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宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件④

2020-01-06

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件④

宝くじ当たりくじ偽造詐欺有価証券偽造等事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、年末に抽選の行われる宝くじを購入しました。
そして当選番号の発表日、Aさんが当選番号を確認すると、自分の購入した外れの宝くじと3等の当たりくじの番号が1つだけ違っていました。
そこでAさんは、「当選番号をごまかせれば当たりくじということにして当選金をもらえるかもしれない」と思いつき、自分の持っている宝くじの番号部分を当選番号に書き換え、X銀行へ持っていくと当選金への換金を要求しました。
しかし、受け付けた銀行員が宝くじの番号部分が通常の宝くじと異なっていることに気づき、滋賀県彦根警察署に通報。
駆け付けた警察官により、Aさんは有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・牽連犯

ここで、前回までの記事で取り上げていた有価証券偽造罪もしくは有価証券変造罪、ここまで見てきた偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪詐欺未遂罪の関係について考えてみましょう。
Aさんは、先述したように外れの宝くじ当たりくじのように改ざんし、当たりくじであると思わせることで当選金を受け取ろうと考えていました。
ですから、有価証券偽造罪もしくは有価証券変造罪にあたる行為=外れの宝くじ当たりくじのように改ざんする行為は、偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪にあたる行為=改ざんした宝くじを銀行に当選金との交換で引き渡すために使用するための行為であるといえます。
さらに、偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪にあたる行為は、詐欺未遂罪にあたる行為=銀行に当たりくじだと偽って当選金をだまし取ろうとする行為のための行為であるといえます。

つまり、Aさんの事例では、有価証券偽造罪もしくは有価証券変造罪は、偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪を犯すための手段であり、偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪詐欺未遂罪を犯すための手段であるといえるのです。
このように、複数の犯罪にあたる行為をしたとき、それぞれが手段と目的の関係に立っていることがあります。
こうした場合、「牽連犯」という考え方によって下される刑罰の重さが決まります。
牽連犯については、刑法54条後段に規定があります。

刑法54条
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

今回のAさんの事例で考えると、それぞれの犯罪の法定刑は以下のようになります。

有価証券偽造罪もしくは有価証券変造罪:3月以上10年以下の懲役
偽造有価証券行使罪もしくは変造有価行使罪:3月以上10年以下の懲役
詐欺未遂罪:10年以下の懲役

これらを比較すると、「3月以上10年以下の懲役」が最も重い刑罰となるため、Aさんがこれらの犯罪で有罪となった場合には、この範囲で刑罰が決められるということになるでしょう。

宝くじ改ざんによる刑事事件では、このように複数の犯罪の絡む事態となりかねません。
複数の犯罪が成立する場合、それらがどのような関係にあるのか、どういった事情で起こったものなのか等を検討しなければ、見通しを立てたり対策したりすることも難しくなってしまいます。
その検討を一般の方だけで行うのは困難だと思いますので、複数の犯罪が成立する刑事事件に関わってしまった時にはすぐに弁護士に相談し、見通しを聞いてみることをおすすめいたします。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士による初回無料法律相談初回接見サービスのご予約・お申込みを受け付けております。
専門スタッフが丁寧に案内いたしますので、まずは遠慮なくお電話ください。

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件③

2020-01-04

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件③

宝くじ当たりくじ偽造詐欺有価証券偽造等事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、年末に抽選の行われる宝くじを購入しました。
そして当選番号の発表日、Aさんが当選番号を確認すると、自分の購入した外れの宝くじと3等の当たりくじの番号が1つだけ違っていました。
そこでAさんは、「当選番号をごまかせれば当たりくじということにして当選金をもらえるかもしれない」と思いつき、自分の持っている宝くじの番号部分を当選番号に書き換え、X銀行へ持っていくと当選金への換金を要求しました。
しかし、受け付けた銀行員が宝くじの番号部分が通常の宝くじと異なっていることに気づき、滋賀県彦根警察署に通報。
駆け付けた警察官により、Aさんは有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・偽造・変造した宝くじを使うと…

今回のAさんは、偽造もしくは変造した宝くじを換金しようと考えており、実際に銀行に当たりくじであるとして当選金と交換するよう要求しています。
これは、偽造もしくは変造した宝くじを使用していることになると考えられるため、Aさんには偽造有価証券行使罪もしくは変造有価証券行使罪が成立すると考えられます。

・偽造・変造した宝くじで当選金を要求すると…

さらに、Aさんはその改ざんした宝くじを利用して、いうなれば当選金をだまし取ろうと考えていたわけですから、この行為に詐欺罪が成立すると考えられます(ただし、今回の事例ではAさんのたくらみは途中で発覚してしまっており、当選金をだまし取るまではいかなかったので、詐欺未遂罪が成立することになります。)。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

刑法250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

詐欺罪のいう「人を欺いて」とは、財物を引き渡させる際にその物を引き渡すかどうか判断するための重要な事項を偽ることであるとされています。
すなわち、その事項が嘘であったなら相手は財物を引き渡さなかった、という事項を偽ることで詐欺罪の「人を欺」くことになるのです。
これを偽って相手をだまし、相手がその嘘を信じたことで財物を引き渡す判断を行い、財物を引き渡す(=「財物を交付させた」)ことで詐欺罪が成立します。

そして詐欺罪には刑法250条に未遂罪の規定がありますから、詐欺罪の実行に取り掛かっていたものの最終的に財物を引き渡させるまではいかなかった場合には、詐欺未遂罪が成立します。
一般に、詐欺罪の実行に取り掛かったといえるタイミングは、「人を欺」く行為を始めたタイミングであるとされています。

今回のAさんは、自分で改ざんした本当は外れくじである宝くじ当たりくじであると偽って銀行に当選金を要求しています。
当然、銀行としては当たりくじであるから当選金という財物を相手に渡すわけですから、本来外れの宝くじであるはずのくじであると分かっていれば当選金を相手に引き渡すことはしないでしょう。
ですから、Aさんの改ざんした宝くじ当たりくじであると偽って当選金を要求する行為は、詐欺罪の「人を欺」く行為であると考えられます。
しかし、Aさんのケースでは、銀行員が宝くじの改ざんに気づいたことから、当選金をだまし取ることなくAさんの逮捕に至っています。
このことから、Aさんには詐欺未遂罪が成立すると考えられるのです。

宝くじの改ざん行為だけでなく、その改ざんした宝くじを使用した行為や、宝くじを使用して当選金をだまし取ろうとした行為にも、それぞれ犯罪が成立してしまうことがわかっていただけたと思います。
刑事事件では、このようにそれぞれの犯罪のことをそれぞれ意図していなくても複数の犯罪が成立する場合もあります。
刑事事件の被疑者となってしまった、ご家族が何らかの刑事事件で逮捕されてしまった、という場合には、速やかに弁護士に相談し、どういった犯罪が成立しうるのか、どういった見通しになるのか相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では24時間いつでも弊所弁護士によるサービスのお問い合わせ・お申込みが可能ですから、まずはお気軽にご連絡ください。

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件②

2020-01-02

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件②

宝くじ当たりくじ偽造詐欺有価証券偽造等事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、年末に抽選の行われる宝くじを購入しました。
そして当選番号の発表日、Aさんが当選番号を確認すると、自分の購入した外れの宝くじと3等の当たりくじの番号が1つだけ違っていました。
そこでAさんは、「当選番号をごまかせれば当たりくじということにして当選金をもらえるかもしれない」と思いつき、自分の持っている宝くじの番号部分を当選番号に書き換え、X銀行へ持っていくと当選金への換金を要求しました。
しかし、受け付けた銀行員が宝くじの番号部分が通常の宝くじと異なっていることに気づき、滋賀県彦根警察署に通報。
駆け付けた警察官により、Aさんは有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・宝くじの「偽造」と「変造」

前回の記事では、Aさんの宝くじ改ざん行為が有価証券偽造等罪にあたる可能性があること、宝くじ有価証券偽造等罪の「有価証券」であることに触れました。

刑法162条1項(有価証券偽造等罪)
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。

今回の記事では、まず、有価証券偽造罪の「偽造」がどういった行為を指すのか確認しましょう。
一般に「偽造」という言葉は「偽物を作る」という意味合いでとらえられますが、有価証券偽造罪の「偽造」といえるためには、実は細かい条件があります。
有価証券偽造罪の「偽造」は、その有価証券を作成する権限のない者が他人の作成名義を無断で不正に使用し、正しい有価証券のような証券を作ることを指します。
また、「偽造」は外観上一般人に正しい有価証券であると信じさせる程度である必要があります。
ですから、一目見て偽物の有価証券であると分かるようなものを作っても、有価証券偽造罪の「偽造」をしたことにはなりません。
つまり、単に偽物を作ったからといって必ずしも有価証券偽造罪のいう「偽造」になるとは限らないのです。

さらに、有価証券偽造行為と同じく、刑法162条で禁止されている行為として、有価証券の「変造」行為が挙げられます。
「変造」とは、正しく成立している他人名義の有価証券に、権限がないにも関わらず変更を加えることを指します。
ただし、このうち、変更を加えたことでその有価証券の本質的部分に変動が生じ、その同一性が失われた時には「変造」ではなく「偽造」であると判断されます。
有価証券を「変造」した場合も、有価証券変造罪として有価証券偽造罪と同様に罰せられることになります。

今回のAさんの宝くじに関して考えてみましょう。
今回のAさんは、自分が購入した外れの宝くじの番号を変えることで、外れくじを当たりくじに見せかけています。
Aさんが番号を書き換えた宝くじ自体は、元々購入した宝くじですから、宝くじを販売している銀行が発行した物であり、名義もその銀行のものでしょう。
したがって、Aさんが書き換えた宝くじ自体は、正しく成立している他人名義の有価証券であるということになるでしょう。
ですから、Aさんはその正しく成立している他人名義の有価証券に、権限がないにもかかわらず番号の書き換えという変更を加えたことになります。

このことから、Aさんは少なくともAさんは宝くじ=有価証券の変造は行っているだろうと考えられます。
後はこの番号の書き換えによって外れくじを当たりくじとしたことが、宝くじの本質的部分に変動が生じてその同一性が失われたと判断されるかどうかによって、有価証券偽造罪となるか有価証券変造罪となるかが決まるということになるでしょう。
過去の裁判例では、8等の当たりくじを1等の当選番号に改ざんした行為は有価証券変造行為であると認められた事例も見られますが、今回のように外れくじを当たりくじに改ざんした場合どのような判断になるのかは、事例に即し、これまでの裁判例などを検討しながら考えることになるでしょう。

「偽造」や「変造」など、刑事事件では専門用語も多く使われています。
さらにその言葉について法律の条文に詳しく書いてあるわけではなく、それまでの裁判例等から解釈がされていますから、刑事事件については専門家である弁護士に相談することが望ましいといえるでしょう。
滋賀県刑事事件にお困りの際は、刑事事件専門弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件①

2019-12-31

宝くじの当たりくじ偽造で詐欺・有価証券偽造等事件①

宝くじ当たりくじ偽造詐欺有価証券偽造等事件となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県彦根市に住んでいるAさんは、年末に抽選の行われる宝くじを購入しました。
そして当選番号の発表日、Aさんが当選番号を確認すると、自分の購入した外れの宝くじと3等の当たりくじの番号が1つだけ違っていました。
そこでAさんは、「当選番号をごまかせれば当たりくじということにして当選金をもらえるかもしれない」と思いつき、自分の持っている宝くじの番号部分を当選番号に書き換え、X銀行へ持っていくと当選金への換金を要求しました。
しかし、受け付けた銀行員が宝くじの番号部分が通常の宝くじと異なっていることに気づき、滋賀県彦根警察署に通報。
駆け付けた警察官により、Aさんは有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)

・宝くじは「有価証券」

本日は大晦日です。
まさに年の瀬、年末といった時期ですが、この時期、高額当選を夢見て宝くじを購入したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の事例は、その宝くじに関わる刑事事件です。
Aさんの行為がそれぞれどういったことから有価証券偽造等・同行使罪詐欺未遂罪に問われることになるのか、詳しく見ていきましょう。

今回の事例のAさんは、自分の購入した宝くじ当たりくじの番号が近いことをいいことに、自分の購入した外れの宝くじの番号部分を書き換え、当たりくじのようにしています。
まず、この行為が刑法の有価証券偽造等罪となる可能性があります。

有価証券偽造等罪は刑法162条に規定されており、さらにその偽造された有価証券を使った場合には、刑法163条に規定されている偽造有価証券行使等罪が成立することになります。

刑法162条1項(有価証券偽造等罪)
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。

刑法163条1項(偽造有価証券行使等罪)
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。

まず、有価証券偽造等罪のいう「行使の目的で」とは、文字通りその偽造した有価証券を使う目的で、ということです。
つまり、使う目的なく有価証券を偽造したとしても、有価証券偽造等罪には当たらないということになります。
今回のAさんで考えれば、宝くじ当たりくじに見せかけて換金しようとしていますから、当たりくじのように改ざんした宝くじ当たりくじのように使用する目的があったということになるでしょう。

では、有価証券偽造等罪の客体である「有価証券」とはどういったものを指すのでしょうか。
条文上では、「公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券」とされていますが、「公債証書、官庁の証券、会社の株券」についてはあくまで「有価証券」の例示であり、これに当てはまらないからといって「有価証券」ではないということではありません。
その他の有価証券」については法律で具体的に決められているわけではなく、解釈にゆだねられています。
過去の判例では、「有価証券」は「財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするものでなければならない」と解釈されています(最判昭和32.7.25)。

ここで、宝くじ有価証券偽造等罪のいう「有価証券」にあたるのかどうか考えてみましょう。
宝くじは、当たっていれば当選金を受け取ることができ、宝くじにはその旨が記載されています。
当選金を受け取れる(請求できる)権利は「財産上の権利」ですから、宝くじには「財産上の権利が証券に表示され」ていることになります。
そして、宝くじの当選金を受け取る権利の行使をするためには、その宝くじを自分が支配・管理=占有していなければいけません。
つまり、宝くじは「財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につきその証券の占有を必要とするもの」であるといえることから、有価証券偽造等罪のいう「有価証券」にあたると考えられるのです。
過去の判例でも、宝くじ有価証券偽造等罪の「有価証券」にあたると解されています(最決昭和33.1.16)。
「有価証券」という言葉と宝くじはなかなか結び付きにくいところですが、このように「有価証券」にあたると考えられているのです。

このように、刑事事件では、法律に決められている言葉に実際の物が該当するのかどうか判断するにも、知識や経験が要求されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件・少年事件専門弁護士です。
複雑な犯罪や刑事事件にお困りの際にも、刑事事件少年事件専門の弁護士だからこそ安心してご相談いただけます。
まずはお気軽にご相談ください。

被害者をだましたのに窃盗事件?③

2019-12-29

被害者をだましたのに窃盗事件?③

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースで、特に家庭裁判所に進んでからの釈放を求める活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年の窃盗・詐欺事件で釈放を求める~家裁に進んでから

捜査が終了した少年事件は、原則としてすべての少年事件が家庭裁判所へ送られます。
逮捕・勾留による身体拘束を受けている少年は、身体拘束されたまま家庭裁判所に事件とともに送られることになります。
そしてその後、観護措置という手続きを取るかどうか家庭裁判所が判断し、観護措置を取るべきであると判断された場合にはさらに引き続いて身体拘束を受けることになります。

観護措置は、少年鑑別所に少年を収容したうえで少年の資質や環境などを専門家が調べるという少年事件特有の手続きです。
この観護措置は、事件が家庭裁判所に送致されてからとられる手続きであり、成人の刑事事件には存在しない手続きです。
逮捕・勾留を伴う少年事件では、家庭裁判所に送致されそのまま観護措置が取られるということも多いです。

今回のAさんの場合、知人たちと一緒になって詐欺まがいの窃盗事件を起こしてしまっていることから、Aさんの素行や環境に問題がなかったか調査する必要性があると判断されることも考えられます。
観護措置は通常4週間程度とられることか多く、最大で8週間も少年鑑別所に入ることになる可能性もあります。
先述したように、少年事件の原因や対策に必要な調査をする手続きであるため、少年にとって全くマイナスな手続きであるわけではありませんが、それでも4週間身体拘束されるとなれば学校や就業先に大きな影響を及ぼしてしまいます。

こうした身体拘束からの釈放を目指す活動が、弁護士のできる活動の1つでしょう。
少年本人とそのご家族が、刑事事件少年事件の専門家である弁護士と協力することによって、釈放の可能性を上げることができます。
もちろん、釈放を求める活動が必ず功を奏すとは限りません。
前回の記事で触れたように、詐欺まがいの窃盗事件は共犯がいたり計画性があったりすることから、なかなか釈放が難しい事件です。
そうであったとしても、釈放を求めていくと同時に、釈放されなかったとしても取調べや調査に不本意な対応をしてしまわないよう、最終的にその少年に適切な処分を獲得できるよう、随時アドバイスを受けることは大切ですから、弁護士への相談・依頼は重要なことであるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士が、逮捕・勾留を伴う少年事件のご相談・ご依頼にも対応しています。
子どもが窃盗事件・詐欺事件に関わってしまった、逮捕されたと聞いたがどうしたらいいのか分からない、という場合にもすぐにお問い合わせいただけます(0120-631-881)。
まずはお気軽にお電話ください。

被害者をだましたのに窃盗事件?②

2019-12-27

被害者をだましたのに窃盗事件?②

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースで、特に捜査段階の釈放を求める活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・少年の窃盗・詐欺事件で釈放を求める~捜査段階

今回のAさんが関わってしまったような詐欺まがいの窃盗事件や類似の詐欺事件では、Aさんのような学生がアルバイト感覚で関わってしまうケースも少なくありません。
冬休みや夏休みといった長期休暇でアルバイトに誘われ、軽い気持ちで関わってしまう少年もいます。
こうした窃盗事件・詐欺事件は組織的に行われていることも多く、逮捕されやすい被害者へ直接かかわる役割を学生のアルバイトに任せ、いわゆるとかげの尻尾切りのように利用している犯罪組織もあります。
こうしたアルバイトに関わらないことはもちろんですが、もしも関わってしまったら、弁護士にどのような活動をしてもらうことが考えられるのでしょうか。

まず、今回のAさんは逮捕されて滋賀県東近江警察署に留置されています。
少年事件の手続きが成人の刑事事件と異なると聞いたことのある方も多いかもしれませんが、捜査機関に捜査されるいわゆる被疑者の段階では、少年事件であっても成人の刑事事件と手続きが異なる点は多くありません。
少年事件であっても、逮捕されれば逮捕から48時間以内に釈放されるか検察官のもとへ送られるかが決められ、検察官へと送られる場合(いわゆる「送検」)には、そこからさらに24時間以内に勾留という逮捕より長期間の身体拘束をするよう請求するかどうかが決められます。
そして勾留を請求された場合、裁判所がその請求を認めれば、最大72時間に及ぶ逮捕から引き続いて、勾留というさらに長い期間の身体拘束がなされることになるのです。
勾留は、原則最大10日間であり、さらにそこから最大10日間の延長が認められています。
つまり、逮捕を伴う少年事件では、捜査段階において、逮捕から合わせると最大で23日間身体拘束される可能性があるということになります。

例えば、今回のAさんは、複数人で詐欺まがいの窃盗事件を起こしています。
前述したように、こうした手口の詐欺事件や窃盗事件では、役割分担が行われ、組織的に犯行が行われていることが多いです。
ニュース番組などでも「詐欺グループが逮捕された」というような報道が多くなされています。
このように複数人が関わる犯罪、いわゆる共犯者のいる犯罪では、仲間内での口裏合わせなどで証拠隠滅されるおそれがあると考えられて逮捕・勾留される可能性が高く、なかなか釈放されないケースが多いです。
さらに、複数件の詐欺事件や窃盗事件に関わっている場合には、理論上関わっている詐欺事件・窃盗事件の数だけ逮捕・勾留される可能性がありますから、被疑者として取調べられる捜査段階だけでも長期に渡る身体拘束を受ける可能性が高まってしまうのです。

捜査段階で釈放を求めていくためには、先ほど挙げた勾留までの流れの中で、勾留を求めるかどうか判断する検察官や勾留請求を認めるかどうか判断する裁判官に対し、釈放を主張していくことが考えられます。
しかし、読んでいただければわかるように、逮捕されてから勾留が決定されるまでは、最大でも72時間しか時間がありません。
事件の状況などにもよりますが、最大72時間とされているだけで、手続きの進行が早ければ、2日程度で逮捕から勾留までが決まってしまうこともあります。
勾留が決定してからでも不服申し立てをすることはできますが、この不服申し立ても1回の勾留につき1回しかできません。
釈放を求める機会を少しでも多く確保するためには、逮捕から早い段階で弁護士に釈放を求める活動をしてもらうことが重要です。

通常の成人の刑事事件であれば、この最大23日間の身体拘束ののち、起訴・不起訴が判断され、起訴されて勾留が続く場合には保釈という手続きを取ることができます。
しかし、少年事件の場合、ここから成人の刑事事件とは異なる手続きが入ってきます。
それが「観護措置」という手続きです。
こちらについては、次回の記事で取り上げます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕後から迅速に弁護士へご相談いただけるよう、初回接見サービスのお申込みを24時間いつでも行っています(0120-631-881)。
詐欺事件や窃盗事件でお子さんが逮捕されてしまった、子どもの逮捕の連絡に不安を感じている、という場合には、遠慮なくお早めにお問い合わせください。

被害者をだましたのに窃盗事件?①

2019-12-25

被害者をだましたのに窃盗事件?①

被害者をだましたのに窃盗事件として検挙されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

滋賀県東近江市に住んでいる高校生のAくん(17歳)は、高校が冬休みに入ることから、冬休みに稼げるアルバイトはないかとアルバイトを探していました。
すると高校の先輩であるBさんから、「簡単に稼げるアルバイトがある」と伝えられ、Bさんの伝手でそのアルバイトをすることになりました。
Aさんがそのアルバイトの詳細を聞いたところ、お年寄りの家に行って銀行員を装い、キャッシュカードと暗証番号を封筒に入れさせたうえでその封筒と自分の用意した偽物の封筒を隙を見てすり替え、すり替えたキャッシュカードと暗証番号を使用して金を引き出すというものでした。
Aさんは、「よくニュースで見る犯罪だ」と思ったものの、「冬休みの短い間だけで何十回もやるわけではないからばれないだろう」と考え、そのアルバイトをすることにしました。
しかしアルバイトをしてから数日後、滋賀県東近江警察署の警察官がAさん宅を訪れ、Aさんは窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、警察官から「窃盗罪の容疑で息子さんを逮捕します」としか聞かせてもらえず、困って弁護士に相談しました。
その後、弁護士から事件のあらましを聞いたAさんの両親は、「被害者の方をだましているのに窃盗罪なのはどうしてなのか」と疑問に重い、弁護士に詳しい説明を聞くことにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・被害者をだましたのに窃盗罪?

オレオレ詐欺や振り込め詐欺などのいわゆる特殊詐欺事件だけでなく、いわゆるキャッシュカード手交型詐欺と呼ばれるような、銀行員や警察官等を装って暗証番号を聞き出したうえでキャッシュカードを騙し取る詐欺事件も多く発生しています。
こうした詐欺事件をニュースや特集番組などで見かけた、という方も少なくないでしょう。
このようなキャッシュカードに関連する犯罪で昨今見かけるようになってきた手口として、今回のAさんが関わってしまった窃盗事件のようなケースが見られます。

Aさんの関わってしまった窃盗事件では、銀行員を装って被害者から暗証番号を聞き出し、さらにキャッシュカードを入れさせた封筒と偽物の封筒をすり替え、本物のキャッシュカードを持ち去ってしまうという手口が用いられています。
こうした手口を用いた犯罪は、キャッシュカードすり替え詐欺などと呼ばれることもあるようですが、事例の中でも紹介した通り、実はこの手口に成立するのは詐欺罪ではなく窃盗罪です。
事例の中でAさんの両親も不思議に思っている通り、被害者をだましてキャッシュカードを持ち去っているにもかかわらず、なぜ詐欺罪ではなく窃盗罪が成立するのでしょうか。

まずは、詐欺罪と窃盗罪の条文を確認してみましょう。

刑法235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法246条(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

窃盗罪が成立するには、「他人の財物を窃取」することが必要です。
「他人の財物を窃取」するとは、簡単に言えば「持ち主の意思に反してその物を自分の物としてしまうこと」を指します。
よく窃盗罪で検挙される万引きを例に考えると、お店の物である商品を会計をせずに自分の物としてしまう=お店は未会計の商品を渡すつもりはないはずなので、お店の意思に反して自分の物にしてしまっているということから窃盗罪の成立が考えられることになります。

対して、詐欺罪が成立するには、「人を欺いて財物を交付させ」なければいけません。
簡単に言えば、詐欺罪であるといえるためには、「相手をだまし、そのだましたことによって相手に物を引き渡させる」ことが必要なのです。
つまり、詐欺罪の場合、相手がだまされ、だまされたことによる相手自身の判断に基づいて相手が物を渡してくるということになるのです。
オレオレ詐欺で考えてみると、嘘を信じたことによって被害者自身がお金や物を渡す判断をしてしまい、被害者自身がお金や物を渡してしまうという流れになっていることが分かります。

これらを踏まえてAさんの事例をもう一度考えてみましょう。
Aさんらは、たしかに被害者のお年寄りに、銀行員を装う等して嘘をついてだましています。
しかし、お年寄りはだまされたことでキャッシュカードを渡しているのではなく、Aさんらがキャッシュカードをすり替えて持ち去っています。
すなわち、Aさんらはお年寄りをだましてお年寄り自身にキャッシュカードを渡す判断をさせているわけではなく、キャッシュカードをすり替えることによって持ち去っている=キャッシュカードの持ち主のお年寄りの意思に基づかずにキャッシュカードを手に入れているということになります。
こうしたこことから、Aさんらが被害者をだましていることに間違いはないのですが、成立する犯罪は窃盗罪であるということになるのです。

今回のAさんは少年であるため原則として刑罰を受けることはありませんが、成人の刑事事件であった場合には刑罰の重さの違い等も考えながら弁護活動を進めていく必要があります。
キャッシュカードすり替えによる窃盗事件や類似の詐欺事件にお困りの際は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士までご相談ください。
まずは初回無料法律相談や初回接見サービスからご案内いたします。

年末年始の営業に関するお知らせ

2019-12-23

年末年始の営業に関するお知らせ

刑事事件少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の年末年始の営業についてお知らせいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大晦日や元日、三が日を含む以下の日にちにつきましても、通常通り営業を行っております。

2019年(令和元年)12月28日(土)
2019年(令和元年)12月29日(日)
2019年(令和元年)12月30日(月)
2019年(令和元年)12月31日(火)※大晦日
2020年(令和2年)1月1日(水・祝)※元日
2020年(令和2年)1月2日(木)
2020年(令和2年)1月3日(金)
2020年(令和2年)1月4日(土)
2020年(令和2年)1月5日(日)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、365日営業を行っており、年末年始も弁護士による初回無料法律相談初回接見サービスをご利用いただけます。
弁護士によるサービスのお問い合わせ・お申し込み・ご予約は、24時間いつでも0120-631-881で受け付けております。
お気軽にお電話くださいませ。

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故②

2019-12-21

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故②

忘年会帰りの飲酒運転人身事故を起こしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ケース

滋賀県近江八幡市にある勤務先まで自動車で通勤しているAさんは、会社近くで開かれた忘年会でお酒を飲んだにも関わらず、自ら自動車を運転して帰路に着きました。
その後、Aさんは、滋賀県近江八幡市の自宅近くの交差点でVさんの自動車と接触事故を起こし、Vさんに怪我を負わせてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に道路交通法違反(酒気帯び運転)及び自動車運転過失致傷罪の容疑で現行犯逮捕され、そのまま滋賀県近江八幡警察署へ連行されました。
(事例はフィクションです。)

~飲酒運転による人身事故~

前回の記事で紹介した道路交通法は飲酒運転行為そのものに対しての処罰規定ですが、飲酒運転事故を起こした結果人を死傷させた場合は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」と言います。)に違反することになります。

自動車運転致死傷行為処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

飲酒運転による人身事故の中でも悪質なケースは以下の危険運転致死傷罪にあたります。

自動車運転致死傷行為処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

「正常な運転が困難な状態」とは、交通状況に応じた道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることをいいます。
例えば、アルコールによる酔いのために、前方をしっかり見て運転することが難しい状態や、適切にハンドルやアクセル・ブレーキなどを操作することが難しい状態が、これに該当します。

自動車運転致死傷行為処罰法第3条第1項
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。

通常、道路交通法上の酒気帯び運転(第117条の2の2第3号)に該当する程度のアルコール濃度であれば、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」と判断される可能性が出てきます。

2条違反で処罰をするには「正常な運転が困難な状態」があったことの立証が必要ですが、3条施行前はかかる立証が出来なかった場合、過失運転致死傷罪しか認められない事例が多くありました。
そこで新たに制定・施行された3条は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」があれば良いので、飲酒運転による人身事故においてその危険性や悪質性に応じた処罰が下されるようになりました。

そして、過失運転致死傷罪・危険運転致死傷罪が成立する場合、上述した飲酒運転そのものを処罰する道路交通法違反は吸収されることとなります。

~飲酒運転による人身事故と弁護活動~

Aさんのようなケースで弁護活動を依頼された弁護士としては、まずは逮捕されている被疑者の身柄解放を目指すことになるでしょう。
検察官の勾留請求が認められた場合、最初の逮捕を含めて最大23日間拘束されることとなります。
長期間の拘束が続いてしまうと、会社にも今まで通り勤務することは難しくなってしまいます。
ですから、まずは身体拘束からの解放を目指すことが考えられるのです。

また、飲酒運転の再発防止に向けた取り組みを被疑者本人やその家族と一緒に行いそれを主張していくことや、被害者やその遺族の方への謝罪や賠償を進めることも考えられます。
こうした取り組みを行うにも、一度専門家である弁護士のアドバイスを受けることがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転運転事件人身事故事件の経験豊富な弁護士による初回無料法律相談を行っています。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これらのサービスのお申込受付を24時間365日いつでも行っています(0120-631-881)。
ですから、忘年会帰りの夜遅い時間に逮捕されてしまった、忘年会の行われる年の瀬で相談できる弁護士がなかなか見つからない、といった場合にも遠慮なくご相談いただけます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故①

2019-12-19

忘年会帰りの飲酒運転で人身事故①

忘年会帰りの飲酒運転人身事故を起こしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ケース

滋賀県近江八幡市にある勤務先まで自動車で通勤しているAさんは、会社近くで開かれた忘年会でお酒を飲んだにも関わらず、自ら自動車を運転して帰路に着きました。
その後、Aさんは、滋賀県近江八幡市の自宅近くの交差点でVさんの自動車と接触事故を起こし、Vさんに怪我を負わせてしまいました。
Aさんは通報で駆け付けた滋賀県近江八幡警察署の警察官に道路交通法違反(酒気帯び運転)及び自動車運転過失致傷罪の容疑で現行犯逮捕され、そのまま滋賀県近江八幡警察署へ連行されました。
(事例はフィクションです。)

~忘年会帰りで飲酒運転~

忘年会シーズンにもなり、忘年会に参加し飲酒をする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
そういった忘年会への参加や飲酒自体は全く問題のないことですが、飲酒をした忘年会に自動車を運転してしまえば、それは飲酒運転となってしまいます。
飲酒運転は、血中又は呼気中のアルコール濃度の高さや運転者の状態などによって、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区別されます。

第一に、道路交通法第65条第1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等の運転をしてはならない。」としています。
端的に言えば、1杯でもお酒を飲んだら自動車を運転してはいけないということです。
もっとも、このうち実際に罰せられるのは以下の場合になります。

〇酒気帯び運転
(※)身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつた」場合に、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第117条の2の2第3号)。
※血液1ミリリットル中のアルコール濃度が0.3ミリグラム以上、又は呼気(吐いた息)1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上検出された状態です。

〇酒酔い運転
酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)」にあった場合に、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処されます(道路交通法第117条の2第1号)。
酒気帯び運転とは異なり、酒酔い運転には血液中又は呼気中のアルコール濃度の規定はありません。
したがって、現場の捜査機関の判断に委ねられていることになります。
実際は、運転状況や運転者の様子を客観的に分析した結果、蛇行運転をしていた・まっすぐに歩くことができない・呂律が回らない等の状況があれば、正常な運転ができない状態であると判断されます。

こうした道路交通法の規定により、飲酒運転をした人は道路交通法違反として処罰されることになります。
しかし、飲酒運転した本人だけでなく、飲酒運転と分かっていながら運転を依頼し同乗した人やお酒を提供した人も道路交通法違反で処罰される可能性があることに注意が必要です。

道路交通法第65条
第2項 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
第3項 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
第4項 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

道路交通法第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第2号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第2項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)

道路交通法第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第5項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が酒に酔つた状態で車両等を運転した場合に限る。)
第6項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第四項の規定に違反した者(その者が当該同乗した車両の運転者が酒に酔つた状態にあることを知りながら同項の規定に違反した場合であつて、当該運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転したときに限る。)

道路交通法117の3の2
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第3項の規定に違反して酒類を提供した者(当該違反により当該酒類の提供を受けた者が身体に第117条の2の2第3号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く。)を運転した場合に限るものとし、同条第5号に該当する場合を除く。)
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第4項の規定に違反した者(当該同乗した車両(軽車両を除く。以下この号において同じ。)の運転者が酒に酔つた状態で当該車両を運転し、又は身体に第117条の2の2第3号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で当該車両を運転した場合に限るものとし、同条第6号に該当する場合を除く。)

飲酒運転事件では、飲酒運転した本人も飲酒運転に関わった人も、刑事事件の被疑者として刑事事件に関わることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした飲酒運転事件についてのご相談も承っています。
刑事事件の流れを弁護士から詳しく聞くだけでも、不安を減少させることができます。
まずはお気軽にご相談ください。

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