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電車内での痴漢事件…条例違反?強制わいせつ罪?

2021-12-29

電車内での痴漢事件…条例違反?強制わいせつ罪?

電車内での痴漢事件が条例違反なのか強制わいせつ罪なのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県草津市を通る電車内で、利用客の女性Vさんに対し、服の中に手を入れ、胸や陰部を触る痴漢行為をしました。
Aさんは、Vさんから何も言われなかったことをいいことに、翌日もVさんを電車で見かけると、Vさんに対して先日と同様の痴漢行為をしました。
すると、周囲を警戒していた滋賀県草津警察署の警察官が、Aさんの痴漢行為を現認し、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは、「電車内の痴漢は都道府県の迷惑条例違反」と聞いたことがありましたが、自分の逮捕容疑が強制わいせつ罪と聞いて驚いています。
Aさんの家族は、滋賀県草津警察署から、Aさんを逮捕したという連絡を受け、刑事事件に強い弁護士の初回接見サービスを利用することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・電車内痴漢事件と条例違反

痴漢事件は、今回の事例のように、電車内や商業施設、といった場所で起こることも多く、比較的身近な刑事事件であるといえます。
しかし、痴漢行為がどのような犯罪に当てはまるかという点については実際の刑事事件の詳細な事情を検討しなければならず、実は複雑な犯罪です。

よく言われているのは、「電車内や駅といった公共の場所で起こった痴漢事件は都道府県の迷惑防止条例違反となる」ということです。
今回の事例のAさんも、電車内の痴漢事件は迷惑防止条例違反になると聞いたことがあったようです。
これは、各都道府県で制定されているいわゆる迷惑防止条例が禁止している痴漢行為が、いわゆる「公共の場所」での痴漢行為に限定されていることが多いということが1つの要因だと考えられます。
実際に滋賀県の迷惑防止条例を見てみましょう。

滋賀県迷惑行為等防止条例3条
何人も、公共の場所または公共の乗物において、みだりに人を著しく羞恥させ、または人に不安もしくは嫌悪を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
1号 直接または衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から人の身体に触れること。

このように、滋賀県の迷惑防止条例では「公共の場所」「公共の乗物」で起きた痴漢行為の禁止を規定しています。
つまり、これらの場所以外で起きた痴漢行為については、迷惑防止条例の対象外となります。

しかし、今回のAさんは電車内=「公共の乗物」で痴漢行為をしています。
それでも迷惑防止条例違反とならない場合もあるのでしょうか。

・電車内痴漢事件と強制わいせつ罪

痴漢事件でよく問題となる犯罪としては、迷惑防止条例違反のほかに刑法上の強制わいせつ罪があります。
強制わいせつ罪は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」(刑法176条)と規定されている犯罪です。

痴漢事件と一口にいっても、その犯行態様は様々です。
服の上から身体を軽く触る痴漢行為から、服の中に手を入れて直接体を触る痴漢行為まで、すべて「痴漢事件」であるからです。
そうした場合、この犯行態様の違いによって、たとえ「公共の場所」で起こった痴漢事件でも迷惑防止条例違反とはならず、強制わいせつ罪となる場合があります。

強制わいせつ罪の「暴行」と「わいせつな行為」は、同じ行為でもよいとされています。
例えば、抱き着く行為などは、それ自体が「暴行」であり「わいせつな行為」であると考えられます。
こうしたことから、犯行態様が悪質な痴漢行為の場合は、強制わいせつ罪として検挙されることがあるのです。

・痴漢事件と弁護活動

痴漢事件は今回のVさんのような被害者が存在します。
ですから、弁護活動としてはまず被害者の方への謝罪や弁償が思いつかれることでしょう。
しかし、痴漢事件の場合、お互いがお互いの連絡先を知らないことがほとんどですから、被害者の方へ謝罪しようにも簡単に連絡を取ることはできません。
では警察などの捜査機関に聞いてみるとしても、被害者にとっては痴漢の加害者と直接連絡を取るということは抵抗の大きいことです。
こうしたことから、なかなか当事者だけで痴漢事件の示談交渉をすることは難しいといえるでしょう。
だからこそ、まずは弁護士に相談・依頼し、被害者対応を開始することが望ましいといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881で24時間いつでも専門スタッフがサービスをご案内いたします。
電車内での痴漢事件でお困りの際は、まずはお気軽にお電話ください。

保険金の水増し請求で詐欺罪に

2021-12-25

保険金の水増し請求で詐欺罪に

保険金の水増し請求で詐欺罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県大津市で整骨院を経営していました。
Aさんは、交通事故に遭って治療のためにやってきた患者Bさんと共謀して、Bさんの通院日数や治療内容を偽造し、保険会社に保険金を水増しして請求しました。
しかし、保険会社の調査が入り、AさんとBさんが共謀して保険金を水増し請求をしていたことが発覚。
保険会社は滋賀県大津北警察署に通報し、滋賀県草津警察署は捜査を開始しました。
その結果、AさんとBさんは、詐欺未遂罪の容疑で、滋賀県大津北警察署に逮捕されることとなりました。
(※この事例はフィクションです。)

・保険金の水増し請求で詐欺罪に

実際には行っていない治療や入院、通院を偽造して保険会社へ保険金を水増し請求し、水増しされた保険金を受け取れば、詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺事件というと最近ではオレオレ詐欺などに代表される振り込め詐欺が有名ですが、こうした水増し請求による詐欺事件も、詐欺事件の典型例です。

保険会社としては、請求された分の治療や入院・通院があることを基にして、その分の保険金を支払っています。
ですが、実はその治療等が存在しない水増し請求であったとなれば、保険会社から水増し分の保険金をだまし取っている=「人を欺いて」保険金を得ているので、詐欺罪が成立しうるということになります。

刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪にいう「人を欺く」行為とは、その財物を交付する際に交付の判断を左右するような重要な事実を偽ることであるとされています。

今回の事例のような保険金の水増し請求の事例では、保険会社がその保険金額を支払う根拠となる通院日数や入院日数、治療内容といった部分に嘘があるということになりますから、詐欺罪のいう「人を欺」くことに該当するのです。
そして、今回の事例では、保険金が支払われる前に保険会社が保険金の水増し請求に気づいていますが、こうした場合でも、水増し請求を行った時点で詐欺未遂罪が成立します。

保険金の水増し請求による詐欺事件では、今回の事例のように、客や整骨院・病院の従業員が一緒になって詐欺行為をする手口が取られやすいです。
すなわち、詐欺事件の事件関係者が複数人存在するということになるため、捜査機関や裁判所は、口裏合わせなどによって証拠隠滅されるのではないかと懸念することが予想されます。
こうしたことから、逮捕や勾留によって身体拘束されたうえで捜査されることも充分考えられます。

また、余罪があるのではないかと疑われることや、余罪が存在する場合は再逮捕が繰り返されて長期間の身体拘束となることも考えられます。
早めに弁護士に相談・依頼することで、このような事態にも迅速に対応してもらえることが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、保険金の水増し請求による詐欺事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
突然の逮捕にお困りの方、水増し請求による詐欺事件にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

集団暴走で高校生の子どもが逮捕されてしまった!

2021-12-22

集団暴走で高校生の子どもが逮捕されてしまった!

集団暴走で高校生の子どもが逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県高島市に住んでいる18歳の高校生です。
Aさんは、大晦日の夜に、友人のXさんら6人でバイク3台に分乗すると、滋賀県高島市内の道路を蛇行運転したり信号無視をしたりといった集団暴走をしました。
Aさんらがパトロール中の滋賀県高島警察署の警察官らの前でバイクを空ぶかしさせたり爆竹を鳴らしたりしたことから警察官らがAさんらを追跡。
最終的に、Aさんたちは滋賀県高島警察署集団暴走による道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの母親Bさんは、帰宅しないAさんを心配して滋賀県高島警察署に相談したところ、逮捕され留置されていることが判明しました。
警察官から、「本日から明日は会えないと思う。詳しいことも話せない」と伝えられたBさんは困ってしまい、少年事件に対応している弁護士に相談してみることにしました。
(※令和3年12月7日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・集団暴走で子どもが逮捕された!

今回の事例のAさんは、友人のXさんらと一緒に3台のバイクに乗り、一緒になって蛇行運転や信号無視をする集団暴走をしています。
こうした集団暴走行為は、交通事故を誘発する可能性のある、非常に危険な行為です。
そのため、集団暴走行為は「共同危険行為」として道路交通法によって禁止されています。

道路交通法第68条(共同危険行為)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

道路交通法第117条の3
第68条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

集団暴走という単語からは、暴走した人数や自動車・バイクなどの数が多くなければ犯罪にならないように思えますが、道路交通法にある通り、人数は「二人以上」、自動車・バイクなどの数は「二台以上」であればよいため、例えば2人が2台のバイクや自動車などに分乗して暴走行為をしても集団暴走、「共同危険行為」として道路交通法違反という犯罪になります。
道路交通法での「共同危険行為」とは、このように複数人が複数の自動車やバイクなどを連ねて又は並べて道路を運転する際、一緒に著しい道路上の危険や他人への迷惑を発生させることが該当の条件となっています。
今回のAさんらの集団暴走行為では、蛇行運転や信号無視といった行為が行われています。
先ほども触れたように、蛇行運転や信号無視は交通事故を引き起こし得る、非常に危険な行為であることに間違いありませんから、Aさんらは複数人・複数台で「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ」たと考えられるでしょう。
こうしたことから、Aさんらは集団暴走行為をしたことによる道路交通法違反(共同危険行為)と判断され、逮捕されたのでしょう。

さて、今回の事例のAさんは、滋賀県高島警察署逮捕されています。
集団暴走行為によって刑事事件・少年事件となった場合、逮捕によって身体拘束されてしまうケースも珍しくありません。
集団暴走行為は当然複数人で行われるものですから、事件関係者が複数人存在することになります。
そうなると、口裏合わせなどによって証拠隠滅されてしまうおそれがあるとして、逮捕によって身体拘束をした上で捜査を進めるという判断がされる場合が出てくるのです。

さらに、今回の事例のAさんのように、少年事件である場合には、捜査が終了した後も、更生のためには集団暴走行為をする環境から切り離すべきと判断される可能性もあります。
そういった場合、当事者が予想していたよりも長期間に渡って身体拘束が続いてしまい、身体的・精神的負担が大きくなってしまうことも心配されます。
弁護士などの専門家の力を借りることで、釈放を求めたり、逮捕などによる身体拘束中の負担を減らすべくサポートをしたりすることができます。
まずは弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、集団暴走によって子どもが逮捕されてしまったというお悩みにも迅速に対応できるよう、お問い合わせ用フリーダイヤルを設置しています。
まずはお気軽に問い合わせください。

覚醒剤所持事件で保釈請求を相談

2021-12-17

覚醒剤所持事件で保釈請求を相談

覚醒剤所持事件で保釈請求を相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市に住むAさんは、SNSを利用して、以前から興味を持っていた覚醒剤を入手しました。
そしてAさんは、自宅で覚醒剤を使用していたのですが、Aさんの挙動がおかしいことに気づいた近隣住民が滋賀県木之本警察署に相談。
そこから捜査が開始され、Aさんは覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは勾留され、覚醒剤取締法違反の容疑で起訴されることも決まりました。
Aさんの家族は、長らくAさんが身体拘束されている状況に不安を感じ、どうにかAさんの身体拘束を解くことはできないかと、保釈について弁護士に相談することにしました。
相談後、Aさんの家族は弁護活動を依頼することにし、弁護士はAさんに速やかに接見を行い、保釈請求をするための準備を始めました。
(※この事例はフィクションです。)

・保釈請求と刑事事件

保釈とは、起訴後、保釈保証金の納付を条件に、被告人の身体拘束を解く制度のことを言います。
保釈は起訴後に可能となる制度であるため、逮捕された段階であったり、逮捕に引き続いて行われる被疑者段階での勾留では、保釈の制度を利用することはできません。
ですから、保釈請求をしたいという場合には、今回のAさんのように起訴される段階になってようやく請求が可能になるということになります。

保釈の際に納付する保釈保証金とは、いわゆる保釈金のことです。
保釈金の額は、事件の内容や被告人の環境・資力などによって変動します。
多くの場合、150万円~300万円の間で設定されるケースが見られます。
保釈金は、保釈中に逃亡したり証拠隠滅をしたりしないようにするための担保とされるもので、それらの条件を破ってしまった場合に一部または全部没収されることになります。
もちろん、保釈中の約束事を守って過ごしていれば、最終的に保釈金は全額戻ってくるということになります。
こうしたことから、その人が没収されてしまったら困るという額が保釈金とされるのです。
ですから、例えば芸能人や政治家など、一般の人に比べて多くの資産を持っていると想定される人が被告人となっている場合には、「没収されてしまうと困る」という額にするために、先ほど挙げたような150万円~300万円といった額よりも高額な金額が設定される場合もあります。
そして、保釈金はあくまで担保としてのお金であるため、保釈金が払えれば保釈されるというわけではありませんし、保釈金を多く準備できればよいというわけでもありません。

では、保釈請求をして保釈許可をもらうためには、どういった準備が必要になってくるのでしょうか。
保釈が認められるためには、逃亡や証拠隠滅等のおそれがないと認められる必要があります。
保釈が認められる際の条件としても、裁判への出頭をすることや、事件関係者へ接触しないことなどが定められることが多いです。
ですから、例えば、家族などが身元引受人として被告人の行動を監督する環境を作ることで、被告人が逃亡・証拠隠滅といったことができないようにする、そういった環境にあることを家族から聴取し、まとめて証拠とするといった準備をした上で保釈請求をするといったことが考えられます。

保釈請求に回数は制限されていないため、1回保釈請求が却下されたとしても、もう1度保釈請求をすることができます。
そのため、たとえ1度保釈請求をして保釈が叶わなかったとしても、環境を改善させながら粘り強く請求をしていくことが重要です。
特に、Aさんのような覚醒剤取締法違反事件では、薬物自体が証拠隠滅しやすい物であることや、売買に関する事件関係者が多く予想されることなどから、逮捕・勾留による身体拘束をされやすく、さらに身体拘束を解くことが容易でない事件であることが多いです。
粘り強い保釈請求のためには、弁護士の刑事事件への知見や、ご本人・ご家族とのこまめなコンタクトが求められるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、覚醒剤取締法違反事件や保釈に関連したご相談をお受けしています。
まずはお気軽にご相談ください。

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に

2021-12-15

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に

怨恨からつきまとってストーカー規制法違反に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県長浜市にある会社Xに勤務しているAさんは、同僚のVさんに対して好意を抱いており、Vさんにアタックするようになりました。
しかし、VさんはAさんに対して断りを入れ、Aさんは振られた形となりました。
Aさんは、Vさんが自分の好意に対して応えてくれなかったことを恨み、Vさんに対してメッセージアプリでメッセージを連続して送ったり、Vさんが帰宅する後をつけたりするようになりました。
Vさんは、Aさんにつきまといをやめるよう伝えたのですが、Aさんは意に介さず、さらにしつこくメッセージの送信やつきまといをするようになりました。
Aさんの行為に恐怖を感じるようになったVさんは、滋賀県長浜警察署に相談。
その結果、Aさんは滋賀県長浜警察署ストーカー規制法違反の容疑で逮捕されることとなってしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・怨恨をきっかけにしたストーカー事件

ストーカーというと、被害者に好意を持った人が被害者につきまとうといった内容が思い浮かびやすいのではないでしょうか。
たしかに、ストーカー行為を規制しているストーカー規制法(正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)でも、ストーカー行為を定義する際、恋愛感情や好意による「つきまとい等」を繰り返すことであるとしています。

ストーカー規制法第2条第4項
この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう。

ストーカー規制法第2条第1項
この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
第2号 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
第3号 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
第4号 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
第5号 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
第6号 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
第7号 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法第2条第1項にもある通り、ストーカー行為につながる「つきまとい等」は、恋愛感情や好意に基づいたものである必要があることが定められています。
それに加えて、そういった恋愛感情や好意が「満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で行われる「つきまとい等」も、反復して行うことでストーカー行為となることが定められています。
つまり、単に被害者のことを好きだということでストーカー行為をすることだけでなく、例えば「振られた」ということによって逆恨みしてストーカー行為をするといった場合にも、ストーカー規制法違反となることになります。

・ストーカー規制法違反と逮捕

今回のAさんはストーカー規制法違反の容疑で逮捕されています。
ストーカー事件の場合、加害者側が被害者の連絡先や自宅を知っている場合が多く、加害者と被害者の接触を避けるなどのために逮捕や勾留によって身体拘束をした上で捜査されるというケースも少なくありません。

逮捕されてしまった場合、誰に相談することもできず取調べなどに対応することになりますから、不安や精神的負担が大きくなってしまうと予想されます。
逮捕直後から弁護士に相談し、逮捕された被疑者と面会しアドバイスをしてもらうことで、刑事手続きを知らないということによる不安を払拭することが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスなどを通じ、逮捕されてしまった被疑者へのサポートも迅速に行っています。
怨恨から発展したストーカー規制法違反事件にお困りの方、逮捕にお悩みの方は、お早めにご相談下さい。

パートタイマーでもインサイダー取引になる?

2021-12-11

パートタイマーでもインサイダー取引になる?

パートタイマーでもインサイダー取引になるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県米原市に本社を構えるV社で、清掃員のパートタイマーとして働いていました。
ある日、AさんがV社の社内を清掃していた最中に目についた資料から、V社が翌月に独自の技術を使った新製品を発表することを知りました。
Aさんは、新製品が発表されればV社の株価が値上がりするだろうと考え、新製品の発表前にV社の株式の買い付けを行いました。
そして、Aさんは、V社が新製品を発表した後に値上がりしたV社の株式を売却し、多額の利益を得ることになりました。
しかしその後、Aさんがインサイダー取引を行ったことが発覚。
Aさんは滋賀県米原警察署金商法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「ただのパートタイマーだったのにインサイダー取引になるのか」と疑問に思い、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・インサイダー取引とは?

インサイダー取引とは、会社関係者が上場会社等の業務等に関わる「重要事実」を、その職務に関して知りながら、その「重要事実」の公表前にその会社の株等の売買等を行うことを指します。
大まかには、会社関係者が株価に重大な影響を与えるような事実を公表前に知りながら株式の売買を行うことがインサイダー取引になるというイメージです。
インサイダー取引は、日本語で内部者取引とも呼ばれます。

・パートタイマーでもインサイダー取引に?

このインサイダー取引については、金商法(正式名称「金融商品取引法」)という法律で禁止されています。

金商法第166条第1項
次の各号に掲げる者(以下この条において「会社関係者」という。)であつて、上場会社等に係る業務等に関する重要事実(当該上場会社等の子会社に係る会社関係者(当該上場会社等に係る会社関係者に該当する者を除く。)については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、次項第5号から第8号までに規定するものに限る。以下同じ。)を当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け、合併若しくは分割による承継(合併又は分割により承継させ、又は承継することをいう。)又はデリバティブ取引(以下この条、第167条の2第1項、第175条の2第1項及び第197条の2第14号において「売買等」という。)をしてはならない。
当該上場会社等に係る業務等に関する重要事実を次の各号に定めるところにより知つた会社関係者であつて、当該各号に掲げる会社関係者でなくなつた後1年以内のものについても、同様とする。
第1号 当該上場会社等(当該上場会社等の親会社及び子会社並びに当該上場会社等が上場投資法人等である場合における当該上場会社等の資産運用会社及びその特定関係法人を含む。以下この項において同じ。)の役員(会計参与が法人であるときは、その社員)、代理人、使用人その他の従業者(以下この条及び次条において「役員等」という。) その者の職務に関し知つたとき。

金商法第166条第1項では、「会社関係者」が「上場会社等に係る業務等に関する重要事実」を知った場合、その「重要事実」が公表された後でなければ、該当する会社等の株式の売買等をしてはいけないとされています。
つまり、「会社関係者」が「重要事実」公表前に該当する会社等の株式を売買することがインサイダー取引となり、この金商法第166条第1項に違反する犯罪となるということです。

では、その対象となる「会社関係者」とはどういった人を指しているのか、「重要事実」を知るとはどういった状況を指しているのかというと、続く第1号~第5号に記載があります。
第1号では、「会社関係者」について、「当該上場会社等(中略)の役員(中略)、代理人、使用人その他の従業者」としています。
会社の「使用人その他従業者」となっていることから、この「会社関係者」の中には、会社のいわゆる正社員だけでなく、Aさんのようなパートタイマーやアルバイトの従業員も含まれていることが分かります。
さらに、その「使用人その他従業員」について、どのような業務についているのかといった制限もされていませんから、Aさんのような清掃員であっても「会社関係者」となり得ることが分かります。
インサイダー取引というと、会社の役員や上役など、会社の中心にいる人が関わる犯罪というイメージが強いかもしれませんが、Aさんのようなパートタイマーであってもインサイダー取引の対象となる可能性があるのです。

そして、金商法第166条第1項第1号では、こうした「使用人その他従業者」などの人が「その者の職務に関し」重要事実を「知ったとき」に、その「重要事実」公表前に当該会社等の株式の売買等をしてはいけないということを定めています。
例えば今回の事例のAさんは、自身の職務である、V社内の清掃中に、V社の新製品についての情報を知っています。
その後、AさんはV社の新製品についての情報が公表される前にV社の株式の売買をしていることから、Aさんには金商法第166条第1項第1号に違反するインサイダー取引の疑いがあるということになるのです。

金商法第166条第1項第1号に違反するインサイダー取引をしてしまった場合の刑罰は、以下のとおりです。

金商法第197条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第13号 第157条、(中略)又は第166条第1項若しくは第3項若しくは第167条第1項若しくは第3項の規定に違反した者

さらに、インサイダー取引で得た財産については没収されます。

金商法第198条の2第1項
次に掲げる財産は、没収する。
ただし、その取得の状況、損害賠償の履行の状況その他の事情に照らし、当該財産の全部又は一部を没収することが相当でないときは、これを没収しないことができる。
第1号 第197条第1項第5号若しくは第6号若しくは第2項又は第197条の2第13号の罪の犯罪行為により得た財産

インサイダー取引というと、日常生活とは関わりの薄い犯罪のように思えますが、実は誰でも関わり得る犯罪です。
そして、インサイダー取引による金商法違反は、上述の通り、とても重い刑罰が設定されています。
だからこそ、インサイダー取引事件の当事者となってしまった場合には、早期に弁護士に相談・依頼することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、事件の始まりから終わりまでフルサポートします。
インサイダー取引を含む刑事事件にお困りの際は、お早めに弊所弁護士までご相談下さい。

飲酒運転で刑事裁判に発展してしまったら

2021-12-04

飲酒運転で刑事裁判に発展してしまったら

飲酒運転で刑事裁判に発展してしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県彦根市に住んでいる会社員です。
Aさんは、通勤に自動車を利用していたのですが、ある日、会社帰りに居酒屋で飲食した際、飲酒していたにもかかわらず、「いつも通っている道なのだから大丈夫だろう」と自動車を運転して帰路につきました。
しかし、その道中、滋賀県彦根警察署の警察官が飲酒検問をしており、Aさんの飲酒運転が発覚しました。
Aさんは過去に飲酒運転で罰金となったことがありましたが、「事故を起こしたわけでもないのだから交通違反程度のことだろう。今回も罰金を支払って終わりだろう」と考えていました。
そのAさんの考えに反し、Aさんは取調べのために訪れた検察庁で、「起訴して刑事裁判になる」という話を聞きました。
驚いたAさんは、滋賀県の刑事事件に対応している弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・飲酒運転でも刑事裁判になる

多くの方がご存知の通り、飲酒運転は犯罪です。
道路交通法では、飲酒運転を「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に分けて禁止しています。

道路交通法第65条第1項(注:酒気帯び運転)
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

道路交通法第117条の2の2(注:酒気帯び運転の刑罰)
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

道路交通法第117条の2(注:酒酔い運転とその刑罰)
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

このうち、道路交通法第65条第1項のものが「酒気帯び運転」、道路交通法第117条の2第1号のものが「酒酔い運転」と言われる飲酒運転です。
酒気帯び運転は基準値以上のアルコールが検出された場合(呼気1リットルあたり0.15mg以上)に当てはまる飲酒運転であり、そのうち酒に酔っている程度が強いもの(例:千鳥足になっている、ろれつがまわっていないなど)は酒酔い運転となるイメージです。

飲酒運転と聞くと、単なる交通違反のイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、刑罰を見ると懲役刑なども設定されていることが分かります。

・飲酒運転は単なる交通違反ではない?

交通違反のうち、軽微な交通違反は反則金制度(交通反則通告制度)の対象とされています。
反則金制度とは、簡単に言えば、軽微な交通違反の場合に反則金を納めることで、刑事手続・少年保護手続を受けないようにするという制度で、反則金を納めれば、出頭する必要もなくなります。
こうした反則金制度もあってか、交通違反と刑事事件、刑事裁判が結びつきにくい方も多いでしょう。

しかし、この反則金制度は、全ての交通違反について適用されるというわけではありません。
今回の事例のAさんの飲酒運転も、反則金制度の対象外となる交通違反です。
そのため、飲酒運転をしてしまえば、反則金を納める納めないにかかわらず、刑事事件化してしまいます。
飲酒運転の他にも、無免許運転などが反則金制度の対象外となる交通違反として挙げられます。

先ほども触れたように、飲酒運転には懲役刑=刑務所へ行く刑罰も定められているため、繰り返してしまったり態様が悪質だったりすれば、起訴されて正式な刑事裁判となります。
刑事裁判には入念な準備をもって臨む必要がありますし、そうでなくても刑事事件には一般の方が把握できていない権利や手続き、注意点があります。
飲酒運転事件にお困りの際は、弁護士にお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転事件を含めた交通に関わる刑事事件も取り扱っています。
お気軽にご相談ください。

少年事件の試験観察とは?

2021-12-01

少年事件の試験観察とは?

少年事件試験観察とはどういったものなのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校1年生のAさんは、学校から自宅へ帰る道中に、別の高校に通う生徒と口論の末に喧嘩となり、相手の生徒を殴って骨折などの大けがを負わせてしまいました。
喧嘩を目撃していた通行人が滋賀県東近江警察署に通報したことで警察官が現場に駆け付け、Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、たびたびこうした暴行・傷害事件を起こしており、中学生の時にも逮捕され、保護観察処分となった経緯がありました。
そういった経緯から、今回は少年院送致となるかもしれないと聞いたAさんの両親は、少年事件に対応している弁護士に相談。
そこでAさんの両親は、少年事件には試験観察という制度があると聞き、弁護士に試験観察について詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年事件の終局処分

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、少年事件の手続や処分には、成人の刑事事件と異なるものが多くあります
未成年の者は可塑性が高い=矯正教育などをすることで更生できる可能性が高いとされているため、少年事件では少年の更生を重視した手続・処分が取られることとなっているのです。

少年事件では、基本的には家庭裁判所での調査を経た上で家庭裁判所で開かれる審判を受けることになります。
少年事件では全件送致主義という主義に基づいて、警察などの捜査機関での捜査が終わった事件については、基本的にすべての事件が家庭裁判所へ送られるためです。
こうして少年事件の専門家の調査を受け、審判によって処分が決められるのです。

家庭裁判所の審判で下される処分は、成人の刑事事件で処される刑罰とは異なり、あくまで少年の更生のための処分(保護処分)という扱いです。
ですから、例えば少年院送致のように、特定の施設に収容されるような処分であっても、その非行をしたことによる罰というわけではありません。
少年院送致も少年の更生のために行われる処分であり、少年院内では矯正教育やその後の自立のための職業訓練などが行われています。

・試験観察とは?

しかし、少年院送致が少年のための処分であったとしても、少年院に入っている間は社会から切り離されて生活することになります。
通っていた学校に通えなくなってしまったり、働いていた会社で働けなくなってしまったりというデメリットがあることもまた事実です。
一度社会から離れてしまうことによるデメリットを避けるために、少年院送致を回避したい、社会内で更生を目指したいと考える方ももちろんいらっしゃいます。

こうした少年事件においては、試験観察を目指すという付添人活動をおこなう場合があります。
試験観察とは、文字通り、試験的に観察する期間を設ける処分を指します。
試験観察は、審判の場で少年の処分をどういったものにするのかすぐに決められない場合に取られます。
試験観察となった場合、決められた期間を家庭裁判所の観察のもと過ごし、その期間中の少年の生活態度や様子などによって最終的な処分が決められることになります。
この試験観察期間は、少年の自宅で過ごす場合もあれば、民間の協力者や専門施設に指導を委ねてその指定された場所で過ごす場合(補導委託)もあります。

今回のAさんの事例では、Aさんは以前にも同じような傷害事件を起こして家庭裁判所から保護処分を受けているにも関わらず、Aさんは同様の少年事件を起こしているという状況です。
社会内での更生を目指す保護観察処分を経てもまた同じことを繰り返してしまっていますから、前回同様の処分だけでは公正に不十分と考えられ、少年院で矯正教育を受けながらの生活が必要と判断される可能性も十分あると考えられます。
ですから、まずは前回よりもより具体的な手段を示して、社会内での更生が可能であることや、そのためにAさん本人やその周囲の家族が具体的に行動し続けられることを示していく必要があると考えられます。
そのために、弁護士と共にAさんやその家族で更生のための環境づくりを行うと共に、その成果を家庭裁判所に示して判断をしてもらえるよう試験観察を目指していく活動が有効であると考えられるのです。

ただし、試験観察はあくまでその期間中試験的に少年やその周囲を観察し、その様子によって最終的な処分を決めるものです。
試験観察を目指すことを最終目的としてしまうのではなく、さらにその先も見据えながら、更生できる環境を整えることが重要です。
そのためには、少年事件の専門知識がある弁護士のサポートを受けることが効果的です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく少年事件の取り扱いも行っております。
滋賀県の少年事件にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

逮捕なしの少年事件と弁護士

2021-11-27

逮捕なしの少年事件と弁護士

逮捕なしの少年事件弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

中学3年生のAさんは、滋賀県守山市内に外出した際、市内の駅構内で、駅の利用客である女性Vさんのスカートの中を盗撮してしまいました。
駅員がAさんの盗撮行為を目撃して滋賀県守山警察署に通報したことで、Aさんは盗撮事件の被疑者として滋賀県守山警察署まで任意同行されました。
Aさんは警察署で取調べを受けた後、両親の迎えを受けて逮捕されることなく自宅へ帰されました。
Aさんの両親は、逮捕されずに帰宅を許されたことから、弁護士に相談するなどの対応はしなくてよいのではないかと思っていましたが、インターネットなどで調べたところ、逮捕されていない少年事件でも弁護士に相談した方がよいとの記事が出てきたため、どうしようか悩んでいます。
(※この事例はフィクションです。)

・逮捕なしの少年事件と弁護士

上記事例のAさんは、盗撮事件を起こしたことから滋賀県守山警察署に任意同行された後、逮捕されることなく帰宅を許されたようです。
多くの場合、逮捕されずに捜査が進むということになれば、何度か警察などに呼び出しを受けて取調べを受けるという流れをたどります。
こうした逮捕なしの刑事事件少年事件は、被疑者・被告人となった人が通常の生活を送りながら=家で暮らしながら刑事手続きが進められることから、在宅事件とも呼ばれます。

逮捕されずに手続きが進んでいく在宅事件の場合、取調べなどで呼び出されること以外に日常生活に大きな変化が見えないため、切迫性に欠ける印象を受けるかもしれません。
「重大な刑事事件少年事件を起こすと逮捕される」というイメージのせいで「逮捕されていないのであればたいしたことではない」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
ですから、Aさんの両親のように、逮捕されていないのであれば弁護士への相談等はいらないと考えられる方も少なくありません。
しかし、逮捕されていない在宅事件においても弁護士の役割は非常に大きいものとなります。

例えば、上記事例のAさんのような場合、成人の刑事事件とは異なる少年事件として手続きが進んでいくことになります。
少年事件の場合、たとえ捜査段階で逮捕されずに在宅事件として進められていたとしても、事件が家庭裁判所に送致された後、観護措置という措置が取られる可能性があります。
観護措置となれば、その少年は一定期間(平均的には4週間程度)、鑑別所に収容されることとなってしまいます。
そうなれば、学校へ行けなかったり、就業先に行けなかったりといった不都合が出てくることはもちろん、少年本人や家族にも負担がかかってしまうことになりかねません。

そして、家庭裁判所へ送致されるまでの取調べ等の手続きは、成人の刑事事件とほとんど同様の手続きによって行われます。
たとえ未成年でも、被疑者として1人で取調べに臨まなければならないのです。
未成熟な少年が、捜査官相手にきちんと主張したいことを貫けるかどうか、という問題も出てきます。
かけられている容疑が冤罪であった場合はもちろん、そうでなくとも目的や手段、実際にやったこと等を自分の認識通り話せるかどうかによって、処分にも大きな影響が出てしまう可能性があります。

また、上記事例の盗撮事件のように、被害者の存在する事件であれば、被害者の方への謝罪や賠償も考えられるでしょう。
特に盗撮事件においては、被害者の方は見ず知らずの方であることも多いです。
そうした中で謝罪や賠償を行っていくには、まずは被害者の方と連絡を取るために連絡先を教えてもらわなければなりませんが、通常、捜査機関は盗撮をした当事者に直接被害者の連絡先を教えることはしません。
盗撮された被害者としては、当然加害者側に対して処罰感情や恐怖を感じていることも多いためです。
そうすると、被害者に対して自分たちだけで謝罪や弁償をするということは難しくなってしまいます。

そして、少年事件の場合、終局処分は家庭裁判所が少年の更生にとって適切な処分を判断することで決まります。
少年の更生にとってよい環境を自分たちで作れているかどうかという点は、この判断の際に重視されることの1つです。
そのためには、少年の更生のためにどういったことが必要なのか、現在の環境からどこをどう変えるべきなのか適切に把握し、行動する必要があります。

このように、たとえ逮捕をされていなくとも、刑事事件少年事件の専門的知識が必要な活動は多く存在します。
特に、少年事件の場合は、前述のように家庭裁判所に事件が送致されてからも身体拘束のリスクがある上に、終局処分での判断が少年の更生に適切かどうかという点で考えられることから、逮捕されていないから軽く済むに決まっている、ということはありません。
滋賀県少年事件でお困りの際は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士まで、ご相談ください。
初回無料法律相談もございますので、逮捕なしの少年事件でまずは弁護士の話を聞いてみたいという方もお気軽にご利用いただけます。

ひったくりと事後強盗罪

2021-11-24

ひったくりと事後強盗罪

ひったくり事後強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、滋賀県草津市内の路上を自転車に乗って走行中、自転車の前かごにバッグを入れて歩いているVさんを見かけました。
Aさんは、「荷物を簡単に取れそうだ」と思い、Vさんの横を通り過ぎざまに、Vさんのバッグをひったくり、そのまま立ち去ろうとしました。
しかし、VさんはすぐにAさんを追いかけ、Aさんの服を掴んでバッグを取り返そうとしました。
Aさんは、バッグを取り返されまいと、追いすがるVさんを突き飛ばして転倒させ、Vさんを振り切るとそのまま逃走しました。
一部始終を目撃していた人が滋賀県草津警察署に通報したことで捜査が開始され、Aさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されました。
ひったくりのつもりが強盗罪という容疑で逮捕されたAさんは驚き、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・ひったくりが強盗罪となるケースは?

前回の記事では、一般にひったくり窃盗罪に問われるケースが多いものの、被害者の生命・身体に及ぼす危険の高い暴行によって財物を奪取したことが認められる場合になどには、強盗罪とされるケースもあるということを取り上げました。

そのようなケース以外にも、ひったくり強盗罪とされうるケースとして、今回の事例のようなケースが考えられます。
刑法では、事後強盗罪という犯罪を定めています。

刑法第238条(事後強盗罪)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は、大まかにいえば、通常の強盗罪とは成立の条件の順序が逆になっている強盗罪です。
通常の強盗罪は、暴行・脅迫を手段として財物を奪うという犯罪です。
対して事後強盗罪は、財物を取得した後に、その財物を取り返されることや逮捕の回避、罪跡を隠滅する目的で暴行・脅迫をした者に成立する犯罪です。
文字通り、事後的に暴行・脅迫した場合に成立する強盗罪ということになるでしょう。
事後強盗罪の暴行・脅迫も、強盗罪と同様に相手方の反抗を抑圧しする程度の強度が要求されます。

事後強盗罪の条文の主語が「窃盗が」となっていることからわかるように、事後強盗罪の主体は、窃盗犯人(未遂を含む)でなければなりません。

事後強盗罪が成立するためには、窃盗犯人が行った暴行・脅迫が、

①財物を得てこれを取り返されることを防ぐ目的
②逮捕を免れる目的
③罪跡を隠滅する目的

のいずれかの目的で行われなければなりません。

たとえ窃盗罪にあたるひったくりであっても、財物を奪った後に上記①~③の目的で暴行・脅迫を行った場合には事後強盗罪に問われる可能性があるということになります。
例えば、今回の事例のAさんの場合、Aさんは一度ひったくり窃盗罪にあたる行為をしてVさんのバッグを得ていますが、Vさんがバッグを取り返そうと追いすがってきたため、バッグを取り返されまいとしてAさんを突き飛ばすといった暴行を加えています。
これは①にあたる目的で暴行を加えたものと考えられますから、Aさんには事後強盗罪の容疑がかかったのでしょう。

ひったくりというと聞こえは軽いかもしれませんが、事情によっては強盗罪のような重大犯罪にも発展し得る犯罪行為です。
そこから強盗致傷罪や強盗致死罪に発展してしまえば、裁判員裁判の対象ともなるため、さらに複雑な刑事手続が予想されます。

強盗罪まで至らずとも、ひったくりの際に被害者に怪我をさせてしまったり暴行を加えてしまったりしたことで、傷害罪や暴行罪といった別の犯罪が成立するケースもあります。
単純な犯罪のように見えますが、たかがひったくりと考えず、早い段階から弁護士に相談しておきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ひったくりを含む刑事事件についてのご相談・ご依頼を受け付けています。
まずはお気軽にご相談下さい。

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