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【事例紹介】飲酒運転で逮捕 容疑を否認

2023-10-18

飲酒運転(酒気帯び運転)をしたとして、道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警高島署は14日、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、高島市、(中略)の男(55)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、同市マキノ町沢の県道で酒気帯び状態で軽トラックを運転した疑い。
同署によると、容疑者は信号待ちをしていた軽乗用車に後ろから追突し、呼気から基準値を超えるアルコールが検出されたという。「酒を飲んでいない」と容疑を否認している。
(10月14日 京都新聞 「信号待ちの軽乗用車に追突、酒気帯び運転疑いでコンサル業の男逮捕 滋賀」より引用)

飲酒運転と法律

道路交通法第65条第1項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

道路交通法では、飲酒運転を禁止しています。
ですので、飲酒運転をした場合は道路交通法違反が成立することになります。

飲酒運転には、酒気帯び運転酒酔い運転があります。
酒気帯び運転とは、政令で定める基準以上にアルコールを保有した状態で運転をすることをいいます。
また、酒酔い運転とは、アルコールによって正常な運転ができない状態で運転をすることをいいます。

酒気帯び運転道路交通法違反で有罪になった場合は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)
また酒酔い運転により道路交通法違反で有罪になった場合は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第117条の2第1項第1号)

今回の事例では、軽トラックを運転していた容疑者の呼気から、基準値を超えるアルコールが検出されたと報道されています。
政令が定める基準値を超えるアルコールを保有した状態での運転は酒気帯び運転として、道路交通法で禁止されていますので、実際に基準値を超えるアルコールが検出されたのであれば、容疑者に道路交通法違反が成立する可能性があります。

飲酒運転と弁護活動

飲酒運転道路交通法で禁止されていますので、事故の発生の有無にかかわらず、飲酒運転を行えば道路交通法違反という罪が成立することになります。
また、飲酒運転の一つである酒気帯び運転は、政令で定める程度以上にアルコールを保有している状態での運転を指しますので、直接お酒を飲まなくても、お酒を含んだお菓子を食べたことで、飲酒運転(酒気帯び運転)になってしまうおそれがあります。
今回の事例では、容疑者がお酒を飲んでいないと飲酒運転を否認しているようです。
もしかすると、事例の容疑者はアルコールを含んだ食品を食べたことで、飲酒運転(酒気帯び運転)の容疑をかけられたのかもしれません。

繰り返しになりますが、お酒を飲んでいなくても、政令で定める程度以上のアルコールを保有していれば道路交通法違反が成立する可能性があります。
ですが、飲酒運転(酒気帯び運転)をしてしまっても、弁護士が検察官に処分交渉を行うことで不起訴処分を獲得できる場合があります。
例えばアルコールを含んだお菓子などを食べて飲酒運転(酒気帯び運転)になってしまった場合は、お菓子を食べただけで飲酒運転(酒気帯び運転)になるとは思わなかったことやそう思ってしまっても仕方がない理由、今後アルコールを含んだ食べ物を食べた後に運転はしないことを誓っていることなどを検察官に訴えることで、不起訴処分を狙えるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
酒気帯び運転酒酔い運転などの飲酒運転でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】禁止区域で性的サービスを提供した事例 東近江市

2023-10-11

禁止区域性的サービスを提供する店を営業したとして、風営法違反で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警東近江署は26日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、同県米原市の個室マッサージ店経営(中略)の女(49)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、風俗店の営業禁止地域となる同県東近江市の店で、不特定の男性に女が性的サービスを行う性風俗業を営んだ疑い。
(9月26日 京都新聞 「【速報】営業禁止地域で風俗店経営、容疑で中国籍の女逮捕」より引用)

性的サービスの提供と規制

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます)第2条6項2号では、「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」店舗型性風俗特殊営業と規定しています。
簡単に説明すると、個室で異性に対して性的サービスを提供するような営業を店舗型性風俗特殊営業といいます。

店舗型性風俗特殊営業はどこでも行えるわけではありません。
風営法では店舗型性風俗特殊営業を営んではいけない区域が規定されています。(風営法第28条)
風営法では図書館や学校の周囲などを禁止区域として規定しています(風営法第28条1項)
ですので、上記のような禁止区域では、店舗型性風俗特殊営業ができないことになります。

今回の事例では、禁止区域にある滋賀県東近江市の店で、女性が男性に性的サービスを行う営業を営んだとされています。
報道では容疑者が個室マッサージ店を経営しているとされていますので、おそらく、事例の東近江市の店も個室が設けられているのでしょう。
個室内で異性に対して性的サービスを提供する営業は店舗型性風俗特殊営業に該当します。
もしかすると、今回の事例の東近江市の店が店舗型性風俗特殊営業にあたるかもしれません。
東近江市の店が店舗型性風俗特殊営業に該当し、かつ、店舗型性風俗特殊営業禁止区域に店があるのであれば風営法違反が成立する可能性が高いでしょう。

店舗型性風俗特殊営業と罰則

禁止区域店舗型性風俗特殊営業を営業し、風営法違反で有罪になった場合には、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科されます。(風営法第49条5項、6項)
有罪になると懲役刑が科される可能性があり、禁止区域での店舗型性風俗特殊営業の営業は決して軽い犯罪だとはいえません。

店舗型性風俗特殊営業「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」だと風営法で規定されています。(風営法第2条6項2号)
ですが、風営法では、どういった接触の仕方が性的好奇心に応じた接触なのかが明確に規定されているわけではありません。
ですので、捜査段階では、店舗型性風俗特殊営業にあたると判断されていても、実際には店舗型性風俗特殊営業にはあたらないケースもあるかもしれません。
店舗型性風俗特殊営業にあたらないのであれば、当然、禁止区域でも営業できますので、風営法違反が成立しないことになります。

風営法が規定する性的好奇心に応じた接触にあたるかどうかは、接触の仕方や接触した部位など様々な要因で変化しますから、禁止区域での店舗型性風俗特殊営業風営法違反の疑いをかけられている場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
風営法違反で捜査されている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】募金箱から10円を盗み逮捕された事例

2023-10-05

コンビニに設置してある募金箱から10円を盗んだとして、窃盗罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県大津市にあるコンビニエンスストアで、募金箱から10円を盗んだとして、44歳の男が逮捕されました。
(中略)
男は警察に対し、窃盗容疑を認めた上で、「私はこれまで募金している。困った時のための募金。困ったので使った」と供述しているということです。
(10月1日 ABCニュース 「募金箱を揺すり10円盗んだ疑い コンビニ会計で不足「困った時のための募金 困ったので使った」 44歳男逮捕」より引用)

窃盗罪

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は大まかに説明すると、他人のものを所有者の許可なく取得した場合に成立します。

募金箱から10円を盗ったと報道されていますが、窃盗罪は成立するのでしょうか。

募金箱はコンビニに設置されているわけですから、募金箱の中のお金は、コンビニの責任者の持ち物になります。
報道が事実であれば、容疑者はコンビニの責任者の許可を得ずに10円を取り出しているわけですから、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

では、自分が募金したお金を取り出した場合にも窃盗罪は成立するのでしょうか。

事例②
Aさんはスーパーで買い物をし、おつりの10円をレジ横にある募金箱にいれました。
翌日、Aさんは同じスーパーで買い物をしたのですが、精算の際に10円足りないことに気付きました。
昨日Aさんが10円を寄付した募金箱はレジ箱に置かれてあり、Aさんが入れたであろう10円も確認できました。
Aさんは自分が入れた10円だから取り出して使ってもいいだろうと思い、報道されている事例のように、10円を取り出して精算に使用しました。
(事例②は今回の報道事例を参考にしたフィクションです。)

事例②のAさんは報道事例と同様に、募金箱から10円を取り出しています。
募金箱からお金を取り出すと窃盗罪が成立すると解説しましたが、Aさん本人が募金した10円を取り出している場合にも窃盗罪は成立するのでしょうか。

結論から言うと、窃盗罪は成立します。

事例②の募金箱はスーパーに設置されていますので、募金箱の中のお金の所有者はスーパーの責任者になります。
ですので、Aさんが募金箱に10円を入れた時点で、この10円はスーパーの責任者が所有していることになります。
この10円をAさんが入れたのだとしても、所有者がAさんではない以上、勝手に取り出してしまうと窃盗罪が成立します。

窃盗罪と刑罰

窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、有罪になると懲役刑や罰金刑が科されることになります。

報道事例では、10円を盗んだとされています。
10円を盗んだだけでは罪に問われないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、10円だったとしても盗んだのであれば窃盗罪は成立しますし、窃盗罪が成立する以上、何らかの刑罰が科される可能性があります。

窃盗罪示談を締結することで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。

今回の報道事例のような場合は、お店が被害者になりますので、お店の責任者と示談を締結することになります。
お店と示談を締結する場合、お店の連絡先も調べればわかるし簡単じゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際はお店相手の方が示談に応じてもらえない場合が多く簡単だとはいえません。
ですので、示談交渉自体は行えても、示談の締結に至らない可能性が高いです。

とはいえ、必ずしもお店と示談を締結できないわけではありません。
弁護士が代理人となって示談交渉を行うことで、示談を締結できる可能性があります。
示談を考えている方は、一度、弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

また、示談が締結できない場合でも、被害弁償は受け入れてもらえる場合があります。
弁護士が検察官に、加害者本人が反省していることや、被害弁償を行っていること、被害額は大きくなく悪質とはいえないことなどを主張することで、示談が締結できなかった場合でも、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
窃盗罪の容疑で捜査を受けている方、示談を考えている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。

殺人罪の成立要件と罰則 殺人罪はどういう場合に成立するの?

2023-09-27

殺人罪は刑法で規定されている最も重大な犯罪の一つです。
しかし、その成立要件や罰則には一般的な認識と異なる点も多々あります。この記事では、具体的な事例を交えて、殺人罪の成立要件と罰則について解説します。

1. 殺人罪とは何か

殺人罪は、刑法第199条で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と規定されています。
殺人罪は、故意に人を殺害した場合に適用されるもので、その範囲は意外と広いです。
例えば、自衛のために他人を傷つけ、その結果死亡した場合でも、一定の条件下では殺人罪に問われる可能性があります。
また、法律上の位置づけとしては、重大な犯罪に分類され、最悪の場合、死刑にされる可能性もあります。
法律用語で注意すべきは「故意」「因果関係」です。
これらの用語は後の項目で詳しく解説します。
殺人罪の全体像を理解するためには、まずはその定義と法的な位置づけを把握することが重要です。

2. 成立要件:故意

殺人罪の成立要件の一つとして「故意」が挙げられます。
法律上の「故意」とは、行為者がその行為によって特定の結果を望んでいる、または、その可能性を認識している状態を指します。
例として、AがBに対して怨みを持ち、Bを死なせようと考えた場合、この行為は「故意」に該当します。
しかし、交通事故で人を死なせてしまった場合、行為者がその結果を望んでいなければ「故意」は成立しない可能性が高いです。
「故意」が認められない場合は、過失致死罪過失運転致死罪などの殺人罪とは異なる犯罪が成立する可能性があります。
このように、「故意」の成立は事例によって大きく異なるため、その詳細な判断は裁判でなされます。
「故意」について理解することは、殺人罪の成立要件を把握する上で非常に重要です。

3. 成立要件:行為

殺人罪の成立要件には「行為」も含まれます。
「行為」とは具体的に何をしたか、という事実を指します。
例えば、AがBに向かって銃を発砲した、CがDに毒を盛った、などが行為に該当します。
特に、行為は必ずしも物理的な力によって人を死に至らせるものでなくてもよく、精神的な圧迫や嫌がらせによっても成立する場合があります。
この点を考慮すると、いわゆる「モラハラ」や「パワハラ」によって相手が自殺した場合も、一定の条件下では殺人罪に該当する可能性があります。
「行為」についての理解は、殺人罪の成立要件をしっかりと把握するために必須です。

4. 成立要件:結果

殺人罪においては、「結果」も重要な成立要件となります。
「結果」とは、行為によって何が起きたか、つまり、その影響を指します。
殺人罪の場合、その「結果」は当然、被害者の死に至ることです。
例えば、AがBに向かって銃を発砲したが、Bは重傷を負っただけで死亡しなかった場合、殺人罪ではなく殺人未遂罪が成立することになります。
また、行為が直接的な死因でなくとも、その行為が被害者の死に繋がった場合は殺人罪が成立することもあります。
このように、結果の有無は殺人罪の成立要件を理解するために欠かせない要素です。

5. 成立要件:因果関係

殺人罪の成立要件においては、「因果関係」も非常に重要です。
「因果関係」とは、行為と結果との間に直接的なリンクが存在することを指します。
例えば、AがBに対して銃を発砲し、その結果Bが死亡した場合、明らかな因果関係があります。
しかし、もしBがその後、病院で適切な治療を受けたが、医療ミスによって死亡した場合、因果関係が不明確になる可能性があります。
このようなケースでは、行為者の責任範囲や因果関係がどの程度あるのかを詳細に調査し、裁判で判断されます。
因果関係の明確化は、殺人罪が成立するか否かを判断する際の重要なポイントとなります。

6.殺人罪の罰則

殺人罪においては、罰則も非常に重要な要素です。
殺人罪で有罪になった場合は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役が科されることになります。
つまり、殺人罪を犯すと死刑や無期懲役刑などかなり重い罪が下される可能性があります。
これは、社会に与える影響が大きく、被害者の命が奪われるという重大な犯罪であるためです。
ただし、特定の状況下では、刑罰が軽減される場合もあります。
例えば、酌むべき事情がある場合や、特別な精神状態が考慮される場合などです。
罰則に関する知識は、殺人罪に対する法的な理解を深めるために必要になります。

7. 事例紹介

最後に、具体的な事例を用いて殺人罪の成立要件や罰則を理解しましょう。

事例
AさんはBさんの言動にいらつきを覚え、Bさんを殴りました。
殴られたことによりBさんはその後死亡し、Aさんは滋賀県草津警察署の警察官に逮捕されることになりました。
(事例はフィクションです。

この事例では、Aさんに何罪が成立するでしょうか。
考えられる犯罪として、殺人罪過失致死罪が考えられます。

まずは殺人罪が成立するかどうかを考えていきましょう。

殺人罪が成立するためには、「故意」「行為」「結果」「因果関係」が必要になります。

殺人罪「故意」
殺人罪「故意」とは簡単に言うと殺す意図があったかどうかです。
AさんがBさんを殴り殺した際に、殺そうと思って殴ったのかどうかを他人が判断をすることは不可能です。
ですので、実際に故意性の判断を行う際には、行為で人が死ぬ可能性を認識していたか、危害を加えた人体の箇所、危害を加えた回数、使用した凶器などから判断されることになります。
殴ったのが頭であったり、何回も殴っていたり、殴るのに凶器を使用していた場合には、死ぬ可能性を予見できたとして、「故意」が認められる可能性があります。
一方で、殴った拍子に倒れてしまい打ちどころが悪かったために死亡してしまった場合などは、「故意」が認められない場合があります。

殺人罪「行為」「結果」「因果関係」
事例では、AさんがBさんを殴った結果、Bさんが死亡しています。
殴るという「行為」があり、その「結果」Bさんは死亡しています。
また、殴られたことによりBさんが死亡していることから、「因果関係」があると判断される可能性が高いでしょう。

つまり、事例の場合、「故意」が認められれば殺人罪が成立する可能性が高いといえます。
「故意」が認められない場合には、殺人罪ではなく、過失致死罪が成立する可能性が高いです。

この事例から、殺人罪の成立要件が一つでも欠けると、罪の成立や罰則が大きく変わる可能性があることが理解できます。
事例を通じて殺人罪の重大性とその厳罰性を再確認することが、法的な理解を一層深める手段となるでしょう。

8. まとめと今後の注意点

殺人罪は非常に重大な犯罪であり、成立要件や罰則も厳格に定められています。
この記事で紹介した「故意」「行為」「結果」「因果関係」などの要素は、裁判での判断において重要なポイントとなります。
事件によって、殺人罪故意性の判断が異なってきます。
事件の内容により処分の見通しなどが変わってきますので、殺人罪が疑われる場合いは、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

タイヤをパンクさせて器物損壊罪で逮捕 滋賀県大津市

2023-09-21

事例

滋賀県大津市に住むAさんは仕事へのストレスから、度々、家の近くに駐車してある車のタイヤをアイスピックで刺してパンクさせることを繰り返していました。
Aさんがいつものようにアイスピックで車のタイヤをバンクさせていたところ、巡回していた滋賀県大津警察署の警察官に見つかり、逮捕されてしまいました。
(事例はフィクションです。)

器物損壊罪について

まず、器物損壊罪とは、他人の物を損壊し、又は傷害すると成立する犯罪です(刑法第261条)。
ここでいう「他人の物」は、物であれば何でもいいというわけではなく、公用文書私用文書他人の建造物又は艦船を除いたものを指します。
もしも、「公用文書」「私用文書」「他人の建造物又は艦船」を破いたり、破壊した場合には、器物損壊罪ではなく、別の犯罪が成立します。

次に、「損壊」とは、その物の効用を害する行為をいいます。
簡単に言うと、物を使えなくする行為が損壊にあたります。

今回の事例では、Aさんは他人の車のタイヤをパンクさせています。
車のタイヤをパンクされてしまうと、その車を運転することが難しくなくなります。
したがってAさんが他人の車のタイヤをパンクさせる行為は、車を使えなくする行為、つまり車を損壊する行為といえるため、今回の事例では器物損壊罪が成立すると考えられます。

器物損壊罪につき有罪判決が確定した場合には、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」を言い渡されることになります(刑法第261条)。

弁護士に依頼して早期の解決を

器物損壊罪親告罪、すなわち告訴が無いと起訴できない犯罪です(刑法264条)。
起訴されなければ、前科が付くことや、刑罰が科されることはありません。
したがって、告訴がされる前に示談を成立させ、起訴できない状態にすることが重要となります。
仮に、告訴されたあとであっても示談をすることで、告訴を取り下げてもらうことは可能です。

このように、示談を成立させることが重要となるわけですが、加害者本人が被害者と交渉することは、トラブルを生む可能性もあり困難です。
車の器物損壊事件では修理費が高額になる可能性が高く、法外な金額を示談金として提示されることも考えられます。

今回の事例のAさんは車のボディには傷などをつけていませんが、被害者の車に傷が見つかった場合、Aさんの行為によるものではなくともAさんが疑われてしまうことがあるでしょう。
Aさんと被害者の間で被害の程度に認識の差がある場合には、どうしても両者が納得できる示談金額などに差が生まれてしまいますし、円滑に示談が成立しないことでトラブルも生じやすくなります。
交渉のプロである弁護士に早急に相談をすることでトラブルを回避できる可能性がありますので、弁護士に示談交渉に着手してもらうことをおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に精通した法律事務所です。
ご家族が器物損壊罪の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】施設に勤める看護師が傷害罪で逮捕~傷害罪と欠格事由~

2023-09-13

前回に引き続き、福祉施設に勤める看護師が施設利用者に対して殴ったとして、傷害罪逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警草津署は31日、勤務先の福祉施設の利用者に暴行を加えたとして、傷害の疑いで、大津市の看護師の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)滋賀県内の福祉施設で30代女性の顔を殴り、左顔面打撲の軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「殴ったことに間違いない」と容疑を認めている。(後略)
(9月1日 京都新聞 「福祉施設で30代女性の顔を殴った疑い、48歳看護師を逮捕 滋賀」より引用)

看護師免許と傷害罪

今回の事例では、容疑者が看護師だと報道されています。
看護師などの国家資格は、刑事罰を科されると免許を取り消される可能性があります。

保健師助産師看護師法第9条
次の各号のいずれかに該当する者には、前2条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
1号 罰金以上の刑に処せられた者
2号 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3号 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4号 麻薬、大麻又はあへんの中毒者

保健師助産師看護師法第14条
保健師、助産師若しくは看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至ったとき、又は保健師、助産師若しくは看護師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
1号 戒告
2号 3年以内の業務の停止
3号 免許の取消し

看護師免許については、保健師助産師看護師法で規定されています。
保健師助産師看護師法第9条、第14条が規定するように、看護師免許罰金刑以上の刑が科された場合に取り消される可能性があります。

傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、傷害罪で有罪になってしまうと看護師免許が取り消されてしまうおそれがあります。
刑事事件では、捜査終了後、検察官が起訴、不起訴の判断を行います。
起訴されれば裁判が行われますし、不起訴になれば裁判は行われず刑事罰も科されません。
ですので、傷害事件を起こしてしまったとしても、不起訴処分を獲得することができれば、看護師免許欠格事由に該当しないことになります。

傷害罪と弁護活動

今回の事例は、福祉施設に勤める看護師である容疑者が、施設利用者を殴ったとされています。
容疑者と被害者の関係性は報道からは明らかではありませんが、施設で勤務している看護師が施設利用者を殴ったとなれば、看護師としての立場を利用して暴行を加えたと判断され、同種事案の傷害事件に比べて悪質だと判断される可能性があります。
悪質だと判断されてしまった場合、同種事案の傷害事件よりも重い刑罰を科されてしまう可能性があります。

ですが、弁護士による弁護活動で、不起訴処分を獲得できる可能性があります。

弁護士は検察官に処分交渉を行うことができます。
罰金刑などを科されてしまうと看護師免許を失ってしまう可能性があることや、容疑者が起こした傷害事件が悪質だとはいえないことなどを弁護士が主張することで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

また、示談を締結することで、不起訴処分の獲得など、あなたにとって有利な事情に働く可能性があります。
弁護士が代理人となって示談交渉を行うことで、被害者と円滑に示談交渉を行える可能性があります。
加害者が直接示談交渉を行ってしまうとトラブルになる可能性や連絡を断られてしまう可能性が高くなりますので、示談交渉を行う際は、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで、不起訴処分の獲得を狙えるかもしれません。
事件によって今後の見通しも変わってきますから、傷害罪でお困りの方、国家資格をお持ちの方で刑事事件の容疑をかけられている方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】施設に勤める看護師が傷害罪で逮捕~傷害罪と逮捕~

2023-09-06

福祉施設に勤める看護師が施設利用者に対して殴ったとして、傷害罪逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警草津署は31日、勤務先の福祉施設の利用者に暴行を加えたとして、傷害の疑いで、大津市の看護師の男(48)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)滋賀県内の福祉施設で30代女性の顔を殴り、左顔面打撲の軽傷を負わせた疑い。
同署によると、男は「殴ったことに間違いない」と容疑を認めている。(後略)
(9月1日 京都新聞 「福祉施設で30代女性の顔を殴った疑い、48歳看護師を逮捕 滋賀」より引用)

傷害罪

傷害罪は、刑法第204条で「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

傷害罪は簡単に説明すると、人に故意に暴行を加え、その結果、相手にけがを負わせると成立する犯罪です。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金ですので、傷害罪で有罪になると懲役刑や罰金刑が科される可能性があります。

今回の事例では、容疑者が女性の顔を殴り、打撲を負わせたと報道されています。
人を殴る行為は暴行にあたります。
また、殴る暴行を加えたことで、打撲を負わせているので、今回の事例では傷害罪が成立する可能性が高いです。

傷害罪と釈放

今回の事例では、容疑者が傷害罪の容疑で逮捕されたと報道されています。
一度逮捕されてしまうと、事件が終わるまで家に帰ることはできないのでしょうか。

実は、事件が終わる前であっても釈放がみとめられれば、家に帰ることができます。

弁護士は、検察官や裁判官に勾留請求に対する意見書を提出することができます。
この意見書勾留を請求、決定しないようにお願いする内容の書面ですので、勾留が決定する前でなければ提出をすることができません。
勾留の判断は逮捕後72時間以内に行われます。
ですので、意見書を提出する際には、逮捕されてから72時間以内に提出する必要があります。
勾留が決定しなければ釈放されることになりますので、意見書を提出することで、釈放を認められる可能性があります。

意見書では、主に、勾留されて困ることや証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張します。
意見書の準備にも時間が必要ですので、ご家族が逮捕された方は、できる限り早く弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

また、勾留が決定した後であっても、弁護士が裁判所に準抗告の申し立てを行うことで、釈放が認められる可能性があります。

今回の事例では、容疑者が福祉施設で勤務しており、被害者がその施設を利用していたと報道されています。
報道からは明らかではありませんが、容疑者が被害者の住居などを知っている可能性があります。

刑事訴訟法第60条1項では、
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
1号 被告人が定まった住居を有しないとき。
2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
と規定しています。

被害者に接触して、供述内容を変更させる行為なども証拠隠滅に該当します。
ですので、加害者が被害者と知り合いであったり、住居などを知っている場合には証拠隠滅の疑いがあると判断されやすくなり、勾留が決定してしまう可能性が高くなります。
今回の事例で容疑者が被害者と知り合いであり、なおかつ住居などを知っているのであれば、勾留が決定してしまうかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、数々の刑事事件で釈放を実現させてきました。
早期に弁護士に相談をすることで、釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が傷害罪などの刑事事件で逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスをご利用ください。

次回のコラムでは、看護師免許と欠格事由について解説します。

【事例紹介】故意に事故を起こした保険金詐欺事件

2023-08-30

故意に事故を起こして保険金をだまし取ったとして、詐欺罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警交通指導課と守山署は24日、詐欺の疑いで、滋賀県湖南市の会社役員(41)ら同県に住む28~41歳の男5人を逮捕したと発表した。
逮捕容疑は共謀して(中略)、野洲市内の国道で故意に乗用車同士の事故を起こして、損害保険会社にうその事故報告を行い、修理代などの名目で計約340万円をだまし取った疑い。
(後略)
(8月24日 京都新聞 「故意に交通事故起こし保険会社から340万円だまし取る 容疑の男5人逮捕」より引用)

保険金詐欺と詐欺罪

保険金詐欺とは、簡単に説明すると、保険会社などにうそをついて保険金をだまし取ることをいいます。
また、保険金詐欺を行うと、名称の通り、詐欺罪が成立する可能性が高いです。

詐欺罪は、刑法第246条1項で「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。

大まかに説明すると、詐欺罪は、人に重大なうそをついて相手に信じこませることにより、お金などを受け取ると成立します。

今回の事例では、容疑者らが故意に事故を起こして、損害保険会社にうその報告を行うことで保険金をだまし取ったと報道されています。
故意であったとしても事故により損害が発生したのであれば、犯罪は成立しないのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自動車損害賠償保障法第14条では、「保険会社は、第82条の3に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。」と規定しています。
つまり、原則として保険会社は、故意に起こされた事故の損害については、保険金を渡す必要はないことになります。

今回の事例では、容疑者らが故意に事故を起こしたのではないかと報道されています。
損害保険会社は、故意による事故であれば、おそらく保険金を渡さないでしょう。
ですので、今回の事例の容疑者らが、実際に故意に事故を起こしたうえで故意であることを偽って保険金を請求したのであれば、詐欺罪が成立する可能性があります。

保険金詐欺と示談

詐欺罪は罰金刑の規定がありませんので、有罪になってしまうと、必ず懲役刑が科されることになります。
執行猶予不起訴処分といった言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
執行猶予付きの判決を獲得することができれば、再犯などをしない限り刑務所に収容されることはありませんし、不起訴処分を獲得することができれば、懲役刑が科されることはありません。
では、どうすれば執行猶予付き判決や不起訴処分を獲得できるのでしょうか。

詐欺事件などの刑事事件では、被害者と示談を締結することで、執行猶予付き判決や不起訴処分を獲得できる可能性があります。

今回の事例のような保険金詐欺では、保険会社が被害者になるので、保険会社示談を締結することになります。
保険会社など、会社相手に示談交渉を行った場合には、示談を断られてしまう可能性が高いです。
弁護士が代わりに会社と示談交渉を行うことで、示談を締結できる場合もありますので、保険会社などの会社相手に示談交渉を行う場合には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数々の事件で示談を締結に導いてきました。
示談交渉でお悩みの方や、保険金詐欺などの詐欺事件で逮捕、捜査されている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までお電話くださいませ。

【事例紹介】窓ガラスを割り、逮捕された事例②

2023-08-23

前回のコラムに引き続き、窓ガラスを割ったとして器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警草津署は12日、器物損壊の疑いで草津市、運送業の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は、11日午後10時ごろ、同市内の会社役員男性(66)宅1階に石を投げ、窓ガラス1枚を割った疑い。男は「記憶にない」と容疑を否認している。
(後略)
(8月12日 京都新聞 「周辺でガラス割れなど被害10件 警察が関連を捜査 民家の窓に投石の男逮捕」より引用)

建造物損壊罪と器物損壊罪

前回のコラムでは、他人の家の窓ガラスを割った場合は器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪が成立してしまう可能性があると解説しました。
では、器物損壊罪建造物損壊罪は何が違うのでしょうか。

刑法第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法第260条は建造物損壊罪、刑法第261条は器物損壊罪の条文になります。

建造物損壊罪器物損壊罪の大きな違いは、科される刑罰の重さではないでしょうか。

建造物損壊罪の法定刑は5年以下の懲役ですが、器物損壊罪の法定刑は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金であり、建造物損壊罪には罰金刑の規定がありません。
また、器物損壊罪親告罪(刑法第264条)ですので、告訴が取り下げられた場合には、刑罰を科されることはありません。
一方で、建造物損壊罪親告罪ではありませんので、告訴が取り下げられたとしても、刑罰を科されてしまう可能性があります。

もう一つ大きな違いとして、対象となる物が異なる点が挙げられます。

ざっくり説明すると、建造物損壊罪の対象は建造物ですし、器物損壊罪は建造物や公用・私用文書以外の他人の物が対象となります。
他人の家の敷居など、建造物の重要な役割を果たす柱や壁とつなぎ合わさっていて、簡単に取外しができないものを壊してしまうと、より科される刑罰の重い建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。

また、場合によっては、ドアなどの取外し可能なものであっても、建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。
今回の事例で報道されているように、壊したものが窓ガラスであったとしても、器物損壊罪ではなく、建造物損壊罪が成立するおそれがあります。
窓ガラスの種類やその窓ガラスの重要性などによって、成立する罪が変わる可能性がありますから、窓ガラスなど家の一部を壊してしまった際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

器物損壊罪と示談

繰り返しになりますが、器物損壊罪親告罪です。
ですので、示談を締結して告訴を取り下げてもらうことで、前科が付くことを避けることができます。
また、刑事事件では、示談を締結することで、不起訴処分を獲得できたり、科される罪が軽くなる場合がありますから、建造物損壊罪が成立した場合であっても、示談締結があなたの有利な事情になる可能性が高いです。

刑事事件では、加害者との直接的なやり取りを嫌煙される被害者の方が多くいらっしゃいます。
そういった場合には、加害者本人が被害者と直接示談交渉を行おうと思っても、連絡を取れない可能性が高いです。
しかし、弁護士が間に入ることで、連絡を取りやすくなったり、示談交渉が円滑に進む可能性があります。
ですので、示談交渉を行う場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数々の刑事事件を解決に導いてきました。
建造物損壊罪器物損壊罪でお困りの方や、逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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【事例紹介】窓ガラスを割り、逮捕された事例①

2023-08-18

窓ガラスを割ったとして、器物損壊罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警草津署は12日、器物損壊の疑いで草津市、運送業の男(27)を逮捕した。
逮捕容疑は、11日午後10時ごろ、同市内の会社役員男性(66)宅1階に石を投げ、窓ガラス1枚を割った疑い。男は「記憶にない」と容疑を否認している。
(後略)
(8月12日 京都新聞 「周辺でガラス割れなど被害10件 警察が関連を捜査 民家の窓に投石の男逮捕」より引用)

器物損壊罪

刑法第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は簡単に説明すると、人の持ち物を壊した際に成立します。

今回の事例では、容疑者が被害者宅に石を投げ、窓ガラスを割ったと報道されています。
実際に容疑者が報道のとおり石を投げ、被害者宅の窓ガラスを割ったのであれば、被害者の物を壊したことになりますので、器物損壊罪が成立する可能性があります。

建造物損壊罪

刑法第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

刑法第260条では、建造物損壊罪が規定されています。
建造物損壊罪とは、簡単に説明すると、建造物の重要な役割を果たす柱や壁とつなぎ合わさっていて、簡単に取外しができないものを壊した際に成立します。
例えば、家の敷居などを壊すと、建造物損壊罪が成立します。

今回の事例では、被害者宅の窓ガラスが容疑者によって割られたと報道されています。
他人の家の窓ガラスを割った場合には、建造物損壊罪は成立する可能性があるのでしょうか。

窓ガラスは建造物の一部とはいえ、多くの場合、取外しが可能でしょうから、建造物損壊罪の対象にはならないように思われます。

ですが、ドアを壊したことで建造物損壊罪で有罪となり、取外しが可能なドアを壊した場合には建造物損壊罪は成立しないとして上告した事件では、「本件ドアは,住居の玄関ドアとして外壁と接続し,外界とのしゃ断,防犯,防風,防音等の重要な役割を果たしているから,建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ,適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても,この結論は左右されない」として、取外しが可能なドアであっても建造物損壊罪が成立しました。(平成19年3月20日 最高裁判所 決定)

被害者宅の窓ガラスがどのようなものかは報道されている内容からは明らかではありませんが、取外しが可能であったとしても、防犯や防風、防音の重要な役割を果たしているのであれば、建造物損壊罪の対象になる可能性があります。
ですので、容疑者が実際に窓ガラスを割ったのであれば、場合によっては、器物損壊罪ではなく建造物損壊罪が成立してしまう可能性があります。

刑事事件に精通した法律事務所

人の家の窓ガラスを割った場合、器物損壊罪建造物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪建造物損壊罪どちらが成立するかは、事例によって異なります。
ですので、窓ガラスやドアなど、人の家の一部を壊してしまった場合には、弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
器物損壊罪建造物損壊罪などの容疑をかけられた方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

次回のコラムでは、器物損壊罪と建造物損壊罪の違いや弁護活動について解説します。

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