今回のコラムでは、滋賀県甲賀市のトレーディングカード専門店で発生した万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
お金に困っていたAさんは、フリマサイトであるトレーディングカード(以下「トレカ」と省略します)が高額で取引されていることに気が付きました。
Aさんはそのトレカが滋賀県甲賀市のトレーディングカード専門店であるV店で販売されていたことを思い出し、V店を訪れました。
目当てのトレカはV店で販売されていたものの、価格が32万円でAさんには手が出ませんでした。
近くに人がいなかったことから万引きしてもバレないだろうと思い、Aさんはそのトレカを万引きし家に帰りました。
帰宅後すぐにAさんは万引きしたトレカをフリマサイトに出品し、高値で転売することができました。
万引きから数日後、防犯カメラ映像からAさんが特定され、窃盗罪の容疑で滋賀県甲賀警察署の捜査を受けることになりました。
(事例はフィクションです。)
万引きと窃盗罪
コンビニやスーパーなどで商品を盗む行為を万引きと呼びますが、この行為は窃盗罪にあたります。
窃盗罪は、刑法第235条によって規定されており、簡単に説明すると、他人の物を持ち主の許可なく盗むと窃盗罪が成立します。
窃盗罪で有罪になった場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(刑法第235条)
今回の事例では、AさんがV店から32万円のトレカを万引きしています。
このトレカはV店の商品ですから、持ち主はV店の責任者になります。
AさんはV店の責任者の許可なくトレカを盗んだわけですから、Aさんには窃盗罪が成立することになります。
転売目的と窃盗罪
今回の事例では、Aさんは転売目的でトレカを盗んだうえに、実際にフリマサイトで転売しています。
このような転売目的での万引きや窃盗の場合は、悪質性が高いと判断される可能性が高く、転売目的ではない被害額が同程度の窃盗事件よりも重い量刑が科されるおそれがあります。
また、今回の事例では32万円のトレカを万引きしていますので、V店が被った損害は軽いとはいえません。
窃盗罪は被害の大きさによっても科される量刑が変わってきますので、Aさんが窃盗罪で有罪になった場合には、重い刑罰が科されてしまう可能性があります。
示談交渉とその重要性
窃盗罪の場合、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる場合があります。
不起訴処分はその名の通り、起訴されない処分を指します。
起訴されないということは刑罰を科されないということですので、不起訴処分を獲得することができれば、懲役刑や罰金刑などの刑罰を受けることはありませんし、前科が付くこともありません。
ただ、今回の事例のような万引き事件の場合、被害者はV店になりますので、V店の責任者と示談交渉を行うことになります。
お店と示談を行う場合、お店の方針もありますから、示談交渉に応じてもらえない場合も少なくありません。
しかし、弁護士からお店に連絡をすることで、話を聞いてもらえる可能性があります。
加害者自らが示談交渉を行い断られた場合であっても、弁護士が再度連絡を取ることで示談に応じてもらえる場合がありますので、一度弁護士に相談をすることをお勧めします。
万引き事件に強い弁護士を
お店などでつい魔が差してしまい万引きをしてしまうこともあるかもしれません。
ですが万引きは窃盗罪になりますので、魔が差してやってしまったことでも罪に問われることになります。
また、コンビニで数百円程度の商品を万引きしただけであれば、窃盗罪にはあたらないと考えている方もいるかもしれません。
しかし、万引きした商品が安かろうと、万引きは犯罪ですので窃盗罪の罪に問われることになります。
先ほども書いたように、万引きなどの窃盗事件は示談の締結がカギになってきます。
弁護士を入れることで、円滑に示談を締結できる場合がありますし、示談を締結できない場合であっても弁護士が検察官に処分交渉を行うことで不起訴処分を獲得できる可能性があります。
万引き事件で不起訴処分を目指している方は、窃盗罪に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。