【事例紹介】滋賀県 殺人未遂罪で逮捕された事例
滋賀県で起きた殺人未遂事件を基に、殺人未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
首を絞めて高齢の夫を殺害しようとしたとして、滋賀県警草津署は16日、殺人未遂の疑いで滋賀県栗東市の無職の妻(90)を逮捕した。夫(93)は病院に搬送されたが、意識不明の重体。
逮捕容疑は16日未明に自宅で、夫の首を両手で絞め殺害しようとした疑い。容疑者は「手で首を絞めた」と容疑を認めている。
(後略)
(11月17日 京都新聞 「90歳妻、介護していた93歳夫の首絞める 殺人未遂容疑で逮捕」より引用)
殺人未遂罪と殺人罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。
人を殺そうと思って人を殺した場合に殺人罪は成立します。
人を殺そうとしたが相手が死亡するまでには至らなかったという場合には、殺人未遂罪が成立することになります。
今回取り上げた事例では、報道の時点では容疑者は殺人未遂罪で逮捕されていますが、被害者である夫亡くなってしまった場合には、容疑をかけられる罪名が殺人罪に切り替わることが予想されます。
今回の事例の場合では、容疑者が夫の首を絞めたとされています。
容疑者が夫を殺そうと思ってそうした行為をしたのであれば、結果によって殺人罪や殺人未遂罪が成立することが考えられます。
一方で、夫の首を絞めたことは事実だが殺そうとは思っていなかったというような場合には、傷害罪や傷害致死罪が成立する可能性があることになります。
殺人罪の法定刑は、死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役です。
殺人未遂罪の場合も殺人罪と同様の法定刑になりますが、未遂であることが考慮され刑が減軽される可能性があります。
殺人未遂罪と刑罰
殺人未遂罪に問われた場合、どのような量刑が科されるのでしょうか。
実際に、殺人未遂罪で有罪判決が下された事例をご紹介します。
(ご紹介する裁判例は今回の事例と事件内容などが異なります。)
山口県で行われた裁判では、妻の介護が原因で夫が妻の首を包丁で刺し10日間のけがを負わせたとして殺人未遂罪に問われていました。
裁判の結果、被告人である夫に懲役3年執行猶予4年の判決が下されました。
(2009年9月9日 朝日新聞 「介護絡み殺人未遂に執行猶予判決 山口の裁判員裁判」より)
今回の滋賀県の事例では、報道の時点で被害者である夫が意識不明の状態であり、仮に回復したとしても、山口県の事例よりも被害者の負った被害の程度は重いと考えられますが、殺人未遂罪であっても、情状酌量により、執行猶予付き判決を得られる可能性があるということが分かります。
また、被害者が亡くなってしまい殺人罪に問われた裁判であっても、犯行当時に心神耗弱であったと判断され、執行猶予付きの判決が下された事例(参考)もあります。
裁判で情状酌量を求めることや犯行当時に心神耗弱だったと主張していくのであれば、入念な準備を行う必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
殺人罪、殺人未遂罪で逮捕、捜査された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。