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【事例紹介】金づちで頭を殴り軽傷を負わせ、殺人未遂罪で逮捕
金づちで警察官の頭を殴り軽傷を負わせたとして、殺人未遂罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
警察官の頭を金づちで殴ったとして滋賀県警草津署は(中略)公務執行妨害と殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。調べに黙秘しているという。
(中略)滋賀県草津市木川町の路上で自転車に乗ろうとしていた男に同署地域課の男性巡査部長(50)が職務質問したところ、男は逃げようとし、進路をふさがれると金づちで巡査部長の左側頭部を殴ったという。巡査部長は軽傷。
(2023年12月25日 「金づちで警官の頭を殴った疑いで60歳男逮捕…自転車に乗ろうとして職務質問される」より引用)
殺人未遂罪
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
殺人罪は簡単に説明すると、殺す意図をもって人を殺した場合に成立します。
また、殺人罪は未遂も罰せられますので(刑法第203条)、死亡しなかった場合には殺人未遂罪が成立することになります。
今回の事例では、容疑者は警察官の頭を金づちで殴ったとされています。
この警察官は軽傷のようなのですが、こういった場合には殺人未遂罪は成立するのでしょうか。
結論から言うと、報道が事実なのであれば、殺人未遂罪が成立する可能性があります。
大まかに説明すると殺人未遂罪は、殺そうと思って相手に危害を加え、その結果死に至らなかった場合に成立します。
ですので、相手が軽傷であっても上記の要件を満たしていれば殺人未遂罪が成立する可能性は十分にあります。
では今回の事例ではどうでしょうか。
報道によると容疑者は金づちで頭を殴ったとされています。
頭部には脳がありますから、頭部に衝撃を加えると死に至る可能性があります。
また、金づちで殴ると相当な衝撃を相手に与えるでしょうから、金づちで人の頭を殴ることで死んでしまう可能性があることは容易に想像できるでしょう。
殺人罪や殺人未遂罪では、殺意があったかどうかは、加害者本人の供述や使用した凶器、危害を加えた箇所などから総合的に判断されます。
殺意を否認している場合でも、その行為によって人が死ぬことを容易に想像できるような場合には、殺人罪や殺人未遂罪が成立する場合があります。
金づちで頭を殴ると死ぬ可能性があることは想像できるでしょうから、実際に容疑者が金づちで警察官の頭を殴ったのであれば、容疑者に殺人未遂罪が成立してしまうかもしれません。
殺人未遂罪と量刑
刑法第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
未遂罪の場合、未遂でない場合と比べて科される刑罰が軽くなる可能性があります。
ですが、軽くなる可能性があるといっても、殺人罪の法定刑は死刑又は無期若しくは五年以上の懲役ですので、有罪になれば懲役刑が科されることになるでしょうから、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行くことになります。
殺人未遂罪と傷害罪
人にけがを負わせた場合に成立する犯罪として、傷害罪を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害罪は暴行を加え人にけがを負わせた場合に成立する犯罪です。
今回の事例では、容疑者が金づちで頭を殴ったとされています。
人を殴る行為は暴行にあたりますし、金づちで殴ったことでけがを負わせているようなので、実際に容疑者が金づちで頭を殴ったのであれば、傷害罪が成立する可能性も考えられるのですが、今回の事例では傷害罪は成立しないのでしょうか。
繰り返しになりますが、殺人罪、殺人未遂罪が成立するためには、人を殺そうとする意志が必要になってきます。
ですので、殺意が認められない場合には、殺人罪や殺人未遂罪は成立しないことになります。
ですので、今回の事例で殺意が認められない場合には、殺人未遂罪でなく傷害罪が成立する可能性があります。
傷害罪には罰金刑の規定がありますから、傷害罪は殺人罪や殺人未遂罪と比べて科される刑の軽い犯罪だといえます。
殺人未遂罪と傷害罪ではかなり科される刑罰が変わってくる可能性がありますから、殺人未遂罪を疑われている場合には、場合によっては傷害罪の成立を目指した弁護活動が必要になってくる可能性があります。
傷害罪の成立を目指すうえで取調べ対応が重要になります。
証拠というと、今回の事例の金づちのような、犯行で使われた凶器を思い浮かべる方が多いと思います。
金づちなどの凶器ももちろん証拠にあたるのですが、本人や被害者、目撃者などの話した内容も証拠となります。
取調べでは、供述調書というものが作成されます。
この供述調書は裁判で使用される重要な証拠となります。
供述調書は取調べで話した内容を基に作成されますので、不利な証拠の作成を防ぐためには、取調べで自分の不利になるようなことを離さないことが極めて重要になります。
ですが、警察官や検察官は、自分たちが思い浮かべたとおりの筋書きになるように、話す内容を誘導してくることがあります。
例えば、殺人未遂罪の容疑をかけられている場合には、「殺すつもりがあった」というような殺意を認める内容を話すように誘導されるおそれがあります。
一度供述調書が作成されてしまうと、内容を訂正することは容易ではありませんから、事前に取調べで話す内容などをあらかじめ考えておくことが重要です。
とはいえ、どういった内容を話せばいいのかわからない方がほとんどでしょうし、わからないことだらけで不安な方も多いと思います。
ですので、取調べで困っている場合には、弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士であれば法律の観点から、積極的に話した方が良い内容やそうでない内容の検討がつきますし、取調べに対してアドバイスを行うことができます。
後に窮地に陥るような事態にならないためにも、取調べ前に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士に相談をすることで、望んだ結果を得られる可能性があります。
殺人未遂罪など、刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
猟友会の活動中に猟犬が人を襲い、業務上過失致傷罪の疑いで捜査されている事例 滋賀県大津市
猟友会の有害鳥獣駆除活動中に猟犬3匹を見失い、見失った猟犬が人に噛みつきけがを負わせたとして、業務上過失致傷罪の容疑で捜査されている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
19日午後0時5分ごろ、大津市(中略)の民家で、居住者(中略)と飼い犬が敷地内に入り込んだ猟犬3匹にかまれた、と110番があった。女性は左腕や両足に軽傷を負い、飼い犬は深い傷を負った。滋賀県警大津署は業務上過失傷害の疑いで捜査する。
(中略)猟犬は体長70~80センチで、猟友会のメンバー5人がイノシシやシカなどの有害鳥獣駆除活動をしている最中、メンバーの男性(72)が所有する猟犬3匹を見失ったという。
(11月19日 京都新聞 「猟犬3匹が民家に入り込み住人襲う 52歳女性が軽傷、飼い犬にも深い傷」より引用)
業務上過失致傷罪
刑法第211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
業務上過失致傷罪はその名の通り、業務上必要とされる注意を怠った結果、人にけがを負わせた場合に成立する罪です。
判例によれば、業務とは「本来人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるものであることを必要とする」(昭和33年4月18日 最高裁判所 判決)であり、「人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる」(昭和60年10月21日 最高裁判所 決定)としています。
猟友会の有害鳥獣駆除活動は業務にあたるでしょうか。
猟友会の有害鳥獣駆除活動は反復継続して行う行為だといえますし、猟銃の発射や両県との駆除活動は一歩間違えれば命の危険もあり、生命身体等に危害を加えるおそれがあるといえます。
また、有害鳥獣駆除活動は人の生命・身体の危険を防止することを目的としています。
ですので、有害鳥獣駆除活動は業務上過失致傷罪における業務に該当するでしょう。
今回の事例では、容疑者が猟友会の有害鳥獣駆除活動中に猟犬を3匹見失ったとされています。
猟犬が人を噛むと噛まれた人の生命身体に危害を加えるおそれがありますので、人を襲わないためにも、猟犬が勝手にどこかに行ったり人に危害を加えないように監視監督する必要があるでしょう。
報道によれば、猟犬を見失ったとのことですので、報道が事実であれば、容疑者は猟犬を連れるうえで必要な監視監督を怠ったといえます。
ですので、実際に容疑者が猟友会の有害鳥獣駆除活動中に猟犬3匹を見失い、人にけがを負わせたのであれば、業務上過失致傷罪が成立する可能性があります。
業務上過失致傷罪と不起訴処分
業務上過失致傷罪の法定刑は5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、決して科される罪の軽い犯罪だとはいえません。
懲役刑や禁固刑が規定されていますので、過失の程度やけがの程度によっては、懲役刑や禁固刑が科され、刑務所に行かなくてはならなくなる可能性があります。
刑事事件では、被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる場合があります。
不起訴処分とは、その名の通り、不起訴になる処分のことです。
刑事事件では起訴されることで刑罰を科されます。
ですので、不起訴処分を得られることができれば刑罰は科されません。
また、刑罰が科されませんので、前科が付くこともありません。
加害者が被害者と直接連絡を取ることで、被害者に恐怖を抱かせてしまったり、処罰感情をより激化させてしまうおそれがあります。
そのような場合には、再度の連絡を取ることができなくなってしまう可能性が高いですし、加害者が直接示談交渉を行う場合には捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえない場合も少なくなく、示談交渉どころか連絡すら取れない場合もあります。
弁護士を入れることで連絡先を教えてもいいと思われる被害者もいますし、処罰感情を激化してしまうようなケースも避けられる可能性があります。
弁護士を介して示談交渉を行うことで、トラブルの発生を回避できる可能性もありますので、示談交渉を行う際には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
また、弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が不起訴処分が妥当だと検察官に訴えることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
故意ではなく過失であったとしても、人にけがを負わせると業務上過失致傷罪などの罪に問われることになります。
ですが、弁護士に相談をすることで、不起訴処分などのより良い結果を得られる可能性があります。
業務上過失致傷罪などの刑事事件で捜査を受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。
殺人罪の成立要件と罰則 殺人罪はどういう場合に成立するの?
殺人罪は刑法で規定されている最も重大な犯罪の一つです。
しかし、その成立要件や罰則には一般的な認識と異なる点も多々あります。この記事では、具体的な事例を交えて、殺人罪の成立要件と罰則について解説します。
1. 殺人罪とは何か
殺人罪は、刑法第199条で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と規定されています。
殺人罪は、故意に人を殺害した場合に適用されるもので、その範囲は意外と広いです。
例えば、自衛のために他人を傷つけ、その結果死亡した場合でも、一定の条件下では殺人罪に問われる可能性があります。
また、法律上の位置づけとしては、重大な犯罪に分類され、最悪の場合、死刑にされる可能性もあります。
法律用語で注意すべきは「故意」と「因果関係」です。
これらの用語は後の項目で詳しく解説します。
殺人罪の全体像を理解するためには、まずはその定義と法的な位置づけを把握することが重要です。
2. 成立要件:故意
殺人罪の成立要件の一つとして「故意」が挙げられます。
法律上の「故意」とは、行為者がその行為によって特定の結果を望んでいる、または、その可能性を認識している状態を指します。
例として、AがBに対して怨みを持ち、Bを死なせようと考えた場合、この行為は「故意」に該当します。
しかし、交通事故で人を死なせてしまった場合、行為者がその結果を望んでいなければ「故意」は成立しない可能性が高いです。
「故意」が認められない場合は、過失致死罪や過失運転致死罪などの殺人罪とは異なる犯罪が成立する可能性があります。
このように、「故意」の成立は事例によって大きく異なるため、その詳細な判断は裁判でなされます。
「故意」について理解することは、殺人罪の成立要件を把握する上で非常に重要です。
3. 成立要件:行為
殺人罪の成立要件には「行為」も含まれます。
「行為」とは具体的に何をしたか、という事実を指します。
例えば、AがBに向かって銃を発砲した、CがDに毒を盛った、などが行為に該当します。
特に、行為は必ずしも物理的な力によって人を死に至らせるものでなくてもよく、精神的な圧迫や嫌がらせによっても成立する場合があります。
この点を考慮すると、いわゆる「モラハラ」や「パワハラ」によって相手が自殺した場合も、一定の条件下では殺人罪に該当する可能性があります。
「行為」についての理解は、殺人罪の成立要件をしっかりと把握するために必須です。
4. 成立要件:結果
殺人罪においては、「結果」も重要な成立要件となります。
「結果」とは、行為によって何が起きたか、つまり、その影響を指します。
殺人罪の場合、その「結果」は当然、被害者の死に至ることです。
例えば、AがBに向かって銃を発砲したが、Bは重傷を負っただけで死亡しなかった場合、殺人罪ではなく殺人未遂罪が成立することになります。
また、行為が直接的な死因でなくとも、その行為が被害者の死に繋がった場合は殺人罪が成立することもあります。
このように、結果の有無は殺人罪の成立要件を理解するために欠かせない要素です。
5. 成立要件:因果関係
殺人罪の成立要件においては、「因果関係」も非常に重要です。
「因果関係」とは、行為と結果との間に直接的なリンクが存在することを指します。
例えば、AがBに対して銃を発砲し、その結果Bが死亡した場合、明らかな因果関係があります。
しかし、もしBがその後、病院で適切な治療を受けたが、医療ミスによって死亡した場合、因果関係が不明確になる可能性があります。
このようなケースでは、行為者の責任範囲や因果関係がどの程度あるのかを詳細に調査し、裁判で判断されます。
因果関係の明確化は、殺人罪が成立するか否かを判断する際の重要なポイントとなります。
6.殺人罪の罰則
殺人罪においては、罰則も非常に重要な要素です。
殺人罪で有罪になった場合は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役が科されることになります。
つまり、殺人罪を犯すと死刑や無期懲役刑などかなり重い罪が下される可能性があります。
これは、社会に与える影響が大きく、被害者の命が奪われるという重大な犯罪であるためです。
ただし、特定の状況下では、刑罰が軽減される場合もあります。
例えば、酌むべき事情がある場合や、特別な精神状態が考慮される場合などです。
罰則に関する知識は、殺人罪に対する法的な理解を深めるために必要になります。
7. 事例紹介
最後に、具体的な事例を用いて殺人罪の成立要件や罰則を理解しましょう。
事例
AさんはBさんの言動にいらつきを覚え、Bさんを殴りました。
殴られたことによりBさんはその後死亡し、Aさんは滋賀県草津警察署の警察官に逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。
この事例では、Aさんに何罪が成立するでしょうか。
考えられる犯罪として、殺人罪、過失致死罪が考えられます。
まずは殺人罪が成立するかどうかを考えていきましょう。
殺人罪が成立するためには、「故意」、「行為」、「結果」、「因果関係」が必要になります。
殺人罪の「故意」
殺人罪の「故意」とは簡単に言うと殺す意図があったかどうかです。
AさんがBさんを殴り殺した際に、殺そうと思って殴ったのかどうかを他人が判断をすることは不可能です。
ですので、実際に故意性の判断を行う際には、行為で人が死ぬ可能性を認識していたか、危害を加えた人体の箇所、危害を加えた回数、使用した凶器などから判断されることになります。
殴ったのが頭であったり、何回も殴っていたり、殴るのに凶器を使用していた場合には、死ぬ可能性を予見できたとして、「故意」が認められる可能性があります。
一方で、殴った拍子に倒れてしまい打ちどころが悪かったために死亡してしまった場合などは、「故意」が認められない場合があります。
殺人罪の「行為」と「結果」「因果関係」
事例では、AさんがBさんを殴った結果、Bさんが死亡しています。
殴るという「行為」があり、その「結果」Bさんは死亡しています。
また、殴られたことによりBさんが死亡していることから、「因果関係」があると判断される可能性が高いでしょう。
つまり、事例の場合、「故意」が認められれば殺人罪が成立する可能性が高いといえます。
「故意」が認められない場合には、殺人罪ではなく、過失致死罪が成立する可能性が高いです。
この事例から、殺人罪の成立要件が一つでも欠けると、罪の成立や罰則が大きく変わる可能性があることが理解できます。
事例を通じて殺人罪の重大性とその厳罰性を再確認することが、法的な理解を一層深める手段となるでしょう。
8. まとめと今後の注意点
殺人罪は非常に重大な犯罪であり、成立要件や罰則も厳格に定められています。
この記事で紹介した「故意」、「行為」、「結果」、「因果関係」などの要素は、裁判での判断において重要なポイントとなります。
事件によって、殺人罪の故意性の判断が異なってきます。
事件の内容により処分の見通しなどが変わってきますので、殺人罪が疑われる場合いは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
タイヤをパンクさせて器物損壊罪で逮捕 滋賀県大津市
事例
滋賀県大津市に住むAさんは仕事へのストレスから、度々、家の近くに駐車してある車のタイヤをアイスピックで刺してパンクさせることを繰り返していました。
Aさんがいつものようにアイスピックで車のタイヤをバンクさせていたところ、巡回していた滋賀県大津警察署の警察官に見つかり、逮捕されてしまいました。
(事例はフィクションです。)
器物損壊罪について
まず、器物損壊罪とは、他人の物を損壊し、又は傷害すると成立する犯罪です(刑法第261条)。
ここでいう「他人の物」は、物であれば何でもいいというわけではなく、公用文書、私用文書、他人の建造物又は艦船を除いたものを指します。
もしも、「公用文書」や「私用文書」、「他人の建造物又は艦船」を破いたり、破壊した場合には、器物損壊罪ではなく、別の犯罪が成立します。
次に、「損壊」とは、その物の効用を害する行為をいいます。
簡単に言うと、物を使えなくする行為が損壊にあたります。
今回の事例では、Aさんは他人の車のタイヤをパンクさせています。
車のタイヤをパンクされてしまうと、その車を運転することが難しくなくなります。
したがってAさんが他人の車のタイヤをパンクさせる行為は、車を使えなくする行為、つまり車を損壊する行為といえるため、今回の事例では器物損壊罪が成立すると考えられます。
器物損壊罪につき有罪判決が確定した場合には、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」を言い渡されることになります(刑法第261条)。
弁護士に依頼して早期の解決を
器物損壊罪は親告罪、すなわち告訴が無いと起訴できない犯罪です(刑法264条)。
起訴されなければ、前科が付くことや、刑罰が科されることはありません。
したがって、告訴がされる前に示談を成立させ、起訴できない状態にすることが重要となります。
仮に、告訴されたあとであっても示談をすることで、告訴を取り下げてもらうことは可能です。
このように、示談を成立させることが重要となるわけですが、加害者本人が被害者と交渉することは、トラブルを生む可能性もあり困難です。
車の器物損壊事件では修理費が高額になる可能性が高く、法外な金額を示談金として提示されることも考えられます。
今回の事例のAさんは車のボディには傷などをつけていませんが、被害者の車に傷が見つかった場合、Aさんの行為によるものではなくともAさんが疑われてしまうことがあるでしょう。
Aさんと被害者の間で被害の程度に認識の差がある場合には、どうしても両者が納得できる示談金額などに差が生まれてしまいますし、円滑に示談が成立しないことでトラブルも生じやすくなります。
交渉のプロである弁護士に早急に相談をすることでトラブルを回避できる可能性がありますので、弁護士に示談交渉に着手してもらうことをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
ご家族が器物損壊罪の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】施設に勤める看護師が傷害罪で逮捕~傷害罪と欠格事由~
前回に引き続き、福祉施設に勤める看護師が施設利用者に対して殴ったとして、傷害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は31日、勤務先の福祉施設の利用者に暴行を加えたとして、傷害の疑いで、大津市の看護師の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)滋賀県内の福祉施設で30代女性の顔を殴り、左顔面打撲の軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「殴ったことに間違いない」と容疑を認めている。(後略)
(9月1日 京都新聞 「福祉施設で30代女性の顔を殴った疑い、48歳看護師を逮捕 滋賀」より引用)
看護師免許と傷害罪
今回の事例では、容疑者が看護師だと報道されています。
看護師などの国家資格は、刑事罰を科されると免許を取り消される可能性があります。
保健師助産師看護師法第9条
次の各号のいずれかに該当する者には、前2条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
1号 罰金以上の刑に処せられた者
2号 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3号 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4号 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
保健師助産師看護師法第14条
保健師、助産師若しくは看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至ったとき、又は保健師、助産師若しくは看護師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
1号 戒告
2号 3年以内の業務の停止
3号 免許の取消し
看護師免許については、保健師助産師看護師法で規定されています。
保健師助産師看護師法第9条、第14条が規定するように、看護師免許は罰金刑以上の刑が科された場合に取り消される可能性があります。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、傷害罪で有罪になってしまうと看護師免許が取り消されてしまうおそれがあります。
刑事事件では、捜査終了後、検察官が起訴、不起訴の判断を行います。
起訴されれば裁判が行われますし、不起訴になれば裁判は行われず刑事罰も科されません。
ですので、傷害事件を起こしてしまったとしても、不起訴処分を獲得することができれば、看護師免許の欠格事由に該当しないことになります。
傷害罪と弁護活動
今回の事例は、福祉施設に勤める看護師である容疑者が、施設利用者を殴ったとされています。
容疑者と被害者の関係性は報道からは明らかではありませんが、施設で勤務している看護師が施設利用者を殴ったとなれば、看護師としての立場を利用して暴行を加えたと判断され、同種事案の傷害事件に比べて悪質だと判断される可能性があります。
悪質だと判断されてしまった場合、同種事案の傷害事件よりも重い刑罰を科されてしまう可能性があります。
ですが、弁護士による弁護活動で、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
罰金刑などを科されてしまうと看護師免許を失ってしまう可能性があることや、容疑者が起こした傷害事件が悪質だとはいえないことなどを弁護士が主張することで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
また、示談を締結することで、不起訴処分の獲得など、あなたにとって有利な事情に働く可能性があります。
弁護士が代理人となって示談交渉を行うことで、被害者と円滑に示談交渉を行える可能性があります。
加害者が直接示談交渉を行ってしまうとトラブルになる可能性や連絡を断られてしまう可能性が高くなりますので、示談交渉を行う際は、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を狙えるかもしれません。
事件によって今後の見通しも変わってきますから、傷害罪でお困りの方、国家資格をお持ちの方で刑事事件の容疑をかけられている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】施設に勤める看護師が傷害罪で逮捕~傷害罪と逮捕~
福祉施設に勤める看護師が施設利用者に対して殴ったとして、傷害罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は31日、勤務先の福祉施設の利用者に暴行を加えたとして、傷害の疑いで、大津市の看護師の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)滋賀県内の福祉施設で30代女性の顔を殴り、左顔面打撲の軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「殴ったことに間違いない」と容疑を認めている。(後略)
(9月1日 京都新聞 「福祉施設で30代女性の顔を殴った疑い、48歳看護師を逮捕 滋賀」より引用)
傷害罪
傷害罪は、刑法第204条で「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
傷害罪は簡単に説明すると、人に故意に暴行を加え、その結果、相手にけがを負わせると成立する犯罪です。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、傷害罪で有罪になると懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。
今回の事例では、容疑者が女性の顔を殴り、打撲を負わせたと報道されています。
人を殴る行為は暴行にあたります。
また、殴る暴行を加えたことで、打撲を負わせているので、今回の事例では傷害罪が成立する可能性が高いです。
傷害罪と釈放
今回の事例では、容疑者が傷害罪の容疑で逮捕されたと報道されています。
一度逮捕されてしまうと、事件が終わるまで家に帰ることはできないのでしょうか。
実は、事件が終わる前であっても釈放がみとめられれば、家に帰ることができます。
弁護士は、検察官や裁判官に勾留請求に対する意見書を提出することができます。
この意見書は勾留を請求、決定しないようにお願いする内容の書面ですので、勾留が決定する前でなければ提出をすることができません。
勾留の判断は逮捕後72時間以内に行われます。
ですので、意見書を提出する際には、逮捕されてから72時間以内に提出する必要があります。
勾留が決定しなければ釈放されることになりますので、意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。
意見書では、主に、勾留されて困ることや証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
意見書の準備にも時間が必要ですので、ご家族が逮捕された方は、できる限り早く弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
また、勾留が決定した後であっても、弁護士が裁判所に準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる可能性があります。
今回の事例では、容疑者が福祉施設で勤務しており、被害者がその施設を利用していたと報道されています。
報道からは明らかではありませんが、容疑者が被害者の住居などを知っている可能性があります。
刑事訴訟法第60条1項では、
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
1号 被告人が定まった住居を有しないとき。
2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
と規定しています。
被害者に接触して、供述内容を変更させる行為なども証拠隠滅に該当します。
ですので、加害者が被害者と知り合いであったり、住居などを知っている場合には証拠隠滅の疑いがあると判断されやすくなり、勾留が決定してしまう可能性が高くなります。
今回の事例で容疑者が被害者と知り合いであり、なおかつ住居などを知っているのであれば、勾留が決定してしまうかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数々の刑事事件で釈放を実現させてきました。
早期に弁護士に相談をすることで、釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が傷害罪などの刑事事件で逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
次回のコラムでは、看護師免許と欠格事由について解説します。
【事例紹介】窓ガラスを割り、逮捕された事例②
前回のコラムに引き続き、窓ガラスを割ったとして器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は12日、器物損壊の疑いで草津市、運送業の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は、11日午後10時ごろ、同市内の会社役員男性(66)宅1階に石を投げ、窓ガラス1枚を割った疑い。男は「記憶にない」と容疑を否認している。
(後略)
(8月12日 京都新聞 「周辺でガラス割れなど被害10件 警察が関連を捜査 民家の窓に投石の男逮捕」より引用)
建造物損壊罪と器物損壊罪
前回のコラムでは、他人の家の窓ガラスを割った場合は器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪が成立してしまう可能性があると解説しました。
では、器物損壊罪と建造物損壊罪は何が違うのでしょうか。
刑法第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
刑法第260条は建造物損壊罪、刑法第261条は器物損壊罪の条文になります。
建造物損壊罪と器物損壊罪の大きな違いは、科される刑罰の重さではないでしょうか。
建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役ですが、器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金であり、建造物損壊罪には罰金刑の規定がありません。
また、器物損壊罪は親告罪(刑法第264条)ですので、告訴が取り下げられた場合には、刑罰を科されることはありません。
一方で、建造物損壊罪は親告罪ではありませんので、告訴が取り下げられたとしても、刑罰を科されてしまう可能性があります。
もう一つ大きな違いとして、対象となる物が異なる点が挙げられます。
ざっくり説明すると、建造物損壊罪の対象は建造物ですし、器物損壊罪は建造物や公用・私用文書以外の他人の物が対象となります。
他人の家の敷居など、建造物の重要な役割を果たす柱や壁とつなぎ合わさっていて、簡単に取外しができないものを壊してしまうと、より科される刑罰の重い建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。
また、場合によっては、ドアなどの取外し可能なものであっても、建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。
今回の事例で報道されているように、壊したものが窓ガラスであったとしても、器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪が成立するおそれがあります。
窓ガラスの種類やその窓ガラスの重要性などによって、成立する罪が変わる可能性がありますから、窓ガラスなど家の一部を壊してしまった際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
器物損壊罪と示談
繰り返しになりますが、器物損壊罪は親告罪です。
ですので、示談を締結して告訴を取り下げてもらうことで、前科が付くことを避けることができます。
また、刑事事件では、示談を締結することで、不起訴処分を獲得できたり、科される罪が軽くなる場合がありますから、建造物損壊罪が成立した場合であっても、示談締結があなたの有利な事情になる可能性が高いです。
刑事事件では、加害者との直接的なやり取りを嫌煙される被害者の方が多くいらっしゃいます。
そういった場合には、加害者本人が被害者と直接示談交渉を行おうと思っても、連絡を取れない可能性が高いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、連絡を取りやすくなったり、示談交渉が円滑に進む可能性があります。
ですので、示談交渉を行う場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数々の刑事事件を解決に導いてきました。
建造物損壊罪や器物損壊罪でお困りの方や、逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡ください。
【事例紹介】窓ガラスを割り、逮捕された事例①
窓ガラスを割ったとして、器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は12日、器物損壊の疑いで草津市、運送業の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は、11日午後10時ごろ、同市内の会社役員男性(66)宅1階に石を投げ、窓ガラス1枚を割った疑い。男は「記憶にない」と容疑を否認している。
(後略)
(8月12日 京都新聞 「周辺でガラス割れなど被害10件 警察が関連を捜査 民家の窓に投石の男逮捕」より引用)
器物損壊罪
刑法第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は簡単に説明すると、人の持ち物を壊した際に成立します。
今回の事例では、容疑者が被害者宅に石を投げ、窓ガラスを割ったと報道されています。
実際に容疑者が報道のとおり石を投げ、被害者宅の窓ガラスを割ったのであれば、被害者の物を壊したことになりますので、器物損壊罪が成立する可能性があります。
建造物損壊罪
刑法第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
刑法第260条では、建造物損壊罪が規定されています。
建造物損壊罪とは、簡単に説明すると、建造物の重要な役割を果たす柱や壁とつなぎ合わさっていて、簡単に取外しができないものを壊した際に成立します。
例えば、家の敷居などを壊すと、建造物損壊罪が成立します。
今回の事例では、被害者宅の窓ガラスが容疑者によって割られたと報道されています。
他人の家の窓ガラスを割った場合には、建造物損壊罪は成立する可能性があるのでしょうか。
窓ガラスは建造物の一部とはいえ、多くの場合、取外しが可能でしょうから、建造物損壊罪の対象にはならないように思われます。
ですが、ドアを壊したことで建造物損壊罪で有罪となり、取外しが可能なドアを壊した場合には建造物損壊罪は成立しないとして上告した事件では、「本件ドアは,住居の玄関ドアとして外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしているから,建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ,適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても,この結論は左右されない」として、取外しが可能なドアであっても建造物損壊罪が成立しました。(平成19年3月20日 最高裁判所 決定)
被害者宅の窓ガラスがどのようなものかは報道されている内容からは明らかではありませんが、取外しが可能であったとしても、防犯や防風、防音の重要な役割を果たしているのであれば、建造物損壊罪の対象になる可能性があります。
ですので、容疑者が実際に窓ガラスを割ったのであれば、場合によっては、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。
刑事事件に精通した法律事務所
人の家の窓ガラスを割った場合、器物損壊罪や建造物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪と建造物損壊罪どちらが成立するかは、事例によって異なります。
ですので、窓ガラスやドアなど、人の家の一部を壊してしまった場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
器物損壊罪や建造物損壊罪などの容疑をかけられた方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。
次回のコラムでは、器物損壊罪と建造物損壊罪の違いや弁護活動について解説します。
【解決事例】威力業務妨害罪、嫌疑不十分で不起訴に
事例
友人と飲んでいたAさんは滋賀県大津市にあるコンビニに立ち寄り、友人に食べ物をおごってあげました。
友人はAさんから受け取り食べ始めましたが、その後、Aさんの前からふらっといなくなり、十数分後に戻ってきました。
Aさんは友人から食べ物を交番に投げたことを聞いて、様子を確認するため、交番に行きました。
後日、Aさんは友人と共謀して交番の業務を妨害したとして、威力業務妨害罪の容疑で、滋賀県大津警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんの逮捕を知ったAさんの家族は、逮捕翌日に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスを利用しました。
(守秘義務により、一部事実とは異なります。)
弁護活動の流れ
初回接見の依頼を受けた弁護士はすぐさまAさんに接見をし、Aさんから事件の詳しい話を聞き取りました。
そして、取調べでは、自分が犯行に全く関与していないと主張するようにアドバイスをしました。
初回接見後、Aさんの家族に事件の内容や見通しを伝え、弊所の弁護士がAさんの弁護士として付くことになりました。
依頼後、弁護士はすぐに検察官と連絡を取り、Aさんについて勾留請求しないように求めました。
Aさんは容疑を否認していたため、釈放は難航すると予想されましたが、弁護士が検察官にAさんの会社の経営が成り立たなくなってしまうことや、家族が身元引受人になることを伝えたことで、Aさんは勾留されずに釈放されることになりました。
釈放されたことにより、Aさんは会社の経営を行いながら、捜査を受けることができました。
弁護士によるアドバイスなどが功を奏し、Aさんは嫌疑不十分で不起訴処分となりました。
釈放と弁護活動
刑事事件では、逮捕後72時間以内に勾留か釈放かが判断されます。
逮捕後72時間以内に、弁護士が検察官や裁判官に働きかけを行うことで、今回の事例のAさんのように、早期釈放を認めてもらえる可能性があります。
繰り返しになりますが、勾留の判断は逮捕後72時間の間に行われますので、勾留前に働きかけを行う場合には、早い段階で弁護活動をスタートさせる必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、24時間365日、初回接見サービスのご予約を受け付けております。
家族が逮捕された場合は、土日祝日、即日対応可能な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881までお電話ください。
【事例紹介】連れ子への暴行により傷害罪で逮捕された事例
同居女性の連れ子を骨折させたとして、傷害罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警大津署は7日、同居女性の2歳(当時)の息子の肘を骨折させたとして、傷害の疑いで、大津市の飲食店の男(24)を逮捕した。
逮捕容疑は2月28日、市内の自宅で男の子の左肘を外側に折り曲げる暴行を加え、骨折させる大けがを負わせた疑い。
(後略)
(7月7日 京都新聞 「2歳男児の肘を外側に折り曲げて骨折る 傷害容疑で同居の24歳男を逮捕」より引用)
傷害罪
傷害罪は刑法第204条で「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。
傷害罪は簡単に説明すると、人に暴行を加えてけがをさせると成立します。
また、暴行とは、人の体に故意に力を加えることをいいます。
例えば、殴る行為は暴行にあたりますし、肩をつかむ行為や腕などを押さえつける行為なども暴行にあたります。
今回の事例では、容疑者が同居女性の連れ子の左肘を外側に折り曲げたとされています。
左肘を外側に折り曲げる行為は、左肘を外側に向かって力を加えていることになりますので、故意に折り曲げた場合には暴行にあたります。
この左肘を外側に折り曲げたことによって、連れ子の男の子は肘を骨折していると報道されていますので、報道された内容が事実であれば今回の事例では傷害罪が成立する可能性が高いです。
未成年者と示談
刑事事件では、示談を締結することで、前科のつかない不起訴処分を獲得できる場合があります。
今回の事例では、被害者は同居女性の連れ子である2歳の男の子です。
刑事事件の被害者が未成年者である場合、代理人である親権者と示談を締結することが通常です。
ですので、当然、示談交渉も被害者本人ではなく、被害者の親権者と示談交渉をすることになり、被害者本人よりも親権者の方が処罰感情が苛烈である場合が多く、示談交渉すらできないこともあります。
ですが、弁護士が代理人となることで、弁護士の話であればきいてもらえる場合もあり、弁護士が示談交渉を行うことで、円滑に示談を締結できる可能性があります。
弁護士による示談交渉で被害者とのトラブルを回避できることもありますので、示談交渉を行う際には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
今回の事例では、被害者は同居女性の連れ子ですので、同居女性と示談交渉を行うことになります。
被害者と加害者が知り合いであった場合、被害者が加害者と縁を切りたいと考えることも少なくなく、加害者自らが示談交渉を行った場合に拒否される場合があります。
今回の事例のように、被害者が未成年者でなおかつ知り合いであった場合には、示談交渉が難航することが予想されますので、示談を考えていらっしゃる方は、一度、弁護士に相談をすることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数々の傷害事件を解決に導いてきた法律事務所です。
弁護士に相談をして、示談を締結することで、不起訴処分の獲得を目指せる可能性があります。
傷害罪やその他刑事事件でお困りの方は、土日祝日対応可能な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。