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【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

2022-08-10

【事例紹介】滋賀県日野町の談合事件 官製談合防止法違反

官製談合防止法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県日野町発注の排水処理施設改修工事の入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの罪に問われた町上下水道課主任の男(43)の判決が28日、大津地裁であり、西脇真由子裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決によると、主任の男は2020年9月18日に行われた東桜谷地区農業集落排水処理施設の改修工事の指名競争入札で、大津市の水道設備メンテナンス会社の元営業工事部課長(57)=公契約関係競売入札妨害罪で有罪が確定=に、非公表の最低制限価格が810万円に近い金額だと教え、809万円で同社に落札させた。
(後略)
(7月28日 京都新聞 「滋賀・日野町の官製談合事件、町上下水道課主任の男に有罪判決 大津地裁」より引用)

官製談合防止法

今回取り上げた事例は、町の職員であった男性が、官製談合防止法違反などの罪に問われたという談合事件のようです。
まずは、報道にも出ている「官製談合防止法違反」という犯罪について確認してみましょう。

官製談合防止法は、「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」の略称です。
職員による入札の妨害は、その第8条に規定されています。

職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、賃借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示することまたはその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、5年以下の懲役または200万円以下の罰金に処する。(官営談合防止法第8条)

条文によると、職員が特定の入札予定者に予定価格などの入札に関わる機密事項を教えた場合に、官製談合防止法違反が成立するということになります。
ここでいう「職員」とは、「国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員」とされています(官製談合防止法第2条第5項)。
つまり、大まかにまとめると、公務員や特定の法人の役員・職員が、特定の入札予定者に対して入札に関連する機密事項を教えることで、官製談合防止法違反となるのです。
こうした官製談合防止法違反で有罪となった場合には、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されることになります。(官製談合防止法第8条)

今回の報道の事例を考えてみましょう。
有罪判決を受けた男性は、町の水道課に勤務していたようですから、公務員、すなわち官製談合防止法のいう「職員」にあたります。
この男性が、町の排水処理施設の改修工事について、特定の業者に入札の最低制限価格を教えたということですから、「所属する国等が入札等により行う…請負その他の契約締結に関し」「事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示」したといえます。
これによって、男性は官製談合防止法違反に問われたということなのでしょう。
入札予定価格を教えたといった談合事件では、こうして官製談合防止法違反が成立することが多いです。

談合事件は世間からの関心度も高く、さらに、社会的責任も重いと考えられ、厳しい判断が下される可能性もある刑事事件です。
早い段階から、法律のプロである弁護士のサポートを受けながら、刑事手続きに対応していくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は数多くの刑事事件を解決に導いてきました。
官製談合防止法違反などの刑事事件でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご相談ください

次回の記事では、公契約関係競売入札妨害罪について解説します。

(事例紹介)卑わいな行為を見せて強制わいせつ罪に問われた事例

2022-08-03

(事例紹介)卑わいな行為を見せて強制わいせつ罪に問われた事例

~事例~

滋賀県警草津署は25日、強制わいせつの疑いで、滋賀県草津市の放課後児童支援員の男(35)を逮捕した。
容疑を否認しているという。
逮捕容疑は今年5月ごろ、自宅で市内の小学生女児に自慰行為を見せた疑い。
同署によると、男は学童保育の勤務の傍ら、自宅を子どもの遊戯スペースとして無償で開放していたという。
(※2022年7月25日18:44京都新聞配信記事より引用)

~触らなくても強制わいせつ罪になる?~

今回取り上げた事例では、男性が強制わいせつ罪の容疑で逮捕されていますが、容疑の内容は、小学生女児に自慰行為を見せたというものです。
強制わいせつ罪は痴漢などで成立することの多い犯罪であることもあり、「卑わいな行為を見せた」ということをもって強制わいせつ罪の容疑がかけられていることに疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、この報道の事案と照らし合わせながら強制わいせつ罪について確認していきましょう。

まず、強制わいせつ罪は刑法で以下のように定められています。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強制わいせつ罪では、被害者が13歳以上の方か13歳未満の方かによって、手段として暴行又は脅迫が用いられる必要があるかどうかが異なります。
被害者が13歳以上の方である場合には、暴行又は脅迫を用いて「わいせつな行為」をすることで強制わいせつ罪が成立します。
こうしたケースは、多くの方がイメージする強制わいせつ罪と合致しやすいのではないでしょうか。
対して、被害者が13歳未満の方であれば、暴行・脅迫なしであっても「わいせつな行為」をした時点で強制わいせつ罪が成立します。
こちらについては、なかなか世間一般のイメージにない部分かもしれません。

今回取り上げた事例にあてはめてみると、報道によると被害者は小学生女児です。
小学生は「13歳未満の者」ですから、たとえ暴行や脅迫がなくとも、「わいせつな行為」をしたのであれば強制わいせつ罪が成立するということになります。

では、「わいせつな行為」とはどういったことを指すのでしょうか。
強制わいせつ罪の「わいせつ」は、「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」と解されています(名古屋高裁金沢支部判決昭和36.5.2)。
加えて、キスをしたという行為について強制わいせつ罪の成否が争われた事例で「すべて反風俗的のものとし刑法にいわゆる猥褻の観念を以て律すべきでないのは所論のとおりであるが、それが行われたときの当事者の意思感情、行動環境等によつて、それが一般の風俗道徳的感情に反するような場合には、猥褻な行為と認められることもあり得る」(東京高裁決定昭和32.1.22)とされた裁判例もあります。
こうした裁判例から、身体触るという行為でなくとも強制わいせつ罪の「わいせつな行為」となり得ることが分かります。
今回の報道の事例では、容疑の内容のうち自慰行為を見せつけるという行為が「わいせつな行為」に当たると考えられて、男性は強制わいせつ罪の容疑をかけられているということなのでしょう。

このように、刑事事件では一般に浸透しているイメージとは異なる内容であってもその犯罪が成立したり容疑をかけられたりというケースが存在します。
報道によれば男性は容疑を否認しているとのことですが、否認事件の場合には、どの部分を否認しているのかによっても、適切な対応は異なってきますし、成立し得る犯罪が変わる場合もあります。
だからこそ、何かしらの犯罪に問われ刑事事件となった場合に早期に弁護士に相談するメリットは大きいのです。
弁護士に相談することで、自分に容疑がかけられている犯罪はどういったものなのか、なぜその犯罪の容疑がかけられているのか、自分の認識・主張でその犯罪が成立するのかといったことをきちんと把握しながら刑事手続に臨むことが期待できるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在宅捜査を受けている方から逮捕・勾留されている方まで幅広くご相談いただける体制を整えています。
0120-631-881では、スタッフがご相談者様の事情に合わせたサービスの案内を行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)子どもへの暴力で傷害罪 逮捕された事例

2022-07-27

(事例紹介)子どもへの暴力で傷害罪 逮捕された事例

~事例~

三男(5)を竹刀でたたいてけがを負わせたとして、滋賀県警米原署は26日、傷害の疑いで、滋賀県米原市、理容師の男(31)を逮捕した。
逮捕容疑は、24日午後10時半ごろ、自宅で三男の背中や腰を殴打するなどの暴行を加え、打撲などを負わせた疑い。
同署によると、男は容疑を認めているという。
(※2022年7月26日16:56京都新聞配信記事より引用)

~子どもへの暴力と犯罪~

今回取り上げた事例では、男性が自身の子どもに対して暴力をふるいけがをさせてしまっています。
こうした家庭内で起きた事件では、「家庭内の出来事だから」と軽く考えてしまう方もいらっしゃいますが、暴行事件傷害事件においては、「家族だから」「身内だから」といって犯罪が成立しないということはありません。

こうした子どもに対して暴力をふるい、暴行事件・傷害事件などとなった事例は他にも見られ、厳しい判決が下ることも少なくありません。
例えば、以下のような事例が見られます。

・当時3歳の長男が自宅で泣く・排便するなどしたことに腹を立てて暴行し、その結果長男が亡くなったという経緯の傷害致死事件で母親が起訴され、1人親で3人の子どもを育てており疲弊から体調を崩していたなどの事情が考慮され、懲役3年執行猶予5年が言い渡された事例(2021年9月11日朝日新聞DIGITAL配信記事より)
・当時1歳の娘に暴行して頭の骨を折る大けがをさせた上、その数日後に当時生後4か月の息子の頭に強い衝撃を与えて大けがをさせた容疑で父親が傷害罪に問われ(父親は容疑を否認)、懲役8年の実刑判決が言い渡された事例(2021年11月29日NHK NEWS WEB配信記事より)
・養子縁組を組んでいた当時9歳の男児を投げ飛ばして腕を骨折させたり、足首を掴んで浴槽の湯の中に頭から沈めたりする、同じく養子縁組を組んでいた当時10歳の女児の頭を踏みつけて打撲を負わせるなどの行為を、しつけと称して行ったとして、父親が傷害罪などに問われ、懲役2年6月の実刑判決が言い渡された事例(2022年6月9日iza配信記事より)
・父親が当時生後2か月の次男を冷蔵庫や冷凍庫に入れて扉を閉めたという暴行罪に問われ(父親は故意を否認)、罰金30万円となった事例(2022年7月26日YAHOO!JAPANニュース配信記事より)

子どもへ暴力が振るわれた刑事事件では、その暴力の結果がどれほどのものでどういった犯罪が成立するのかといったことだけでなく、どういった経緯で暴力がふるわれてしまったのか、子どもへの暴力が常態化していたのかどうか、期間はどれほどだったのかなど、様々な事情が総合的に考慮されて刑罰の重さが決められます。
例として挙げた報道で、子どもが亡くなっていても執行猶予がついている事例もあれば、子どもに怪我をさせて長期の実刑判決となった事例もあるというのは、単に成立する犯罪の重さだけではなく、こうした様々な事情が考慮された結果であるといえます。

暴力事件では、設定されている刑罰の幅も大きく、例えば今回取り上げた事例では男性が傷害罪の容疑で逮捕されていますが、傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です(刑法第204条)。
罰金を支払って事件が終了することもあれば、刑事裁判を行って長期の実刑判決となることもあるため、単に傷害事件といっても、一般の方からすればその見通しはなかなか立てづらいのではないでしょうか。
子どもへの暴行事件傷害事件となれば、家庭内の環境を見直すことも必要となることが考えられますから、第三者かつ刑事事件の専門家である弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881でご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内しています。
子どもへの暴力事件で逮捕されてしまった、傷害事件の捜査を受けて悩んでいるといった場合には、お気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)強制わいせつ致傷事件で逮捕された事例

2022-07-20

(事例紹介)強制わいせつ致傷事件で逮捕された事例

~事例~

滋賀県警東近江署は7日、強制わいせつ致傷の疑いで、大津市の団体職員の男(30)を逮捕した。
逮捕容疑は、4月19日午後10時15分ごろから20日午前0時40分ごろ、滋賀県東近江市のホテルで20代女性の胸や下半身などを触り、右胸、首や腰に軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「強制ではない」と容疑を一部否認しているという。
(※2022年6月7日京都新聞配信記事より引用)

~強制わいせつ致傷罪と刑事手続~

今回取り上げた事例では、男性が強制わいせつ致傷罪の容疑で逮捕されています。
強制わいせつ致傷罪は、刑法で以下のように定められている犯罪です。

刑法第181条
第1項 第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
第2項 第177条、第178条第2項若しくは第179条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

この刑法第181条第1項のうち、「第176条」に当たるのが強制わいせつ罪です。
つまり、強制わいせつ罪や強制わいせつ未遂罪を犯し、それによって人を死傷してしまった場合に強制わいせつ致死罪や強制わいせつ致傷罪が成立するということになります。
ここで注意しなければいけないのは、強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ未遂罪を犯して相手を怪我させたといった場合、つまり、結果としてわいせつ行為に至らなかったような場合でも成立し得るということです。
例えば、強制わいせつ罪を犯すつもりで相手に暴行・脅迫をしたものの、相手が抵抗したり人が駆け付けたりしたことでわいせつな行為をすることはできなかったという場合には強制わいせつ未遂罪となりますが、このとき相手が怪我をしていれば、強制わいせつ致傷罪となるのです。

今回取り上げた事例では、逮捕された男性の被疑事実は、女性の胸や下半身などを触ったという部分が「わいせつな行為」に当たると考えられたのでしょう。
そして、被害者の女性は軽傷を負っているようです。
男性は容疑を否認しているようですが、この「わいせつな行為」が暴行や脅迫を用いて行われたものであれば、強制わいせつ罪を犯して相手に怪我をさせたということで強制わいせつ致傷罪となります。

~強制わいせつ致傷事件と刑事手続~

強制わいせつ致傷罪は、法定刑に無期懲役が含まれていることから、起訴され裁判となると、裁判員裁判となります。
裁判員裁判では、普段裁判に関わっていない裁判員の方が判断に加わることになるため、裁判員にも被告人の主張が伝わるよう、主張の仕方を工夫しなければなりません。
さらに、裁判員裁判が開かれるまでにも、入念な準備が求められます。

こうしたことから、強制わいせつ致傷事件では、早い段階から弁護士に相談し、サポートを受けながら刑事手続に対応していくことが望ましいでしょう。
特に、今回の報道の事例のように容疑を否認しているケースでは、操作段階の取調べから慎重な対応が必要ですから、逮捕されたという段階からでも弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制わいせつ致傷事件の逮捕についてのご相談・ご依頼についても承っています。
専門スタッフがご状況に合わせたサービスをご案内していますので、まずはお気軽にお電話ください(0120-631-881)。

[事例紹介]滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件

2022-07-13

[事例紹介]滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件

滋賀県で起きた貸金業法違反・出資法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

滋賀県警彦根署などは21日、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利)の疑いで、滋賀県長浜市、無職の男(63)を逮捕した。
逮捕容疑は、貸金業の登録を受けずに、2020年1月~昨年6月ごろ、長浜市内などで、彦根市の会社員男性(59)ら3人に7回にわたり現金計約71万円を貸し付け、この3人から法定年利を超える計約9万円の利息を受け取った疑い。 
同署によると、調べに対し、「商売ではなく、個人間の貸し借りだった」などと容疑を否認しているという。
(6月21日 京都新聞  「無登録で71万円貸し付け、法定年利超える利息受け取る 容疑で無職男逮捕」より引用)

賃金業法

貸金業を営むには内閣総理大臣や都道府県知事の登録を受ける必要があります。(貸金業法第3条)
ですので、無登録での貸金業の営業は禁止されています。(貸金業法第11条)
無登録の状態で貸金業を営んだ場合には、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金に処されます。(貸金業法第47条)

出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)

高金利による貸付けをした場合は、出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第5条で処罰されます。

出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)第5条
1、金銭の貸付けを行う者が、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。
2、前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年20%を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。
3、前2項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年109.5%を超える割合による利息の契約をしたときは、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、またはその支払いを要求した者も、同様とする。

今回の事例の男性が出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反で有罪となった場合には、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処されることになります。

貸金法違反・出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反の裁判例

貸金法違反と出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反の裁判例を紹介します。

被告人は暴力団に属し、無登録で貸金業を行い、高金利を受領する契約を行なっていました。
被告人は貸金業違反・貸金法違反と出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反・組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)で起訴されました。
裁判の結果、被告人は懲役3年および罰金100万円執行猶予5年に処されました。(平成29年1月11日 広島高等裁判所岡山支部)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では少年事件・刑事事件を中心に取り扱っております
貸金業法違反・出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)違反で逮捕・捜査された場合は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

(事例紹介)営業禁止地域での性的サービスにより風営法違反に

2022-07-06

(事例紹介)営業禁止地域での性的サービスにより風営法違反に

~事例~

滋賀県警生活環境課と大津署は7日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、大津市の個室マッサージ店経営の中国籍の女(46)=大津市=を逮捕した。
逮捕容疑は5月19日、風俗店の営業禁止地域にある同店で不特定の男性客に性的サービスを行い、性風俗店を営んだ疑い。
(※2022年6月7日18:20京都新聞配信記事より引用)

~風営法と営業禁止地域~

ご存知の方も多いと思いますが、性的サービスを提供する場合には、風営法(正式名称「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)の「風俗営業」や「性風俗関連特殊営業」、「店舗型性風俗特殊営業」や「無店舗型性風俗特殊営業」、「映像送信型性風俗特殊営業」などとされ、風営法の規制を受けます。

今回取り上げた事例では、逮捕された女性は経営していた個室マッサージ店で性的サービスを行っていたということですが、個室で性的サービスを提供する営業は、上記で挙げたうちの「店舗型性風俗特殊営業」に当たると考えられます。

風営法第2条第6項
この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
第2号 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)

そして、この「店舗型性風俗特殊営業」は、風営法で営業が禁止されている地域が存在しますが、今回取り上げた事例では、その営業禁止地域内で「店舗型性風俗特殊営業」をしてしまったことによって風営法違反の容疑がかけられているようです。
風営法では、以下のように性風俗に関連した営業を行う地域を一定程度規制しています。

風営法第28条
第1項 店舗型性風俗特殊営業は、一団地の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第二条第四項に規定するものをいう。)、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。)、図書館(図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定するものをいう。)若しくは児童福祉施設(児童福祉法第七条第一項に規定するものをいう。)又はその他の施設でその周辺における善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲二百メートルの区域内においては、これを営んではならない。
第2項 前項に定めるもののほか、都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる。

簡単に言えば、風営法では、官公庁施設や学校、図書館や児童福祉施設などの周囲200メートル以内で「店舗型性風俗特殊営業」を営むことを禁止しています。
ですから、今回の事例では、逮捕された女性はこの禁止区域内で「店舗型性風俗特殊営業」を営んでしまったということでしょう。

こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反は、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」するとされています(風営法第49条第5号・6号)。

また、こうした営業禁止区域内での営業による風営法違反事件の場合、そもそも風営法に定められている「店舗型府性風俗特殊営業」の届け出をせずに無届営業をしていたというケースも考えられます。
届出をしていた場合、届出の段階で営業禁止地域内であることが分かるはずですから、それが発覚していないということはそもそも届出をしていないということが考えられるためです。
そうした場合には、無届営業による風営法違反も成立してしまうため、事件が複雑になってしまうことも予想されます。
早い段階から弁護士に相談し、見通しや手続、適切な対応について把握しておくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、営業禁止地域での営業による風営法違反事件のご相談・ご依頼も承っています。
逮捕された方向けの初回接見サービスなど、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)12歳の女性に現金を渡して性交し強制性交等罪に

2022-06-29

(事例紹介)12歳の女性に現金を渡して性交し強制性交等罪に

~事例~

滋賀県警東近江署は22日、強制性交、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで、大阪府東大阪市、会社員の男(43)を逮捕した。
逮捕容疑は、2021年1月21日午後0時10分~同4時20分までの間、滋賀県東近江市内のホテルで、中学1年だった滋賀県在住の女性=当時(12)=が13歳未満と知りながら、現金2万5千円を渡し、わいせつな行為をした疑い。
同署によると、少女は男とSNSを通じて知り合ったという。
男は「13歳以下の女性と性交したことはない」と容疑を否認しているという。
(※2022年6月22日19:31京都新聞配信記事より引用)

~強制性交等罪と被害者の年齢~

今回取り上げた事例では、逮捕された男性は強制性交等罪児童買春禁止法違反の容疑をかけられています。
未成年にお金を渡して性交をすれば、児童買春の罪にあたるということは、比較的知られていることではないでしょうか。
今回の逮捕された男性が問われている児童買春禁止法違反の部分は、まさにこの未成年にお金を渡してわいせつな行為をしたという部分にかかっているものでしょう。

対して、この事例で強制性交等罪の容疑がかかっているということに疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
強制性交等罪は、旧刑法では強姦罪として規定されていた犯罪であり、「無理矢理性交等をすることで成立する犯罪である」というイメージが強いでしょう。
そのため、いわゆる児童買春をしたのであれば、相手の同意があってしたことであり、強制性交等罪にあたらないのではないかと考えられる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、強制性交等罪では、一般にイメージされる「無理矢理性交等をした」以外にも成立する要件が定められています。

刑法第177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

強制性交等罪を定めている刑法第177条の前段部分は、簡単に言えば先ほどから触れている「無理矢理性交等をすると強制性交等罪が成立する」ということを指しています。
しかし、この前段部分には「13歳以上の者に対し」という限定がついています。
この前段部分の対象とならない13歳未満の者が相手だった場合はどうなるのかというと、刑法第177条の後段にある通り、「性交等をした」場合に強制性交等罪が成立します。
すなわち、相手が13歳未満であった場合、たとえ暴行や脅迫が用いられずとも=無理矢理でなくとも、性交等をしただけで強制性交等罪が成立することになるのです。
この13歳という年齢は、昨今「性交同意年齢」と言われて話題に上がることもあります。

今回取り上げた事例を見てみると、男性は13歳未満の少女と性交等をしたことで強制性交等罪の容疑をかけられているのだと考えられます。
先ほど触れた通り、少女の年齢が12歳であれば、少女がその行為に同意していたとしても、性交等をした段階で強制性交等罪に当たる行為となります。
ただし、報道によれば男性は容疑を否認しているようですから、少女が13歳未満である認識がなかったという主張をしている可能性があります。
こうした場合、男性には強制性交等罪の故意がないということになりますから、本意ではない供述をしないようにするためにも、弁護士から随時アドバイスを受けながら、取調べ対応などを慎重に行う必要があるでしょう。

昨今は、SNSの発達・普及によって、SNSを通じて未成年者と関係を持ち、身体の関係まで発展してしまうという性犯罪事件も多く発生しています。
こうした児童買春事件や強制性交等事件では、被害者との接触を避けるために逮捕されて捜査されるというケースも少なくありませんから、まずは弁護士のサポートを受けてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスをご用意しておりますので、ご家族が逮捕されてしまって状況が分からない、逮捕された方の力になりたいという場合にもスピーディーに対応が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

【解決事例】出張先のホテルでデリヘルを盗撮 不送致に

2022-06-22

【解決事例】出張先のホテルでデリヘルを盗撮 不送致に

~事例~

会社員のAさんは、出張先の滋賀県米原市のホテルで、デリヘル嬢Vさんを呼びました。
Aさんは、Vさんのサービスを受ける最中、Vさんに無断でカメラを仕掛け、Vさんのサービスの様子を盗撮しました。
VさんがAさんの盗撮行為に気付き、滋賀県米原警察署に相談。
Aさんは、滋賀県米原警察署から、盗撮の被害についての相談があったことを聞き、Vさんに連絡を入れましたが、Vさんからは、きちんとした謝罪と賠償がなければ被害届を出すつもりだということを話されました。
Aさんは、どのように対応すべきなのか不安に思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回無料法律相談を利用し、その後、弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

今回のAさんのように、ホテルに呼んだデリヘル盗撮したというケースでは、都道府県の定める迷惑防止条例違反となったり、軽犯罪法違反となったりするケースが多いです。
デリヘルなどの性的サービスを受ける場合でも、当然相手の許可を得ずにサービスの様子を撮影すれば、盗撮行為として犯罪となる可能性は出てきますし、サービス外の行為を強要するなどすれば、それも犯罪行為になり得ます。

Aさんのケースでは、Vさんの意向もあり、Vさんとの示談が成立すれば、そのまま事件が検察へ送致(いわゆる送検)されずに警察段階で終了となる可能性がありました。

そこで、Aさんからの依頼を受けた弁護士は、速やかにVさんに連絡を取り、Aさんが謝罪と弁償の意思を持っていることを伝え、示談交渉に取りかかりました。
弁護士との示談交渉の結果、Vさんとの示談は成立し、Vさんからお許しの言葉をいただくことができました。

弁護士を通じて警察署へ示談を事情を報告したことで、Aさんの盗撮事件不送致となり、警察段階で終了となりました。
これにより、Aさんは前科がつくことも回避でき、刑事手続に対応する時間も短縮することができました。

デリヘル盗撮など、風俗トラブルから刑事事件に発展するケースもあります。
早めに弁護士のサポートを受けて対応することで、事件を早期に終息させることができる可能性もありますから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、風俗トラブルから発展した刑事事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
盗撮事件などの刑事手続や事件対応にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)滋賀県のオレオレ詐欺(特殊詐欺)事件で逮捕

2022-06-15

(事例紹介)滋賀県のオレオレ詐欺(特殊詐欺)事件で逮捕

~事例~

滋賀県警守山署などは23日、詐欺の疑いで、大阪府茨木市、無職の男(20)と同府摂津市、建設業の男(20)を逮捕した。
(中略)
 逮捕容疑は、仲間と共謀して4月12日、滋賀県近江八幡市の女性(79)に息子の上司や息子を装って電話をかけてうそを言い、息子の上司を装った無職の男が女性宅を訪れ、現金250万円をだまし取った疑い。
(※2022年5月23日18:41京都新聞配信記事より引用)

~オレオレ詐欺事件~

いわゆる「オレオレ詐欺」に代表される特殊詐欺の被害は後を絶ちません。
今回取りあげた事例も、被害者の女性の息子やその上司を装って電話をかけ、現金をだまし取るという典型的なオレオレ詐欺事件であるといえるでしょう。
こうした特殊詐欺事件については、近年厳しい判断が下されることが多くなっているように思われます。

例えば、以下のような報道を見てみましょう。
・特殊詐欺グループの起こした複数の特殊詐欺事件(被害金額1660万円)に関与し、被害者からキャッシュカードを盗むなどした窃盗罪に問われた元警察官に対して懲役5年の実刑判決が言い渡された事例(2020年4月8日17:49産経新聞配信記事より)
・警察官などを名乗って複数の高齢者から現金やキャッシュカードをだまし取った窃盗罪や詐欺罪(被害金額約1500万円)に問われた男性が懲役4年6月の実刑判決を受けた事例(2020年2月12日18:41朝日新聞デジタル配信記事より)

詐欺罪では、その刑罰が「10年以下の懲役」と定められています(刑法第246条)。
昨今の特殊詐欺事件では、被害者の隙を見てキャッシュカードを盗む手口もあるため、詐欺罪ではなく窃盗罪が成立する場合もありますが、窃盗罪に定められている刑罰は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっています(刑法第235条)。
このことから、詐欺罪や窃盗罪で有罪となった場合には、「10年以下の懲役」という範囲で刑務所に行く可能性が出てくることとなります。

今例として挙げた事例では、複数件の特殊詐欺事件に関わっていたり、被害金額が多額であったりといった事情もあり、長期間の実刑判決が下されています。
実際に、先ほども触れた通り、特殊詐欺事件については厳しい判断が下される傾向にあります。
法務省による「2021年版犯罪白書」では、特殊詐欺事件で「受け子」や「出し子」と呼ばれる役割を担ったと判明している被告のうち、過半数の54.9%が実刑判決を受けているという統計が出ています。
「受け子」や「出し子」は特殊詐欺グループの末端が担うことも多い役割ですが、それでも過半数が実刑判決を受けているということからも、厳しい判断が下される可能性が高まっていることが分かります。

当然、かかわった詐欺事件の件数や被害金額などにもよりますが、特殊詐欺事件では末端であっても厳しい判断が下されやすいということからも、早期に弁護士のサポートを受けることが望ましいと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、オレオレ詐欺事件などを含む詐欺事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
0120-631-881ではいつでもお問い合わせを受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

【解決事例】傷害罪・暴行罪の相被疑事件で不送致処分に

2022-06-08

【解決事例】傷害罪・暴行罪の相被疑事件で不送致処分に

~事例~

Aさんは、滋賀県彦根市にある飲食店を利用した際、店の利用方法を巡って店主であるVさんとトラブルになりました。
AさんとVさんはお互いもみあいになってしまい、その過程でAさんはVさんにけがを負わせてしまいました。
Aさんは、通報を受けて捜査を開始した滋賀県彦根警察署に、傷害罪の被疑者として取調べられることとなりました。
Aさんは、Vさんに対して謝罪したいという意向から、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士に相談にいらっしゃいました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

~弁護活動と結果~

Aさんは、Vさんに対して謝罪をし、示談を締結したいと考えていました。
Aさんの起こした傷害事件はVさんを被害者とするものでしたが、トラブルになったAさんとVさんはもみ合いになっていたため、VさんもAさんに対する暴行事件の被疑者となっていました。
つまり、AさんとVさんはお互いがお互いを被疑者・被害者とする関係になっており、Aさんの傷害事件はいわゆる相被疑事件と呼ばれる状態でした。

弁護士は、Vさんに連絡を取ると、Aさんが謝罪の意向を持っていることや、自分が出していた被害届も取り下げるつもりであるということなどをお伝えし、Vさんのもとへ足を運び、Vさんとの示談交渉を行いました。
その結果、Vさんとの示談を締結することができ、被害届を取り下げていただくこともできました。

弁護士がVさんとの示談締結・被害届取下げの結果を警察に報告し、話をしたことで、Aさんは不送致処分となり、事件が終了することとなりました。
不送致処分で事件が終了したことで、Aさんが事件に対応する時間を大幅に短縮することができました。

口論などのトラブルから喧嘩のようになって起こってしまった暴行事件傷害事件では、自分と相手がお互いに被疑者・被害者の関係となる相被疑事件となることもあります。
お互いに被疑者・被害者の関係であることから、当事者同士で解決しようとしてもかえって溝が深まってしまうことも懸念されます。
だからこそ、第三者かつ専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を数多く取り扱う弁護士が、ご相談者様の状況に合わせたサービスを提供しています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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