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夏休み中の違法バイトで詐欺事件②
夏休み中の違法バイトで詐欺事件②
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県東近江市に住んでいる17歳の高校2年生です。
8月に入り、夏休みであったAさんは、時間を持て余し、この機会にバイトをして小遣いを稼ごうと考えました。
そこでAさんは、インターネットやSNSでバイトを探し始めたのですが、そこに「夏休みの間だけでOK!簡単な集荷・配達で稼げる!」といったあおり文句の自宅近くでできるバイト募集が見つかりました。
Aさんはこれ幸いとそのバイトに応募しました。
そのバイトは、指示された家に向かい、住人から荷物や封筒を受け取り、また指示された場所にもっていくというものでした。
そうした仕事内容から、Aさんは「もしかすると何か怪しい仕事なのかもしれない」と思いましたが、「そんなことないだろう」と思い直し、バイトの仕事を受けました。
その後、Aさんは夏休みの間しばらくこのバイトを続けましたが、ある日自宅に滋賀県東近江警察署の警察官が訪れ、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの行っていたバイトは、特殊詐欺の「受け子」をする違法バイトだったようです。
(※この事例はフィクションです。)
・「受け子」をしたら絶対共犯?
前回の記事では、バイトから詐欺事件の被疑者となってしまう可能性のあることや、「受け子」という役割、「受け子」をした場合には詐欺事件の共犯となる可能性があるということについて触れました。
では、「受け子」をしてしまったら必ず詐欺罪の共犯ということになってしまうのでしょうか。
今回はまずそうしたことから考えていきましょう。
犯罪は基本的に「故意」がなければ成立しません。
これは共犯についても同じです。
ですから、「受け子」であり詐欺行為の一端を担うことであるという認識を全くせずに「受け子」をしてしまったのであれば、共犯とは認められず、無罪となるでしょう。
実際に、「受け子」をしてしまった被告人が、詐欺罪の故意がなかったとして争い、無罪となった事件も見られます(東京高判平成23.8.9)。
この東京高裁の裁判では、被告人は「まっとうでない仕事である」ということは認識していたものの、詐欺行為で現金をだまし取るということまで認識はしておらず、詐欺罪の故意がないということで無罪としています。
ですから、「受け子」をしてしまったら本人の認識にかかわらず絶対に共犯となる、というわけではありません。
Aさんの詐欺事件でも、Aさんが詐欺の認識を全く持っていなかったということが認められれば、Aさんの嫌疑はなしということで、家庭裁判所への送致をせずに事件終了となったり、家庭裁判所送致後には審判を開始せずに終息させたり不処分となったり、という可能性もあります(Aさんの詐欺事件は少年事件のため、成人の刑事事件とは異なる流れをたどります。)。
ただし、例としてあげた東京高裁の詐欺事件については具体的な事情を考慮して詐欺罪の故意(認識)まではなかったと判断されているものであるため、一概に「何か違法な仕事だと思っていても詐欺罪ではないと思っていたから無罪になる」とは言えません。
特に、近年は特殊詐欺については厳しい判断が下される傾向にあります。
報道でも特殊詐欺が取り上げられることは多いため、「本当に詐欺と気づかなかったのか」という点については厳しい判断がなされることが多いです。
Aさんがバイトをした経緯やバイトへの認識、どういった状況でバイトをしていたのかといった具体的な事情を検討しながら、詐欺罪の共犯となってしまうのか見通しを立てながら対応を考えなければなりません。
さらに、Aさんのような20歳未満の者による少年事件の場合には、嫌疑が晴れたとしても、その少年の周囲の環境等の事情によって家庭裁判所の審判に付すことが相当であるという判断が下った場合については、家庭裁判所に送致されることにも注意が必要です。
こうしたことから、違法バイトで詐欺事件に巻き込まれてしまった少年事件の場合、容疑を認めるにしろ認めないにしろ、弁護士に早期に相談することが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件のご相談・ご依頼も多数承っています。
捜査段階のサポートから家庭裁判所へ送致された後のサポートまで、刑事事件・少年事件専門だからこそ一貫して丁寧な活動が可能です。
まずはお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
夏休み中の違法バイトで詐欺事件①
夏休み中の違法バイトで詐欺事件①
Aさんは、滋賀県東近江市に住んでいる17歳の高校2年生です。
8月に入り、夏休みであったAさんは、時間を持て余し、この機会にバイトをして小遣いを稼ごうと考えました。
そこでAさんは、インターネットやSNSでバイトを探し始めたのですが、そこに「夏休みの間だけでOK!簡単な集荷・配達で稼げる!」といったあおり文句の自宅近くでできるバイト募集が見つかりました。
Aさんはこれ幸いとそのバイトに応募しました。
そのバイトは、指示された家に向かい、住人から荷物や封筒を受け取り、また指示された場所にもっていくというものでした。
そうした仕事内容から、Aさんは「もしかすると何か怪しい仕事なのかもしれない」と思いましたが、「そんなことないだろう」と思い直し、バイトの仕事を受けました。
その後、Aさんは夏休みの間しばらくこのバイトを続けましたが、ある日自宅に滋賀県東近江警察署の警察官が訪れ、Aさんは詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
どうやらAさんの行っていたバイトは、特殊詐欺の「受け子」をする違法バイトだったようです。
(※この事例はフィクションです。)
・違法バイトで詐欺事件
多くの学校が夏休みとなるこの季節、Aさんのように「夏休み中にバイトをして稼ごう」と考える学生の方も多いのではないでしょうか。
しかし、バイトの内容をきちんと確かめずにしてしまうと、違法バイトにかかわり、刑事事件・少年事件となってしまうこともあるかもしれません。
Aさんのしていたバイトは、どうやら特殊詐欺の「受け子」であったようです。
特殊詐欺とは、オレオレ詐欺に代表される振り込め詐欺や、ギャンブル必勝法提供詐欺などの振り込め類似詐欺をまとめて呼ぶものとされています。
そしてその特殊詐欺はグループで犯行をしており、役割分担をしていることが多いようです。
その役割のひとつが「受け子」といわれるもので、これは詐欺の被害者から金品を受け取る役割です。
「受け子」は詐欺事件の被害者と直接顔を合わせる役割であることから、詐欺事件が検挙されるきっかけとなりやすい役割です。
そうしたことから、詐欺グループの中には学生などのバイトを「受け子」として働かせ、詐欺が摘発されればいわゆるトカゲのしっぽのように扱う、というところも見られるのです。
学生が自由にできる時間の増える夏休みだからこそ、こうした違法バイトにも気を付けなければなりません。
さて、今回のAさんは、その「受け子」をしてしまっていたのですが、「受け子」は特殊詐欺に加担する役割であるため、詐欺罪の共犯となります。
「共犯」と一口にいっても、法律上は「共犯」にも様々な種類があり、どういった「共犯」となるかによって刑の重さが異なったりします(なお、Aさんの場合は少年事件となることから、刑罰については原則受けることがありません。)。
例えば、共同して犯罪を実行したと認められれば「共同正犯」、事前に犯罪をすることを一緒に共謀し、誰かが犯罪を実行に移したものだと認められれば「共謀共同正犯」という、全員が正犯=その罪を犯したととらえられる共犯になります。
一方、その正犯の犯行を容易にする手助けを行った程度であるような場合には、「幇助犯」という、正犯に科せられる可能性のある刑罰に比べて軽い範囲で刑罰が下される共犯となります。
これらの共犯のうちどの共犯にあてはまるかは、犯行についてどの程度知りかかわっていたか、どういった意思で行動したのか、果たした役割の重要性はどれくらいか、報酬はどれくらいもらっていたか、といった事情から考えられます。
特殊詐欺事件の「受け子」も、その共犯になるかは詐欺事件によってさまざまですが、学生バイトで詐欺事件の全容をよく知らされずに行っていたような場合には、「幇助犯」となる場合も見られますが、お金を受け取るという詐欺事件では重要なシーンを任されているということから、「共同正犯」や「共謀共同正犯」と認められることも少なくないようです。
では、「受け子」のバイトをしてしまったら、必ず共犯となるのでしょうか。
共犯となる条件はあるのでしょうか。
次回の記事で触れていきます。
夏休み中のバイトから少年事件・刑事事件となってしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士までご相談ください。
0120-631-881では、専門スタッフがいつでもお問い合わせを受け付けております。

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帰省ラッシュで渋滞中の交通事故③
帰省ラッシュで渋滞中の交通事故③
~前回からの流れ~
Aさんは、お盆休みの帰省のため、滋賀県近江八幡市内を通る道路で自動車を運転していました。
しかし、帰省ラッシュのために道路はずいぶん先まで渋滞しており、Aさんは1時間強の間、少し動いては停まるといったことを繰り返していました。
Aさんは渋滞にいら立ち、つい、Vさんの運転している前の車に対してパッシングや前後の距離を詰めることを繰り返してしまいました。
そしてその結果、Aさんの車はVさんの車にぶつかる交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは、Vさんが通報したことで駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に逮捕され、話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
前回はAさんの起こした交通事故が人身事故だった場合に成立しうる犯罪を考えてみましたが、今回はAさんの起こした交通事故が物損事故だった場合(Vさんやその同乗者に怪我がなかった場合)に成立しうる犯罪を考えてみましょう。
Aさんは何罪になる?~物損事故の場合
先日の記事でも触れたように、単純な物損事故だけでは刑事事件になることは少なく、行政や民事での処理のみで終わることが多いです。
しかし、物損事故時の状況や運転態様等によっては、物損事故でも刑事事件となることがあります。
Aさんのようなケースで物損事故となった場合について考えてみましょう。
①道路交通法違反
道路交通法には、自動車を運転する際に守ったり注意したりしなければいけない様々な義務が定められています。
今回のAさんは、交通事故を起こす前、Vさんの運転する自動車に対してあおり運転をしていました。
このあおり運転は、態様によっては道路交通法に定められている義務に違反することになります。
例えば、以下のような急ブレーキの禁止や車間距離の保持といった義務があります。
道路交通法24条
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
道路交通法26条
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
これらに違反すると、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」(車間距離の保持については高速道路上の場合。一般道の場合は5万円以下の罰金)となります。
②暴行罪
昨今、あおり運転に対しては刑法上の暴行罪が適用されることも多くなってきています。
暴行罪という単語からは、直接相手を殴ったり蹴ったりして暴行を加える態様がイメージされやすいですが、そうした直接相手に触れるもの以外にも、暴行罪は成立しえます。
暴行罪となった場合には、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に処せられる可能性が出てきます。
③器物損壊罪
もしもAさんに「Vさんの車にぶつけて車を壊してやろう」「Vさんの車にぶつかってしまっても構わない」といった意識があったうえであおり運転をして交通事故を起こしていた場合には、あえて交通事故を起こしてVさんの車を壊したとして、刑法上の器物損壊罪に問われる可能性もあります。
器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料」となっています。
物損事故の場合、その場から逃げたり、損壊したものが建造物等であったりしなければ、基本的には刑事事件とはなりませんが、このように態様によっては刑事事件になってしまいます。
帰省ラッシュなどで渋滞になってしまえば、気持ちに落ち着きがなくなってしまったり、態度が大きくなってしまったりすることも考えられますが、あおり運転をして交通事故を起こしてしまえば、これらの犯罪に問われてしまうかもしれません。
交通事故直後には、相手が怪我をしているかどうかも判断が付かないこともあります。
まずは弁護士に相談し、見通しも含めて今後について詳しい話を聞いてみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、お盆の期間であっても休みなく初回無料法律相談や初回接見サービスを受け付けております。
帰省ラッシュの渋滞中に交通事故を起こしてしまってお困りの方、物損事故から刑事事件に発展してしまってお悩みの方は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)

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帰省ラッシュで渋滞中の交通事故②
帰省ラッシュで渋滞中の交通事故②
~前回からの流れ~
Aさんは、お盆休みの帰省のため、滋賀県近江八幡市内を通る道路で自動車を運転していました。
しかし、帰省ラッシュのために道路はずいぶん先まで渋滞しており、Aさんは1時間強の間、少し動いては停まるといったことを繰り返していました。
Aさんは渋滞にいら立ち、つい、Vさんの運転している前の車に対してパッシングや前後の距離を詰めることを繰り返してしまいました。
そしてその結果、Aさんの車はVさんの車にぶつかる交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは、Vさんが通報したことで駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に逮捕され、話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
前回の記事で取り上げたように、交通事故の場合、人身事故であるのか物損事故であるのかによって、犯罪となるかどうか、刑事事件となるかどうかは異なってきます。
今回は、それぞれ場合分けをしながらAさんの交通事故に成立しうる犯罪を考えていきましょう。
Aさんは何罪になる?~人身事故の場合
今回の交通事故でVさんが怪我をしていた場合、つまり人身事故であった場合、Aさんには自動車運転処罰法違反が成立することが考えられます。
渋滞中は低速度で運転をしていることが多いですから、渋滞中の交通事故で怪我をすることなどあるのか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、低速度での交通事故でも、捻挫やむち打ちになることもあり、人身事故となることも十分あり得ます。
ですから、「渋滞中の交通事故なのだから怪我はないだろう」と決めつけて軽く考えてしまうことはおすすめできません。
さて、今回のAさんのようなケースで人身事故を起こしてしまった場合、自動車運転処罰法という法律に定められている以下の犯罪が成立する可能性があります。
①過失運転致死傷罪
②準危険運転致死傷罪
③危険運転致死傷罪
①過失運転致死傷罪
過失運転致死傷罪は、過失=不注意によって人身事故を起こしてしまった場合に成立する犯罪で、自動車運転処罰法の5条に定められています。
過失運転致死傷罪の法定刑は、「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっており、相手の怪我が軽い場合には、その上場によって刑が免除することができるとされています。
過失運転致死傷罪の過失=不注意とは、「自動車の運転上必要な注意を怠」ったことを指します。
例えば、今回Aさんは帰省ラッシュの渋滞にいら立って、Vさんの車に対してパッシングをしたり距離を詰めるといったいわゆるあおり運転をしており、その結果交通事故を起こしてしまっています。
道路交通法には、自動車を運転する際に守るべき義務が多く定められていますが、例えばその26条では、車間距離の保持義務を定めています。
道路交通法26条
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
AさんはVさんのとの車間距離を詰めるあおり運転をしていますから、この義務に違反する=過失があると考えられます。
その結果交通事故を起こしVさんにけがをさせているのであれば、過失運転致傷罪が成立することが考えられるのです。
②準危険運転致死傷罪
準危険運転致死傷罪は、自動車運転処罰法の3条に規定のある犯罪です。
準危険運転致死傷罪は、後述する危険運転致死傷罪と一緒にされることもあります。
この罪は、アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがあるのに自動車の運転を行い、その後アルコール等の影響によって正常な運転が困難な状態に陥って人身事故を起こしてしまった場合に成立します。
この準危険運転致死傷罪は人に怪我をさせてしまった場合には「12年以下の懲役」、死亡させてしまった場合には「15年以下の懲役」の範囲内で処罰されます。
今回のAさんがもしも飲酒運転をしていたような場合には、その数値や酔っ払いの具合等によってはこの準危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。
③危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪は、自動車運転処罰法2条に定められている犯罪で、その1号から6号で定めている「危険運転行為」により人身事故を起こしてしまった場合に成立する犯罪です。
今回のAさんのようなあおり運転に関連する人身事故では、行っていたあおり運転が自動車運転処罰法2条4号の「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」であるかどうかによって危険運転致死傷罪が成立するか否かが判断されることが多いです。
これに当てはまるとされれば、Aさんには危険運転致傷罪が成立すると考えられます。
危険運転致死傷罪の法定刑は相手が怪我をしている場合には「15年以下の懲役」、死亡している場合には「1年以上の有期懲役」となっています。
同じ人身事故でも運転していた当時の状況によってこのように成立する犯罪は異なります。
自分が、家族がどういった犯罪の容疑をかけられているのか、どういった犯罪の容疑をかけられる可能性があるのかを知ることは、対策を立てていくためにも非常に大切です。
帰省ラッシュの渋滞中に交通事故を起こしてしまってお困りの際は、交通事故事件も多く扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
帰省ラッシュで渋滞中の交通事故①
帰省ラッシュで渋滞中の交通事故①
Aさんは、お盆休みの帰省のため、滋賀県近江八幡市内を通る道路で自動車を運転していました。
しかし、帰省ラッシュのために道路はずいぶん先まで渋滞しており、Aさんは1時間強の間、少し動いては停まるといったことを繰り返していました。
Aさんは渋滞にいら立ち、つい、Vさんの運転している前の車に対してパッシングや前後の距離を詰めることを繰り返してしまいました。
そしてその結果、Aさんの車はVさんの車にぶつかる交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは、Vさんが通報したことで駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に逮捕され、話を聞かれることになりました。
(※この事例はフィクションです。)
・帰省ラッシュの渋滞
8月が始まり、もうすぐお盆の時期になります。
お盆休みに自動車を運転して帰省したり旅行したりといった方も多いのではないでしょうか。
しかし、お盆の時期には帰省ラッシュによる渋滞も起こってしまいますし、慣れない長距離運転をする方もいらっしゃるでしょう。
こうした状況下では、思わぬ刑事事件が起こってしまうこともあります。
帰省ラッシュによる渋滞では、交通トラブルが起こるきっかけも交通事故が起こるきっかけも多いです。
少し古いデータではありますが、2015年の警察庁の統計では、8月8日から8月17日までの10日間の交通事故発生件数は1万3,335件、交通事故による死者数は106人、交通事故による負傷者数は1万7,353人となっています。
10日間でこれだけの交通事故が起き、死傷者が出ることに驚いた方も多いのではないでしょうか。
この全てが帰省ラッシュに関連した交通事故というわけではないでしょうが、それでも帰省ラッシュやその渋滞による影響はあると考えられます。
・交通事故は刑事事件になるのか?
そもそも、交通事故は犯罪となり刑事事件になるものなのでしょうか。
よく逮捕や書類送検などが報道されているのは、人を怪我させたり死なせてしまったりしたような交通事故が多いです。
このようないわゆる人身事故は、通称自動車運転処罰法という法律に違反することになるケースが多く、犯罪となります。
一方、物損事故の場合は、それだけでは犯罪とならず、刑事事件とならないことも多いです。
物損事故の場合、壊した物がなんだったのか、運転態様はどのようなものだったか、飲酒運転していなかったか、無免許運転ではなかったか、物損事故を起こした後に適切な行動を取ったか、といった部分によって、刑事事件となるものなのかどうかが決まります(なお、刑事罰を受けることはなくとも、免許の減点や取り消しといった行政罰は受ける可能性があることに注が必要です。)。
そのため、交通事故を起こしてしまった際には、人身事故であるのかどうか、物損事故だったとして当時の詳しい状況はどのようなものだったのかを把握し、判断する必要があります。
自分の起こしてしまった交通事故が犯罪となり刑事事件になるのか、刑事事件として捜査されてしまったとしてどういった犯罪にあたるのかということは、早めに弁護士に相談してみることが望ましいでしょう。
次回以降、Aさんにどういった犯罪が成立しうるのか検討していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、お盆休み中の刑事事件・交通事故のご相談も受け付けております。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は365日いつでも相談対応が可能ですから、お盆休みで相談できるところがない、急な刑事事件に困っている、という方も、安心してご相談いただけます。
まずは24時間いつでもお電話いただける、お問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

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未成年にかかわる性犯罪~強制性交等罪
未成年にかかわる性犯罪~強制性交等罪
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・強制性交等罪
前回までの記事では、未成年、特に18歳未満の者に関する性犯罪について、Aさんの①~③のケースに沿って取り上げてきました。
今回の記事では、④のケースの場合、どのような犯罪が成立するかを考えていきます。
④のケースでAさんに成立しうる犯罪としては、刑法上の強制性交等罪が考えられます。
強制性交等罪は、刑法改正の際に新設された犯罪で、もともとは「強姦罪」という名前でした。
刑法改正により、旧強姦罪は強制性交等罪となり、男女の性別関係なく被害者の対象となったり、性交だけでなく性交類似行為(口腔性交や肛門性交)も対象となったりしました。
ここで、「強姦罪と同じような内容だったら無理矢理性交等をすることで成立するのではないか」「Vさんは性交等に同意していたのだから、淫行や児童買春にあたったとしても、無理矢理性交等をする強制性交等罪には当たらないのではないか」と考える方がいらっしゃるかもしれません。
強制性交等罪の条文を確認してみましょう。
刑法177条(強制性交等罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
皆さんの思い浮かべる強制性交等罪のイメージとしては、この刑法177条の前段のイメージが強いでしょう。
しかし、今回の④のケースのような場合に問題となってくるのは、刑法177条の後段の条文の方です。
刑法177条の後段の条文では、「13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする」、つまり、13歳未満の者と性交等をした場合には、強制性交等罪とするということが定められています。
条文を見ていただければわかるように、13歳以上の者が被害者の時に強制性交等罪が成立するには性交等の際に「暴行又は脅迫」が用いられていることが必要とされますが、13歳未満の者が被害者となる場合、「暴行又は脅迫」は必要ありません。
すなわち、13歳未満の者と性交等をした段階で強制性交等罪となるのです。
そして、性交等の相手である13歳未満の者が性交等に同意していても強制性交等罪は成立します。
・Aさんは強制性交等罪になる?
今回のAさんの④のケースは、客観的に見れば、Aさんは実は12歳であったVさんと性交をしているわけですから、強制性交等罪が成立しそうです。
しかし、ここで問題となるのは、AさんがVさんの年齢についてどのように認識していたかです。
犯罪が成立するのには、原則として故意=犯罪であるという認識が必要です。
今回問題となっている強制性交等罪で言えば、「性交等の相手方が13歳未満である」という認識を持ちながら性交等をすることが必要とされます。
今回の④のケースの場合、Aさんは当初Vさんが16歳だと認識して性交をしています。
もしもここでVさんについて13歳未満かもしれないという認識なく性交していた場合には、故意がないため、強制性交等罪は成立しないとされる可能性が出てきます(ただし、16歳と思って性交していた場合でも、前回までの記事で取り上げた「淫行」や「児童買春」といった別の犯罪が成立すると考えられます。)。
強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役刑となっており、不起訴とならなければ(起訴されてしまえば)、必ず公開の法廷で裁判を受けることになります。
さらに、執行猶予をつけることができるのは、言い渡された刑が3年以下の場合に限られますから、強制性交等罪では執行猶予をつけることも難しいです。
被害者との示談等により、起訴される前に不起訴処分を獲得したり、情状酌量による刑の減軽によって執行猶予獲得を目指したりすることが考えられます。
いずれにせよ、早期から丁寧な準備を行わなければなりませんから、強制性交等事件でお困りの際は早めに弁護士に相談しましょう。
複数回にわたって未成年にかかわる性犯罪を取り上げてきましたが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ではこうした性犯罪事件でのお悩みも、刑事事件専門だからこそ安心してご相談いただけます。
まずはお問い合わせ用フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

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未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ②
未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ②
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・③のAさんに成立するのは?
前回の記事では、そもそも児童ポルノとはどういったものと定義されているのか、その児童ポルノをどうすることが犯罪となるのかを取り上げました。
今回は、事例の③の行為をしたAさんに成立する児童ポルノにかかわる犯罪を具体的に検討していきます。
まず、AさんはVさんとの性行為をスマートフォンで撮影し、録画しています。
Vさんは16歳ですから、児童買春・児童ポルノ禁止法の「児童」です。
その「児童」であるVさんとの性行為の様子を撮影・録画しているのですから、その動画・写真の内容は「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」(児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項1号)であるといえるでしょう。
ですから、Aさんの撮影した写真や動画は「児童ポルノ」となり、それを作り出したAさんは、「児童ポルノを製造した」ということができます。
これらのことから、Aさんには児童ポルノを製造したことによる児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立すると考えられます。
さらに、Aさんはその製造した児童ポルノを所持しているわけですから、児童ポルノの所持による児童買春・児童ポルノ禁止法違反も成立することが考えられます。
Aさんが児童ポルノを製造・所持した目的が自身の性的好奇心を満たすためのものであった場合、法定刑はそれぞれ、児童ポルノ製造が「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」(児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項)、児童ポルノ所持が「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)となります。
なお、AさんがもしもVさんとの性行為の後、製造・所持している児童ポルノを知人に渡したり、SNSやインターネット上にアップしたりしていた場合には、児童ポルノの提供や公然陳列といった別の児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立します。
そして、こうした行為があった場合には、児童ポルノの製造・所持の目的が自己使用目的ではなく、提供や陳列の目的だったのではないかと疑われる可能性もあるでしょう。
前回の記事で触れた通り、児童ポルノの製造や所持の目的が提供や公然陳列であった場合には、より重い刑罰に処されることになります。
そのため、もしも容疑をかけられている児童ポルノの使用目的が自身の認識しているものと異なる場合には、弁護士のアドバイスを随時聞きながら、慎重に取調べに臨むことをお勧めします。
・児童ポルノ事件の弁護活動
今回の③のケースのような場合には、児童ポルノの被害者である被害児童がどこの誰であるのか特定できるため、弁護士を通じて示談交渉に取り組むことも可能でしょう。
しかし、例えばどこかから児童ポルノをダウンロードして保存し、所持していたような児童ポルノ事件の場合、被害児童が誰か特定できず、謝罪もままならないということも考えられます。
こうした場合には、贖罪寄附や反省文の作成、再犯防止のための対策づくり等を通して寛大な処分を求めていくことが考えられます。
示談交渉ができないときの活動も含めて、刑事事件に強い弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、児童ポルノに関連した刑事事件のご相談・ご依頼も多くいただいています。
児童ポルノを含む性犯罪事件にお困りの際は、お気軽に弊所弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ①
未成年にかかわる性犯罪~児童ポルノ①
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・児童ポルノ
今回の記事では、Aさんが③の行為をしていたケースについて、どういった犯罪の成立が考えられるか検討していきます。
まず、Aさんは16歳であるVさんと性行為をしていることから、詳細な態様によって、「淫行」をしたという滋賀県の青少年健全育成条例違反か、「児童買春」をしたという児童買春・児童ポルノ禁止法違反の成立が考えられます(これらの区別については前回までの記事をご覧ください。)。
しかし、③のAさんは、さらに性行為の様子を録画しています。
このことから、Aさんには、児童ポルノに関する部分において、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が成立する可能性が出てきます。
前回までの「児童買春」の際に出てきた児童買春・児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)では、児童買春だけでなく、児童ポルノについての規制や処罰も定めています。
そもそも、児童ポルノとは、以下のように定義されています。
児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項
この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2号 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3号 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
大まかに言えば、児童相手の性行為の写真や動画、そのデータ(2条3項1号)、他人が児童相手に性器等を触ったり触らせたりしている写真や動画、そのデータ(2条3項2号)、衣服を全部または一部付けていない児童の胸や尻といった部分を強調・露出した写真や動画、そのデータ(2条3項3号)といったものが、「児童ポルノ」にあたりうるということになります。
そして、この児童ポルノについては、製造することはもちろん、所持することや児童ポルノを拡散することも禁止されています。
児童ポルノの単純所持:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)
児童ポルノの提供、提供目的所持・製造・輸入:3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条2項・3項)
児童ポルノの製造(盗撮によるものも含む):3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(児童買春・児童ポルノ禁止法7条4項・5項)
児童ポルノの公然陳列、不特定又は多数への提供:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併科(児童買春・児童ポルノ禁止法7条6項)
児童ポルノの公然陳列、不特定又は多数への提供目的の所持等:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併科(児童買春・児童ポルノ禁止法7条7項)
このように、児童ポルノの規制は種類も多く、同じ児童ポルノの所持や製造であっても、目的によって刑罰の重さが異なるなど、一見しただけではわかりづらい部分もあります。
児童ポルノ事件に関与してしまったとなれば、まずは自分がどの部分に違反するどういった罪に当たりうるのか、弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、児童ポルノ事件の弁護活動にあたります。
もちろん、まずは弁護士に相談してみたいという方も遠慮なくご相談いただけます。
ご予約・お問い合わせは0120-631-881からお気軽にどうぞ。

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刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
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未成年にかかわる性犯罪~児童買春②
未成年にかかわる性犯罪~児童買春②
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・児童買春事件で被疑者となってしまったら
今回のAさんの②のケースでは、Aさんは16歳=児童のVさんに、性交の対価として3万円を支払って性交しています。
性交の対価として3万円を支払っているのですから、当然「対価を供与」しているということになりますし、そのうえで性交しているのですから、Aさんは「児童買春」をしたことになるでしょう。
過去に取り上げた淫行同様、相手方である児童が同意していたり相手の児童から持ち掛けたりといった事情があったとしても、児童買春が成立しないということはありません。
ですから、②のケースでは、Aさんは児童買春をしたことによる児童買春・児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕され、捜査されているということになるでしょう。
児童買春の事実を認めているような場合には、こちらも淫行事件同様、被害児童への謝罪や弁償による示談交渉や、再犯防止の対策を講じることなどを通じて、寛大な処分を求めていくことが考えられます。
特に、児童買春事件の被害者である「児童」は18歳未満の者となります。
淫行事件の記事で触れたように、こちらも示談交渉をする際には「児童」の保護者と示談交渉をすることになるでしょうから、法律の専門知識があり、かつ第三者的立場から交渉ができる弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。
また、示談の際には、示談金の支払いだけではなく、お互いの合意のもと、他に条件をつけることができます。
例えば、今後一切被害児童と連絡を取らないようにするという条件であったり、事件現場付近には近づかないという条件であったりします。
刑事事件に精通している弁護士であれば、どのような条件を付けることでお互いの希望をかなえることができるのか、幅広い提案が可能です。
被害者側も加害者側も納得できる示談を目指すのであれば、弁護士に相談してみることがおすすめです。
一方、児童買春の事実を否認しているような場合には、逮捕直後から弁護士のフルサポートを受けることが望ましいでしょう。
例えば、児童の年齢を誤解して「児童」には当たらない年齢だと思っていた場合や性交の事実がなかった場合には、全くの冤罪ということになりますから、初期からそういったことを訴えていく必要が出てくるでしょう。
さらに、実際の事実は事例の①のようなケースで「淫行」の範囲内での事実があるだけであっても、「対償を供与」して性交等をしたのではないかと児童買春を疑われる、ということも十分考えられます。。
「淫行」による青少年健全育成条例違反は「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(滋賀県の場合)であるのに対し、「児童買春」は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となりますから、実際には「淫行」でしかないのに「児童買春」であるとされてしまえば、不当に重い刑罰を受けてしまうことになりかねません。
どちらの場合にせよ、特に容疑を否認している場合には、不本意な供述を避けるためにも取調べは逐一弁護士のサポート受けながら慎重かつ丁寧に対応していく必要があるでしょう。
児童買春の容疑を認めていても否認していても、弁護士のサポートを早期から受けることは重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕直後、取調べ直後から迅速なご相談が可能です。
0120-631-881では、24時間365日、専門スタッフが弊所弁護士によるサービスのご案内をしています。
とりあえず弁護士の話を聞いてみたいという方もお気軽にお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
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未成年にかかわる性犯罪~児童買春①
未成年にかかわる性犯罪~児童買春①
~前回からの流れ~
会社員であるAさんは、SNSで知り合った16歳の女子高生を名乗るVさんと仲良くなり、滋賀県甲賀市のホテルで会うことになりました。
Aさんは、
①Vさんに「エッチしようよ」等と言ってVさんの同意のもと性行為をしましたが、特にお金をあげたり物をあげたりすることはなく、Vさんも要求することはありませんでした。
②Vさんに性行為を求め、Vさんが「3万円ならいいよ」と言ったので、3万円を支払ってVさんと性行為をしました。
③Vさんと性行為をしましたが、その際、Vさんの同意のもと、性行為をしている様子をスマートフォンで録画していました。
④Vさんと同意のもと性行為をしましたが、その後、Vさんが12歳であったことが発覚しました。
その後、Vさんが滋賀県甲賀警察署に補導されたことでAさんとVさんの関係が露見し、Aさんは滋賀県甲賀警察署に逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・児童買春
前回までの記事で、事例のAさんが①の行為をした場合には、滋賀県の青少年健全育成条例に違反し、いわゆる淫行事件となるだろうことに触れ、淫行事件の被疑者となってしまったらどうすべきかを取り上げました。
今回の記事ではAさんが②の行為を取っていた場合、どのような犯罪にあたりうるか取り上げます。
②のケースであった場合、Aさんにはいわゆる「児童買春」の罪が成立すると考えられます。
児童買春は比較的一般にも周知されている犯罪であり、児童買春という言葉から大体どういった犯罪なのか予想が付く方も多いでしょう。
しかし、児童買春は、刑法で「児童買春罪」と定められているわけではなく、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(通称:児童買春・児童ポルノ禁止法)で禁止されており、児童買春をすると児童買春・児童ポルノ禁止法違反という犯罪が成立することになります。
では、具体的にどういった行為が児童買春となるのでしょうか。
条文をチェックしてみましょう。
児童買春・児童ポルノ禁止法2条
1項 この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。
2項 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
1号 児童
2号 児童に対する性交等の周旋をした者
3号 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
前回の記事で取り上げた青少年健全育成条例でも「青少年」は18歳未満の者であるとしていることが大半であるとしましたが、児童買春・児童ポルノ禁止法の対象となる「児童」も18歳未満の者とされていることがわかります。
そして、その「児童」本人や「児童」への性交等の周旋(仲介)をした者、「児童」の保護者等に対価を供与したり供与する約束をしたりして性交等をすることが「児童買春」とされています。
つまり、前回までの記事で取り上げていた「淫行」とは、「対償を供与」したかどうか、という点が大きく異なる部分となります。
ここで、「児童買春」という字面から、「児童本人にお金をあげて性交等をする」ことのみが「児童買春」であると想像する方も多いですが、条文を見ていただければお分かりいただけるように、「児童買春」が成立するのはそうした場合のみに限らないということに注意が必要です。
例えば、対価を供与する相手が児童本人でなくとも児童買春となりえます。
さらに、対価として供与されるものがお金そのものだけには限られず、何か物をあげる、食事をおごるといったことでも「対象を供与」したとされます。
そして、まだ対価を供与していなくとも、供与する約束をして児童と性交等をするだけでも児童買春となること等にも注意が必要です。
児童買春をして児童買春・児童ポルノ禁止法違反となった場合には、「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」の範囲で処罰される可能性が出てきます(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)。
0120-631-881では、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へのお問い合わせを24時間いつでも受け付けております。
事務所での初回無料法律相談も行っておりますので、児童買春事件に不安のある方は、遠慮なくご連絡ください。
次回の記事では、児童買春事件で被疑者となってしまったらどうすべきかについて触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
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