【事例紹介】原材料を横領し、業務上横領罪で逮捕

滋賀県近江八幡市で起きた業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警近江八幡署は19日、業務上横領の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は(中略)滋賀県近江八幡市のプラスチック容器製造会社に契約社員として勤務していた時に、別の男(49)と共謀して会社内に保管されていたプラスチック製品の原材料10トン(約140万円相当)を持ち出した疑い。
(1月19日 京都新聞 「プラスチック原材料10トンを横領 容疑で61歳派遣社員の男を逮捕、滋賀」より引用)

業務上横領罪

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領すると成立します。
例えば、業務の一環として管理を任されている他人の物を横領した場合は、業務上横領罪が成立します。

今回の事例では、容疑者が別の男と共謀してプラスチック製品の原材料を横領したとされています。
業務上横領罪では、横領の対象となる物として現金をイメージする方も多いのではないでしょうか。
業務上横領罪の対象となる物は、業務上自己の占有する他人の物です。
ですので、今回の事例のようなプラスチック製品の原材料といった現金以外の財物であっても、その他の業務上横領罪の構成要件を満たすのであれば、業務上横領罪は成立します。

では、今回の事例では業務上横領罪の構成要件である「業務上自己の占有する」という要件を満たすでしょうか。

今回横領したとされているプラスチック製品の原材料は、報道によると会社内に保管されていた物ですので、会社の物だと思われます。

したがって、もしも容疑者が業務の一環として、このプラスチック製品の原材料の管理を任されていたのであれば、「業務上自己の占有する」他人の物を横領したことになりますので、業務上横領罪が成立します。
しかし、報道の通り会社が保管しているプラスチック製品の原材料を持ち出してはいたが、管理を任されていなかった場合は、業務上横領罪ではなく、窃盗罪又は単純横領罪が成立する可能性があります。

業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役です。(刑法第253条)
一方で、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第235条)であり、業務上横領罪とは違って罰金刑が規定されています。
また、単純横領罪の法定刑は、5年以下の懲役です。(刑法第252条1項)

業務上横領罪が成立するためには、業務上自己が占有していたと認められる必要があります。
もしも検察官や裁判官が、業務上自己が占有していたとするには合理的な疑いが残ると判断した場合には、業務上横領罪ではなく罰金刑の規定がある窃盗罪や、業務上横領罪より法定刑の軽い単純横領罪が適用される可能性がありますし、業務上横領罪については不起訴処分又は無罪になるかもしれません。

業務上横領罪窃盗罪単純横領罪のどの罪が成立するかは、事件の内容次第で異なります。
事件の内容によっては、業務上横領罪窃盗罪単純横領罪ではなく、全く別の罪が成立する可能性もあるかもしれません。
成立する罪によって法定刑も変わってきますから、一度刑事事件に詳しい弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

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刑事事件に強い弁護士に相談をすることで、少しでもいい結果を得られるかもしれません。
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