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電車内ちかんで会社員を逮捕
電車内ちかんで会社員を逮捕
電車内ちかんで逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
9月30日夜、琵琶湖線の普通電車内で、25歳の女性の太ももを触ったとして30代の会社員の男が逮捕されました。
不同意わいせつ罪の疑いで逮捕されたのは滋賀県大津市に住む35歳の会社員の男です。
滋賀県大津警察署によりますと男は、9月30日午後11時頃、山科駅から大津駅に向かう普通電車の車内で、隣に座った25歳の女性の太ももを触った疑いが持たれています。
女性の隣に座っていた知人が取り押え、駅員室に連れて行き、駅員が警察に通報したということです。
調べに対し男は「座席に座って、女性の左足を触りました」と、容疑を認めているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が令和5年に成立
刑法改正がされ、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪、強制性交等罪・準強制性交等罪が不同意わいせつ罪、不同意性交等罪となり令和5年7月13日に施行されています。
改正前の犯罪である強制わいせつ罪、強制性交等罪では「暴行」・「脅迫」が行われていたか、準強制わいせつ罪、準強制性交等罪では「心神喪失」・「抗拒不能」状態であったかで犯罪が成立するかどうかが判断されていました。
しかし、これでは内容の解釈にばらつきがあり、限定された状況で犯罪が成立しないという指摘がありました。
そこで不同意わいせつ罪・不同意性交等罪では「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」(簡単に説明すると、性的行為をすることを決めたりするきっかけや能力が不足していて、性的行為をしない、したくないという意思を持つこと、その意思を相手に伝えることが難しい状態)という表現を用いて統一的な内容とすることになりました。
それだけでなく、性交同意年齢の引上げ、身体の一部又は物を挿入する行為の取扱いの見直し、配偶者間において不同意性交等罪などが成立することの明確化などの点が改正され、より強化されたと解することができるでしょう。
不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪とは、簡単に説明すると下記の8つの行為の状態により「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」にさせ、わいせつな行為をすることで成立する犯罪をいいます。
① 暴行もしくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
② 心身の障害(身体障害、知的障害、発達障害及び精神障害など、一時的なものを含む)を生じさせること又はそれがあること。
③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤ 性的行為がされようとしていることに気付いてから、性的行為がされるまでの間に、その性的行為について自由な意思決定をするための時間のゆとりがないこと。
⑥ いわゆるフリーズの状態、つまり、予想外の又は予想を超える事態に直面したことから、自分の身に危害が加わると考え、極度に不安になったり、強く動揺して平静を失った状態のこと。
⑦ 虐待を受けたことによる、それを通常の出来事として受け入れたり、抵抗しても無駄だと考える心理状態や、虐待を目の当たりにしたことによる、恐怖心を抱いている状態のこと。
⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を自らやその親族等に不利益が及ぶことを不安に思うこと又はそれにより不安にさせること。
いずれもその程度は問われませんが、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」になっていることが必要です。
今回の事例では上記⑤の状態、つまり、性的行為がされるまでに嫌だと伝える暇もなく、身体の一部を突然触られています。
被害者の女性には同意がある訳でもないので、加害者に不同意わいせつ罪が成立するでしょう。
また、不同意わいせつ罪で実刑になれば6月以上10年以下の拘禁刑に処せられます(刑法第176条)。
不同意わいせつで逮捕・勾留されてしまったら
不同意わいせつ罪では、駅員から警察に身柄を引き渡され、取調べのためそのまま留置されることもあります。
その場合、職場を休むことになり、社会的な損失も伴うことになるでしょう。
また、この事例でのわいせつ行為は電車内での行為なので、被害者としてはまた加害者と同じ電車で遭遇するのではないか、つきまとわられてしまうのではないかと、心配が伴うことがあります。
そこで弁護士が仲介にはいり、加害者が事件を起こした電車を利用しないなど加害者が被害者と遭遇しないように対策を講じていることを伝えることで、被害者も少しは安心できるでしょうし、謝罪や賠償の申し入れを行うことで示談の道も開け、場合によれば早期釈放や不起訴も見えてくるでしょう。
不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったら弁護士へ
弁護士の専門知識と経験は、被疑者が最適な結果を得るために不可欠です。
特に、法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、不同意わいせつ罪をはじめとする刑事事件に精通した法律事務所です。
不同意わいせつ罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどの場合は、0120‐631‐881までお気軽にお問合せください。
また、ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。
その他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120‐631‐881)にて24時間365日受付中です。
滋賀県内でご家族が不同意わいせつ罪などの刑事事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
女子高校生の性行為中の動画を購入したとして捜査を受けている事例
女子高校生の性行為中の動画を購入したとして捜査を受けている事例
児童ポルノ所持の疑いで捜査を受けている事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
女子高校生に対して性的興奮を抱いていたAさんは、SNS上で17歳の女子高校生が性行為をしている動画が販売されているのを見つけ、購入しました。
滋賀県大津北警察署のサイバーパトロールにより、Aさんが17歳の性行為を映した動画を購入したことが発覚し、Aさんは児童ポルノ所持の疑いで捜査を受けることになりました。
(事例はフィクションです。)
児童ポルノ
児童ポルノについては、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ禁止法」といいます。)で規定されています。
児童ポルノとは、18歳未満の性行為中の姿や裸体などを撮影した写真や動画などのことをいいます。
今回の事例のAさんは17歳の女子高校生が性行為をしている動画を購入したようです。
18歳未満の者の性行為中の姿が撮影された写真や動画などは児童ポルノにあたりますので、Aさんが購入した17歳の性行為中の動画は児童ポルノにあたると考えられます。
児童ポルノ禁止法第7条1項
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
児童ポルノ禁止法第7条1項が規定するように、児童ポルノは所持しただけでも罪に問われます。
先ほど解説したように、Aさんが購入した動画は児童ポルノにあたると思われますので、児童ポルノ所持により、Aさんは児童ポルノ禁止法違反に問われる可能性があります。
自分の性的好奇心を満たすために児童ポルノを所持した場合には、児童ポルノ禁止法違反で有罪になると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
繰り返しになりますが、児童ポルノは所持しているだけでも罪に問われることになります。
児童ポルノにあたる動画や画像を所持している量が少なければ罪に問われないということはありませんから、児童ポルノ所持により捜査を受けている場合は楽観視せずに弁護士に相談をすることが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
児童ポルノ所持による児童ポルノ禁止法違反の疑いをかけられている方、その他刑事事件でお困りの方は、刑事事件の豊富な弁護経験をもつ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】16歳未満だと知りながら性行し不同意性交等罪の容疑で逮捕された事例
【事例紹介】16歳未満だと知りながら性行し不同意性交等罪の容疑で逮捕された事例
16歳未満だと知りながら性交したとして不同意性交等罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警大津署は14日、不同意性交の疑いで、滋賀県大津市の会社役員の男(35)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)、大津市内で知人の10代女性に対し、16歳未満であることを知りながら性交した疑い。容疑を認めているという。
(5月14日 京都新聞 「知人の10代女性に不同意性交疑い、会社役員の男逮捕」より引用)
不同意性交等罪
刑法第177条
1項 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
(2項省略)
3項 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
刑法第177条では不同意性交等罪を規定しています。
不同意性交等罪は簡単に説明すると、同意を得ずに性交等を行った場合に成立する犯罪です。
ですが、刑法第177条3項が規定するように、たとえ同意を得ていたとしても、相手の年齢が16歳未満である場合には不同意性交等罪が成立する可能性があります。
相手の年齢が13歳未満である場合には、同意の有無や加害者の年齢にかかわらず、不同意性交等罪が成立します。
また、相手の年齢が13歳以上16歳未満である場合に、加害者が5歳以上年上である場合には、同意の有無にかかわらず、不同意性交等罪が成立します。
今回の事例では、被害者の年齢が16歳未満だと知りながら性交したと報道されています。
容疑者の年齢は35歳であり5歳以上年が離れていますので、実際に性行為を行ったのであれば、性行為に対して同意があったとしても、容疑者に不同意性交等罪が成立する可能性があります。
不同意性交等罪の容疑者になったら
昨年の刑法改正により、性行為をした相手が16歳未満であり、加害者が5歳以上年上である場合には、性行為の同意を得ていたとしても不同意性交等罪の罪に問われるようになりました。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑ですので、罰金刑では済みません。
また、執行猶予は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合でなければ付けられません(刑法第25条1項)ので、5年以上の有期拘禁刑を科される不同意性交等罪で執行猶予付き判決を獲得することは、かなり厳しいといえます。
だからといって必ずしも執行猶予付き判決を獲得できないわけではありません。
情状酌量により刑が減刑されれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪など刑事事件に精通した法律事務所です。
経験豊富な弁護士による示談交渉や取調べ対策などの弁護活動により、執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
不同意性交等罪などの容疑で逮捕された方や捜査を受けている方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】10代女性が衣服の一部をつけていない姿を撮影したとして逮捕された事例
【事例紹介】10代女性が衣服の一部をつけていない姿を撮影したとして逮捕された事例
18歳に満たない者が衣服の一部をつけていない姿を撮影し、保存・記録したとして逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は16日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、大津市、屋根工の男(48)を逮捕した。容疑者は、容疑の一部を否認しているという。
逮捕容疑は、(中略)知人関係にある県内の10代女性が18歳に満たない児童と知りながら、容疑者宅で、衣服の一部をつけていない姿をひそかにスマートフォンで撮影し、記録・保存して、児童ポルノを製造した疑い。
同署によると、容疑者は動画撮影は認める一方、「性的な目的は一切ありません」と話しているという。
(1月16日 京都新聞 「10代女性をひそかに撮影、児童ポルノ製造 容疑で48歳の男逮捕」より引用)
児童ポルノ
今回の事例では児童ポルノを製造したとされていますが、児童ポルノとはどのようなものを指すのでしょうか。
児童ポルノは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ禁止法」といいます。)第2条3項で定義づけられており、以下のような児童の姿を撮影した写真や動画などを児童ポルノといいます。
・性交や性交に類似した行為をしている姿
・性器等を触られている姿や他人の性器等を触っている姿で性欲を興奮または刺激させるもの
・全裸であったり服を一部着ないでいる状態で性的な部位が露出または強調されており性欲を興奮させたり刺激するような姿
また、児童とは18歳未満に満たない者を指します。(児童ポルノ禁止法第2条1項)
ですので、18歳未満の者の上記のような姿が映された写真や動画は児童ポルノにあたる可能性があります。
今回の事例で製造したとされているものは児童ポルノにあたるでしょうか。
報道によると、18歳未満の者が衣服の一部をつけていない姿をスマートフォンで撮影し記録・保存したとされています。
児童が服を一部着ていない状態で性的な部分が露出していたり強調されていて性欲を興奮させたり刺激するような写真などは児童ポルノにあたりますので、容疑者が撮影したとされている写真が性的な部分が露出していたり強調されていて性欲を興奮、刺激させるようなものであれば、児童ポルノにあたる可能性があるといえます。
児童ポルノの製造
今回の事例では、容疑者が児童ポルノを製造したとされていますが何か罪に問われるのでしょうか。
児童ポルノ禁止法第7条
2項 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
5項 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
児童ポルノ禁止法第7条5項では、ひそかに児童ポルノにあたる写真や動画などを製造することを禁止しています。
今回の事例では、18歳未満の者が衣服の一部をつけていない姿をひそかにスマートフォンで撮影し、記録・保存したとされています。
実際に容疑者がそのような18歳未満の上記のような姿を撮影し、その写真が児童ポルノにあたるのであれば、児童ポルノを製造したとして児童ポルノ禁止法違反の罪に問われる可能性があります。
児童ポルノの製造と示談
刑事事件では示談の締結が、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得につながると聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
実際に、刑事事件では、示談を締結することで有利な事情として考慮される可能性があります。
今回の事例のようなケースでは、被害者は未成年ですから、被害者の保護者と示談を締結することになると思われます。
ですが、保護者との間で示談を締結する場合には処罰感情が苛烈であることが予想され、示談交渉が難航してしまう可能性があります。
また、加害者自らが示談交渉を行う場合には、加害者とは話すことすらしたくないと思われる方もいらっしゃいますので、示談交渉はおろか連絡さえ取れないこともあります。
弁護士を介して示談交渉を行うことで、話を聞いてもらえる可能性やトラブルを回避できる可能性がありますので、示談交渉を行う際は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
児童ポルノ禁止法違反などでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
【事例紹介】公衆浴場の脱衣所で男子高校生の裸を盗撮し逮捕された事例
滋賀県草津市内の公衆浴場の脱衣所で男子高校生の裸を盗撮したとして、性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影処罰法違反)の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は11月19日、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の疑いで、滋賀県守山市、会社員の男(49)を逮捕した。
逮捕容疑は19日午後7時20分ごろ、滋賀県草津市内の公衆浴場の脱衣所で男子高校生(16)の裸をスマートフォンで撮影した疑い。
(後略)
(11月20日 京都新聞 「男子高校生の裸体撮影した49歳会社員男を逮捕 公衆浴場の脱衣所」より引用)
性的姿態等撮影罪
今年の7月13日より、新たに性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(以下「性的姿態撮影処罰法」といいます。)が施行されました。
性的姿態撮影処罰法が成立したことにより、性的姿態等撮影罪が新たに規定されました。
今までは、盗撮を行った場合には各都道府県の迷惑行為防止条例が成立していましたが、今後は盗撮を行った場合には原則として性的姿態等撮影罪が成立することになります。
性的姿態撮影処罰法第2条
次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
1項1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
(1項2号以下省略)
今回の事例では、容疑者が公衆浴場の脱衣所で男子高校生の裸をスマートフォンで盗撮したとされています。
裸の状態で写真を撮れば性的な部位が撮影されるでしょう。
また、公衆浴場の脱衣場で写真を撮る正当な理由はないように思われますから、実際に容疑者が男子高校性の裸を盗撮していたのであれば、性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影処罰法違反)が成立する可能性があります。
盗撮と量刑
先ほど、以前盗撮を行った場合には各都道府県の迷惑行為防止条例が成立していたと書きましたが、性的姿態撮影処罰法の成立により量刑に変化はあるのでしょうか。
滋賀県迷惑行為等防止条例では、不特定多数の人が利用し服を着ていないような浴場や更衣室などで盗撮をした場合の法定刑は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金です。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条1項1号)
また、常習として盗撮していたと判断された場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条3項)
性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影処罰法違反)の法定刑は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金ですので、滋賀県迷惑行為等防止条例違反と比べて性的姿態等撮影罪(性的姿態撮影処罰法違反)の方が科される量刑が重いことがわかります。
盗撮と示談
盗撮事件では被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる場合があります。
今回の事例では、被害者は16歳の男子高校生ですので、示談をする場合は被害者の親と行うことになります。
親との示談の場合、大切なわが子が犯罪に遭ったわけですから、厳しい処罰を求めている場合が多く、示談交渉が難航する可能性が高いです。
また、加害者本人が示談交渉を行ってしまうと、より処罰感情を苛烈にさせてしまう場合も少なくないため、示談交渉を行う際には弁護士を代理人として行うことが望ましいでしょう。
加えて、盗撮事件では、被害者の連絡先を知らないことがほとんどだと思います。
連絡先や名前などの個人情報を加害者に知られたくないという方も多くいらっしゃいますので、加害者本人が示談交渉を行う際には連絡先を教えてもらえず、示談交渉すら行えない場合があります。
弁護士であれば連絡先を教えてもいいと思ってもらえる場合がありますので、示談を考えている方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
盗撮の容疑で捜査を受けた方、その他刑事事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120―631―881までご連絡くださいませ。
接見禁止を解除したい!弁護士にご相談を
刑事事件では、勾留の際に接見禁止がなされてしまう場合があります。
そういった場合に弁護士による弁護活動で接見禁止を一部解除できる可能性があります。
今回のコラムでは、接見禁止一部解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは友達と共謀して、Vさんに性的暴行を加えました。
その後、Vさんが滋賀県木之本警察署に被害届を出したことから、事件が明るみになり、Aさんやその友人らは不同意性交等罪の容疑で滋賀県木之本警察署の警察官に逮捕されることになりました。
Aさんは逮捕後勾留されることになり、共犯者がいることから、Aさんの両親を含め接見禁止決定が出されました。
(事例はフィクションです。)
不同意性交等罪
接見禁止について解説していく前に、Aさんの逮捕罪名である不同意性交等罪について、簡単に解説していきます。
そもそも、不同意性交等罪という犯罪に聞き覚えのない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
刑法の改正により、強制性交等罪、準強制性交等罪の規定がなくなり、それに代わる規定として不同意性交等罪が新しく定められました。
不同意性交等罪を盛り込んだ改正刑法は今年の7月に施行された為、比較的新しい犯罪だといえます。
不同意性交等罪の内容は大雑把に説明すると、強制性交等罪と準強制性交等罪を掛け合わせたようなものになります。
ですので、従来通り、反抗できないような暴行や脅迫を用いて無理やり性交する行為やアルコールなどの影響による抗拒不能な状態を利用した性交等は不同意性交等罪でも禁止されています。
また、不同意性交等罪が新たに規定されたことにより、今までは強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪の対象となっていた、指などや物を膣に挿入する行為も性交等にあたるとされており、今までの強制性交等罪や準強制性交等罪では対象にならなかった行為についても、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪よりも科される刑罰の重い、不同意性交等罪が成立することになります。
その他にも性交同意年齢が引き上げられるなど、不同意性交等罪は今までの強制性交等罪や準強制性交等罪と比べて幅広く規定されていることがうかがえます。
なお、不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑(刑法第177条1項)であり、従来の強制性交等罪や準強制性交等罪は5年以上の有期懲役でしたので、刑罰の重さについて変更はありません。
執行猶予は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合に情状により付けられる場合があり(刑法第25条)、不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑ですので、初犯であっても実刑判決を下される可能性が非常に高いです。
接見禁止の一部解除
今回の事例では、接見禁止決定がなされていることから、家族であってもAさんに面会することができません。
Aさんの両親は大切な息子が逮捕、勾留されたうえに顔すら見れないことで、Aさんの体調や精神状態をとても心配しています。
両親がAさんと面会する方法はないのでしょうか。
接見禁止決定がなされている場合には、面会や手紙の差し入れ等は禁止されます。
この接見禁止決定は今回の事例のように、共犯者がいる場合に口裏合わせなどで証拠を隠滅されないようにするために、なされることが多いです。
接見禁止決定がなされた場合には、釈放や保釈されるまで面会できないのかというと、そうではありません。
弁護士は、裁判所に対して、接見禁止等一部解除申請書を提出することができます。
この申請書で、両親は事件にかかわっておらず、共犯者とも知り合いではないことから、口裏合わせによる証拠隠滅は行えないこと、万が一Aさんが両親に他の共犯者への言伝を頼まれても応じないと誓約していることなどを裁判所に訴えることで、両親に限り、接見禁止が解除される場合があります。
接見禁止が一部解除された場合には、両親はAさんと面会することができるようになります。
逮捕、勾留された場合には、連日取調べが行われることも少なくありません。
取調べでは、警察官や検察官の都合のいいように供述内容を誘導されることも少なくなく、警察官や検察官の意にそぐわない内容の供述は聞いてもらえない場合もあります。
連日による取調べで精神に不調をきたす場合もあり、精神的に追い詰められ、警察官や検察官が促すまま、事実とは異なる供述をしてしまうおそれもあります。
ただでさえ、精神的に不安な中、家族とも会えないとなると、かなり精神的に厳しい状態になってしまうおそれがあります。
家族と面会をすることで、少しでも不安が和らぐでしょうから、接見禁止決定が出ている場合には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、弁護士であれば、接見禁止決定がなされている間でも接見を行うことができます。
接見禁止決定がなされている間は、弁護士が貴重な外部との接触手段になりますので、弁護士が接見をすることで、勾留されている本人の不安が和らぐ場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
不同意性交等罪などの性犯罪でお困りの方や、ご家族が逮捕された方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で24時間365日受け付けております。
【事例紹介】10代女性の太ももを触り、逮捕された事例
10代女性の太ももを触ったとして強制わいせつ罪の容疑で逮捕された事例を基に、強制わいせつ罪や不同意わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
施設内で女性の体を触るわいせつな行為をしたとして、滋賀県警高島署は8日、強制わいせつの疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)面識のある10代女性の太もも付近を触り、わいせつな行為をした疑い。
同署によると、男は「記憶にない」と容疑を否認しているという。
(後略)
(7月8日 京都新聞 「10代女性の体触ったか、強制わいせつ容疑で68歳市職員を逮捕 滋賀」より引用)
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は刑法第176条で「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」と規定されています。
強制わいせつ罪を簡単に説明すると、13歳以上の人に対して反抗することが難しいような暴行や脅迫を加えて、世間一般の人を辱しめるような、わいせつな行為を行うと成立します。
また、13歳未満の人にわいせつ行為を行った場合には、暴行や脅迫の有無は関係なく、強制わいせつ罪が成立します。
今回の事例では、容疑者が10代女性の太もも付近を触ったと報道されています。
太ももを触る行為によって、恥辱を受ける人も多いと思われますから、太ももを触る行為が強制わいせつ罪に規定するわいせつ行為にあたる可能性があります。
また、腕を掴んだり押さえつけるなどして、相手の抵抗を抑圧させる行為は、強制わいせつ罪が規定する暴行にあたります。
報道からでは、事件の詳しい内容はわかりませんが、実際に容疑者が腕をつかむなどの暴行を加えたり、被害者を脅して太ももを触ったのであれば、強制わいせつ罪が成立する可能性が高いです。
不同意わいせつ罪
刑法の改正により、先週の木曜日(7月13日)に、強制わいせつ罪は不同意わいせつ罪に改正されました。
ですので、7月13日以降にわいせつ行為を行った場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
刑法第176条
1項 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3項 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
上記が不同意わいせつ罪の改正後の条文となります。
今までは暴行や脅迫によるわいせつ行為は強制わいせつ罪、アルコールや薬物による抗拒不能、心神喪失によるわいせつ行為は準強制わいせつ罪が成立していました。
今回の刑法改正により、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪の区別がなくなり、暴行や脅迫、アルコールなどの抗拒不能・心神喪失のどちらの場合であっても、不同意わいせつ罪が成立することになります。
また、今回の改正により、同意する時間を与えずに行うわいせつ行為や社会的地位を利用したわいせつ行為なども不同意わいせつ罪が成立し、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪と比べて成立する範囲が広くなっています。
加えて、今までは13歳未満に対するわいせつ行為は暴行の有無など関係なく強制わいせつ罪が成立していましたが、刑法改正により、相手が13歳以上16歳未満でなおかつ相手との年の差が5歳以上ある場合には、暴行等の有無関係なく不同意わいせつ罪が成立することになります。(13歳未満の場合は年の差関係なく不同意わいせつ罪が成立します。)
このように、不同意わいせつ罪が成立する範囲は幅広く、今までであれば強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪が成立しなかった場合であっても、不同意わいせつ罪が成立してしまう可能性があります。
不同意わいせつ罪で有罪になると、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪と同様に6月以上10年以下の懲役刑が科されます。
罰金刑の規定はありませんので、有罪になってしまうと執行猶予付きの判決を得ない限り、刑務所に行かなければなりません。
強制わいせつ罪や不同意わいせつ罪の容疑をかけられていても、罪が成立しない場合があります。
また、事件の内容によって処分の見通しは変わってきますので、強制わいせつ罪や不同意わいせつ罪の嫌疑をかけられた際には、一度弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
刑事事件に精通した弁護士による示談交渉や取調べアドバイスで、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
強制わいせつ罪や不同意わいせつ罪の容疑をかけられた場合は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】覚えのない痴漢の容疑で逮捕された事例
痴漢の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
滋賀県警草津署は30日、滋賀県迷惑行為等防止条例違反(痴漢)の疑いで、(中略)逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)草津市西渋川のJR草津駅前の路上で、女子高校生3人の下半身を触るなどした疑い。
同署によると、男は「酒に酔っていて覚えていない」などと容疑を否認しているという。
(5月30日 京都新聞 「保育施設経営の男、朝の駅前で女子高校生3人の下半身触る 容疑で逮捕」より引用)
痴漢と条例
痴漢を行うと、痴漢罪というものが成立するのではなく、各都道府県の迷惑行為防止条例や強制わいせつ罪などが成立することになります。
例えば、滋賀県の条例である、滋賀県迷惑行為等防止条例第3条1項1号では、公共の場所や公共の乗り物において、直接または衣服の上から人の身体に触れることを禁止しています。
痴漢は簡単にいうと、人の身体を許可なく触ることをいいますので、痴漢をした場合、滋賀県迷惑行為等防止条例違反が成立する可能性があります。
今回の事例では、容疑者がJR草津駅前の路上で被害者らの下半身を触ったとされています。
駅前は不特定多数の人が行き交いますので、公共の場所にあたります。
公共の場所で人の身体を触ること(痴漢)を滋賀県迷惑行為等防止条例では禁止していますので、容疑者が被害者らの下半身を触ったのであれば、滋賀県迷惑行為等防止条例違反が成立する可能性があります。
痴漢を行い、滋賀県迷惑行為等防止条例違反で有罪になった場合には、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条1項1号)
また、常習して痴漢を行っていた場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。(滋賀県迷惑行為等防止条例第11条2項)
否認事件と釈放
容疑を否認している事件では、認めている事件に比べて捜査に要する時間が長くなります。
また、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断される可能性も高く、否認事件では釈放が認められにくい傾向があります。
刑事事件では、勾留が決定されると最大で20日間身柄を拘束されることになります。
勾留は逮捕後72時間の間に検察官が裁判所に勾留の請求を行い、裁判所が勾留するかどうかの判断を行います。
検察官が勾留請求をしない場合や裁判官が勾留の必要はないと判断した場合には、勾留されずに釈放となります。
弁護士は、この72時間の間に検察官や裁判官に釈放を求める意見書を提出することができます。
意見書では、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、早期に釈放してもらわなければならない理由があることを訴えます。
この意見書を提出することで、早期釈放を実現できるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
勾留が決定する前に意見書を提出する場合は、72時間以内に提出が必要なため、早い段階で弁護活動をスタートする必要があります。
ご家族が逮捕されている方、痴漢など見に覚えのない容疑をかけられている方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】教え子と性交し児童福祉法違反で起訴②
教え子と性交したとして、児童福祉法違反の罪で大津地方検察庁が起訴した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大津地検は24日、教え子にホテルでみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪で、(中略)教諭の男(39)を起訴した。
(中略)
起訴状によると、男は授業を担当していた女子生徒が18歳未満と知りながら、教諭としての立場を利用し、(中略)滋賀県内のホテルで性交した、としている。
(4月24日 京都新聞 「公立中教諭が教え子の女子生徒とホテルで性交 児童福祉法違反で起訴 滋賀・大津」より引用)
前回のコラムでは、今回の事例について、児童福祉法違反で有罪になってしまう可能性があると解説しました。
今回のコラムでは、児童福祉法違反における弁護活動についてご紹介します。
起訴と裁判
刑事事件では、全ての事件が裁判になるのではなく、起訴された場合に裁判が行われます。
今回の事例では、被告人が児童福祉法違反の罪で起訴されていますので、後日、裁判が開かれることになります。
裁判で有罪になると、懲役刑などの刑罰が科されることになります。
今回の事例の起訴罪名である児童福祉法違反の場合ですと、児童に淫行をさせた場合の法定刑は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科(児童福祉法第60条1項)ですので、有罪になった場合には懲役刑か罰金刑、又はその両方が科されることになります。
しかし、有罪になったからといって、必ずしも刑が執行されるわけではありません。
有罪判決が下されたとしても、執行猶予付きの判決を得ることができれば、刑の執行が猶予されます。
また、執行猶予付きの判決は如何なる場合でも付けられるというわけではなく、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに情状により付けられる場合があります。(刑法第25条)
淫行をさせた場合における児童福祉法違反の法定刑は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科です。
この量刑は同じ未成年者を被害者とする、滋賀県青少年の健全育成に関する条例違反の法定刑である1年以下の懲役または50万円以下の罰金(滋賀県青少年の健全育成に関する条例第27条1項)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の法定刑である5年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条)と比較しても重く、初犯であっても執行猶予が付かないケースもあります。
児童福祉法違反と弁護活動
示談を締結することで、科される刑を軽くしたり、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
児童福祉法違反のように被害者が未成年者であった場合、被害者の代理人として保護者と示談を締結することになります。
ですので、示談交渉も被害者本人ではなく保護者に対して行うことになります。
示談交渉を行う際には、連絡先を教えてもらうことから始めるのですが、加害者が自ら示談交渉を行う場合には、直接やり取りを行いたくない気持ちから連絡先を教えてもらえない可能性が高いです。
また、今回の事例のような児童福祉法違反の場合は、被害者の保護者が示談交渉の相手になりますので、被害者が成人である場合よりも、一般的に処罰感情が苛烈である場合も少なくなく、示談の締結が困難になってしまう可能性があります。
弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、示談を締結できる場合がありますので、示談交渉を行う際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、取調べで作成される調書は、裁判で証拠として扱われます。
取調べでは、供述の誘導が行われる可能性がありますし、あなたの意に反した供述調書が作成される危険性もあります。
意に反した供述調書あっても、裁判では重要な証拠になってしまいますので、不利にならないようにするためにも、弁護士と打合せを行い、しっかりと取調べ対策を行っておくことが重要になります。
加えて、児童福祉法違反の場合には、前回のコラムでも解説したように、被害者との関係性や影響を与えた程度が重要になり、取調べについてもこの点を重点的に聞かれます。
この点について自身の認識と異なる内容の調書が作成されれば、起訴、不起訴の判断や量刑において不利な判断をされれる可能性があります。
弁護士と事前に取調べ対策を行うことで、あなたの意に反した供述調書の作成を防ぎ、執行猶予付き判決の獲得など、あなたにとって良い結果につながるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
児童福祉法違反でお困りの方、執行猶予付き判決の獲得を目指している方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【事例紹介】教え子と性交し児童福祉法違反で起訴①
教え子と性交したとして、児童福祉法違反の罪で大津地方検察庁が起訴した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大津地検は24日、教え子にホテルでみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反の罪で、(中略)教諭の男(39)を起訴した。
(中略)
起訴状によると、男は授業を担当していた女子生徒が18歳未満と知りながら、教諭としての立場を利用し、(中略)滋賀県内のホテルで性交した、としている。
(4月24日 京都新聞 「公立中教諭が教え子の女子生徒とホテルで性交 児童福祉法違反で起訴 滋賀・大津」より引用)
未成年者への淫行と児童福祉法
児童福祉法では、児童に淫行をさせる行為をしてはいけないと規定しています。(児童福祉法第34条1項6号)
児童福祉法が規定する児童に淫行をさせる行為のうちには、直直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をも包含するとしています。(昭和40年4月30日 最高裁判所 決定)
ですので、他者と淫行させる場合はもちろん、自ら児童と淫行する場合にも児童福祉法違反が成立する可能性があります。
また、淫行させる行為にあたるかどうかは、行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当であると、裁判所は判断しています。(平成28年6月21日 最高裁判所 決定)
実際に同決定では、被害者が通う高校の常勤講師をしていた被告人が、校内で性的接触を行った後に、被害者と性交を行っており、被告人は単に淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められることから、被告人の行為は、児童福祉法が規定する「児童に淫行をさせる行為」にあたると判断されました。(平成28年6月21日 最高裁判所 決定)
今回の事例は、18歳未満である教え子に性交したとして、教諭の男が児童福祉法違反の罪で起訴されています。
児童福祉法が規定する淫行させる行為にあたるかは、児童との関係や児童の意思決定に対する影響力などで総合的に判断されます。
今回の事例の被告人と被害者の関係性は、上記の最高裁判所の決定と同様に、教師と生徒の関係です。
ですので、今回の事例でも、被告人が、被害者である児童が淫行をすることを助長・促進させる行為をしたと認められ、児童福祉法違反で有罪になってしまう可能性があります。
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刑事事件に精通した弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決の獲得など、あなたにとってより良い結果を得られるかもしれません。
児童福祉法違反でお困りの方は、土日祝日即日対応可能な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
次回のコラムでは、児童福祉法違反における弁護活動についてご紹介します。
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