Author Archive
体罰による児童虐待
体罰による児童虐待
滋賀県長浜市に住むAさんには小学校に通う6歳の息子さんがいます。
ある日,いうことをきかなかった息子さんに対し,Aさんは手を上げて叱りました。
翌日,息子さんが学校で殴られたことを話したことから虐待を疑った先生が児童相談所へ相談し,Aさんは児童相談所から事情を聞かれることになりました。
躾のつもりで手を上げたことが虐待に当たり,滋賀県木之本警察署に通報されるのではと不安になったAさんは,弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
【躾と虐待】
親などの親権者やその他監護権者が監護する子供の健全な育成のために指導を施すのは当然のことです。
その方法の一つとして子供が不適切な行動をしたり,またはしそうになったときに叱責したり説教したりすることもあるでしょう。
しかし,世の中にはそういったいわゆる躾の一環としてなされた行為が虐待に当たるものとして処罰されたりする場合があることも実情です。
では,どういった場合に躾が虐待と判断されるのでしょうか。
【暴行による虐待】
民法では,親権者は監護や教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができると定めており,懲戒行為が直ちに処罰されるものではないことがわかります。
しかし,懲戒にあたる行為であっても,子どもを殴ったり蹴ったりした場合は刑法上の暴行に当たり暴行罪(刑法第208条)として処罰される可能性が出てきます。
暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
今回のAさんの事件ですと,Aさんは息子さんを暴行していますので暴行罪に問われる可能性があります。
実際はその暴行の程度や頻度などを総合的に考慮して逮捕や起訴が差し控えられるケースもあります。
これは,子どもから親を引き離すことや犯罪者の子どもであることのレッテルを周囲から貼られることによって生じる子どもへの不利益を回避するためです。
だからといって,体罰が許されるものではありません。
懲戒権を濫用することによって前科はつかずとも親権を失う場合があります。
どんな理由があろうとも,体罰やそれによる児童虐待を行ってはいけません。
【暴行によらない虐待】
Aさんの場合では直接暴行を加えていますが,他の方法によって「躾」を行うことも考えられます。
例えば,しばらく部屋に閉じ込めたり,人格を否定するような暴言を浴びせたり,一時的に食事を与えなかったりすることなどが挙げられます。
部屋に閉じ込めることは監禁罪(刑法第220条)にあたる可能性が考えられます。
監禁罪の法定刑は3月以上7年以下の懲役です。
著しい暴言を浴びせたり児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食などは,それによって直ちに罪に問われることはないかもしれませんが,これらの行為により子どもの心身に実害が発生した場合は傷害罪(刑法第204条)または過失傷害罪(刑法第209条),あるいは保護責任者不保護罪(刑法第218条)などに問われる可能性があります。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金,過失傷害罪の法定刑は30万円以下の罰金または科料で,保護責任者不保護罪の法定刑は3月以上5年以下の懲役です。
暴行による場合とよらない場合とにかかわらず,躾のつもりで行った行為で子どもを死なせてしまった場合にはさらに重い罪に該当する可能性が高くなります。
もし子どもがいいつけに背いたりしても,やはり暴力や心理的圧迫に頼らない方法による懲戒権の行使が望ましいと言えます。
児童虐待を疑われたからといってすぐに逮捕されるとは限りません。
もしそのような疑いが向けられた場合は,早めに弁護士や児童相談所に相談して適切な対応をとることにより,逮捕や起訴の回避を目指すことも考えられます。
親権や監護権をもつ子どもに対する暴行で警察による捜査が開始されてしまった方は,刑事事件に強い弁護士補人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?②
琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?②
~前回からの流れ~
Aさんは、滋賀県大津市にある琵琶湖畔で、友人女性のVさんらと遊んでいました。
AさんはVさんに好意を抱いており、Vさんに何度も水上バイクに一緒に乗るよう誘いをかけました。
Vさんは最初嫌がって断っていましたが、Aさんが何度もしつこく誘ったことからその誘いに折れ、「少しだけなら」とAさんと水上バイクに乗りました。
しかしAさんは、水上バイクを発進させると、Vさんが止めるのも聞かずに湖畔から離れた琵琶湖沖まで出て、そこでVさんに抱き着くと無理矢理キスをしました。
その後、Vさんが滋賀県大津北警察署に相談し被害届を出したことがきっかけとなり、Aさんは滋賀県大津北警察署に監禁罪と強制わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・水上で監禁罪に?
前回はAさんの逮捕容疑の1つである強制わいせつ罪について触れましたが、今回の記事ではもう1つの逮捕容疑である監禁罪について触れていきます。
監禁罪は、刑法220条に規定されている犯罪です。
刑法220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
監禁罪は、人の身体・行動の自由を侵害する犯罪で、不法に=正当な行為以外で人を監禁した際に成立します。
正当な行為での逮捕・監禁の例では、刑事事件で逮捕状による逮捕や勾留状による勾留が行われることがよく挙げられます。
一般に監禁罪にいう監禁とは、人の身体を間接的・場所的に拘束してその自由を奪うこと=人を一定の限られた場所から脱出することを不可能又は著しく困難にすることを言います。
例えば、鍵のかかった部屋に誰かを許可なく閉じ込めるようなことをすれば、それは監禁罪にいう監禁行為であると考えられるでしょう。
今回のAさんのケースについて考えてみましょう。
監禁罪や監禁行為という言葉からは、先ほど例に挙げたように、どこかの部屋に誰かを閉じ込めるような態様が想像しやすいでしょう。
しかし、今回のAさんはVさんを水上バイクに乗せて琵琶湖沖に出ているという行為をしているのみで、Vさんを部屋や何か狭いものに閉じ込めたというわけではありません。
これでも監禁罪は成立するのでしょうか。
実は、過去に似たような監禁事件の判例があります。
この事件は、被疑者は被害者を姦淫する目的で、自分の運転する原付自転車の荷台に被害者を乗せ、1,000メートル疾走したという内容でした。
この事件で、最高裁はこの行為を監禁罪に該当するとして監禁罪の成立を認めました(最決昭和38年4月18日)。
それはなぜかというと、先ほど触れた監禁罪の監禁という言葉の意味にあります。
繰り返しますが、監禁罪は人の身体や行動の自由を侵害する犯罪であり、監禁とは人を一定の限られた場所から脱出することを不可能又は著しく困難にすることを言います。
つまり、人の自由を奪う形であれば、何も部屋の中に閉じ込めたり、周囲が何かに囲まれている場所に被害者を置いたりしなくとも、監禁行為となりえるのです。
今回のケースでは、Aさんは水上バイクにVさんを乗せ、Vさんが止めるのも聞かずに琵琶湖沖まで出ています。
Vさんはその行為を止めていたということからも、Vさんの同意なく行われた行為であり、正当な行為であるとはいいがたいでしょう。
そして、水上バイクが走行している間はVさんはそこから脱出することはできませんし、琵琶湖沖に出てしまえば周りは湖ですから、そこでも脱出することは困難であるといえるでしょう。
ですから、AさんはVさんの身体・行動の自由を奪ったと考えられ、監禁罪の容疑がかかることになったのでしょう。
このように、たとえ周りがひらけているような場所であったとしても、状況次第では監禁罪が成立します。
監禁罪が成立しうる状況なのかどうかは、刑事事件に詳しい弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、0120-631-881でいつでも無料法律相談のご予約を受け付けております。
逮捕されている方向けの初回接見サービスも、同様にいつでもお申し込みいただけます。
まずは遠慮なくお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?①
琵琶湖上で監禁罪・強制わいせつ罪に?①
Aさんは、滋賀県大津市にある琵琶湖畔で、友人女性のVさんらと遊んでいました。
AさんはVさんに好意を抱いており、Vさんに何度も水上バイクに一緒に乗るよう誘いをかけました。
Vさんは最初嫌がって断っていましたが、Aさんが何度もしつこく誘ったことからその誘いに折れ、「少しだけなら」とAさんと水上バイクに乗りました。
しかしAさんは、水上バイクを発進させると、Vさんが止めるのも聞かずに湖畔から離れた琵琶湖沖まで出て、そこでVさんに抱き着くと無理矢理キスをしました。
その後、Vさんが滋賀県大津北警察署に相談し被害届を出したことがきっかけとなり、Aさんは滋賀県大津北警察署に監禁罪と強制わいせつ罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月24日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・強制わいせつ罪
今回のAさんの逮捕容疑は監禁罪と強制わいせつ罪ですが、まずは強制わいせつ罪に簡単に触れていきましょう。
強制わいせつ罪は、刑法176条に規定されている犯罪です。
刑法176条(強制わいせつ罪)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。
13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪で注意しなければならない点の1つが、被害者が13歳未満であった場合、暴行や脅迫といった行為がなくとも、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立するという点です。
ただし、今回のAさんの事案では、被害者であるVさんはおそらく13歳以上であるため、刑法176条前段にあるように、暴行・脅迫行為を用いてわいせつな行為をした場合に強制わいせつ罪が成立することになります。
さて、今回のAさんはVさんに抱き着きキスをするという行為をしています。
Aさんの行動を見る限り、目立った暴行・脅迫行為はないように見えるため、本当にこの行為が強制わいせつ罪になるのか、と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、暴行・脅迫と聞くと、殴って言うことを聞かせたり体を押さえつけたりといったイメージがわきやすいです。
しかし、強制わいせつ罪では、「暴行」は相手の反抗を困難にする程度の不法な有形力の行使であると考えられています。
つまり、簡単に言えば相手が抵抗することが難しいように力を加えることです。
今回のAさんはVさんに抱き着いていることから、VさんがAさんを振り払うなどして抵抗することが難しかったと考えられます。
そこでAさんはキスをしているわけですから、暴行によってわいせつな行為をした=強制わいせつ罪にあたると考えられたのでしょう。
なお、ここで注意すべきなのは、キスがなくとも抱き着く行為だけでも強制わいせつ罪が成立する可能性があるということです。
強制わいせつ罪において、「暴行」と「わいせつ行為」は同じ行為であってもよいとされています。
例えば今回の抱き着く行為では、抱き着くことによって相手の抵抗を難しくするという側面(=「暴行」)と、抱き着くことで「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」(名古屋高裁金沢支判昭和36.5.2)(=「わいせつな行為」)という側面があります。
この場合、抱き着く以外の行為をしていなくとも、「暴行」と「わいせつな行為」という条件を抱き着くという行為1つで満たすことになり、強制わいせつ罪が成立する可能性が出てくるのです。
強制わいせつ事件では、被害者の方への謝罪や弁償を伴う示談交渉や、逮捕されている場合の身柄解放活動など、多くの活動が必要になることが多いです。
こういった活動を全てご自身やそのご家族で行っていくことは非常に難しいことですから、刑事事件のプロである弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、強制わいせつ事件を含む刑事事件を多数取り扱っています。
滋賀県の強制わいせつ事件でお困りの際は、遠慮なく弊所弁護士までご相談ください。
次回の記事ではAさんのもう1つの逮捕容疑である監禁罪について触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
原付の2人乗りで道路交通法違反③
原付の2人乗りで道路交通法違反③
~前回からの流れ~
滋賀県長浜市に住むAさん(17歳)は、原付免許を取得し、50ccの原付を運転していました。
ある日、Aさんは友人のVさんを原付の後ろに乗せ、滋賀県長浜市内を通る道路で2人乗りをしていました。
するとその姿を発見したパトカーで巡回中の滋賀県長浜警察署の警察官が、「原付の2人乗りは道路交通法違反になります。そこの原付、停まりなさい」と声をかけてきました。
捕まってはまずいと思ったAさんは、原付を運転してパトカーから逃げましたが、途中で乗用車と衝突してしまいました。
幸いにも死亡した人はいませんでしたが、Aさんは道路交通法違反(定員外乗車)の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・原付2人乗り…少年事件になる?
前回から触れている通り、原付の2人乗りは道路交通法違反となります。
道路交通法57条1項
車両(軽車両を除く。以下この項及び第58条の2から第58条の5までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(以下略)
道路交通法120条1項10号の2
第57条(乗車又は積載の制限等)第1項の規定に違反した者(第118条第1項第2号及び第119条第1項第3号の2に該当する者を除く。)
※注:道路交通法118条・119条は荷物の積載についての罰則。
このように、原付の2人乗りによる道路交通法違反には罰金5万円以下という刑罰が定められていることから、この道路交通法違反で検挙されれば、刑事事件・少年事件となりうることがわかります。
しかし、こうしたいわゆる交通違反事件の場合、反則金制度と呼ばれる制度の適用により、すぐには刑事事件・少年事件とならない可能性があります。
・反則金制度とは
反則金制度とは、正確には「交通反則通告制度」という制度のことで、軽微な交通違反に関して、反則金を納めることで刑事事件・少年事件の手続きに進むことなく終わらせる制度です(道路交通法125条以下参照)。
一般に「青切符」と呼ばれているのはこの反則金制度の適用を受けた場合の交通違反を指します。
今回のAさんがした、原付の2人乗りという道路交通違反は、この反則金制度の対象となる交通違反です。
そのため、Aさんの道路交通法違反事件が反則金制度の適用を受ければ、反則金を払うことによって少年事件となることを避けることができます(なお、反則金を支払わない等をすれば制度の適用はされず、刑事事件・少年事件となります。)。
・原付2人乗りでは少年事件にならない?
では、原付2人乗りでは絶対に少年事件とならないかというと、そうではありません。
少年事件と刑事事件で異なる点の1つとして、少年事件に虞犯(ぐはん)少年という考え方がある点が挙げられます。
虞犯少年とは、簡単に言えば、今は少年事件を起こしているわけではないものの、環境等から将来犯罪をしたり犯罪に触れる行為のおそれのある少年のことを言い、少年法ではこの虞犯少年についても家庭裁判所の調査・審判を行うことができるとされています。
少年法では虞犯少年に該当すると判断する要件を挙げており、その事由の1つに該当し、環境等を考慮したうえで虞犯少年かどうかが判断されます。
今回のAさんでいえば、原付の2人乗りは反則金制度を適用して少年事件とならなかったとしても、頻繁に夜中に原付を乗り回していた、家に帰っていなかった等の他の事情があれば、虞犯少年として少年事件化することも考えられます。
また、今回のAさんのように、パトカーから停止を求められて逃げ、事故を起こしてしまったような場合で、同乗者や衝突した車に乗っていた人に怪我をさせてしまった/死亡させてしまったような場合には、原付の2人乗りによる道路交通法違反だけでなく、自動車運転処罰法にある過失運転致死傷罪が適用されることも考えられます。
そうなれば、過失運転致死傷罪は反則金制度のようなものはありませんから、すぐに少年事件・刑事事件として立件されることになるでしょう。
このように、たとえ軽微な交通違反がきっかけであったとしても、少年事件として事件化する可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、滋賀県の少年事件にも刑事事件・少年事件専門の弁護士が対応しています。
弁護士へのご相談予約は0120-631-881でいつでも受け付けていますので、お悩みの方は遠慮なくお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
原付の2人乗りで道路交通法違反②
原付の2人乗りで道路交通法違反②
~前回からの流れ~
滋賀県長浜市に住むAさん(17歳)は、原付免許を取得し、50ccの原付を運転していました。
ある日、Aさんは友人のVさんを原付の後ろに乗せ、滋賀県長浜市内を通る道路で2人乗りをしていました。
するとその姿を発見したパトカーで巡回中の滋賀県長浜警察署の警察官が、「原付の2人乗りは道路交通法違反になります。そこの原付、停まりなさい」と声をかけてきました。
捕まってはまずいと思ったAさんは、原付を運転してパトカーから逃げましたが、途中で乗用車と衝突してしまいました。
幸いにも死亡した人はいませんでしたが、Aさんは道路交通法違反(定員外乗車)の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・原付2人乗りで逮捕?
前回の記事で触れた通り、道路交通法上の原付(=総排気量50cc以下の二輪車等)については、以下の条文に違反するため2人乗りはできません。
道路交通法57条1項
車両(軽車両を除く。以下この項及び第58条の2から第58条の5までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(以下略)
道路交通法120条1項10号の2
第57条(乗車又は積載の制限等)第1項の規定に違反した者(第118条第1項第2号及び第119条第1項第3号の2に該当する者を除く。)
※注:道路交通法118条・119条は荷物の積載についての罰則。
今回のAさんは、それにもかかわらず原付で2人乗りをしたという道路交通法違反の容疑で逮捕されていますが、ここで、刑事訴訟法では逮捕について以下のような規定があるため、「罰金5万円以下の犯罪で逮捕されるのはおかしいのではないか?」と思う方もいるかもしれません。
刑事訴訟法199条1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
先ほども掲載したように、原付の2人乗りによる道路交通法違反の罰則は罰金5万円以下ですから、刑事訴訟法199条1項ただし書にあるように、被疑者が住所不定であるか、正当な理由のない不出頭である場合にしか逮捕状による逮捕(いわゆる通常逮捕)はできないことになるのです。
しかし、今回のAさんは逮捕状による逮捕ではなく、現行犯逮捕です。
現行犯逮捕は逮捕状を必要としない逮捕であり、通常逮捕のようにその犯罪の刑罰の重さによって何か制限があるわけではありません。
今回のAさんは現行犯逮捕されているため、この刑事訴訟法199条1項には当てはまらず、刑罰の重さによる制限がかからなかったのです。
逮捕されてしまった場合には、そのすぐあとから身柄解放活動を開始することで、釈放を主張する機会を多く活用することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、滋賀県の刑事事件・少年事件の逮捕にも迅速に対応を行っています。
0120-631-881では、いつでも弊所弁護士によるサービスについて、お問い合わせ・お申し込みを受け付けていますので、逮捕を聞いてお困りの際は遠慮なくお電話ください。
次回は今回のAさんの事件の手続きや他に成立しうる犯罪について触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
原付の2人乗りで道路交通法違反①
原付の2人乗りで道路交通法違反①
滋賀県長浜市に住むAさん(17歳)は、原付免許を取得し、50ccの原付を運転していました。
ある日、Aさんは友人のVさんを原付の後ろに乗せ、滋賀県長浜市内を通る道路で2人乗りをしていました。
するとその姿を発見したパトカーで巡回中の滋賀県長浜警察署の警察官が、「原付の2人乗りは道路交通法違反になります。そこの原付、停まりなさい」と声をかけてきました。
捕まってはまずいと思ったAさんは、原付を運転してパトカーから逃げましたが、途中で乗用車と衝突してしまいました。
幸いにも死亡した人はいませんでしたが、Aさんは道路交通法違反(定員外乗車)の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
(※令和元年9月13日京都新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・原付の2人乗り
まず、いわゆる原付とは、「原動機付自転車」とのことを言います。
道路交通法では、原付について以下のように定義されています。
道路交通法2条1項10号
原動機付自転車
内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
そして、この「内閣府令で定める大きさ」については、道路交通法施行規則に詳しく規定があります。
道路交通法施行規則1条の2
道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第2条第1項第10号の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については0.050リツトル、定格出力については0.60キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については0.020リツトル、定格出力については0.25キロワツトとする。
つまり、道路交通法上では総排気量が50cc以下のものが原付であるということになります。
なお、道路交通法上では50cc以下のものが原付であるのに対し、道路運送車両法という別の法律では、125cc以下の二輪車も「原付」に含まれます(道路運送車両法2条3項、道路運送車両法施行規則1条)。
法律によっては原付として考えられる範囲も異なるということに注意が必要です。
では、話を道路交通法に戻し、2人乗りについての規定を確認してみましょう。
道路交通法では、以下のように乗車人員についての決まりを設けています。
道路交通法57条1項
車両(軽車両を除く。以下この項及び第58条の2から第58条の5までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
(以下略)
道路交通法120条1項10号の2
第57条(乗車又は積載の制限等)第1項の規定に違反した者(第118条第1項第2号及び第119条第1項第3号の2に該当する者を除く。)
※注:道路交通法118条・119条は荷物の積載についての罰則。
道路交通法2条8号で「車両」とは「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」とされているため、先ほど確認した総排気量が50cc以下の原付は道路交通法のいう「車両」に含まれます。
ですから、原付で定員外乗車をした場合には、道路交通法57条1項に違反し、道路交通法120条1項10号の2に該当して処罰されることになります。
では、原付の定員はどこに定められているのかというと、道路交通法施行令にあります。
道路交通法施行令23条
原動機付自転車の法第57条第1項の政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法の制限は、次の各号に定めるところによる。
1号 乗車人員は、一人をこえないこと。
つまり、原付の定員は1人ということですから、道路交通法のいう「原付」=総排気量50cc以下の二輪車については、2人乗りはできないということになります。
なお、事例のAさんの取得している原付免許で運転できる原付は総排気量が50cc以下のものに限定されますから(道路交通法85条)、Aさんの場合は必ず原付に1人で乗らなければならない(2人乗りはできない)ということになるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした原付の2人乗りで現行犯逮捕されてしまったというような少年事件についてもご相談いただけます。
次回以降の記事では今回のAさんの逮捕についてやこういった道路交通法違反事件の少年事件としての手続きについて、他に成立が考えられる犯罪について取り上げていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
触らない暴行罪で逮捕?
触らない暴行罪で逮捕?
滋賀県米原市在住のAさんは、以前から嫌いだった女性Vさんを近所にあるファミレスで見かけた。
AさんはVさんに対する恨みを募らせていたため、Vさんに嫌がらせをしてやろうと、ファミレスに置いてあった塩を手に取り、Vさんに向かって塩を数回振りかけた。
その塩はVさんの頭や顔にかかり、Vさんは驚き、店員に警察を呼ぶように頼んだ。
店員が滋賀県米原警察署に通報した結果、Aさんは駆け付けた警察官により、暴行罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんの家族は、Aさんが暴行罪の容疑で逮捕されたと聞き、急いで刑事事件を取り扱っている弁護士に相談し、逮捕されたAさんのもとへ弁護士を派遣した。
Aさんは弁護士との接見の際、直接殴っているわけでもないのに暴行罪になることはあるのか相談することにした。
(福岡高判昭和46.10.11を参考にしたフィクションです。)
~暴行罪の「暴行」~
刑事事件となる犯罪の中でも、暴行罪は比較的耳にしやすい犯罪のうちの1つではないでしょうか。
法律上の暴行罪は、「暴行を加えたものが人を傷害するに至らなかったとき」に成立します。
刑法208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
では、その暴行罪の「暴行」とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
一般的にイメージされるであろう、殴る・蹴るといった直接的な暴力については、もちろん暴行罪の「暴行」に含まれます。
そして、それだけではなく、加害者の行為が被害者の身体に直接触れていなくとも、暴行罪は成立します。
例えば、今回のようなケースでは、Aの行った行為は、Vに塩を振りかけるというもので、直接殴ったり叩いたりしたわけではありませんが、このような場合でも暴行に含まれる可能性があります。
他にも髪の毛を不法に切断したり、拡声器を使って耳元で大声を叫んだりする行為も暴行罪とみなされた例もあります。
つまり、被害者の身体に触れていなくとも、被害者の身体に向けられた行為がその相手に不法に不快や苦痛を与えていれば、暴行罪は認められうるのです。
しかし、今回取り上げたような塩を振りかける行為が必ず暴行罪の「暴行」として認められるわけではありません。
暴行罪に当たるかの判断は難しく、一概にどの行為が暴行になるかは断定できないのです。
ですから、もし暴行罪に関するトラブルに遭った際は、一度、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
~暴行事件を起こしてしまったら~
暴行事件の場合、今回のVさんのように被害者が存在します。
終局処分で有利な結果を得るためにも、Aさんのように逮捕され身体拘束をされている場合には釈放を求めるためにも、被害者の方への謝罪や弁償を行い、示談を締結することは非常に重要なことです。
ですが、こういった暴行事件などの被害に遭われた場合、いくら謝罪をしたいと言われても、直接会ったり個人情報を教えたりするのは怖いと考える被害者の方も多くいらっしゃいます。
そうした場合であっても、弁護士が間に入ることで、被害者の方の不安を軽減しながら示談交渉を行うことが期待できます。
弁護士が示談交渉を行う場合、被害者の方の個人情報は弁護士限りでとどめられるため、被害者の方は上記のような心配をすることなく謝罪や弁償の話を聞くことができるため、話を聞いていただくハードルを下げることができるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、刑事事件専門の暴行事件にも強い弁護士です。
滋賀県の刑事事件やその逮捕にも対応していますので、滋賀県の暴行事件やその逮捕にお困りの際は、一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
窃盗事件の逮捕と釈放
窃盗事件の逮捕と釈放
Aさんは,滋賀県彦根市のフットサル施設の女性用脱衣場に侵入し,Vさんのリュックサックに入れられていたシャツや下着など14点を盗みました。
Vさんが確認したところ,リュックサックから衣服がなくなっていることに気づき,施設職員に相談。
そこから滋賀県彦根警察署に通報されました。
その後,窃盗事件として捜査が開始され,防犯カメラの映像からAさんの犯行であることが発覚し,Aさんは,滋賀県彦根市を管轄する滋賀県彦根警察署の警察官に窃盗罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
~脱衣所での窃盗事件~
他人の財物を盗んだ(窃取した)者には,窃盗罪(刑法235条)が成立します。
その場合,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が科せられます。
窃盗罪は,他人の財物を窃取した場合に成立します。
「窃取」とは,財物の占有を移転し,それを取得することをいいます。
持ち主であるVさんの意思に反して衣服を持ち去ったAさんの行為には窃盗罪が成立することには疑いがないでしょう。
また,Aさんは原則として男性の立ち入りが認められていない女性用脱衣場にVさんの衣服を盗むために立ち入っています。
正当な理由なく侵入をしたこの行為には,建造物侵入罪(130条前段)が成立する可能性があります。
そして,Aさんの窃盗罪に当たる行為と建造物侵入罪に当たる行為は,目的手段の関係(窃盗罪をする目的で手段として建造物侵入罪を犯す)に立ちます。
そのため,牽連犯という考え方が用いられ,より重い窃盗罪の刑で処断されることになります(刑法54条1項前段)。
~窃盗事件で逮捕~
窃盗罪の法定刑は前述のとおりです。
窃盗罪は,決して軽い犯罪ではありません。
こうした建造物侵入罪の成立も考えられる窃盗事件では,万引きや置引きといった単純な窃盗事件よりも重い処罰となる可能性が高いです。
さらに,建造物侵入行為を伴う窃盗事件では,逮捕されてしまうこともあります。
窃盗事件を起こして逮捕されてしまった場合には,なるべく早く弁護士に依頼した方がよいでしょう。
窃盗事件の依頼を受けた弁護士の活動としては,まず刑事事件化する以前であれば,被害者と示談をして,被害届を出さないようにしてもらい,刑事事件化を防ぐことが考えられます。
他方,今回のように被害届が出され,逮捕されてしまったような場合には,弁護士は,検察官や裁判所に対し,勾留の必要性がないことを主張し,釈放を目指すことになるでしょう。
また,弁護士が依頼を受けたタイミングにかかわらず,弁護士は被害者との示談を試みることが考えられます。
検察官が起訴不起訴の処分を決める前に示談することができれば,不起訴処分となり,前科がつかなくなる可能性があります。
また,仮に裁判になってしまったような場合でも,示談の成立は,量刑上有利に考慮されます。
ただし,今回のような下着類や衣服を盗む窃盗事件の場合,被害者の処罰感情や恐怖が大きく,当事者同士での謝罪や弁償が難しいことも考えられます。
そういった場合には,第三者である弁護士を介在させて交渉をすることで,被害者としても安心して示談交渉に臨むことのできる環境を作ることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の弁護士事務所です。
まずは0120-631-881までお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
被害者なのに恐喝罪で逮捕?②
被害者なのに恐喝罪で逮捕?②
~前回からの流れ~
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、恋人である女性Bさんとともに自宅近くの商業施設に出かけてきていました。
すると、商業施設内で、Bさんにスマートフォンを向けている男性Vさんを見つけました。
AさんがVさんに問い詰めたところ、VさんはBさんのことを盗撮していたのでした。
AさんとBさんは非常に怒り、Vさんに「慰謝料として100万円支払え。そうでなければ滋賀県東近江警察署に盗撮の被害届を出す。そうなればお前は逮捕されるぞ。どういうことかわかるだろうな」と詰め寄りました。
Vさんはすっかりおびえてしまい、ATMで100万円を下すとAさんとBさんに渡しました。
その場はそれで収まっていたのですが、後日VさんがAさんとBさんに100万円を脅し取られたとして滋賀県東近江警察署に相談し、AさんとBさんは恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・被害者なのに恐喝罪?
前回の記事では、恐喝罪とそれに類似する犯罪を取り上げました。
今回の記事では、Aさんのケースについて検討していきます。
AさんはVさんに恋人のBさんを盗撮されており、Bさんと一緒にVさんを見つけて問い詰めています。
こうしたことから、Aさん(とBさん)は被害者の側であり、むしろVさんの方が加害者であるように思えます。
そしてAさんらはVさんに慰謝料を請求していますが、額が適正かどうかは別として、盗撮の被害に遭ってしまったことからこうした慰謝料を求めるということも当然のことであり、不自然なことではないように見えます。
それでも、Aさんらは恐喝罪で逮捕されてしまっています。
何か被害に遭った時の慰謝料の支払いであったり、貸したお金の返却であったり、当然相手に請求すべきお金というものは存在します。
これを請求することも恐喝罪となるのでしょうか。
今一度恐喝罪の条文を確認してみましょう。
刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
前回取り上げたように、恐喝罪が成立するには「恐喝」行為が必要であり、それは財物の交付をさせるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることです。
ですから、慰謝料等を請求すること自体には問題はないのですが、その方法が「恐喝」にあたってしまえば、当然請求するべきお金であったとしても恐喝罪となりえるのです。
過去の判例では、「他人に対して権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であり且つその方法が社会通念上一般に忍容すべきものと認められる程度を超えない限り、何等違法の問題を生じないけれども、右の範囲程度を逸脱するときは違法となり、恐喝罪の成立することがあるものと解するを相当とする。」とされています(最判昭和30.10.14)。
つまり、慰謝料等の請求の権利行使の際、「その権利の範囲」から外れ、請求等の方法が「社会通念上一般に忍容すべきもの」を超えているとされた場合、恐喝罪となりうるのです。
今回のAさんの場合、慰謝料を払わなければ警察に届け出るということや、届け出ればVさんはただでは済まないというようなことを伝えています。
こうした伝え方から、脅している=脅迫を用いて金銭の交付を求めていると判断され、先ほど記載した「社会通念上一般に忍容すべきもの」を超えている方法での請求であるとされれば、恐喝罪となることも考えられるのです。
このように、一見当然のことをしているように見えるケースであっても、刑事事件になって逮捕されてしまうこともあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件の専門家である弁護士が所属する法律事務所です。
恐喝事件のご相談ももちろん安心してお任せいただけますので、まずは遠慮なくお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。
被害者なのに恐喝罪で逮捕?①
被害者なのに恐喝罪で逮捕?①
滋賀県東近江市に住んでいるAさんは、恋人である女性Bさんとともに自宅近くの商業施設に出かけてきていました。
すると、商業施設内で、Bさんにスマートフォンを向けている男性Vさんを見つけました。
AさんがVさんに問い詰めたところ、VさんはBさんのことを盗撮していたのでした。
AさんとBさんは非常に怒り、Vさんに「慰謝料として100万円支払え。そうでなければ滋賀県東近江警察署に盗撮の被害届を出す。そうなればお前は逮捕されるぞ。どういうことかわかるだろうな」と詰め寄りました。
Vさんはすっかりおびえてしまい、ATMで100万円を下すとAさんとBさんに渡しました。
その場はそれで収まっていたのですが、後日VさんがAさんとBさんに100万円を脅し取られたとして滋賀県東近江警察署に相談し、AさんとBさんは恐喝罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※この事例はフィクションです。)
・恐喝罪
今回のAさん・Bさんの逮捕容疑である恐喝罪は、刑法に定められている犯罪です。
刑法249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪が成立するには、①恐喝行為→②恐喝行為によって相手が畏怖→③相手がその意思によって財物を交付→④財物の占有(支配・管理)が移る、という段階をたどり、さらにこれらに因果関係があることが必要です。
「恐喝」する=恐喝行為とは、財物の交付をさせるために暴行又は脅迫によって相手を畏怖させることを指します。
この時、行われる暴行又は脅迫は相手の反抗を抑圧しない程度のものであることが求められます。
もしも暴行・脅迫の程度が激しく、相手が抵抗することが難しいほどのものであった場合(例えば拳銃や包丁などの凶器を用いての暴行・脅迫など)には、恐喝罪ではなく強盗罪の成立が検討されることになります。
・恐喝罪と似た犯罪
ここで、恐喝罪と似た犯罪を紹介します。
恐喝罪がよく比較される犯罪としては、①強盗罪、②詐欺罪、③強要罪、④脅迫罪があります。
①強盗罪
刑法236条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
先ほども触れましたが、暴行・脅迫の程度が激しく、相手の抵抗を抑圧するようなものであった場合には、強盗罪の成立が検討されます。
②詐欺罪
刑法246条
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
詐欺罪は、相手に相手の意思で財産を交付させるという点で恐喝罪と似ている部分がありますが、恐喝罪が暴行・脅迫によって交付させるのに対し、詐欺罪は相手をだますことによって財産の交付をさせる点で異なります。
③強要罪
刑法223条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
強要罪は、暴行・脅迫を用いることは恐喝罪と共通していますが、人に義務のないことを強いることが恐喝罪と異なります。
④脅迫罪
刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
脅迫罪は、脅迫をすることで成立します。
脅迫によって財産の交付をさせた場合には恐喝罪が、義務のないことをさせた場合には強要罪が成立することになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、こうした様々な刑事事件に対応しています。
0120-631-881では初回無料法律相談や初回接見サービスの申し込みをいつでも受け付けています。
まずはお気軽にお電話ください。
次回の記事ではAさんのケースについて詳しく触れていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の当事者の弁護活動を中心に扱う全国的な刑事総合法律事務所です。
刑事事件・少年事件のみを取り扱う弁護士が、最初の相談から捜査・裁判終了による事件解決まで一貫して、迅速丁寧に対応致します。
当事務所の初回の法律相談は全て無料で行っております。夜間でも、土日祝日でも、365日24時間体制で法律相談のご予約を受け付けております。弁護士のスケジュールが空いていれば、お電話後すぐに弁護士とご相談いただくことも可能です。滋賀大津の刑事事件・少年事件に関するお悩みは、ぜひ当事務所へご相談ください。