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宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件①

2019-12-31

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件①

宝くじ当たりくじ偽造詐欺有価証券偽造等事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、年末に抽選の行われる宝くじを購入しました。
そして当選番号の発表日、Aさんが当選番号を確認すると、自分の購入した外れの宝くじと3等の当たりくじの番号が1つだけ違っていました。
そこでAさんは、「当選番号をごまかせれば当たりくじということにして当選金をもらえるかもしれない」と思いつき、自分の持っている宝くじの番号部分を当選番号に書き換え、X銀行へ持っていくと当選金への換金を要求しました。
しかし、受け付けた銀行員が宝くじの番号部分が通常の宝くじと異なっていることに気づき、滋賀県彦根警察署に通報。
駆け付けた警察官により、Aさんは有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・宝くじは「有価証券」

本日は大晦日です。
まさに年の瀬、年末といった時期ですが、この時期、高額当選を夢見て宝くじを購入したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の事例は、その宝くじに関わる刑事事件です。
Aさんの行為がそれぞれどういったことから有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪に問われることになるのか、詳しく見ていきましょう。

今回の事例のAさんは、自分の購入した宝くじ当たりくじの番号が近いことをいいことに、自分の購入した外れの宝くじの番号部分を書き換え、当たりくじのようにしています。
まず、この行為が刑法の有価証券偽造等罪となる可能性があります。

有価証券偽造等罪は刑法162条に規定されており、さらにその偽造された有価証券を使った場合には、刑法163条に規定されている偽造有価証券行使等罪が成立することになります。

刑法162条1項(有価証券偽造等罪)
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。

刑法163条1項(偽造有価証券行使等罪)
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。

まず、有価証券偽造等罪のいう「行使の目的で」とは、文字通りその偽造した有価証券を使う目的で、ということです。
つまり、使う目的なく有価証券を偽造したとしても、有価証券偽造等罪には当たらないということになります。
今回のAさんで考えれば、宝くじ当たりくじに見せかけて換金しようとしていますから、当たりくじのように改ざんした宝くじ当たりくじのように使用する目的があったということになるでしょう。

では、有価証券偽造等罪の客体である「有価証券」とはどういったものを指すのでしょうか。
条文上では、「公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券」とされていますが、「公債証書、官庁の証券、会社の株券」についてはあくまで「有価証券」の例示であり、これに当てはまらないからといって「有価証券」ではないということではありません。
その他の有価証券」については法律で具体的に決められているわけではなく、解釈にゆだねられています。
過去の判例では、「有価証券」は「財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするものでなければならない」と解釈されています(最判昭和32.7.25)。

ここで、宝くじ有価証券偽造等罪のいう「有価証券」にあたるのかどうか考えてみましょう。
宝くじは、当たっていれば当選金を受け取ることができ、宝くじにはその旨が記載されています。
当選金を受け取れる(請求できる)権利は「財産上の権利」ですから、宝くじには「財産上の権利が証券に表示され」ていることになります。
そして、宝くじの当選金を受け取る権利の行使をするためには、その宝くじを自分が支配・管理=占有していなければいけません。
つまり、宝くじは「財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするもの」であるといえることから、有価証券偽造等罪のいう「有価証券」にあたると考えられるのです。
過去の判例でも、宝くじ有価証券偽造等罪の「有価証券」にあたると解されています(最決昭和33.1.16)。
「有価証券」という言葉と宝くじはなかなか結び付きにくいところですが、このように「有価証券」にあたると考えられているのです。

このように、刑事事件では、法律に決められている言葉に実際の物が該当するのかどうか判断するにも、知識や経験が要求されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件・少年事件専門弁護士です。
複雑な犯罪や刑事事件にお困りの際にも、刑事事件少年事件専門の弁護士だからこそ安心してご相談いただけます。
まずはお気軽にご相談ください。

被害者をだましたのに窃盗事件?③

2019-12-29

被害者をだましたのに窃盗事件?③

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースで、特に家庭裁判所に進んでからの釈放を求める活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年の窃盗・詐欺事件で釈放を求める~家裁に進んでから

捜査が終了した少年事件は、原則としてすべての少年事件が家庭裁判所へ送られます。
逮捕・勾留による身体拘束を受けている少年は、身体拘束されたまま家庭裁判所に事件とともに送られることになります。
そしてその後、観護措置という手続きを取るかどうか家庭裁判所が判断し、観護措置を取るべきであると判断された場合にはさらに引き続いて身体拘束を受けることになります。

観護措置は、少年鑑別所に少年を収容したうえで少年の資質や環境などを専門家が調べるという少年事件特有の手続きです。
この観護措置は、事件が家庭裁判所に送致されてからとられる手続きであり、成人の刑事事件には存在しない手続きです。
逮捕・勾留を伴う少年事件では、家庭裁判所に送致されそのまま観護措置が取られるということも多いです。

今回のAさんの場合、知人たちと一緒になって詐欺まがいの窃盗事件を起こしてしまっていることから、Aさんの素行や環境に問題がなかったか調査する必要性があると判断されることも考えられます。
観護措置は通常4週間程度とられることか多く、最大で8週間も少年鑑別所に入ることになる可能性もあります。
先述したように、少年事件の原因や対策に必要な調査をする手続きであるため、少年にとって全くマイナスな手続きであるわけではありませんが、それでも4週間身体拘束されるとなれば学校や就業先に大きな影響を及ぼしてしまいます。

こうした身体拘束からの釈放を目指す活動が、弁護士のできる活動の1つでしょう。
少年本人とそのご家族が、刑事事件少年事件の専門家である弁護士と協力することによって、釈放の可能性を上げることができます。
もちろん、釈放を求める活動が必ず功を奏すとは限りません。
前回の記事で触れたように、詐欺まがいの窃盗事件は共犯がいたり計画性があったりすることから、なかなか釈放が難しい事件です。
そうであったとしても、釈放を求めていくと同時に、釈放されなかったとしても取調べや調査に不本意な対応をしてしまわないよう、最終的にその少年に適切な処分を獲得できるよう、随時アドバイスを受けることは大切ですから、弁護士への相談・依頼は重要なことであるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士が、逮捕・勾留を伴う少年事件のご相談・ご依頼にも対応しています。
子どもが窃盗事件・詐欺事件に関わってしまった、逮捕されたと聞いたがどうしたらいいのか分からない、という場合にもすぐにお問い合わせいただけます(0120-631-881)。
まずはお気軽にお電話ください。

被害者をだましたのに窃盗事件?②

2019-12-27

被害者をだましたのに窃盗事件?②

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースで、特に捜査段階の釈放を求める活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年の窃盗・詐欺事件で釈放を求める~捜査段階

今回のAさんが関わってしまったような詐欺まがいの窃盗事件や類似の詐欺事件では、Aさんのような学生がアルバイト感覚で関わってしまうケースも少なくありません。
冬休みや夏休みといった長期休暇でアルバイトに誘われ、軽い気持ちで関わってしまう少年もいます。
こうした窃盗事件・詐欺事件は組織的に行われていることも多く、逮捕されやすい被害者へ直接かかわる役割を学生のアルバイトに任せ、いわゆるとかげの尻尾切りのように利用している犯罪組織もあります。
こうしたアルバイトに関わらないことはもちろんですが、もしも関わってしまったら、弁護士にどのような活動をしてもらうことが考えられるのでしょうか。

まず、今回のAさんは逮捕されて滋賀県東近江警察署に留置されています。
少年事件の手続きが成人の刑事事件と異なると聞いたことのある方も多いかもしれませんが、捜査機関に捜査されるいわゆる被疑者の段階では、少年事件であっても成人の刑事事件と手続きが異なる点は多くありません。
少年事件であっても、逮捕されれば逮捕から48時間以内に釈放されるか検察官のもとへ送られるかが決められ、検察官へと送られる場合(いわゆる「送検」)には、そこからさらに24時間以内に勾留という逮捕より長期間の身体拘束をするよう請求するかどうかが決められます。
そして勾留を請求された場合、裁判所がその請求を認めれば、最大72時間に及ぶ逮捕から引き続いて、勾留というさらに長い期間の身体拘束がなされることになるのです。
勾留は、原則最大10日間であり、さらにそこから最大10日間の延長が認められています。
つまり、逮捕を伴う少年事件では、捜査段階において、逮捕から合わせると最大で23日間身体拘束される可能性があるということになります。

例えば、今回のAさんは、複数人で詐欺まがいの窃盗事件を起こしています。
前述したように、こうした手口の詐欺事件や窃盗事件では、役割分担が行われ、組織的に犯行が行われていることが多いです。
ニュース番組などでも「詐欺グループが逮捕された」というような報道が多くなされています。
このように複数人が関わる犯罪、いわゆる共犯者のいる犯罪では、仲間内での口裏合わせなどで証拠隠滅されるおそれがあると考えられて逮捕・勾留される可能性が高く、なかなか釈放されないケースが多いです。
さらに、複数件の詐欺事件や窃盗事件に関わっている場合には、理論上関わっている詐欺事件・窃盗事件の数だけ逮捕・勾留される可能性がありますから、被疑者として取調べられる捜査段階だけでも長期に渡る身体拘束を受ける可能性が高まってしまうのです。

捜査段階で釈放を求めていくためには、先ほど挙げた勾留までの流れの中で、勾留を求めるかどうか判断する検察官や勾留請求を認めるかどうか判断する裁判官に対し、釈放を主張していくことが考えられます。
しかし、読んでいただければわかるように、逮捕されてから勾留が決定されるまでは、最大でも72時間しか時間がありません。
事件の状況などにもよりますが、最大72時間とされているだけで、手続きの進行が早ければ、2日程度で逮捕から勾留までが決まってしまうこともあります。
勾留が決定してからでも不服申し立てをすることはできますが、この不服申し立ても1回の勾留につき1回しかできません。
釈放を求める機会を少しでも多く確保するためには、逮捕から早い段階で弁護士に釈放を求める活動をしてもらうことが重要です。

通常の成人の刑事事件であれば、この最大23日間の身体拘束ののち、起訴・不起訴が判断され、起訴されて勾留が続く場合には保釈という手続きを取ることができます。
しかし、少年事件の場合、ここから成人の刑事事件とは異なる手続きが入ってきます。
それが「観護措置」という手続きです。
こちらについては、次回の記事で取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕後から迅速に弁護士へご相談いただけるよう、初回接見サービスのお申込みを24時間いつでも行っています(0120-631-881)。
詐欺事件や窃盗事件でお子さんが逮捕されてしまった、子どもの逮捕の連絡に不安を感じている、という場合には、遠慮なくお早めにお問い合わせください。

被害者をだましたのに窃盗事件?①

2019-12-25

被害者をだましたのに窃盗事件?①

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・被害者をだましたのに窃盗罪?

オレオレ詐欺や振り込め詐欺などのいわゆる特殊詐欺事件だけでなく、いわゆるキャッシュカード手交型詐欺と呼ばれるような、銀行員や警察官等を装って暗証番号を聞き出したうえでキャッシュカードを騙し取る詐欺事件も多く発生しています。
こうした詐欺事件をニュースや特集番組などで見かけた、という方も少なくないでしょう。
このようなキャッシュカードに関連する犯罪で昨今見かけるようになってきた手口として、今回のAさんが関わってしまった窃盗事件のようなケースが見られます。

Aさんの関わってしまった窃盗事件では、銀行員を装って被害者から暗証番号を聞き出し、さらにキャッシュカードを入れさせた封筒と偽物の封筒をすり替え、本物のキャッシュカードを持ち去ってしまうという手口が用いられています。
こうした手口を用いた犯罪は、キャッシュカードすり替え詐欺などと呼ばれることもあるようですが、事例の中でも紹介した通り、実はこの手口に成立するのは詐欺罪ではなく窃盗罪です。
事例の中でAさんの両親も不思議に思っている通り、被害者をだましてキャッシュカードを持ち去っているにもかかわらず、なぜ詐欺罪ではなく窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、詐欺罪と窃盗罪の条文を確認してみましょう。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

窃盗罪が成立するには、「他人の財物を窃取」することが必要です。
「他人の財物を窃取」するとは、簡単に言えば「持ち主の意思に反してその物を自分の物としてしまうこと」を指します。
よく窃盗罪で検挙される万引きを例に考えると、お店の物である商品を会計をせずに自分の物としてしまう=お店は未会計の商品を渡すつもりはないはずなので、お店の意思に反して自分の物にしてしまっているということから窃盗罪の成立が考えられることになります。

対して、詐欺罪が成立するには、「人を欺いて財物を交付させ」なければいけません。
簡単に言えば、詐欺罪であるといえるためには、「相手をだまし、そのだましたことによって相手に物を引き渡させる」ことが必要なのです。
つまり、詐欺罪の場合、相手がだまされ、だまされたことによる相手自身の判断に基づいて相手が物を渡してくるということになるのです。
オレオレ詐欺で考えてみると、嘘を信じたことによって被害者自身がお金や物を渡す判断をしてしまい、被害者自身がお金や物を渡してしまうという流れになっていることが分かります。

これらを踏まえてAさんの事例をもう一度考えてみましょう。
Aさんらは、たしかに被害者のお年寄りに、銀行員を装う等して嘘をついてだましています。
しかし、お年寄りはだまされたことでキャッシュカードを渡しているのではなく、Aさんらがキャッシュカードをすり替えて持ち去っています。
すなわち、Aさんらはお年寄りをだましてお年寄り自身にキャッシュカードを渡す判断をさせているわけではなく、キャッシュカードをすり替えることによって持ち去っている=キャッシュカードの持ち主のお年寄りの意思に基づかずにキャッシュカードを手に入れているということになります。
こうしたこことから、Aさんらが被害者をだましていることに間違いはないのですが、成立する犯罪は窃盗罪であるということになるのです。

今回のAさんは少年であるため原則として刑罰を受けることはありませんが、成人の刑事事件であった場合には刑罰の重さの違い等も考えながら弁護活動を進めていく必要があります。
キャッシュカードすり替えによる窃盗事件や類似の詐欺事件にお困りの際は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
まずは初回無料法律相談や初回接見サービスからご案内いたします。

年末年始の営業に関するお知らせ

2019-12-23

年末年始の営業に関するお知らせ

刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の年末年始の営業についてお知らせいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大晦日や元日、三が日を含む以下の日にちにつきましても、通常通り営業を行っております。

2019年(令和元年)12月28日(土)
2019年(令和元年)12月29日(日)
2019年(令和元年)12月30日(月)
2019年(令和元年)12月31日(火)※大晦日
2020年(令和2年)1月1日(水・祝)※元日
2020年(令和2年)1月2日(木)
2020年(令和2年)1月3日(金)
2020年(令和2年)1月4日(土)
2020年(令和2年)1月5日(日)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、365日営業を行っており、年末年始も弁護士による初回無料法律相談初回接見サービスをご利用いただけます。
弁護士によるサービスのお問い合わせ・お申し込み・ご予約は、24時間いつでも0120-631-881で受け付けております。
お気軽にお電話くださいませ。

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故②

2019-12-21

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故②

忘年会帰りの飲酒運転人身事故を起こしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ケース

滋賀県近江八幡市にある勤務先まで自動車で通勤しているAさんは、会社近くで開かれた忘年会でお酒を飲んだにも関わらず、自ら自動車を運転して帰路に着きました。
その後、Aさんは、滋賀県近江八幡市の自宅近くの交差点でVさんの自動車と接触事故を起こし、Vさんに怪我を負わせてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に道路交通法違反(酒気帯び運転)及び自動車運転過失致傷罪の容疑で現行犯逮捕され、そのまま滋賀県近江八幡警察署へ連行されました。
(事例はフィクションです。)

~飲酒運転による人身事故~

前回の記事で紹介した道路交通法は飲酒運転行為そのものに対しての処罰規定ですが、飲酒運転事故を起こした結果人を死傷させた場合は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」と言います。)に違反することになります。

自動車運転致死傷行為処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

飲酒運転による人身事故の中でも悪質なケースは以下の危険運転致死傷罪にあたります。

自動車運転致死傷行為処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

「正常な運転が困難な状態」とは、交通状況に応じた道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることをいいます。
例えば、アルコールによる酔いのために、前方をしっかり見て運転することが難しい状態や、適切にハンドルやアクセル・ブレーキなどを操作することが難しい状態が、これに該当します。

自動車運転致死傷行為処罰法第3条第1項
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

通常、道路交通法上の酒気帯び運転(第117条の2の2第3号)に該当する程度のアルコール濃度であれば、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」と判断される可能性が出てきます。

2条違反で処罰をするには「正常な運転が困難な状態」があったことの立証が必要ですが、3条施行前はかかる立証が出来なかった場合、過失運転致死傷罪しか認められない事例が多くありました。
そこで新たに制定・施行された3条は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」があれば良いので、飲酒運転による人身事故においてその危険性や悪質性に応じた処罰が下されるようになりました。

そして、過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪が成立する場合、上述した飲酒運転そのものを処罰する道路交通法違反は吸収されることとなります。

~飲酒運転による人身事故と弁護活動~

Aさんのようなケースで弁護活動を依頼された弁護士としては、まずは逮捕されている被疑者の身柄解放を目指すことになるでしょう。
検察官の勾留請求が認められた場合、最初の逮捕を含めて最大23日間拘束されることとなります。
長期間の拘束が続いてしまうと、会社にも今まで通り勤務することは難しくなってしまいます。
ですから、まずは身体拘束からの解放を目指すことが考えられるのです。

また、飲酒運転の再発防止に向けた取り組みを被疑者本人やその家族と一緒に行いそれを主張していくことや、被害者やその遺族の方への謝罪や賠償を進めることも考えられます。
こうした取り組みを行うにも、一度専門家である弁護士のアドバイスを受けることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転運転事件人身事故事件の経験豊富な弁護士による初回無料法律相談を行っています。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これらのサービスのお申込受付を24時間365日いつでも行っています(0120-631-881)。
ですから、忘年会帰りの夜遅い時間に逮捕されてしまった、忘年会の行われる年の瀬で相談できる弁護士がなかなか見つからない、といった場合にも遠慮なくご相談いただけます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故①

2019-12-19

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故①

忘年会帰りの飲酒運転人身事故を起こしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ケース

滋賀県近江八幡市にある勤務先まで自動車で通勤しているAさんは、会社近くで開かれた忘年会でお酒を飲んだにも関わらず、自ら自動車を運転して帰路に着きました。
その後、Aさんは、滋賀県近江八幡市の自宅近くの交差点でVさんの自動車と接触事故を起こし、Vさんに怪我を負わせてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に道路交通法違反(酒気帯び運転)及び自動車運転過失致傷罪の容疑で現行犯逮捕され、そのまま滋賀県近江八幡警察署へ連行されました。
(事例はフィクションです。)

~忘年会帰りで飲酒運転~

忘年会シーズンにもなり、忘年会に参加し飲酒をする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
そういった忘年会への参加や飲酒自体は全く問題のないことですが、飲酒をした忘年会に自動車を運転してしまえば、それは飲酒運転となってしまいます。
飲酒運転は、血中又は呼気中のアルコール濃度の高さや運転者の状態などによって、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区別されます。

第一に、道路交通法第65条第1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等の運転をしてはならない。」としています。
端的に言えば、1杯でもお酒を飲んだら自動車を運転してはいけないということです。
もっとも、このうち実際に罰せられるのは以下の場合になります。

〇酒気帯び運転
(※)身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつた」場合に、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第117条の2の2第3号)。
※血液1ミリリットル中のアルコール濃度が0.3ミリグラム以上、又は呼気(吐いた息)1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上検出された状態です。

〇酒酔い運転
酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)」にあった場合に、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第117条の2第1号)。
酒気帯び運転とは異なり、酒酔い運転には血液中又は呼気中のアルコール濃度の規定はありません。
したがって、現場の捜査機関の判断に委ねられていることになります。
実際は、運転状況や運転者の様子を客観的に分析した結果、蛇行運転をしていた・まっすぐに歩くことができない・呂律が回らない等の状況があれば、正常な運転ができない状態であると判断されます。

こうした道路交通法の規定により、飲酒運転をした人は道路交通法違反として処罰されることになります。
しかし、飲酒運転した本人だけでなく、飲酒運転と分かっていながら運転を依頼し同乗した人やお酒を提供した人も道路交通法違反で処罰される可能性があることに注意が必要です。

道路交通法第65条
第2項 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
第3項 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
第4項 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

道路交通法第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第2号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第5項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
第6項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)

道路交通法117の3の2
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が身体に第117条の2の2第3号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く。)を運転した場合に限るものとし、同条第5号に該当する場合を除く。)
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第4項の規定に違反した者(当該同乗した車両(軽車両を除く。以下この号において同じ。)の運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転し、又は身体に第117条の2の2第3号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両を運転した場合に限るものとし、同条第6号に該当する場合を除く。)

飲酒運転事件では、飲酒運転した本人も飲酒運転に関わった人も、刑事事件の被疑者として刑事事件に関わることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした飲酒運転事件についてのご相談も承っています。
刑事事件の流れを弁護士から詳しく聞くだけでも、不安を減少させることができます。
まずはお気軽にご相談ください。

自動車による監禁事件

2019-12-17

自動車による監禁事件

自動車による監禁事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県甲賀市に住むAさんは自身の車で知人Vさんを送っている途中、Vさんが降ろしてほしいと言ったにも関わらず車を走行させ続けました。
AさんはVさんの再三の要請も無視して、Vさんが最初に降りたいといった時点から1時間経過したのち、Vさんに滋賀県甲賀警察署に通報すると言われ、ようやくVさんを車から降ろしました。
その後、VさんはAさんの行為に恐怖を感じ、滋賀県甲賀警察署に被害届を出すと言ってるようです。
Aさんはどうしてよいか不安になり、弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

~自動車から降ろさなかったら何罪?~

今回のAさんの行為は、刑法の監禁罪にあたる可能性のある行為です。

刑法第220条(逮捕及び監禁)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は3月以上7年以下の懲役に処する。

監禁罪の保護法益(=守っている権利や自由)は、「身体の場所的移動の自由」であり、強制的に移動させられれば強要罪に、移動を妨害させられれば監禁罪が成立する関係にあります。

監禁罪のいう「監禁」とは、一定の場所から脱出することを不可能、或いは著しく困難にすることによって、場所的移動の自由を制限することをいいます。
イメージしやすい例としては、部屋に鍵を掛けて物理的に出られないようにする行為が挙げられます。
物理的な方法のみならず、心理的な方法による監禁も存在します。
例えば、入浴中の女性の衣服を奪い、羞恥心を利用し浴場からの脱出を心理的に困難にさせることも監禁罪のいう「監禁」に当たるということになります。
他には、監禁場所の施錠を外して外に脱出できる場合であっても、既になされた脅迫行為や脱出後の後難に対しての恐怖心からその場を脱出できなくさせるケースも監禁罪の「監禁」にあたるケースといえます。

本件のような走行する自動車の中に留めさせる行為も監禁罪の「監禁」に当たります。
車の内側から鍵を開錠することは構造上可能ですが、実際に走行する車から脱出するという行為は怪我をするおそれが非常に高いので、「離れようと思っても離れられない」状態に陥っていることが理由です。

では、その「監禁」の前に書かれている言葉である「不法に」とはどういったことを指すかというと、監禁行為が一般的に許容される場合が多い(例:逮捕など)ことから、法益侵害の危険のある監禁行為である場合に監禁罪が成立するという意味を明記しているに過ぎません。

~監禁行為で怪我をしたら~

VさんがAさんの監禁行為によって怪我を負った場合はどのような罪に問われるのでしょうか。

刑法第221条(逮捕等致死傷)
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法205条(傷害致死)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

監禁により人に怪我を負わせたり、死亡させた場合には刑法221条に当たります。
傷害の罪と比較して、重い刑」とは、監禁致傷罪の場合は傷害罪、監禁致死罪の場合は傷害致死罪の刑罰と比較することになります。
結果として、監禁致傷罪は「3月以上15年以下の懲役」、監禁致死罪は「3年以上の有期懲役」に処されることとなります。

今回のケースの場合、捜査機関がAさんの行為を認知するきっかけとしては当事者が警察に被害を申し出る以外に考えにくいため、Vさんが警察に被害を申し出て初めて刑事事件として扱われることになるでしょう。
Aさんとしては、知人であるVさんと自ら連絡を取り、謝罪などを行いたい筈です。
しかし、刑事事件の両当事者が事件後直接接触することは、被害者の被害感情が一層峻烈になるなど、却って事件を悪化させる場合もあります。
この点、弁護士刑事事件加害者と被害者の間に入ることで、事件解決をスムーズに進めることができる可能性が高まります。
もしも刑事事件化してしまったとしても、弁護士という第三者を通じてであれば、謝罪の場をもってもよいと考えてくれる被害者の方も多いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件の経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
被害者が警察に被害届を出すと言ったものの、その後警察が実際に動いているのか分からないなど不安を抱え続ける前に、まずは弁護士にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、事務所にて初回無料相談を行っております(24時間体制での相談のご予約を受付中。)。
また、既に逮捕されている場合には、ご家族やご友人のご依頼で初回接見サービスも承っております。

タイヤロックで器物損壊事件

2019-12-15

タイヤロックで器物損壊事件

タイヤロックをかけたことで器物損壊事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

滋賀県守山市在住のAさんは自宅の駐車場の目の前にVさんの車が駐車されているため、自身の車が駐車場から出ることができない事態がしばしばありました。
Vさんに直接抗議しても、一向に事態は改善されないことに苛立ったAさんは、Vさんの車の車輪にタイヤロックを掛け、Aさんが開錠しない限り、走行できないようにしました。
すると、Vさんが滋賀県守山警察署にそのことを相談し、Aさんは滋賀県守山警察署に呼ばれ、話を聞かれることになってしまいました。
Aさんは、「自分は迷惑をかけられた被害者だ」と思っていますが、Aさんの行為は何か犯罪になるのでしょうか。
不安に思ったAさんは、滋賀県守山警察署に行く前に弁護士に相談してみることにしました。
(事例はフィクションです。)

~タイヤロックで器物損壊罪?~

実は、今回のAさんの行為は、刑法上の器物損壊罪にあたる可能性があります。

刑法第261条(器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の「損壊」とは、割る・破るなどの物理的破壊に限定されることはなく、「物の効用を害する一切の行為」をいいます。
端的には「物の本来の使い方をできないようにさせた」場合をいい、具体的には、飲食店の食器に放尿する行為などが挙げられます。
食器に放尿されても洗えば器に盛ることはできますが、一度放尿された食器で食事をしたいと思う人はいないでしょうから、お客様にお出しすることはできませんので、本来の使い方ができなくなったといえます。

本件についても、AさんがVさんの車にタイヤロックを取り付けた行為は、車の移動を不可能にさせることになり、移動手段という車本来の使い方をできないようにさせたといえ、器物損壊罪に当たると考えられるのです。
もっとも、Vさんの車は後述する「違法駐車」車両です。
違法な物に対する器物損壊行為は許されるのでしょうか。

結論として、法規上違法な物も器物損壊罪の客体になります。
理由としては、器物損壊罪の保護法益はあくまで「物の効用」ですので、適法・違法に関わらず、損壊行為は処罰の対象になるということなのです。

もっとも、器物損壊罪は親告罪であり、被害者の告訴がなければ公訴することができません(刑法第264条)。
起訴される前の段階で、被害者に告訴をしないでもらう又は一旦告訴したものを取下げてもらうことができれば、公訴=起訴されず、前科が付くことはありません。

そのためには、被害者へ謝罪や弁償金、慰謝料の支払いを含めた示談を行うことができるかが分水嶺になります。
逮捕など身柄が拘束されていない場合は自身でも示談交渉は可能ですが、加害者と被害者とが直接会うとなると、互いに感情的になってしまい交渉が難航するどころか事態を悪化させる原因にもなりかねません。
一方、弁護士が間に入る場合、当事者双方の言い分を聞いたうえで、示談締結に向けた最善の活動をすることができます。

刑事事件の解決は、一刻も早い弁護士への相談が肝要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、器物損壊事件の弁護経験もある弁護士も在籍しております。
無料相談のご予約も24時間体制で承っておりますので、まずはお気軽にご相談下さい。

※なお、以下では、本件のVさんの駐車が道路交通法のどの法規に抵触するかを記載致します。

道路交通法
第45条第1項
 車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
1. 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から3メートル以内の部分

第119条の2第1項
 次の各号のいずれかに該当する行為(第1号及び第2号に掲げる行為にあっては、その行為が車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき又はその行為をした場合において車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為をしたときに限る。)をした者は、15万円以下の罰金に処する。
1. ……第45条(駐車を禁止する場所)第1項……の規定の違反となるような行為

DV傷害事件で逮捕なら

2019-12-13

DV傷害事件で逮捕なら

DV傷害事件逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県草津市に住んでいるAさんは、妻であるVさんと2人で暮らしていました。
ある日、機嫌の悪かったAさんは、酒に酔い、注意してきたVさんに腹を立ててVさんを殴ってしまいました。
倒れ込んだVさんが頭を打ち付け出血してしまったため、Vさんは「夫と喧嘩になって頭を打ち、血が出てきた」と救急車を呼びました。
その際、滋賀県草津警察署の警察官も臨場し、AさんはDVによる傷害罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Bさんは、今まで夫婦喧嘩が暴力に発展したことはなく、今回まさかこれほどの大事になるとは思いもよらず、Aさんの両親に相談。
その後、Aさんの両親は刑事事件に強い弁護士に今後どのようにしたらよいか相談することにしました。
(※フィクションです。)

・DV防止法

家庭内暴力は、ドメスティックバイオレンス、通称DVと呼ばれます。
DVは、今回の事例のように夫が妻に暴力を振るう等するDVもあれば、逆に妻が夫に暴力をふるう等するDVもあります。

DVについては、通称DV防止法(正式名称:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)という法律も定められています。
DV防止法では、主にDVの防止やDVを受けてしまった人の保護、その自立支援の体制などを定めています。
しかし、DV防止法では、DVの行為自体を直接犯罪として定めているわけではありません。
DV防止法違反として処罰されるのは、「保護命令」に違反した場合です。

DV防止法に基づいて出される「保護命令」とは、DVの被害者の住居等に接近することや、DVの被害者と同居している場合にそこから退去すること、DVの被害者の子供への接近すること等を禁止する命令です。
この命令に違反した場合には、DV防止法違反として処罰されることになります。
保護命令違反によるDV防止法違反の法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(DV防止法29条)。

・DVと刑事事件

先述したように、DVDV行為自体が「DV」として犯罪が定められているわけではありません。
では、DV行為はどのように処罰されることになるのでしょうか。

DVは、そのDVの態様によって、刑法やその他の特別法に触れる行為として犯罪になります。
例えば、今回のAさんとVさんの事例では、AさんがVさんに暴力をふるい、けがをさせてしまっています。
このようなDVの場合、刑法の暴行罪や傷害罪によって対処されるということになるでしょう。

刑法204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

・DV事件と弁護活動

DV事件では継続してDVをしていたのではないかと疑われたり、被害者への接触が懸念されることから逮捕・勾留による身体拘束が行われたりすることも多いです。
例えば、今回のAさんの場合、事例を見る限りでは、Aさんは継続してDVをしていたわけではないようです。
しかし、それらをAさん1人で取調べで主張し続けることはAさんの負担が大きいかもしれませんし、Aさんが釈放されれば今回の傷害事件の被害者であるVさんと一緒に住んでいる家に帰ることになるわけですから、被害者との接触を考えればこのまま逮捕に引き続いて勾留されてしまう可能性も低くないでしょう。
だからこそ、弁護士に依頼し、取調べ対応のためのアドバイスや、釈放に向けた環境づくりとその主張をしてもらうことが重要となってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、傷害事件などDVに絡んだ刑事事件のご相談も受け付けております。
逮捕された方向けの初回接見サービスや、在宅捜査を受けている方向けの初回無料法律相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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