すいか泥棒から強盗致傷事件に…②

すいか泥棒から強盗致傷事件に…②

~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県東近江市にあるVさんのすいか畑からすいかを盗み出そうと、Vさんのすいか畑まで軽トラックでやってきました。
そして、すいかをこっそり収穫し、軽トラックに積んでいきました。
しかし、畑の様子を見に来たVさんにその様子を目撃され、VさんはAさんに「勝手に何をしている。やめろ」と言いながら近づいてきました。
焦ったAさんは、Vさんを持っていたはさみで切りつけ、軽トラックで逃走しました。
この際、Vさんは軽傷を負いました。
その後、Vさんの通報により滋賀県東近江警察署が捜査を開始し、Aさんは強盗致傷罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を聞いたAさんの家族は、まさかすいか泥棒から強盗事件となることがあるとは思いもよらず、困って弁護士に相談しました。
(※この事例はフィクションです。)

・すいか泥棒から強盗致傷事件に?

前回は、窃盗罪強盗罪強盗致傷罪事後強盗罪に注目しました。
今回は、Aさんがどのようにして強盗致傷罪の容疑をかけられるに至ったのか丁寧に見ていきましょう。

まず、AさんはVさんのすいか畑からすいかを盗み出すすいか泥棒をしていますから、窃盗罪の成立が考えられます。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

先日の記事でも触れたとおり、窃盗罪は他人の支配・管理している物を勝手に自分の物としてしまう犯罪です。
Vさんのすいか畑でVさんが育てているすいかはVさんが支配・管理している物であるということに問題はないでしょう。
それを勝手に持ち出しているのですから、まずAさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

ここで、Aさんはすいかをこっそり持ち出し軽トラックに積んでいることから、強盗罪の成立に必要な「暴行又は脅迫」を使わずにすいかを自分の物としていることになります。

刑法236条(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

ですから、この時点ではAさんに成立する犯罪は窃盗罪であると考えられます。
しかし、Aさんはその後、すいか泥棒をしているAさんを発見し止めようと近寄ってきたVさんに対して、持っていたはさみで切りつけ、逃走しています。

刑法238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

先ほど触れたように、AさんはVさんのすいか畑からすいかを盗むすいか泥棒をしており、窃盗犯人であるといえます。
そして、捕まらないように=「逮捕を免れ」るためにはさみでVさんを切りつけるという「暴行」をしています。
はさみは刃物ですから、それで切りつけられることはVさんの反抗を抑圧する程度の「暴行」であると考えられる可能性もあります。
そうなれば、Aさんには事後強盗罪が成立し、強盗と同様に扱われることになります。

さらにAさんは、Vさんをはさみで切りつけた際、Vさんに軽傷を負わせています。
Aさんに事後強盗罪が成立するとすれば、Aさんは強盗犯人として扱われます。
そうすると、Aさんは強盗に際して人に怪我を負わせたということになりますから、強盗致傷罪が成立する、ということになるのです。

刑法240条(強盗致傷罪)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

こうした流れで、Aさんはすいか泥棒から強盗致傷事件の被疑者となってしまったと考えられます。

・強盗致傷事件での弁護活動

前回の記事でも取り上げた通り、強盗致傷罪は無期懲役も法定刑に含む非常に重い犯罪です。
そして、起訴されれば裁判員裁判を受けることにもなります。
裁判員裁判では、刑事事件や法律の専門知識のない一般の方である裁判員に向けて、分かりやすく丁寧に主張を行う必要が出てきます。
さらに、逮捕・勾留されていれば身柄解放活動も必要とされますし、被害者の方へ向けた謝罪や弁償も必要となってくるでしょう。
こうした弁護活動をまんべんなく充実させるためにも、強盗致傷事件でお困りの際は、刑事事件に精通した弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士強盗致傷事件を含む刑事事件にお困りの方をフルサポートしています。
滋賀県の刑事弁護のご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士まで御申しつけ下さい。

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