚している通り、人の物を勝手に盗めば、それは窃盗罪になります。

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

そして、窃盗行為をするために他人の家や建物に勝手に入れば、住居侵入罪や建造物侵入罪に問われるということも、容易に想像ができるでしょう。

刑法第130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

しかし、今回のAさんの場合、窃盗行為をする目的で入っていたのは、Aさん自身が勤務している会社の中の部屋です。
さらに、Aさんには巡回のために鍵も与えられていたため、Aさんはいつでも部屋の中に入ることができる人でした。
このような場合にも、建造物侵入罪は成立するのでしょうか。

ここでポイントとなるのは、建造物侵入罪や住居侵入罪は、一般に住居等の平穏を守るために規定されていると解されていることです。
つまり、その住居や建造物等を管理している人の同意なしに住居等に立ち入れば、住居侵入罪や建造物侵入罪となりうるということになります。
例えば、知人の家に招かれていたとしても、入室の許可を得ていない部屋にまで勝手に入れば住居侵入罪となりえますし、盗撮目的で商業施設のトイレに入れば、通常管理者は盗撮目的でトイレに入ることは許可しないと考えられ、建造物侵入罪となりえます。

上記事例のAさんについても考えてみましょう。
Aさんが警備員の業務のために会社X内を自由に移動できる状態であったとしても、会社Xとしてはあくまで巡回のための立入を許可しているにすぎず、人の物を盗む目的で部屋に立ち入ることは許可していないはずです。
ですから、AさんがVさんの物を盗む目的で部屋に入るという行為は、その部屋の管理者である会社Xの許可を得られないことであると考えられ、建造物侵入罪となる可能性があるということになるのです。

一見問題にならないような行為に見えても、それが犯罪に当たる行為であり、刑事事件となるということは少なくありません。
早い段階から法律の専門家である弁護士のサポートを受けることで、不安を軽減しながら刑事手続に臨むことが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、建造物侵入事件や窃盗事件による逮捕にも、刑事事件に強い弁護士が迅速に対応しています。
初回接見サービスでは、最短即日対応が可能です。
滋賀県の刑事事件で逮捕されてお悩みの方は、まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

刑事事件の示談とはどんなもの?

2021-09-11

刑事事件の示談とはどんなもの?

刑事事件示談とはどんなものなのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県長浜市まで出かけた際、市内にある商業施設の中のエスカレーターで、女性客Vさんのスカートの中を盗撮する盗撮事件を起こし、滋賀県長浜警察署に被疑者として捜査されることになりました。
警察での取調べの中で、弁護士をつけての示談を勧められたAさんは、盗撮事件を取り扱う弁護士に相談してみることにしました。
そして、Aさんは刑事事件示談とはどのようなものなのか想像がつかなかったため、相談の場で弁護士に詳しい内容を聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・刑事事件の示談

今回の事例のAさんは、滋賀県内で盗撮事件を起こしてしまったようです。
盗撮事件は被害者の存在する犯罪であるため、被害者へ謝罪したり被害弁償をしたり、示談を締結する被害者対応は重要な活動の1つとなります。
被害者への被害弁償の有無やその処罰感情の大小は、検察官が起訴・不起訴を決める際や、起訴され裁判で有罪となった時の刑罰の重さを決める際に大きく影響するためです。
Aさんも警察から示談を勧められているようです。

しかし、「示談」という単語を知っていたとしても、実際に示談とはどのような内容のものが締結されるのか、なかなか想像しづらい方も多いのではないでしょうか。
今回は、示談の内容の一例を紹介します。

謝罪
示談書の中に、被疑者・被告人から被害者への謝罪を入れることがあります。
その場合、事件を起こしてしまったこと、被害者へ被害を与えてしまったことをお詫びし、反省するといった文言が入ることが多いです。
その他にも、被疑者・被告人から被害者へ謝罪文を作成してお渡ししたり、被害者の方の希望等によっては直接謝罪の場を設けることもあります。

口外禁止
事件のことや示談のことをみだりに第三者に言わない、という約束です。
「みだりに」とは、例えば検察官から示談締結の確認があった時や、裁判の場で示談締結についての確認があった時を除く意味でつけられています。
被害者にとってはもちろんのこと、被疑者・被告人にとっても、刑事事件に関与したという情報や、それに関して示談を行ったという情報は、非常にデリケートな情報となりますから、示談に際してこうした約束事が設けられることが多いです。

接触禁止
示談の際の約束事として、今後被疑者・被告人が被害者へ近づかない、という約束を入れる場合もあります。
盗撮事件の場合、これに加えて、犯行現場となった施設などを被疑者・被告人が利用しないようにする、という約束をして示談するケースも見られます。

また、メールや電話、SNSといったツールを使って接触することもしないという約束も含まれることがあります。
盗撮事件では、被疑者・被告人が被害者の連絡先を知っていることはあまりありませんが、念のためこういった約束を入れたり、知人同士の場合は今後関わらないようにするといった意味で入れることもあります。

このほかにも、事件の詳細な事情や、被害者、被疑者・被告人の要望等により、示談の内容は細かく異なります。
示談は金銭の授受で解決するだけではなく、こうした細かい約束事も大切なのです。
だからこそ、示談に悩んだら、まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、示談交渉などの被害者対応も含んだ刑事弁護活動を行っています。
盗撮事件等の刑事事件の示談にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

火事の原因が自分でなくても犯罪に?

2021-08-21

火事の原因が自分でなくても犯罪に?

火事の原因が自分でなくても犯罪に問われてしまったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県甲賀市にあるショッピングモールで警備員をしています。
その日、Aさんは夜間警備の担当でしたが、館内を詳しく見回ることを面倒に感じたAさんは、見回りをしたふりだけして、実際は館内の見回りをさぼってしまいました。
しかしその夜、ショッピングモールに入っているある飲食店の厨房から出火し、最終的にショッピングモールを半焼させる火事となってしまいました。
火事の原因は飲食店の従業員の火の消し忘れでしたが、Aさんがきちんと見回りをしていれば、火事は止められたはずだったことが発覚しました。
そして、Aさんは滋賀県甲賀警察署に、業務上失火罪の容疑で話を聞かれることになりました。
Aさんは、「自分が火事の原因を作ったわけでもないのに、なぜ自分が犯罪に問われるのだろうか」と不思議に思い、滋賀県刑事事件にも対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・「失火罪」とは?

火事に関連する犯罪というと、放火罪がイメージされやすいですが、火事は故意に起こされるものだけではありません。
今回の事例のショッピングモールの火事の原因のように、火の消し忘れなどの不注意によって火事が起こることもあります。
そういった不注意による火事では、刑法にある「失火罪」という犯罪が問題となります。

刑法第116条第1項
失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。

「第108条に規定する物」とは、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」であり、「第109条に規定する物」とは、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑」のことを指します。
「失火」とは、過失によって火事を起こしてしまうことを指しており、すなわち不注意によって火事を起こしてしまった人にはこの失火罪が成立するということになるのです。

今回のAさんが問われているのは単なる失火罪ではなく業務上失火罪という犯罪です。
業務上失火罪失火罪の一種であり、刑法では以下のように定められています。

刑法第117条の2
第106条又は前条第1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する。

業務上失火罪は、「刑法第116条」「の行為」=失火罪に該当する行為が、業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときに成立します。
この場合の「業務」とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位を指すとされています。
仕事上火気を扱う職、例えば調理に火を利用する調理師や、火気に注意が必要な石油販売業者などが挙げられます。
「業務上必要な注意を怠った」、「重大な過失」があったという責任が追加される分、先ほど確認した単純な失火罪よりも重い刑罰が設定されていることが分かります。
単なる失火罪の場合は罰金刑のみの規定でしたが、業務上失火罪では禁錮刑も選択されうることから、業務上失火罪で起訴されれば公開の法廷で裁判を受ける可能性もありますし、有罪となれば刑務所へ行くことになる可能性もあるということになります。

・火事の原因が自分でなくても犯罪に?

さて、今回の事例のAさんは、火事の原因となった火を直接扱う立場や業務にあるわけではありません。
火事の原因は飲食店の火の消し忘れだったことから、Aさんが直接火事の原因を作ったわけではないようですが、Aさんに業務上失火罪は成立しうるのでしょうか。

過去の判例によれば、業務上失火罪における「業務」とは、直接火事の原因となった火を扱う業務だけでなく、「火災の発見・防止を職務内容とするもの」についても含まれるとされています(最判昭33.7.25)。
つまり、Aさんのように、夜間警備をしなければいけないのにその職務を怠ったことで出火を見逃してしまった場合には、それが業務上失火罪の「業務上必要な注意を怠った」ことと認められうるのです。
そうなれば、Aさんにも業務上失火罪が認められる可能性が十分あるということになります。

このように、原因となった業務を直接行っていない者であっても、刑事事件の被疑者となりえます。
そのような刑事事件の当事者となってしまった場合、どのような対応をすべきなのか、そもそも自分がどうして被疑者となっていうのか分からないと困ってしまうかもしれません。
そんな時こそ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士によるサービスをご利用ください。
弊所では、弁護士による初回無料法律相談初回接見サービスをご用意しております。
お問い合わせは0120-631-881まで、お気軽にお電話ください。

いたずらから迷惑防止条例違反事件の逮捕に発展

2021-08-14

いたずらから迷惑防止条例違反事件の逮捕に発展

いたずらから迷惑防止条例違反事件の逮捕に発展してしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

30代男性のAさんは、滋賀県守山市に住んでいます。
Aさんは、制服を着た女子中学生や女子高生に興味を持っており、制服を着た女子中学生や女子高生が歩いているところに通りかかるたびに、制服のスカートをめくる、いわゆるスカートめくりをし始めました。
Aさんはちょっとしたいたずらのつもりでしていたことでしたが、被害者が通報したり被害を相談したりしたことで滋賀県守山警察署が捜査を開始。
その後、Aさんは滋賀県守山警察署に、滋賀県迷惑行為防止条例違反の容疑で逮捕されました。
単なるちょっとしたいたずらのつもりだったAさんは、まさか逮捕されるとは思わず、困惑しました。
そして、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に、事件について相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・いたずらから逮捕まで発展?

もしかすると、この記事をお読みの方の中には、小さい頃、いたずらとしてスカートめくりをしたことがある方がいるかもしれません。
しかし、今回のAさんは、そのいたずらのつもりえスカートめくりをして逮捕されてしまっています。
ただのいたずらにも思えるスカートめくりによって、犯罪が成立し、逮捕されるような大事になることがあるのでしょうか。

各都道府県において規定されている「迷惑防止条例」には、「卑わいな行為(言動)」について禁止されていることが多いです。
例えば、滋賀県で定められている迷惑防止条例(「滋賀県迷惑行為等防止条例」)を見てみましょう。

滋賀県迷惑防止条例第3条第1項
何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第1号 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。
第2号 人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
第3号 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

第1号はいわゆる痴漢行為を、第2号はいわゆる覗き行為を規制していることになります。
そして、第3号は「卑わいな言動」を規制しているのですが、この「卑わいな言動」は、一般的に社会通念上性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうものと解されています。
たとえAさんが単なるいたずらのつもりであったとしても、公共の場所でスカートをめくられて下着を見られたりあらわにされたりすることは、一般的に性的な羞恥心を持たせる行為であり、「社会通念上性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」といえるでしょう。
そのため、今回のAさんには滋賀県迷惑防止条例違反という犯罪が成立すると考えられるのです。

そして、一定程度の重さの犯罪の容疑がかかった場合、その容疑が相当なものであれば、逮捕される可能性が出てきます。
ですから、ちょっとしたいたずらのつもりであったとしても、その行為が一定程度の重さの刑罰を有する犯罪に当たれば、逮捕されて捜査される可能性があるのです。
当事者が軽い気持ちでしてしまった行為でも、逮捕されてしまえばその人自身だけでなく、その家族なども巻き込んで重大な事態となってしまいます。
早期解決を目指すためにも、まずは専門家に早い段階で相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所です。
まずはお気軽に弊所弁護士までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー