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盗撮事件で任意出頭・自首④

2019-10-16

盗撮事件で任意出頭・自首④

前回に引き続き、盗撮事件任意出頭自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例(前回からの流れ)~
Aさんは、滋賀県草津市にあるXという会社で勤務する会社員です。
Aさんは、女性の下着姿に興味を持ち、会社の女子トイレに忍び込むと、女子トイレの中に盗撮用の小型カメラを設置し、女子トイレの利用者の下着姿を盗撮していました。
しかしある日、女子トイレの利用者の1人がしかけられた小型カメラに気づき、滋賀県草津警察署に通報したことをきっかけに捜査が開始され、会社内で盗撮事件が起こったことが知れ渡りました。
Aさんは、自分が盗撮をしていたことがばれて滋賀県草津警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に強い弁護士に、自ら出頭した方がよいのかどうか、自分の盗撮行為はどういった罪にあたるのかといったことを含めて今後の対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・自首とはならないケース

前回の記事で触れたような捜査機関に既に犯人が発覚した後に出頭するようなケースのほかにも、出頭しても自首とはならないケースがあります。
例えば、被疑者として取調べられている最中に自白したような場合は、自首したことにはなりません。
ただし、捜査機関に発覚していない全く別の余罪についての自白をした場合には自首が成立する可能性が出てきます。

さらに、たとえ犯罪の事実の発覚前や犯人発覚前に自ら出頭したとしても、犯罪の事実を隠すような内容の申告であったり、その犯罪に関する自己の責任を否認するような内容の申告であったりした場合にも、自首は成立しません。
簡単にいえば、自分の罪を認めた内容の申告でなければ、自首にはならないということなのです。
例えば、18歳未満の者に対価を支払って性交したという児童買春事件で、相手の児童から「警察に補導された。今までのことがばれるかも」という連絡を受け、不安になって自ら警察署に行ったものの「自分は相手が18歳未満の者だとは知らなかった」と年齢の認識について争う場合、その犯罪に関する自己の責任を否認する内容の申告であるため、自首とはならず任意出頭の扱いとなるでしょう。

・自首・任意出頭のメリットとデメリット

自首が成立した場合のメリットとしてまず考えられるのは、先ほど挙げた条文にあるように「その刑を減軽することができる」ということです。
ここで注意が必要なのは、あくまで「減軽することができる」という決まりであるため、必ず刑が減刑されると決まっているわけではないということです。
しかし、これは任意出頭の場合でも同じですが、自ら罪を認めて出頭してきたという事情は、本人が反省しているということを裏付ける事情でもあるため、処分を決められる際に有利に働くことが予想されます。
なお、自首が成立せずに任意出頭となった場合であっても、条文にこそ規定はありませんが、本人の反省の度合いなどを示す材料にはなりますから、任意出頭の事実をもとに刑罰の減軽や寛大な処分を求めていくことは可能です。

また、自首任意出頭は、自ら罪を認めて出頭するものですから、被疑者本人に逃亡や罪証隠滅の意思がないことを裏付ける事情の1つにもなります。
こうした事情があることで、逮捕・勾留を回避する可能性を上げることができます。
逮捕・勾留は逃亡や罪証隠滅が疑われれば行われてしまうため、自首任意出頭の事実はその疑いを晴らすための材料の1つになるのです。
突然の逮捕を回避したいという場合には、自首任意出頭を選択肢の1つとして検討することも必要となってくるでしょう。

こういったメリットに対して、自首任意出頭のデメリットとしては、いうなれば「やぶへび」になるかもしれないということが挙げられます。
自首任意出頭は、自身が犯罪をしたという事実をわざわざ捜査機関に明かす行為ですから、もしかすると特に事件化せずに終息するしたかもしれないことについても自分から刑事事件化することになります。

自首・任意出頭をするのかしないのかの判断は非常に難しいもので、もちろんどちらにもメリット・デメリットが存在します。
自首任意出頭に悩まれているのであれば、事件の詳細な状況を弁護士に話したうえで、どういったリスクや利益があるのか相談してみることも1つの手でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、こうした自首任意出頭に関するご相談だけでなく、ご依頼後自首任意出頭される場合に付き添う活動も行っております。
まずは刑事事件専門の弁護士まで、お気軽にご相談ください。

盗撮事件で任意出頭・自首③

2019-10-14

盗撮事件で任意出頭・自首③

盗撮事件任意出頭自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例(前回からの流れ)~
Aさんは、滋賀県草津市にあるXという会社で勤務する会社員です。
Aさんは、女性の下着姿に興味を持ち、会社の女子トイレに忍び込むと、女子トイレの中に盗撮用の小型カメラを設置し、女子トイレの利用者の下着姿を盗撮していました。
しかしある日、女子トイレの利用者の1人がしかけられた小型カメラに気づき、滋賀県草津警察署に通報したことをきっかけに捜査が開始され、会社内で盗撮事件が起こったことが知れ渡りました。
Aさんは、自分が盗撮をしていたことがばれて滋賀県草津警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に強い弁護士に、自ら出頭した方がよいのかどうか、自分の盗撮行為はどういった罪にあたるのかといったことを含めて今後の対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・盗撮事件で任意出頭・自首をしたい

前回までの記事では、今回のAさんに成立が考えられる可能性のある犯罪について詳しく触れてきましたが、今回の記事ではAさんの今後の対応について触れていきます。
Aさんは、自ら警察に出頭した方がよいのかどうか悩んでいるようですが、自ら出頭する場合のメリットやデメリットはどういったことが考えられるでしょうか。

ここでまず注意しなければならないことの1つとして挙げられるのは、自ら警察署に出頭するということは必ずしも法律に定められている「自首」とはイコールではないということです。
一般的なイメージとしては、自ら警察署に犯人であることや犯行をを申し出る=自首であるというイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、刑法で定められている自首の定義は、以下のようなものです。

刑法42条
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

条文にある通り、「自首」は「罪を犯した者」が「捜査機関に発覚する前」に行われなければ「自首」として成立しません。
この「捜査機関に発覚する前」とは、そもそもその犯罪の事実が捜査機関に全く発覚していない時であるか、その犯罪の事実は発覚しているもののその犯人が誰であるか全く分からない時を指します。
つまり、すでに被疑者として指名手配されている場合や、指名手配などはされていなくてもすでに捜査機関から被疑者とされている場合に出頭したとしても、それは自首にはならず、任意出頭したということにとどまるのです。

今回の事例の場合、会社のトイレに盗撮カメラが仕掛けられ盗撮事件が起こったということはすでに滋賀県草津警察署の知るところとなっています。
捜査も開始されているため、犯罪の事実(今回の事例でいえば盗撮という事実)が全く捜査機関に発覚していない時ではありません。
ですから、この状況でAさんが出頭したとして自首が成立するには、盗撮事件は発覚しているが犯人がAさんであるとは全く発覚していないという条件が必要になってきます。
捜査機関側に犯人が発覚しているのかどうかは確かめようがありませんから、この条件が確実に満たされるかどうかははっきり確認することができません。
カメラにAさん自身の姿が映っている可能性があるのかどうか、防犯カメラなどの映像はあるのかどうか、といった様々な事情を考慮して、自首が成立する可能性があるのかどうかを考えることになるでしょう。
そして、自首もしくは任意出頭をするのかどうかを判断することになるでしょう。

自首任意出頭をする場合はもちろん、しない場合でも、弁護士に相談するなどして刑事事件化した際の対応を整えておくことは重要です。
警察からの呼び出しや逮捕などは唐突に行われることがほとんどですから、そうした事態に備える意味も込めて、早めに弁護士に相談してみることが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、刑事事件にお悩みの方が気軽にご相談いただけるよう、初回無料法律相談を受け付けています。
まずは0120-631-881までお電話ください。

盗撮事件で任意出頭・自首②建造物侵入罪

2019-10-12

盗撮事件で任意出頭・自首②建造物侵入罪

盗撮事件と任意出頭・自首、建造物侵入罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例(前回からの流れ)~
Aさんは、滋賀県草津市にあるXという会社で勤務する会社員です。
Aさんは、女性の下着姿に興味を持ち、会社の女子トイレに忍び込むと、女子トイレの中に盗撮用の小型カメラを設置し、女子トイレの利用者の下着姿を盗撮していました。
しかしある日、女子トイレの利用者の1人がしかけられた小型カメラに気づき、滋賀県草津警察署に通報したことをきっかけに捜査が開始され、会社内で盗撮事件が起こったことが知れ渡りました。
Aさんは、自分が盗撮をしていたことがばれて滋賀県草津警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に強い弁護士に、自ら出頭した方がよいのかどうか、自分の盗撮行為はどういった罪にあたるのかといったことを含めて今後の対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・トイレでの盗撮と建造物侵入罪

前回の記事で触れたように、滋賀県の場合、会社のトイレで盗撮行為をすれば滋賀県迷惑防止条例違反となる可能性が高いといえます。
しかし、実は今回の事例のAさんには、滋賀県迷惑防止条例違反以外にも、別の犯罪が成立する可能性があるのです。

その中の1つが、刑法にある建造物侵入罪です。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

Aさんはその会社の会社員であるのに建造物侵入罪が成立するのか、と不思議に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、以下の理由から、Aさんには建造物侵入罪が成立する可能性があるのです。

そもそも、建造物侵入罪のいう「人の看守する…建造物」とは、簡単に言えば「人が管理・支配している建造物」という意味です。
会社の建物は、その会社の社長などの役職についている人たちが管理・支配する権限を持った建物です。
テナントのような形でビルに入っている会社であれば、その建物のオーナーが管理・支配しているといえるでしょう。
この管理・支配は当然、その建物全体に及んでいるものですから、今回の盗撮事件が起こった女子トイレも、建物の一部に含まれています。
ですから、たとえ女子トイレだけが独立した建物でなかったとしても「人の看守する…建造物」にあたると考えられるのです。

また、建造物侵入罪が成立するのは、「正当な理由がないのに」前述の建造物に「侵入」した場合です。
「正当な理由」とは、例えば警察官が適法な捜査のために立ち入る場合や職務のために立ち入る場合などが考えられます。
今回のような女子トイレへの立ち入りであれば、通報を受けて駆け付けた警察官が不審者の捜索のために立ち入る場合や清掃員が清掃のために立ち入る場合などが「正当な理由」のある立ち入りだと考えられるでしょう。

そして、「侵入」とは、一般に、その建物の管理者の意思に反する立ち入りを指すといわれています。
今回のような場合であれば、女子トイレに盗撮目的で立ち入るようなことは通常その建物を管理・支配している人は許可しないだろうと考えられることから、建造物侵入罪のいう「侵入」に該当すると考えられるのです。
逆に言えば、盗撮目的で立ち入った人自身が建物の管理者であったような場合や、立ち入った当初は「正当な理由」があったものの立ち入ってから盗撮を思いついて盗撮カメラを仕掛けたような場合には、建造物侵入罪は成立せず、前回触れたような都道府県ごとに定められている迷惑防止条例違反などのその他の犯罪の成立が検討されることになるでしょう。

・盗撮事件の建造物侵入罪と示談

こうした盗撮事件建造物侵入罪が成立する場合、考えられる弁護活動の1つに示談交渉があります。
建造物侵入罪も被害者の存在する犯罪ですから、被害に遭った方に謝罪や弁償を行い、示談をすることで刑罰の減軽などが期待できます。
しかし、盗撮事件建造物侵入罪の場合、被害者=盗撮された人とは限らないということに注が必要です。

先ほど触れたように、建造物侵入罪は管理者の意思に反して建造物に立ち入るという犯罪ですから、被害者は勝手に建造物に入られてしまったその建物の管理者となります。
これが例えば個人宅で起こった盗撮事件であれば、盗撮された人もその建物の管理者も同一人物、ということになりそうですが、今回のAさんの事例のように、会社の女子トイレが盗撮現場である場合には、実際に盗撮をされた被害者(今回の場合は滋賀県迷惑防止条例違反の被害者)と建造物侵入行為をされた被害者が全く別ということになりうるのです。

また、今回の事例のように会社のトイレで盗撮したような場合には、盗撮行為の被害者が複数人いる場合も少なくありませんから、謝罪や弁償を行って示談交渉をしようとすれば、一度に複数人の被害者の方に連絡を取り、示談交渉をすることも考えられます。
当事者だけでこうした活動を行うことは非常に負担も大きいですから、早めに弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、起こしてしまった盗撮事件でどういった犯罪が成立しうるのか、どういった活動が可能なのか、といったご相談にももちろん対応しています。
まずはお気軽に、初回接見サービス・初回無料法律相談からご利用ください。

盗撮事件で任意出頭・自首①滋賀県迷惑防止条例違反

2019-10-10

盗撮事件で任意出頭・自首①滋賀県迷惑防止条例違反

盗撮事件任意出頭自首滋賀県迷惑防止条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
Aさんは、滋賀県草津市にあるXという会社で勤務する会社員です。
Aさんは、女性の下着姿に興味を持ち、会社の女子トイレに忍び込むと、女子トイレの中に盗撮用の小型カメラを設置し、女子トイレの利用者の下着姿を盗撮していました。
しかしある日、女子トイレの利用者の1人がしかけられた小型カメラに気づき、滋賀県草津警察署に通報したことをきっかけに捜査が開始され、会社内で盗撮事件が起こったことが知れ渡りました。
Aさんは、自分が盗撮をしていたことがばれて滋賀県草津警察署に逮捕されてしまうのではないかと不安になり、まずは刑事事件に強い弁護士に、自ら出頭した方がよいのかどうか、自分の盗撮行為はどういった罪にあたるのかといったことを含めて今後の対応を相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・トイレでの盗撮と滋賀県迷惑防止条例違反

盗撮事件の場合、成立しうる犯罪が盗撮の行われた事件地がどの都道府県なのか、どういった態様で盗撮行為をしたのか、盗撮の被害者の年齢は何歳なのか、といった様々な事情によって成立する犯罪が異なります。
盗撮」という言葉は広く知られており、どういった内容の犯罪なのかはなんとなく皆さんご存知でしょうが、どのような場合に何罪になるかは意外にも複雑なのです。
今回のAさんは、滋賀県草津市にある自分の勤務する会社の女子トイレで盗撮を行っていたようです。
このような場合、どういった犯罪が成立するのか、まずはそこを考えていきましょう。

まず成立が考えられるのは、滋賀県の迷惑防止条例違反(正式には「滋賀県迷惑行為等防止条例違反」)です。
各都道府県では、都道府県民に対する迷惑行為を防止するため、それぞれ迷惑防止条例を定めています。
この迷惑防止条例違反は、盗撮事件だけでなく痴漢事件でも目にすることの多い犯罪ですから、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
各都道府県の迷惑防止条例では、盗撮行為に関する規定がありますが、具体的に規制している行為や刑罰の重さは都道府県によってまちまちであるため、とある県では迷惑防止条例違反の盗撮行為であると判断される行為も、別の件では迷惑防止条例違反とはならない場合があります。
だからこそ注意が必要なのですが、今回はAさんの例に沿って考えてみましょう。

まずは滋賀県迷惑防止条例盗撮に関する条文を確認してみましょう。

滋賀県迷惑防止条例3条
1項 何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
2号 人の下着または身体(これらのうち衣服等で覆われている部分に限る。以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
3号 前2号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

2項 何人も、公共の場所、公共の乗物または集会所、事務所、学校その他の特定多数の者が集まり、もしくは利用する場所にいる人の下着等を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機、ビデオカメラその他撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を人に向け、または設置してはならない。

3項 何人も、公衆または特定多数の者が利用することができる浴場、便所、更衣室その他の人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所において、当該状態にある人の姿態を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機等を人に向け、または設置してはならない。

どの都道府県でも、滋賀県迷惑防止条例3条1項にあるような「公共の場所」「公共の乗り物」での盗撮行為は規制されていることが多いです。
しかし、滋賀県迷惑防止条例3条2項や3条3項にあるような、「公共の場所」「公共の乗り物」以外の場所で「特定多数の者」が利用する場所での盗撮行為についての規定については、規定のある県とない県が存在します。
滋賀県の場合はご覧いただいて分かるように、「特定多数の者」が利用する場所での盗撮行為滋賀県迷惑防止条例で禁止されています。

今回のAさんは、会社内の女子トイレで盗撮をしています。
会社内の女子トイレは、その会社に勤務している人が利用する場所ですから、不特定多数の者が利用する場所=「公共の場所」とは言えませんが、「その会社に勤務している」という特定の人たち=「特定多数の者」が利用する場所だといえそうです。
そうした場所のトイレ=「人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所」で、トイレを利用する人達の姿を盗撮していたのですから、「当該状態にある人の姿態を見、またはその映像を記録する目的で、みだりに写真機等を人に向け、または設置」したといえるでしょう。
つまり、今回のAさんのケースでは、Aさんの盗撮行為滋賀県迷惑防止条例違反となることが考えられるのです。
これがもし、例えば盗撮現場が個人宅のトイレであったような場合には、個人宅のトイレは「特定多数の者」ではありませんから、迷惑防止条例違反にはならないということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部では、盗撮事件のご相談も多くいただいています。
滋賀県盗撮事件にお困りの際は、弊所弁護士までご相談ください。

次回の記事では、Aさんに成立が考えられる他の犯罪について検討します。

大津市の偽計業務妨害事件で逮捕

2019-10-08

大津市の偽計業務妨害事件で逮捕

大津市偽計業務妨害事件での逮捕について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

~事例~
Aさんは,滋賀県大津市にある恋人の家に行くたびに,滋賀県大津市にある無人のコインパーキングを利用していました。
Aさんは,駐車料金を支払うのが煩わしくなり,ロック板を踏み越えないように駐車し,恋人の家から帰る際,駐車料金を支払わずにそのまま発車して帰宅しました。
Aさんはこのような行為を繰り返していたところ,コインパーキングの所有者のVさんが防犯カメラの映像などからこの行為に気づき,滋賀県大津市を管轄する滋賀県大津警察署に被害届を提出しました。
捜査の結果,Aさんは,偽計業務妨害罪の容疑で滋賀県大津警察署の警察官に逮捕されました。
(フィクションです。)

~偽計業務妨害罪~

無人のコインパーキングでは,駐車してからしばらくすると,駐車スペースの真ん中に設置されたロック板が上がり,自動精算機にお金を入れないと自動車が動かせない仕組みになっています。
ですから,こういった仕組みのコインパーキングでは,Aさんが行っていたようにロック板の手前に駐車すれば,駐車料金を支払わずに発車することができます。
このような行為には,犯罪が成立しないのでしょうか。
以下で検討してみましょう。

まず,窃盗罪は成立しません。
窃盗罪はあくまで財物を盗む犯罪であり,今回の場合は形ある物を盗んでいるわけではないからです(ただし,電気など例外として定められているものも存在することに注意が必要です。)。

次に,詐欺罪も成立しません。
詐欺罪は人を騙した場合に成立するところ,無人のコインパーキングでは人を騙したとはいえないからです。

ではどういった犯罪が成立する可能性があるかというと,Aさんの行為は,偽計業務妨害罪に当たる可能性があります。
偽計を用いて,人の業務を妨害した場合,威力業務妨害罪が成立し,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が処せられます(刑法233条)。

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「偽計」は,人をだますことや,計略や策略を講じることなどを指し,今回のAさんは料金を。
Aさんの行為により,本来支払われるはずだった駐車料金が支払われず,Vさんの業務が妨害されているとみることができます。

~偽計業務妨害事件の弁護活動~

偽計業務妨害事件では,弁護士に依頼し,被害者との間で示談を成立させたり,被害弁償を行ったりすることで,事件を早期に解決することができる可能性が高まります。
偽計業務妨害罪では,それに該当する行為が非常に広範に捉えられています。
被害が軽微であれば,不起訴処分や略式罰金で処理されることが多いですが,悪質な場合は懲役刑が科されることもあります。
それでも,示談の成立や,真摯な反省を十分に訴えれば,執行猶予判決を得る見込みがある犯罪類型であるともいえます。

刑事事件に強い弁護士に依頼をし,被疑者・被告人にとって有利となる事情を的確に主張していくことが,不当に重い刑罰を避けることに繋がります。
偽計業務妨害罪に問われてお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部弁護士にご相談下さい。

ストーカー規制法違反で逮捕の少年事件

2019-10-06

ストーカー規制法違反で逮捕の少年事件

Bさんは、息子である高校3年生のAさんと、その父親であり夫のCさんの3人で滋賀県大津市に住んでいます。
ある日、Bさんのもとに滋賀県大津北警察署から連絡が来て、「Aさんがとある女性相手にストーカー行為をしている。お母さんにも話を聞きたい」と言われました。
Bさんが滋賀県大津北警察署で話を聞いたところ、Aさんが被害女性に対し、SNSで執拗にメッセージを送ったり、ブログでしつこくコメントを行ったりという行為を繰り返し行っているということが分かりました。
BさんがAさんの監督をきちんと行うことなどを条件に、その日は警告を出されただけで帰宅を許された2人でしたが、しばらく経ったある日、Bさん宅のもとに滋賀県大津北警察署の警察官がやってきて、Aさんをストーカー規制法違反の容疑で逮捕すると告げました。
Aさんは、警告を受けた後もVさんに対するストーカー行為をやめていなかったのです。
Bさんは、自分の力だけでは対処できないのではないかと不安を感じ、少年事件逮捕から処分が下るまで一貫して事件を任せられる弁護士を探すことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ストーカー規制法違反

ご存知の方も多いと思いますが、平成29年の改正ストーカー規制法施行により、SNSやホームページ上でのメッセージ送信等の行為も、ストーカー規制法の規制対象となることになりました。
ストーカー規制法によると、ストーカー規制法2条に規定されている「つきまとい等」を繰り返すことが「ストーカー行為」となりますが、その「つきまとい等」の中に「電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること」(ストーカー規制法2条1項5号)が含まれています。
この「電子メールの送信等」には、メールの送信だけでなく、「特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、その第三者が当該個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものの当該機能を利用する行為をすること」(ストーカー規制法2条2項2号)が含まれます。
これはつまり、コメントやメッセージを送れる機能のついたものについてもストーカー規制法の規制が及ぶということです。
今回のAさんは、SNSでのメッセージ送信やブログ上でのコメント送信を執拗に行っていたということですから、この規定に該当し、ストーカー規制法違反となったのだと考えられます。

ストーカー規制法では、改正に伴いストーカー行為をしただけですぐにストーカー規制法違反として検挙できることとなりました。
しかし、依然としてその前に警告(ストーカー規制法4条)や禁止命令(ストーカー規制法5条)を出されて、警察段階で事件がいったん終了となるケースもあります。
警告や禁止命令を出された場合、それらを守っていけば、刑事事件や少年事件として再び事件化することはありませんし、警告や禁止命令は刑罰ではありませんから、前科もつきません。
ただし、これは警告や禁止命令をきちんと守っていた場合の話です。
警告や禁止命令に従わずにストーカー行為を再び行えば、ストーカー規制法違反として検挙されたり、逮捕されたりすることになります。
今回のAさんは20歳未満のため、原則として刑罰を受けることはありませんが、成人がこうしたストーカー規制法違反となった場合には、
ストーカー行為をした場合:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
禁止命令に反してストーカー行為をした場合:2年以下の懲役又は200万円以下の罰金
となる可能性があります。

・少年によるストーカー規制法違反事件

少年事件で少年が少年院等に入らずとも更生が可能であると主張するためには、少年の生活する環境を更生に適した環境としていくことが大切です。
これがいわゆる環境調整という活動です。

例えば、今回のAさんは、一度母親のBさんと一緒に滋賀県大津北警察署ストーカー規制法違反の容疑で話を聞かれており、そこで警告をされています。
そこで再びストーカー行為をしないように言われ、さらにBさんが監督するということを言っているにも関わらず、再びストーカー行為をするようになってしまっています。
こうした場合、このまま変わらない環境にAさんを置き続けることでAさんの更生は望めないと判断されてしまう可能性があります。
ですから、今までとは違った環境・対策を整え、Aさんの更生を図るのに十分であるということを説得的に主張していく必要があります。
この環境調整の活動こそ、少年事件に強い弁護士にご相談いただきたいのです。
より効果的な環境調整を行うためには、少年事件に関する専門知識や、それをもって第三者的立場から少年事件を見ることが必要とされますし、さらにそれを少年事件の手続きにのっとって適切に主張していかなければなりません。
そうした場では、少年事件に強い弁護士のフルサポートが重要となるでしょう。

少年事件にも対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間365日、弊所サービスへのお問い合わせやお申込みを受け付けています(0120-631-881)。
滋賀県ストーカー規制法違反事件の逮捕にお困りの際は、遠慮なく上記フリーダイヤルまでお電話ください。

中学生をキャバクラで雇用②風営法違反

2019-10-04

中学生をキャバクラで雇用②風営法違反

前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県高島市キャバクラを経営していました。
ある日、Aさんはキャバクラですでに働いていたBさんという女性からCさんという女性を紹介され、いわゆるキャバ嬢として雇いましたが、Cさんはまだ14歳の中学生でした。
さらに、すでにキャバクラでキャバ嬢として雇っていたBさんも、15歳の中学生でした。
Aさんはそのことを知っていましたが、BさんやCさん自身が働きたいと言っているのだし、BさんやCさんがお酒を飲まなければ問題ないだろうと考えてBさんやCさんをキャバ嬢として働かせていました。
するとある日、滋賀県高島警察署の警察官がAさんのキャバクラを訪れ、Aさんは児童福祉法違反や風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月26日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・中学生をキャバクラで雇用したら風営法違反にも?

前回の記事では、満15歳未満であるCさんをキャバ嬢として酒席に侍らす行為をしたAさんは児童福祉法違反になると考えられるということを取り上げました。
今回の記事では、Aさんのもう1つの逮捕容疑である風営法違反について考えてみましょう。

風営法は、正式名称を「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律で、風俗営業の規制を行い、風俗営業の健全化を図る法律です。
この記事の中では風営法と呼びますが、風適法と略して呼ばれる場合もあります。
風営法における「風俗営業」をする際には、この風営法の中にある決まりを守らなければいけません。
風営法にいう「風俗営業」には、「キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」(風営法2条1項1号)が含まれているため、Aさんの経営していたようなキャバクラは「風俗営業」であり、風営法に則って営業させなければならないと考えられます。

そして、この風営法の中には、以下のような規定があります。

風営法22条1項
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
3号 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせること。

ここで「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」(風営法2条3項)とされています。
こうした定義からすれば、一般にキャバクラでキャバ嬢が客について接客することは、この風営法の「接待」に含まれると考えられます。
ですから、中学生をキャバクラでキャバ嬢として働かせることは、風営法のこの部分に違反することになるのです。
こういった年少者雇用による風営法違反となってしまった場合、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という法定刑が定められており、この範囲で処罰されることになります(風営法50条1項4号)。

また、仮に風営法の「接待」をしていなかったとしても、風営法では以下のような決まりもあるため、注意が必要です。

風営法22条1項
風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
4号 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

つまり、この禁止されている時間帯に18歳未満の者に「接待」でなくとも客に接する業務に従事させていれば、こちらも未成年者雇用による風営法違反となるのです。
こちらの風営法違反についても先ほど挙げた「接待」についての風営法違反と同様、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」するという法定刑が定められています。

なお、前回の記事で取り上げた児童福祉法にもあったように、風営法にも年齢不知によって処罰を免れることができないという規定があることにも注意が必要です。

風営法50条2項
第22条第1項第3号若しくは第4号(第31条の23及び第32条第3項において準用する場合を含む。)、第28条第12項第3号、第31条の3第3項第1号、第31条の13第2項第3号若しくは第4号又は第31条の18第2項第1号に掲げる行為をした者は、当該18歳未満の者の年齢を知らないことを理由として、前項の規定による処罰を免れることができない。
ただし、過失のないときは、この限りでない。

前回から見てきたように、中学生をキャバクラでキャバ嬢として雇うことは、児童福祉法違反や風営法違反といった犯罪になります。
これは、中学生本人がキャバ嬢として働くことを了承していることや、中学生本人が飲酒しないことといった事情は関係なく成立します。
児童福祉法違反・風営法違反に悩んだら、すぐに弁護士に相談しましょう。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士によるサービスのご案内をいつでも行っています。
逮捕されてしまった方、捜査を受けて取調べに呼び出されている方、それぞれのニーズに合うサービスをご提案いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

中学生をキャバクラで雇用①児童福祉法違反

2019-10-02

中学生をキャバクラで雇用①児童福祉法違反

Aさんは、滋賀県高島市キャバクラを経営していました。
ある日、Aさんはキャバクラですでに働いていたBさんという女性からCさんという女性を紹介され、いわゆるキャバ嬢として雇いましたが、Cさんはまだ14歳の中学生でした。
さらに、すでにキャバクラでキャバ嬢として雇っていたBさんも、15歳の中学生でした。
Aさんはそのことを知っていましたが、BさんやCさん自身が働きたいと言っているのだし、BさんやCさんがお酒を飲まなければ問題ないだろうと考えてBさんやCさんをキャバ嬢として働かせていました。
するとある日、滋賀県高島警察署の警察官がAさんのキャバクラを訪れ、Aさんは児童福祉法違反や風営法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月26日福井新聞ONLINE配信記事を基にしたフィクションです。)

・中学生をキャバクラで雇用したら児童福祉法違反?

今回のAさんは、児童福祉法違反という犯罪と風営法違反という犯罪の容疑で逮捕されているようですが、まずは児童福祉法違反についてみていきましょう。
児童福祉法とは、児童の権利や福祉の保障について定めており、児童福祉に関する機関・団体や施設、事業などについての規定や児童福祉を守るための規定が定められています。

そしてこの児童福祉法には、以下のような規定が存在します。

児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
5号 満15歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為

キャバクラでは、いわゆるキャバ嬢と呼ばれる従業員が、それぞれの客の席につき、飲酒や飲食の接待をします。
ですから、キャバ嬢としての仕事は「酒席に侍する行為」であり、それを反復継続する仕事ですから「業務として」行うことであるといえます。
つまり、満15歳未満の児童をキャバ嬢として働かせた場合、児童福祉法のこの規定に違反することになるのです。
今回の事例では、Cさんが14歳=満15歳未満ですから、Aさんは児童を酒席に侍らす行為をしたとして児童福祉法違反となることが考えられます。
こうした児童を酒席に侍らす行為による児童福祉法違反となった場合、「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」されることになります(児童福祉法60条2項)。

なお、今回のAさんはCさんが満15歳未満であることを知っていたため、児童福祉法違反の行為をしている認識はあったと考えられますが、児童福祉法には、以下のような規定があることにも注意が必要です。

児童福祉法60条4項
児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。
ただし、過失のないときは、この限りでない。

つまり、今回のような児童福祉法違反では、落ち度なく年齢を確認して雇っていたような場合を除き、「年齢を知らなかった」「児童とは知らなかった」という言い訳は基本的には通用しないということです。
きちんとした手続きや確認を経て雇い入れることはもちろん、もしも児童福祉法違反の容疑をかけられてしまったら、どういった確認方法を取っていたのか等の詳細を弁護士に話し、どういった見通しになるのか検討してもらうことが望ましいでしょう。

・中学生をキャバクラに紹介するのも児童福祉法違反?

実は、今回のケースで児童福祉法違反が問題となるのは、Aさんだけではありません。
Bさんは、14歳であるCさんにキャバクラのキャバ嬢の仕事を紹介してAさんに引き渡していることから、以下の児童福祉法の規定に違反する可能性があります。

児童福祉法34条
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
7号 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
※注:「前各号」には、児童福祉法34条5号の満15歳未満を酒席に侍らす行為も含まれています。

この規定には「何人も」とあるため、自身も18歳未満の「児童」であるBさんも、もちろんこの規定に違反してはいけません。
Bさんの場合は児童福祉法違反事件として検挙されたとしても成人の刑事事件と異なる手続きを踏む少年事件として扱われ、その手続きにのっとって進んていくことになると考えられますが、事件の性質上、捜査段階では逮捕などの身体拘束を伴う捜査が行われることも考えられます。
その後の家庭裁判所での調査や審判に早めに備える意味も込めて、早期に少年事件に詳しい弁護士に相談することが望ましいでしょう。

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体罰による児童虐待

2019-09-30

体罰による児童虐待

滋賀県長浜市に住むAさんには小学校に通う6歳の息子さんがいます。
ある日,いうことをきかなかった息子さんに対し,Aさんは手を上げて叱りました。
翌日,息子さんが学校で殴られたことを話したことから虐待を疑った先生が児童相談所へ相談し,Aさんは児童相談所から事情を聞かれることになりました。
躾のつもりで手を上げたことが虐待に当たり,滋賀県木之本警察署に通報されるのではと不安になったAさんは,弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

【躾と虐待】

親などの親権者やその他監護権者が監護する子供の健全な育成のために指導を施すのは当然のことです。
その方法の一つとして子供が不適切な行動をしたり,またはしそうになったときに叱責したり説教したりすることもあるでしょう。
しかし,世の中にはそういったいわゆる躾の一環としてなされた行為が虐待に当たるものとして処罰されたりする場合があることも実情です。
では,どういった場合に躾が虐待と判断されるのでしょうか。

【暴行による虐待】

民法では,親権者は監護や教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができると定めており,懲戒行為が直ちに処罰されるものではないことがわかります。
しかし,懲戒にあたる行為であっても,子どもを殴ったり蹴ったりした場合は刑法上の暴行に当たり暴行罪(刑法第208条)として処罰される可能性が出てきます。
暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

今回のAさんの事件ですと,Aさんは息子さんを暴行していますので暴行罪に問われる可能性があります。
実際はその暴行の程度や頻度などを総合的に考慮して逮捕や起訴が差し控えられるケースもあります。
これは,子どもから親を引き離すことや犯罪者の子どもであることのレッテルを周囲から貼られることによって生じる子どもへの不利益を回避するためです。

だからといって,体罰が許されるものではありません。
懲戒権を濫用することによって前科はつかずとも親権を失う場合があります。
どんな理由があろうとも,体罰やそれによる児童虐待を行ってはいけません。

【暴行によらない虐待】

Aさんの場合では直接暴行を加えていますが,他の方法によって「躾」を行うことも考えられます。
例えば,しばらく部屋に閉じ込めたり,人格を否定するような暴言を浴びせたり,一時的に食事を与えなかったりすることなどが挙げられます。

部屋に閉じ込めることは監禁罪(刑法第220条)にあたる可能性が考えられます。
監禁罪の法定刑は3月以上7年以下の懲役です。

著しい暴言を浴びせたり児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食などは,それによって直ちに罪に問われることはないかもしれませんが,これらの行為により子どもの心身に実害が発生した場合は傷害罪(刑法第204条)または過失傷害罪(刑法第209条),あるいは保護責任者不保護罪(刑法第218条)などに問われる可能性があります。

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金または科料で,保護責任者不保護罪の法定刑は3月以上5年以下の懲役です。

暴行による場合とよらない場合とにかかわらず,躾のつもりで行った行為で子どもを死なせてしまった場合にはさらに重い罪に該当する可能性が高くなります。
もし子どもがいいつけに背いたりしても,やはり暴力や心理的圧迫に頼らない方法による懲戒権の行使が望ましいと言えます。

児童虐待を疑われたからといってすぐに逮捕されるとは限りません。
もしそのような疑いが向けられた場合は,早めに弁護士や児童相談所に相談して適切な対応をとることにより,逮捕や起訴の回避を目指すことも考えられます。
親権や監護権をもつ子どもに対する暴行で警察による捜査が開始されてしまった方は,刑事事件に強い弁護士補人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?②

2019-09-28

琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?②

~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県大津市にある琵琶湖畔で、友人女性のVさんらと遊んでいました。
AさんはVさんに好意を抱いており、Vさんに何度も水上バイクに一緒に乗るよう誘いをかけました。
Vさんは最初嫌がって断っていましたが、Aさんが何度もしつこく誘ったことからその誘いに折れ、「少しだけなら」とAさんと水上バイクに乗りました。
しかしAさんは、水上バイクを発進させると、Vさんが止めるのも聞かずに湖畔から離れた琵琶湖沖まで出て、そこでVさんに抱き着くと無理矢理キスをしました。
その後、Vさんが滋賀県大津北警察署に相談し被害届を出したことがきっかけとなり、Aさんは滋賀県大津北警察署監禁罪強制わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)

・水上で監禁罪に?

前回はAさんの逮捕容疑の1つである強制わいせつ罪について触れましたが、今回の記事ではもう1つの逮捕容疑である監禁罪について触れていきます。

監禁罪は、刑法220条に規定されている犯罪です。

刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

監禁罪は、人の身体・行動の自由を侵害する犯罪で、不法に=正当な行為以外で人を監禁した際に成立します。
正当な行為での逮捕・監禁の例では、刑事事件で逮捕状による逮捕や勾留状による勾留が行われることがよく挙げられます。
一般に監禁罪にいう監禁とは、人の身体を間接的・場所的に拘束してその自由を奪うこと=人を一定の限られた場所から脱出することを不可能又は著しく困難にすることを言います。
例えば、鍵のかかった部屋に誰かを許可なく閉じ込めるようなことをすれば、それは監禁罪にいう監禁行為であると考えられるでしょう。

今回のAさんのケースについて考えてみましょう。
監禁罪監禁行為という言葉からは、先ほど例に挙げたように、どこかの部屋に誰かを閉じ込めるような態様が想像しやすいでしょう。
しかし、今回のAさんはVさんを水上バイクに乗せて琵琶湖沖に出ているという行為をしているのみで、Vさんを部屋や何か狭いものに閉じ込めたというわけではありません。
これでも監禁罪は成立するのでしょうか。

実は、過去に似たような監禁事件の判例があります。
この事件は、被疑者は被害者を姦淫する目的で、自分の運転する原付自転車の荷台に被害者を乗せ、1,000メートル疾走したという内容でした。
この事件で、最高裁はこの行為を監禁罪に該当するとして監禁罪の成立を認めました(最決昭和38年4月18日)。
それはなぜかというと、先ほど触れた監禁罪の監禁という言葉の意味にあります。
繰り返しますが、監禁罪は人の身体や行動の自由を侵害する犯罪であり、監禁とは人を一定の限られた場所から脱出することを不可能又は著しく困難にすることを言います。
つまり、人の自由を奪う形であれば、何も部屋の中に閉じ込めたり、周囲が何かに囲まれている場所に被害者を置いたりしなくとも、監禁行為となりえるのです。

今回のケースでは、Aさんは水上バイクにVさんを乗せ、Vさんが止めるのも聞かずに琵琶湖沖まで出ています。
Vさんはその行為を止めていたということからも、Vさんの同意なく行われた行為であり、正当な行為であるとはいいがたいでしょう。
そして、水上バイクが走行している間はVさんはそこから脱出することはできませんし、琵琶湖沖に出てしまえば周りは湖ですから、そこでも脱出することは困難であるといえるでしょう。
ですから、AさんはVさんの身体・行動の自由を奪ったと考えられ、監禁罪の容疑がかかることになったのでしょう。

このように、たとえ周りがひらけているような場所であったとしても、状況次第では監禁罪が成立します。
監禁罪が成立しうる状況なのかどうかは、刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881でいつでも無料法律相談のご予約を受け付けております。
逮捕されている方向けの初回接見サービスも、同様にいつでもお申し込みいただけます。
まずは遠慮なくお問い合わせください。

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